第七零話「baddream dawn」
一つの答えが導き出される………死だ。それしかない。かの大犯罪の時以前から殺すな生かせという大義名分で来たがもう我慢の限界だ。我々は奴を殺す。
そして今、この時から世界の再生を行うのだ。我らが頂点に君臨し、混濁とした世界を明るき未来が待っている世界に正すのだ。そのために奴は邪魔だ。
我らはもはや殺す。死を与える。生かすという選択肢などもはや必要あるまい。この世界は奴のせいで腐りきってしまったのだ。
奴がやってきた歴史を塗り潰し、我らが世界の中心、軸となって回り続けるのだ。時の中での犠牲さえも厭わない我々は神の代理人としてやってくる。世界を壊した元凶を、世界を腐敗させた根源を、そして我々が世界を治すきっかけとなった存在に敬意を表し、殺せ。晒し首にしろ。世界中に知らしめろ。我らが最強だと。
この世界のどこかで何かが起きた。当たり前なことではあるが、その何かによって世界は大きく変わろうとしている。
一人の男が起きた。世界を見た。絶望した。どうしてここまで夜空が綺麗なのに地は淀んでいるのだろうと………
一人の別の男も目を覚ます。体を起こす。ああ、どうして世界はこんなにも嘘だらけなのだろうかと………
一人の少女は重い眼を擦りながら思う。涙が流れる。どうして世界はひどく、黒く、無情なのかと………
一人の少女は瞳の世界にいる。朝を待つ。どうしてこの世界に希望がないのだろうと………
四人は考える。世界の最果てを………
一人は五感を絶やし、全てが見えなくなると歩むことを止め。
一人はどんな壁をも越えようとして背伸びをし、結局届くことができず。
一人は障害を拒絶し、そして道しるべさえも消してしまい。
一人はスキマを縫って近道を探すも、それは限りなく狭いことを知る。
どんなものにも絶望はある。どんな存在にも生涯には絶望がやってくる。誰にだってくる。時間や回数。それらが違うだけのこと………
誰もが差別されようとも上下関係があろうとも、これだけは変わらない。そして希望が遅く感じる。待つ。身の危険が起きている
者にとってその行為は地獄で生き延びるほどの所業と言えるであろう。
だが、忘れないで欲しい。いつまでたっても希望はやってこない。絶望した者が希望に向かって手を伸ばさなければ決して届かない物
なのである。
その希望を手に取ろうとするために人は何を犠牲に出来る?他人?知り合い?上司?部下?友人?恋人?家族?
一体いくつの犠牲を払えば手に取れる代物なのであろうか………
決して届かない物ではない。だけれどもそのたどり着くまでの工程の大変さを人は口々に絶望をさけぶ。
不幸もそれの一つであろう。ラッキーと言う者の大半はその裏に大変な苦労があるのかもしれない。
努力………希望を掴む者にとってそれはもはや奇跡なのだ。努力が実を結ぶなんてものは何兆分の一ほどの確率なのだろうか想像もしたくない。きっと誰かは知っている神のみぞ知るとはこのことなのだろう。
だが、
一人の男は、
こう結論づけた。
いつか終わりが来る、
そんな世界にどうやって希望を持てと?
無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ
絶望して歩むことを忘れ、止めてしまったのなら今は………絶望だろう。
そしてその男はある『モノ』にすがった。
その男に終止符を打とうとする連中がやってくる。
だが、そんなのことは………絶望に比べれば………何の苦しみにもなりやしない。
あの日までは………約束された日までは………
ずっとこの
男は首をかしげる。何を言ったのか自分で把握できていないからである。
男はまた眠りにつく。悪い夢を見ないように………