今回は第一次月面戦争です。
2年後………
藤原 妹紅は発火する特殊な弾幕を身につけると絶達の家を後にした。
旅に出て色んな人を見て役に立つ人間になる………だそうだ。
妹紅一人が家からいなくなっただけでも家の中はがらんと静かになった。
最近の妃香梨は能力の本格的な制御の練習をしていた。
更には最近の悩みは能力以外に関しては若干空気になりかけていることだった。
その問題だけはどうもその人次第で変化することなので漣や絶は何も言えなかった。
そして今日も何気ない日常を過ごす………はずだった。
漣と妃香梨が水を汲みに行った帰り、家で怒号が聞こえた。
「ふざけるな!!」
慌てて家に入ると絶と紫が口論していた。
どちらにも怒りの表情が浮かばれている。
「月の民に戦争を持ちかけるだと!?馬鹿も休み休み言え!」
「違う!私だって条約程度で取り合ってくれる人達ならこんなことは言わない!
私の夢の為にはあそこの土地が必要です!
ですがあちらは完全に取れ合おうとしない。そうなったら実力行使で行かなければ!」
「それが間違っているっつってんだよ!何故俺に相談の一つもせず
戦争だと!?妖怪達が犠牲になるのは目に見えている!
それに相手は科学力=戦力の月の民だぞ!?
妖怪達に勝算は0%だ!!そんなことが分かっていて妖怪達を
見殺しにすることはさせない!月の民も妖怪も俺の命の恩人だ!」
「約束を守ると言ったのは絶の方ではありませんか!
それに多少の犠牲は付き物だと言うでしょう。
だから絶は隠居人の身だということを分かって下さい。
しかも妖怪達の総主導権は私にあります。
もし貴方が逆らうのであればいくら私でも容赦はしません!」
「ああ!?………………やるってのか………?」
「………どっちも一旦落ち着け!」
漣の一括で初めて絶と紫は漣と妃香梨の存在を視認した。
絶は苛立ちを抑えきれず外に出た。
するとしばらくすると外から爆音が聞こえてきた。
物に当たっているのだろう。そこまで絶が怒るのは初めてだ。
紫ははあ………と溜息を吐いた。
だがその表情には絶に分かってもらえないもどかしさがあった。
妃香梨は恐る恐る漣に声を潜めて聞いた。
「ねえ?漣。もしかして月に戦争ってさ………」
「ああ。『第一次月面戦争』だ………まずいぞ。
本当ならそのまま戦争に持って行くべきなんだけど、
絶がいるせいで少し違う方向に行く可能性がある。
絶が「勝手にしろ!」って言ってくれれば楽なんだけど。」
そう話していると紫が「ねえ。」と話しかけてくる。
漣と妃香梨は慌てて紫の方に向き直すと紫は何だか申し訳ない顔をしている。
「漣、妃香梨………さっきは見苦しい所を見られてしまったわね。」
「………………まあ、紫の言い分も分かるし絶の言い分も納得できるから。」
「何とも言えない………と?………そうね。これは私達、親子の問題だから。」
「分かった。でも紫。………あまり喧嘩は良くないわよ?」
「ええ。大丈夫よ。」
紫はそう言って外に出ていった。
漣と妃香梨は一応作戦成功かな?と
お茶を飲んだ。いつもの緑茶は苦味が増している気がした。
涙が一人勝手に落ちていきそうで上を向いた。
ここまで人に干渉して同情して一緒に悲しめたのは
初めてな気がする。漣も妃香梨も………
絶side
絶の実際の心境は紫にも届いていた。
誰も傷つけさせない。それが幽々子の事件以降に
絶が心に誓った物なのである。
だからこそ自分の恩人同士が戦争になるということに
目を瞑ることは出来ない………
できれば紫には親を超えて欲しいものがある。
ただそれができるのは今ではない気がする、と考えているのだ。
その思いがあやふやになってしまう自分にイラつき、
物に当たってしまっている。
責任は自分にはないのかもしれないが
どうも自分の計画以外は心配性になってしまうようだ。
そこもこの数億年で直したはずなんだけれど………
とそんなことを思っていると不意に月の民の人々が
目に浮かぶ。『豊姫』………『依姫』………
『八意 永琳』………『輝夜姫様』(絶はそう呼んでいる)………
「あの頃は貴女達が全てだった………どうしてこんな事に。
不幸中の幸いだな。輝夜姫様と永琳がいないのは。」
そう………輝夜が月の民に反旗を起こした『あの事件』
小耳に挟んだ程度だが一応情報は手に入れてある。
それは輝夜がある人間達を愛してしまったために
迎えとして来た月の民を殺し月から逃げ出してしまった。
その後月の民は輝夜と永琳を必死に探しているそうだ………
確かに輝夜は自由に色んな場所に行こうとする節があった。
絶は輝夜が行った『罪』を納得しているが、
そんな昔は活発的な輝夜も原作ではヒキニートになっていることは知る由もなかった。
かなり絶は人を信頼していますね。
一応言っておきますが絶は人によって態度を変えています。
悪い奴には喧嘩腰でいいやつには普通な態度でという風に。
人間大体そうですけどね。
次回 「過去世界」