第百零話「絶滅を運ぶ者」
紫が久しぶりに我が家に戻って来た日に遂に時が来てしまった。
「漣……」
妃香梨が心配そうに俺に話しかけてくる。勿論、俺も不安だ。だが、弱音をはいてもいられない。
「……大丈夫だ」
としか言えない。
漣達は妖怪の山の裏手……元絶の隠れ家にいた。今はもう使っていない場所なだけあって、草が自由にのびのびに生えてこの土地に詳しいのにも関わらず、出入り口を探すのに3時間かかった。やっとこさ見つけて入ってみるといつも使っていた空間の奥に一つ世界観が違う扉があった。
「……ここに」
ゴクリと生唾を飲み込む。緊張する……これから……
意を決して扉を開ける。
ギィ……という古い音が聞こえ、光が奥の空間を包む……そこには……
「久しぶり。この世界の……俺」
「……私も」
そこにはマエリベリー・ハーンの死体と絶と彼女の二人の子供たちの死体が眠っていた。タールがしみ込んでいるため死んでからまだあまり時間が経っていないように見える。
「俺達の前世の死体……そしてその母親……紫」
「ええ……初めましてお母様。お父様の体をここに埋めます」
ここは元隠れ家と絶は偽っていたが、実はここはお墓であった。
「……命日には供養しないとな……」
「ええ」
「そうね……!漣……誰か外に」
「……敵だ。パンドラじゃなくても敵なら倒すだけだ」
漣たちはここを出る。
「……来たか。運命の子どもたちよ」
「……お前は」
「我はパンドラの命より、お前たちを始末する者……」
そう自分を語る者は黒いフードを被り、どことなく懐かしい雰囲気を感じるのは気のせいなのだろうか……死神の小町のように巨大な鎌持っている。雰囲気は死神そのものだ。
「なら俺達の敵だ。パンドラはどこにいる……!」
「まだ夢の中にいる」
「な、何のことを言っているの……?」
「まだ世界を滅ぼすことができると夢を見ている」
「……お前、パンドラの味方じゃないのか?」
「我はパンドラの味方である。だが、彼女の意思が強くてもその理想が間違っていることぐらい我にだってわかる」
「……なら、お前だったら間違って言えたんじゃないのか!?」
「もう遅い……お前たちの存在が彼女の視野を狭めていた。彼女を曲げさせたのは他でもない。貴様らだ……」
大鎌を地面から引っこ抜き、構える。
「運命の子たちよ……貴様たち3人の相手はこの我が相手する。『残りの4人』は他が開いてしよう……」
「残りの……」
「4人……だと!?馬鹿な!俺達以外に運命の子がいるというのか!」
「そうではない……運命の子は3人。だが、『虹色の糸』は合計7本ある。貴様等は3本」
「まさか……もうすでに俺達以外に誰かが……戦っている!?」
「そうだ」
この気配……この世界の者じゃないな……じゃあ、別世界から来た人たち……?俺は……彼らを知っている?
どこかで……
「彼には借りがある……それを今から返さなければな……」
「え、っと……良かった~。今度は流石に上空には登場しなくて済みました。あと……あなたは誰ですか?」
「ん……ここは……漣達の世界だな。今回で3回目だから流石に分かるぜ……!お前みたいな敵がいること以外はな!」
「よぉ……これが計画なんだろ?俺の立ち位置は『計画を潰す役』だ」
「紹介が遅れた。我は
???「パンドラよ……あれを複製させるか……相当の能力の制限をかけてはいるが、4体も人形を作るとはな……」
咲き人「あれの途中経過で、どれほど彼らが消耗するかだな」
???「運命の流れが清き花さえ流れる天の川のように……ゆったりと変わろうとしているぞ」
咲き人「……あんたのお得意の言葉だな」