さっきの動転ぶりはひとまず落ち着き、絶(?)は紫に向かって指示を出す。
「紫、お前は先に鬼たちの方へ行き、地底の妖怪と連絡をとれ、これほどの非常事態ならやむなしと考えてくれるはずだ。」
「ええ、分かりました。」
そう言ってスキマをさっと開いて、さっと消える。絶は紫がいなくなるとコクンとうなずき、漣たちの方を向く。
「お前たちは風間とともに妖怪の山にある天狗の里へと行って大天狗と話しゆけ。恐らく、こちら以上にパニックだろうからな。平静を取り戻してやってくれ。」
風間は絶の言葉に「そのとおりです」と相槌をうち、先導するように先にとんでいった。二人はそれに従って飛ぼうとするが、漣は突如として止まり、疑問の声を上げる。
「絶はどうするつもりだ?」
「人間の里に赴く。そして事情を聞くだけだ。……なんだ?お前たちよりも距離が短いことに怒っているのか?」
「お前……一大事なんだろうが!そんな馬鹿な言ってんじゃねえよ!」
「ククク……一大事だからこそだ。身構えすぎれば当然固まる。」
「……絶だったらそうは言わなかった!」
「クククククク……貴様に絶の何が
「……あとでぶん殴る。」
怒りを瞳に浮かべ、漣は立ち去る。それを見送ると、クククと笑っていたが突如としてやめる。
「(……これは想定外か……まさか漣め……『自分自身に気づいているのか?』)………………ククク、『絶の代わりに』貴様達人間に説教を小一時間ほどかわそうではないか……ただし、肉体言語に変わったときは、平手打ちや拳骨一発では済まないが……クククククク!!」
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一方その頃……
ここは絶独自の精神世界……そこには一つの巨大な結界が存在していた。
ガーンッ!ガーンッ!
『結界の内側』で男の突進が放たれる。だが、結界にぶつかれば、向かってきた方角に弾き飛ばされる。
「くそっ!」
そう吐き捨てるかのように言ったのは男とはまるで思えず、ついつい女性と認識されてしまいそうなほど美しい者……滅であった。そして滅の横で『結界の外側』にいる『人型の黒い影』をまっすぐな瞳で見据えていた滅と瓜二つの存在こそが絶であった。
「絶……何か手はないのか!?」
「この結界を作ったのは確かに俺だが、これの技術を教えたのは『奴』だ。実力が違う。」
「だが、それは……」
「ククク……」
結界の外側にいる人型の黒い影は怪しく笑い出す。まるで漣たちの視点から見た、今の絶のように……
「どうした?我が半身……滅よ。そして絶……このままではもう我は止まらんぞ?」
「いや……」
絶は首を横に振って否定する。
「もう俺たちがやれるだけの事は既にやった。後はあの
そのことを聞き、不快そうに揺れ動く黒い影。それを見て滑稽とでも思ったのか、不敵な笑みを滅が浮かべると腰を下ろして、あぐらをかいて絶に同意する。
「そうだな。狂骨も準備を始めた。後は天に祈るだけだな。」
滅の冗談にピキピキと怒りが増大している黒い影はその激情に駆られながら口を開く。
「何故だ!?キサマら死んでもよいと申すのか!?」
「死ぬよりも怖いものがあるからな……だが、その怖いものを経験しなければ希望なんて見えない。」
「俺は絶の相談役なんだね。これまでも、これからも……」
黒い影はもはや何も言う気力がなくなってしまった。
そして一人妖怪の山の中腹辺りをウロウロしている者がいた。
「お父様……幻想風穴ってどこですか?(泣)」
消えても消えても現れる過去(テストの結果)
……時置いてそれは永劫よりも長い時間を過ごさせる(親の説教)
そして見えない過去に手を伸ばそうとする愚か者(今やったら満点だわって見栄はる奴)
更には運命の岐路さえ分かつ立て看板であり続ける(内申に響く)
厨二病注意。