閃鬼はばっと後ろに下がり、絶から距離をとる。お互いに敵の能力を知らない身としては警戒するに越したことはないからである。だが、絶は違った。どんな能力を持とうとも先に感覚を絶やせばまあなんとかなるからである。
「いきなり行くぞ……『無音―
絶は霊剣を作り出し、フェンシングのように突く。閃鬼はギリギリまで引きつけてからしゃがんで回避する。そしてその勢いのまま絶の懐に潜り、右手で殴る。絶はその場で前転しながら飛び、霊剣を振り回す。閃鬼は後ろ回し蹴りで霊剣を払い、絶は地面に手をつけながら着地する。
「「…………」」
二人は沈黙する。だが、それも一瞬のことであった。次は閃鬼が仕掛ける。閃鬼は地面に向かってパンチする。地面が抉れる凄まじい威力だ。
「っ!?」
絶が持っている霊剣が突如として高熱を帯びる。持っていられない程だ。閃鬼の方を向いた瞬間、左手で殴りかかられる。ドゴォ!という鈍い音とともに大量の血しぶきが絶の頭から流れる。更に高熱が脳を溶かすかのように絶を痛めつける。ばっと後ろに下がり、傷口を抑えるように頭に手で抑えている。
「この感覚……『振動』か?なるほど……波長の間隔が短くすることでこの熱量を帯びたか……」
「凄いな……2撃喰らった程度で理解できるなんてな。」
「理解した程度ではない。もう喰らわない。」
「そうかよ!」
閃鬼の拳は空を切る。だが、振動は周囲に送られる。絶は予め持っている霊剣を形態変化させ、盾のようなものにする。
「『無音―調和―』。」
振動が盾に吸収されると再び剣に変化させる。そして飛びかかり、斬りつける。閃鬼はもう一度振動を起こし、霊剣に熱を与えるが、絶は既に感覚を絶やしているので気にならず、攻撃に支障は出ない。
「『無音―振動―』。」
「盾の時に吸収した振動か。」
閃鬼は避けるように見えたが、受けて立つと言わんばかりに構えている。そして両手で真剣白羽取りをする。剣は溶け、なくなってしまう。いくら霊力の塊だとしても固形物であることに変わりはないのでこういう現象も喰らってしまうのである。絶は熱さには耐えられる状況なのだが、剣が消えるのはどうしようもない。すぐさま閃鬼は蹴りを入れる。絶は腕でガードをして能力を起動する。閃鬼に能力を使わせず、返しに蹴りを放ち、閃鬼はガードするが吹き飛んでしまう。更に絶は遠くから前蹴りをする。
「『無音連脚』。」
飛ぶ斬撃が足から放たれるが、閃鬼は地面に拳を叩き込むと地面が抉れ、一直線に斬撃へと向かって衝突する。衝撃を受けた斬撃は軌道をずらして閃鬼の近くにあった大木を真っ二つにする。
「あ?」
閃鬼の両腕に若干熱がこもる。絶が閃鬼の能力を真似したのだ。これは閃鬼も驚く。まさか自分の能力と同じ芸当をやってのけるとは……だからこそ、倒しがいがあるというものだ。
絶は霊剣を消して素手で挑む。これは敵である閃鬼への絶なりの敬意であった。拳同士が衝突しあう。本来なら閃鬼の能力で絶の拳が溶けてもおかしくないのだが、絶は絶なりに対策を打ってあった。それは……
「なあ、閃鬼よ……」
「なん……だよ……?」
「人は10分間息を吸い続け、また10分間はき続けることが出来ると思うか?」
「はあ?んなもん、出来るわけ……」
「だが、その呼吸ができるものは心臓の鼓動が特殊になる。」
「?」
「その鼓動は血脈全体に行き渡り、特殊な振動を体外へと放つ。一見、死へと向かうような呼吸法は心臓の働きに対するストレスを減らし、人間であろうと長生きできる。太陽が光を直接当ててくるのが波動のように、この呼吸法も太陽と同じことができる。」
「何だ……!?圧されて……」
「これが仙道だ!」
閃鬼は絶の高熱を帯びた拳に圧され、吹き飛ぶ。だが、絶も容赦はしない。吹き飛んだ場所へと殴りかかる。閃鬼も負けじと体制を持ち直して攻撃する。
「同じ能力に……負けてられるかよ!」
「
絶は自分自身の腕の関節を無理に外し、腕の長さを伸ばし、殴る行為による勢いだけで攻撃する。攻撃はまた衝突する。
周囲に飛び散る、絶の肉片……だが、骨になろうとも一撃をやめる気はなかった。
「中々やるな……閃鬼。」
「はあ……はあ……お前……こそ。」
閃鬼は息が切れて言葉も途切れ途切れになってしまう。絶はそれを見て、しばらく考えたあと、こう言い出す。
「じゃあ、自分の世界で回復してこい。」
「え?」
閃鬼が嫌な予感しかしないと言わんばかりに恐る恐る後ろを振り向く。閃鬼の後ろにはブラックホールのように何かを吸い込んでいる
「嘘だろ~!?」
閃鬼はスキマに吸い込まれていった。
「……あの男……ふ~ん。なるほどな。」
コラボありがとうございました!
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