編集しているときはね 誰にも邪魔されず自由で なんというか救われてなきゃあダメなんだ
独りで静かで豊かで………つまりどういうことだってばよ?
今俺はなんかガキ共に囲まれている………まぁ、漣と妃香梨だけなんだが。
とはいえ俺にとってはガキ同然なのでそういう表現をしたってわけだ。
え?さっさと本題入れよだって?まあまあ焦るんじゃない。
そうだな………まず、事の発端はやはりというか妃香梨だった。
「ねえ、絶も高校には行ってたんでしょ?彼女とかいなかったの?」
「………いきなりどうした?まぁ、いないことはなかったが………」
「どんな人!?聞かせて聞かせて!」
「はしゃぐなよ妃香梨………ま、俺もそれは興味あるな。聞かせてくれ。」
「はぁ………どこから話すべきだか………そうだな。
――――最初はやはり俺が転校して来た時の話からだな。」
回想シーン
俺は孤児院に住んでいた。だがその孤児院からは少し遠いところにしか
高校が無かったため転校という形で俺はその学校に来た。
校長先生に出会い、色目を使われたのが今でも気持ち悪いと思う。
勿論校長は男だ。まぁ、誰でも一度は俺の格好的に性別を間違えるのは仕方ないと思うが
突っ込まざるおえない。俺が教室に入った瞬間に皆の時が止まったように
動かなくなったのはとても面白かったな。
俺には男女問わずに惚れさせるほどの美貌を持っていたといことを初めて知ったときだ。
(ナルシストかよ………ってかオセェヨ)←お前誰やねん。
まあ………結構な勘違いを沢山されながらも以外に充実した高校生ライフを送ってたんじゃないか?
「以上だ。」
「短っ!」
「だって細かいのは特に言っても面白くねえもん。さて………次はお前らだぞ?」
「え!?俺たちも言わなければいけないのかよ!」
「あたりまえだろ常考。」
「(なんかなぁ………)」
「じゃ、じゃあ私から先に………」
回想シーンがあると思ったのか!アホが!カットじゃ!カット!
「――――という感じよ。」
妃香梨は自慢話を満足するまで話終わるととても腹立つドヤ顔で話を締めた。
最後に漣の回想が始まると思ったが絶は妃香梨の回想に
違和感というか突っ込みたいところがあるのか話を一旦中断した。
「うん。I☆MI☆HU☆ME☆I なんですけど!?
お前漣のことをどう思ってるかしか喋ってねぇじゃねーか!」
「あら、これが私の高校生ライフだったのよ?」
「やり直してこい!お前の高校生ライフやり直してこいよ!」
「どうやってよ!」
「(俺………こんな風に愛されてたんだな………なんか素直に嬉しいな。
あ………クラスメートの奴等が「愛されてる」ってこのことだったんだ)」
妃香梨の回想を頷きながら聞いていた漣からしたら
全て懐かしいものばっかりだったが「愛してる」とか「好き」とかの言葉を
今聞くとなんであの時の自分は理解していなかったのだろうと後悔した。
そういうことになっているとは露知らず妃香梨は不思議そうに訪ねてきた。
「漣どうかしたの?」
「い、いやなんでもないよ!」
「そうか………!(にやり)そうか、そうか………」
漣の異常なまでの驚きぶりに何かを察した絶は
ヒソヒソ声で漣の耳元で囁いた。以前出てきた悪魔の囁きである。
「(ボソ)妃香梨は今食べ頃だぞ?」
「っ~~!!///ば、馬鹿なこと言うな!」
「そうかそうかww恥ずかしいか?でも、お父さんは嬉しいぞwww」
「なんでお前が父親なんだよ!」
漣と絶のやり取りを動きしか分からなかったがどう考えても漫才だった。
その光景を見て呆れ、溜息混じりに呟いた。
「なにしてんの?あんた達?」
「「何も~?( ̄∀ ̄)(///)」」
「絶、なんでにやにやしてんの?ちょっとキモイ。」
絶は妃香梨の言葉に心が折れたのだろうか急に立ち上がり
家の玄関まで行って一言言って外にでかけて行った。
「お前らは若いけど出来ればお静かにしてくださいね?」
「「はあああぁぁぁぁ!?//////」」
二人きりなってしまった漣と妃香梨………
勿論絶の一言のせいでまともに顔が見れないが
二人共、顔を真っ赤にして座っていた。
「(ど、ど、ど、ど、どうしよう!?絶のせいで………なんか変な空気が出来ちゃったよ!)」
「(………………こうなったのは俺のせいじゃないよな?なんで生き地獄みたいなのを味わせられているんだ………)」
暫しの沈黙が二人の周りを漂う。
そして二人とも同じタイミングで口を開く。
「「な、なあ(ね、ねえ)………!///お、お先にどうぞ………」」
「じゃ、じゃあ私から………ねえ、漣………漣ってさ………」
「な、何?」
「え、その………なんていうか、そういうのに興味あるの?」
「………はい?」
「だ、だからその………絶が言ってた………い、いかがわしいこと///」
「い、いやまて!俺はそんなこと興味持ったことないぞ!それに………///」
「それに?」
言わなきゃ!そう思ったが思いとどまってしまった。
漣は気まずそうにチラチラと妃香梨を見ている。
喉に突っかかったように言葉に出てこない。
妃香梨も何かを期待しているような目で漣を見つめている。
そう………ずっと逃げていた。
