いや………もうね。・・・→………の作業が辛かった。
滅が目を覚まし最初に見た人物は『八意 永琳』だった。
一瞬昔に戻ったかと思ったが自分が月面から逃げ出したのを思い出した。
永琳はこちらが起きている事に気づくと瞳に涙を浮かべ抱きついてくる。
そしてそれを見知らぬ(滅からしたら)うさ耳の少女に見られているのにも関わらずまるで離さない。
正直言ってうっとおしいがそれは口に出さないようにしておいた。
「おい………全身痛いんだが。」
「ううう………絶様………………生きてて良かった本当に……」
「だから痛いって………あと、俺は絶じゃない…って痛い。」
「お師匠様がお師匠様じゃない………」
鈴仙は思ったことを口にした。
まあ、確かに言いたいことは分からんでもないが、
それを本人の前で言っちゃっていいのだろうか?
そう思ったが永琳は気にしないようだ・・・いや、聞いてなかったようだ。
流石に暑苦しいので離れてもらった。
「まあ………あれだ。久しぶりだな永琳。」
「ええ。絶様こそ………元気………ではありませんけど。」
「おっと。そうだった。お前が助けてくれたんだよな。この包帯を見る所。」
「運んだのはそこの因幡ですけどね。」
「因幡………?因幡の白兎?………少し違うか。」
「わ、わわ私!れれ、『鈴仙 優曇華院 因幡』ってい、言います!」
「うん。取り敢えず落ち着こうか。」
「どうしたの鈴仙?顔が赤いけど………もしかして。」
「ち、ちちち違いますよ!そんな訳ないじゃないですか!」
「なんだお前ら?意思疎通できんの?」(ボソッお前が言うな)
「さあ?私は何も言ってないのだけれど何が違うのかしら?」
「は、はわわわわ。」
永琳の一言により鈴仙の顔からボッと火が出ると
テンパリながら奥の部屋に逃げていった。
「おい………永琳。あいつっていつもアレか?」
「今日はちょっと………いえ、結構違いますね………あと、絶様じゃないって………」
「聞こえたんだ。届いてないとばかり………そうだな………どこから話すべきか。」
滅は全てを語った。月の民が輝夜達を探しているとか、
月面戦争の事や、自分の事などを………
永琳はいつの間にかあったお茶を啜り一息つく………
「そうだったのですか………まさか絶様が『二重人格者』だったとは知らなかったので。」
「まあ………言ってないしな。」
「それはそうと何時まで滞在できるのですか?」
「明日の早朝にでも出ていきたいんだが………」
「………わかりました。ですが最後に姫にあってくれませんか?
最近怠けているというか………その………俗に言う『引きこもり』というものになりかけていて………」
「あ、ははは。まあ、可能性はあったけどさ。会っとくよ。」
滅はボロボロのはずの体を何の躊躇いもなく起こし奥の部屋に入った。
そこには鈴仙が立っていた。そして滅と目が合うとサーっと更に奥へ行ってしまった。
なんだろう………とそのまま一番奥の部屋に入る。
そこには1つの布団の中にもごもごと蠢く何かが………まあ、分かってるけど。
鈴仙はどうも布団の中身に出てこいと言っているようだが全ての返事が
「私は眠いのぉ~~!」
「そんなこと言わず起きてください姫様!お客様が来てるんですよ!」
「そんなの永琳に言ってよ~~!」
「姫様のお客様ですよ~!ってかもう目の前にいますよ!」
「え?………………おやすみ~」
「ね、寝ないでくだs「寝てんじゃねー!」ヒイィィ!!」
滅の一撃(蹴り)は布団ごと天井まで上り激突する。
そのまま中身ごと落ちるが中身は痛みからかその場を転げ回りやっと布団から出てくる。
勿論のこと中身は『蓬莱山 輝夜』だ。ちなみに服装は今時のパジャマ。
蹴りが溝内に入った輝夜は胸ぐらを痛そうに掴み息を切らしながら、
「痛~~~!!い、いくら不死でも痛いのは痛いのよ~~!」
「殺すつもりでやったんだがな………………」
「物騒な客ね!………って絶!?」
「よお………見ない間に外見は綺麗になっただろうが私生活が汚れすぎだな。」
「久しぶりに会っていきなりいうのがそれ!?」
「変わらないとこもあるけどな………」
永琳と同じように幾らかは暈して話したがどうやら理解してくれたようだ。
輝夜は久しぶりに会えたからかとても元気そうだったが
明日には居なくなると聞くと少し落ち込んだ。
その代わりこの一夜は沢山の事を話し合った。
そして鈴仙も月のことが気になったようで話に加わった。
そして深夜………
滅は一人屋敷から出ようとしていた。
彼に悲しいという感情は無いため、こんなことをしても
誰が悲しんでいようがなんとも思わなかった。
そして玄関まで行くと支柱の所に服の裾が見えていた。
シクシクと啜り泣くような音も聞こえる。
滅は少し頭をかくと静かにそこに隠れている人物に向けて告げた。
「残念だが………俺には………俺達には『使命』があるんだ。
だからお前と会うことはこれで最期になるかもしれないな………………
あの時………俺の無実を主張してくれたこと………純粋に嬉しかったよ。
ありがとな………そしてごめんな。最期に………………さよなら。」
柱に隠れていた人物は最後の最後まで顔を出さなかったが微かに頷いていた。
鈴仙と滅のフラグは無かったはずなのに(当初の予定には)どうしてこうなった。
あと、分かっちゃった人もいるかもしれませんが誰かいませんよね?
………あとは、分かっちゃって………どうぞ。
次回 「新奏世界」