晴明の不敵な笑みに何かしらの奥の手を感じた漣たちは晴明から離れる。
「なっ……!?」
「漣っ!」
漣は恐る恐る自分の腹を見ると妖怪の爪らしきものが貫通している。まさかと思いながら後ろを振り向けば人型の化け物がゲラゲラと笑いながら爪を動かしており、腹部から激痛がはしる。口から吐血しながらも霊剣をすぐさま振りかざし、妖怪を真っ二つに分ける。
「ぐっ……はあ……はあ……まさか、とは……思ってたが……やっぱり妖怪も支配を……」
「ククク……」
「母親が化け狐……だから……?」
「…………」
晴明は黙る。図星だったからではなく、昔人間どもに言われ続けた怖れがまた浮かび上がった。妖怪の子でありながら人間の子でもある自分に対する罵詈雑言が耳を痛ませた。
「……今は関係のない話です。」
まるで知らないかのように冷たく振舞う晴明だったが、明らかに殺気がこもっている。その晴明の怒りに呼応するかのように結界も赤くなり、更に多種多彩の武器へと変身する。そして一斉に晴明の元から離れ、漣たちへと襲いかかる。それと同時に大量の妖怪も現れる。
「妃香梨!ルーミア!一箇所に集まんないとまずいぞ!」
「もう横にいるわよ。」
「流石に早いな妃香梨。」
「私も!私も!」
「ルーミアさん。さっきから近かったよね。」
「ふざけている場合じゃないわよ!全く。」
妃香梨はため息をつくが、真面目な顔に戻って詠唱を始める。すぐさま漣とルーミアは自分たちの役目を理解する。詠唱が終わるまでの時間を稼ぐことだ。
「荒れ果てた荒野に迷える旅人。消え去りしは尊き小さな命………」
「人喰いしは己が業のため。」
「地獄無しになにが天国か、楽園無しになにが煉獄か!」
「反乱する風、反発する水、反対する土。」
「無き世界造りし拒絶。果てしない絶滅の道を辿り、幾億もの道を失くせ!定まれ!『拒絶結界』!」
漣たちの周りに晴明の結界に似た結界が現れる。妖怪たちはそのことが分かっていても勢いあまって結界に衝突する。すると触れた妖怪たちは全身が吹き飛ぶ。カウンターの不条理が彼らを襲う。更には上空から降りかかる結界たちもこの結界が跳ね返す。
晴明は相変わらず涼しい顔をしている……だが、今彼女を守る結界はない。だがだがしかし、漣たちも結界に守ってもらっているので攻撃できない。
だが、晴明の赤い結界は一つにまとまり、巨大な一つの槍へと変化する。そしてそれはその巨体には似合わないものすごい速度で飛んでくる。結界が跳ね返る力と晴明が操る力が衝突しあい、莫大な力を放ち合う。
この壮絶な結界戦。妃香梨の方の結界にひびが入る。そのままひびが広がるが、なんとか赤い結界が跳ね返る。だが、赤い結界にひびが入っているようには見えない。
もう一度同じことが起こる…………そう思われていた次の瞬間……
「させるかあああああぁぁぁ!!!」
「ぐおっ!?」
晴明は突如として背後から飛び蹴りを喰らい、前のめりに倒れてしまう。
そして急に現れたその人物は銀髪のロングヘアーに深紅の瞳を持ち、髪には白地に赤の入った大きなリボンが一つと、毛先に小さなリボンを複数つけている。上は白のカッターシャツで、下は赤いもんぺのようなズボンをサスペンダーで吊っており、その各所には護符が貼られている。もんぺのようなズボンは指貫袴の形状と似ていて貴族のような高級感のある袴である。。
彼女は袴のポケットに手を突っ込み、自身満々に口を開く。
「漣兄は言った……英雄とは遅れて来るものだとね!」
「も、妹紅!?」
まさかの妹紅の登場に驚く漣を横目に妃香梨はぼそっと、
「妹紅の登場よりも漣がそんな寒いことを妹紅に教えていたことに驚きだよ。」
もこたんINしたお。
次回「結界VS結界」