絶への違和感を完全に拭いきれぬまま、話は進む。
「大それた偉業を成し遂げたお前たちにはしっかりと休んでもらいたいのだが、緊急事態が起きた。知人の嫁が瀕死の重体になってしまったらしい。」
真っ先に口を開いたのは妃香梨であった。
「知人って……?」
「『ジョージ=スカーレット』という吸血鬼だ。嫁が確か『エルジェーベト=スカーレット』という名だったと思うが、それは、まあいい。奴とはかれこれ1000年以上前に知り合っていたのだ。」
スカーレット……という言葉を頭の中に思い浮かべる漣と妃香梨。それはつまり、『レミリア=スカーレット』とその妹の『フランドール=スカーレット』の父親と母親ということになるのだろうか?恐らくはそうだろう。
「瀕死の重体って一体何が起きたんだ?吸血鬼は楽に倒せる相手じゃないぞ。」
漣の疑問の声を聞くと、絶(?)はククク……と怪しく笑い、
「『白き翼』……」
「何?」
「『白き翼の天の使いに襲われた』と言っていた。」
「つまり『天使』ってことか……ま、まさか!?」
彼らにとって天使といって思い浮かぶ存在はたった一人しかいない……そう、漣と妃香梨……そして文が誤って河童のアジトの侵入者対策の罠にかかったとき、絶とともに助けてくれたあの天使……『メイジ』である。
漣は衝撃の事実に声を震わせ絶に問う。
「まさか……あいつが?」
「ククク……可能性は高いであろうな。イギリス……その中でもロンドンは今、吸血鬼を筆頭とする妖怪にとって聖地。そして人を
絶の表情は少し怒っているように思えたが、すぐにククク……と怪しい笑みを浮かべ、
「ククク……さあ、ここが『奴ら』の魔の手から襲いかかるまえに元を潰そうではないか。」
絶の違和感は一向に拭えないが、意外や意外、一番、今の絶を疑っているはずの紫が賛同した。しかもなぜか張り切っている。どうしたのだろうか?と思っていると次は風間が空から流石の速さで飛んでくる。一体こちらもどうしたというのだろうか?
「絶様……!」
「一体どうした?伝達なら能力で……」
そう言い終わらぬ内に風間の口から衝撃の事実が言い渡される。
「鬼の四天王様方を筆頭に鬼全員が人間の策の前に負け、幻想風穴へと追いやられてしまいました!」
場を包む静寂……そしてそれらを一気に開放させる爆弾のように
「「「「な、なんだと~~~~っっ!!??」」」」
一斉に周囲に響き渡っていった。
「ち、ちなみに
「伝書鳩ならぬ伝書コウモリ。」