ここは妖怪の山の付近。
「クククククク!!ほらほらぁ!どうした!全然当たってないじゃないか!」
「だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれ!!!」
魔剣と弾幕を振り回す紫と、霊剣で軽くいなすアドバイザーがいた。
「無音――琉右刀――!」
アドバイザーが放った右フックのように鋭い軌跡を描きながら紫を切り裂こうとする。
「無音――剥墟――!」
それに対し、紫は空間を剥ぎ、スキマを作り出し、アドバイザーの攻撃をスキマ送りにする。
「ククク!」
アドバイザーの笑い声に反応し、紫のスキマがアドバイザーの全方位を囲む。
「この程度の檻で、我を捕らえたつもっ!?」
突然、スキマの中から剣が飛び出し、アドバイザーの体を貫いていく。
「また、魔剣かっ!ぐぅっ!」
更に一本、もう一本と同じ剣が刺さっていく。魔剣と言えども複製された劣化品だろうが、それでもアドバイザーにとっては本物と差し支えない代物であった。
「なめ……るなああぁぁ!!」
アドバイザーは絶の能力により、脳内の電気量を活性化させて、魔剣を溶かす程の電熱を帯びる。その瞬間的に音速を超える速度はスキマという一瞬の距離を経由し、外へと出た。
「無音――雷撃――!」
「無音――既斬――!」
早業同士がぶつかり合う。
「死ね死ね死ねシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ!!!!!!!シネッッッ!!!!」
うわごとのように紫は呟き、魔剣を振るう。
アドバイザーは全身に開けられた永遠に治らない傷を必死に耐えながらそれを回避する。だが、限界はやがてやってくる。
「調子に……乗るなぁ!!」
ギンッ!
遂にアドバイザーが紫の魔剣をはじき返し、クロス状に斬る。
だが、紫にとってはこの程度は必要経費。元々無傷でできるわけがないと踏んでいたのだから……
「これで……終わりだ!」
ザシュッッ!!!
疲労が限界に達し、遂には動けなくなったアドバイザーに魔剣を一刺しする。
「ふっ……はぁ……はぁ……ふ、フフフフフフフフ!!!アハハハハハ!!
遂に!殺った!私は……やり遂げた!」
「クククククク!!クヒャハハハハハ!残念だったなぁ紫ぃ!この戦いは我の負けだが、これで計画は終了した!」
「な、何……?」
「大量の霊・妖・魔・神力を使用し描かれる最強の魔法陣……!既に各地にばら撒かれている……もう貴様の知っている未来は来ない!今日から絶望が生まれるのだ!」
「馬鹿な!絶が死ねば呪いなんてそんなもの関係ないはずじゃっ!」
「無限に繰り返されているのだよ……!呪いは死だけは解除できない……
だが、最後の条件がある……運命の子から最高級の絶望を手に入れなければいけないのだ……故に、真実を教えてやる」
殺したはず、なのにもかかわらず、余計に元気な声色で話すアドバイザーに恐怖を抱いた紫は、無意識で少し後ろに下がる。
途端、景色は変わる。
「ここは……記憶だけの過去の世界……紫。お前に絶望と言う名の真実を教えてやる」
これは紫にとって地獄の扉であった。
???「……ああ、悲しくも美しくも絶望は黒く黒く澄んでいる。
星のように輝き……泥沼のように沈んでいる。
人間は……ここを溺れず、泳ぐことができるだろうか……もし、できたとしても
いつかは疲れ、沈んでいくだろう……だがしかし、妖怪は違う。
妖怪はもっと諦め易い。希望と言う名の陸が見当たらなければすぐに沈んでしまうだろう。綺麗にも潔く死ぬ輩たちだ。汚くも死ねる。まるで人間のように死に様を創る為だけに生まれてきたかのようだ。」