妃香梨のことが………好きだということを言おうとして、言えなくて………
昔から逃げていた。そんなことが言えない自分が恥ずかしくて
それをなんとか抜け出そうとして………余計言えなくなってしまった。
そんな俺に絶はチャンスを与えてきた。そのことは無下に出来なかった。
やっと気持ちが落ち着いた。分かったのだ。自分の本当の気持ちを………
漣は自分の気持ちを整理し、妃香梨の瞳に目を合わせる。
そして深く呼吸をすると自分の『本当の気持ち』を言った。
「それに………………
――――俺はお前以外に興味を持ったことねえよ。」
妃香梨は漣の告白の意味を理解していなかったのか
口を開けたまま唖然としている。いや、実際は理解しているのだが
脳がその告白にどう答えようと思考を巡らせていたのだ。
簡単なことなのに暫くその答えが出なかったのは、昔のことが関係していた。
昔は漣の言動全てにドキドキしていたが一緒にいることが多くなるにつれて
愛していることが当然だと思うようになっていたからだ。
だから自分が一方的に言わないと自覚してくれないと心のどこかでそう感じていた。
でも今分かった。昔から漣も自分のことを好きだということを………
素直に嬉しくなった。初めて好きになったあの時に戻った感じだった。
そして少しギクシャクしている漣に優しく微笑み、
「私もよ………漣、大好き!」
人生で大一番の告白だった。
それから二人は喋らずひしと抱きしめあった。
この時、妃香梨は声には出さなかったがとても泣きたい気分だった。
だがそれをしなかったのは漣が嬉し泣きをしていたからだ。
人前で泣いたことがない漣が初めて人の前で『弱い自分』を曝け出した瞬間だった。
絶side
良かったな………漣。本当のことを伝えられて………
それに比べて俺は………ふ、俺は本当のことを言う前に罪を犯してしまったからな。
言いたくても言えねえよ………本当に俺は………『最低』だ。逃げてばかり………どうせ『計画』が終わったら漣達にそんなことを言われるんだろうな………でも、なんとでも言え………
俺は、俺だ。誰の指図にも受けない!俺の………『呪い』を解くまではな………
絶は家から少し離れた森の中で右瞼を触りながらそんなことを思っていた。
後ろの茂みから紫がひっそりと見ていることに気づかずに自分の思いを口にだした。
「俺は………馬鹿だ。『――――の生まれ変わり』まで頼って………」
途中の言葉は遠くて聞き取れなかったのか紫には『――――の生まれ変わり』までしか聞こえなかった。
それを聞いて当然紫は疑問に思う。
『生まれ変わり』?お父様の言葉は若干聞き取れなかったけれど確かにそう言っていた。
『生まれ変わり』という意味は分かる。死者が新たな生を受けた体に転生すること………
でも、誰の『生まれ変わり』なのかが聞き取れなかった。『お父様の秘密』と何か関係しているのかしら?
紫はその疑問を抱えながら能力で開いたスキマに入っていった。
「誰だ!?………なんだ兎か。」
絶が振り返るとそこにはチョコのような色の小さくて可愛らしい耳を持った兎が
鼻をヒクヒクしながら絶の横を通り過ぎていく………
その兎はふと止まると何を思ったが地面を掘り始めた。
巣でも作るのだろうか、その光景を見て絶はふっ………と笑い、立ち去ろうとする。
すると、頭の中から声が聞こえる。絶からしたら今更な感じではあるが、
現れたのは(頭の中で)滅だ。
『………』
「なんだ?要件があるならさっさと言ってくれ。」
『………』
「おいおいどうした?らしくないぞ。」
『なあ………』
「質問か?そうならそうと………」
『いつまで引っ張るんだ?』
滅の一言に絶はさっきまで無理矢理作っていた笑顔を止め
真剣な顔になる。『引っ張る』とはきっと計画のことだろう。
それは確実なのだが質問に質問を返す形で答えてた。
「それがどうした?別に急ぐこともないだろ。」
『だが………』
「お前だって狂骨との暮らしが今は幸せだろ?」
『脅しだと?お前こそ、らしくないぞ。』
「………仕方ねえよ………もう、引き返せない所まで来ちまったんだから。」
『俺はお前だ。だからお前の心は痛いほど分かる。だからこそ俺は言っているのだ。
『お前らしくない』とな………』
「………俺は俺だ。生きている以上協力がなければこの世界では生きていけない。」
『それがなん「俺はお前じゃねえ!」!?』
「もう一度言うぞ。俺はお前じゃねえ………お前も俺じゃねえ………」
絶は興奮して息を切らしたらしくなんとか落ち着こうと
息を整えてからもう一度口を開く。
「俺たちは………兄弟だ。」
『っ!』
「好きな人も趣味も何から何まで似てねえ!………そんな兄弟だろ。」
『………そう………だったな。すまない。とんでもない勘違いをしていたようだ。』
「わかればいいんだ。強いて似ている所をあげるなら、容姿ぐらいだ。」
『は、ははは。そうだな。』
滅に笑顔が戻った。普段はあまり笑わない方なのだが今回ばかりは荷が下りたからか疲れたのを誤魔化すように笑っていた。
それを見て絶はとても悲しい気持ちになってしまった。
これは大変。
そして唐突な次回予告
メリーの回想。
次回予告終了!
次回「日常 始動」