今回はやばいです。
レベル高い………
絶はひどく落ち込んでいるときに紫が隣に座った。
紫も暫くは何も喋らなかった。
少しして絶は口を開いた。
「済まなかった。俺は………部外者だったんだな。」
「………………」
「お前の親なんて言ってお前を縛っていた。
でもお前は俺に囚われない存在なんだな。」
「………かもしれませんね。」
「最後に1つだけ言いたいことがある。
もうお前に指図しない。その代わりお前も俺に指図するな。」
「ええ。元々その気でしたし。」
「それと………………お前にだけ『絶』という秘密を少しだけ教えてやる。」
「!?」
暫くして絶と紫が家に戻ってきた。
どうやら話は紫が言っていた方にまとまったそうだ。
絶はなんだか何かが吹っ切れたようだったが
紫はどこか浮かない顔だ………漣や妃香梨が心配しても「大丈夫よ………」
とだけ言って境界に入ってしまった。
絶はそのことに関して何も言わないし言う傾向も無い。
ただ戦争に関しては家の留守をする代わり、触れないとのことだ。
紫は暗い表情のまま境界に置いてあるベッドに腰掛けた。そしてそのまま泣き出した。
「そんな………嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!」
悲痛の声が木霊する。誰にも届かないのに………
ついに決戦のときはきた。
大量の妖怪達と1つの境界を見て
ただ佇む漣と妃香梨、紫だけしかこの場には居なかった。
絶は完全に来る気配は無かった。
いつもどおりだった。
「いくわよ。皆!」
紫の掛け声とともに妖怪達は大きな雄叫びを上げる。
それは広範囲に届く凄まじいものだった。
そして境界に入っていく。いくら境界といっても
距離を縮めているだけなのでいつもより長く感じた。
到着した。ここが月らしい。砂のような土のような何かを踏みしめている。
ただ漣達も呼吸ができるらしい。
どういう仕組みなのかは分からないが………そんなことはもう考えてはいけない。
いきなり月の民による攻撃が始まった。
どうやら色んな種類の銃火器で攻撃されているらしく、次々と妖怪達は倒れていく紫も境界を駆使し攻撃を試みようとはするもの月の民がそれを許してはくれない。
激しい猛攻により徐々に妖怪達の生存が少なくなっていくそしてやがて紫と漣、妃香梨だけになってしまった。
絶の助言と想像も相まって苦戦は必死だと思っていたがまさかここまでの差があったとは漣達も想定外だった。
そして2人のある人物が現れる。
『綿月 豊姫』『綿月 依姫』の姉妹だ。
豊姫は『海と山を繋ぐ程度の能力』依姫は『神霊の依代になる程度の能力』を持っている。更に豊姫が持っている扇子は
『森を一瞬の内に微粒子レベルで浄化させる風を起こせる』
ほどの力を持っているため今の戦力では手も足も出ない。
紫もそのことは十分に理解しているらしい。
「全ては一妖怪が行った愚行です。ですから地上の者に
その扇子を突きつけるのはやめてもらいたい。」
「ここに住む生き物に罪がないはずがありません。
存在しているだけで罪なのです。」
豊姫はそう言って取り合おうとしない。
周りには見世物とばかりに月の民が現れた。
勿論豊姫の妹の依姫も………そして豊姫の扇子が振り下ろされる。
もう駄目だおしまいだと思ったその時………
「すまない妃香梨。『
そんな声が聞こえた瞬間妃香梨の目が虚ろになり
言葉になっていない咆哮が放たれる。すると扇子そのものが弾き飛ぶ。
勿論ここは月なので地球よりも高く飛ぶことは言わなくてもよいだろう。
そして声の正体が現れる。絶だった。手のひらに霊力の糸が伸びており
その糸は妃香梨の背中にくっついている。それを切ると妃香梨は
糸が切れた人形のようにどさりと倒れてしまった。
「漣。妃香梨と紫連れて境界使って地上に逃げろ。」
「でも絶!あんたは………いや………分かった。」
そういって漣達はいなくなってしまった。
そして境界は閉じた。豊姫や依姫………月の民は唖然としている。
まあ、それはそうだろう。
あんな遠い月日が経っても変わってなかったのだから。
「絶様………生きていらしたのですね。」
「豊姫か………懐かしいな。いつか言われたあの夢………出来れば叶えさせてあげたかったよ。」
「………………絶様。変わっておられませんね。」
「依姫………いつまでもその無表情っぷりは変わらないな。お互い様だな。」
他にも「絶様!?」という声が聞こえる。
それもそうだ。絶は彼ら月の民の恩人なのだから驚かない方がおかしい。
しかし絶にはそんな懐かしいという感情は無かった。
深く顔を下げ地面にまでつけて深く謝った。
「この度の件。全て俺の責任だ。あいつらの………妖怪の最高責任者として………お前らに救ってもらった身として深く謝罪する。済まなかった。」
「それは………いくら絶様でも無理です。」
「依姫!そんなことは許せません!」
「ですがお姉様!いくら我々の命の恩人とはそれとこれとは訳が違います。」
「ごもっともだ。成長したな依姫。」
「………貴方にはそれ相応の罰を受けてもらいます。」
「下らねえ拷問か?そんなことすれば何時ぞやの男達みたく細切れになっちまうよ。」
「………貴方にはそれも含めて裁かれてもらいます。」
「は!それとこれとは訳が違うんじゃ無かったのか?」
「なっ!」
「口だけはよく吠えるもんだ。いつもいつもそうだ。依姫は口だけ動かしやがって………よお?」
「………………………」
「何が罪だ………何が裁かれるだ!お前らが!お前らが『絶』という存在を生み出したんだろうが!それなのに地上の者達が悪いだと!?裁かれるのはお前らの方だろ!勝手に自分たちは正義だのと………ほざくなよ人間風情がよぉ!」
絶の言葉に月の民は言葉を失う。
もっともだ。それが月の民の結論なのだ。
誰かのせいにして逃げていたのだ。
絶はもはや我慢の限界だった。
だがそこで月の民の子供の1人が言った。
「なんだよ!豊姫様たちは悪くないよ!」
絶はその言葉を聞いて高く笑う。
その笑い声に月の民の多くは我に返る。
「ほらみろ………ガキの方がよっぽど素直でそれでいて大人だ。単刀直入に言葉を伝え人のせいにすることもあるかもだけど最後には自分のせいだと言える素晴らしき存在だ………依姫はそんな子供だったらまだましだった!お前はいつも輝夜姫様を守ると言いつつ俺に押し付けてばっかりだったよなあ!?」
「それは………」
「お前らもだ!他人の意見に惑わされて自分の意見も率直に述べられず、ましてや『絶』を迫害までした!まぁ………命の恩人なんて存在はお前らにとってはこれっぽちも必要のねえことなんだろうけどなあ!」
「………………絶様………………なの?『閉じている目が逆』………」
「『絶』がいくらお前らを許してもこの『滅』が許さねえ!例えお前ら全員を殺してでも『罪』の重さを教えてやる………!」
新キャラ登場。そして次回はいつもとは違います。
次回 「滅之世界」