file.14 Don't look back
「やぁ、ミカ」
「やっほー、先生」
「対亜の訓練要項のコピーはみてくれたかな?」
「みたよ、うちの学校にあんなのがあるなんて知らなかった。……………それで?先生はあれを私に見せてなにがしたいの?」
「君に頼みたいことがあるんだ」
「……いいよ、先生の頼みなら何でも」
_______________________
便利屋のオフィスでシロコがニュースを見ていた
『先日の佐藤のゲヘナ襲撃。情報によると軽症者が多数、重症者も二名。ゲヘナ第1校舎は砲撃によって大規模に破壊され多くの教室が使用不可能になっているとのことです。
また、重症者の一人はあの風紀委員会の空崎ヒナであり、佐藤の脅威を示す他に、周辺の学園への政治的影響も………』
「…………」
「抜け出した学校ではあるけど、いざ破壊されたのを見るとなんだか悲しくなるね」
カヨコがソファによりかかりながら画面を見つめる
「ていうか、あのヒナ委員長が不在のゲヘナってのはまずいんじゃない?治安の悪化はもちろん、万魔殿への圧力に、トリニティへの軍事的な対抗力もなくっちゃうし…」
ムツキが銃を整備をしながら言う
「佐藤ってやつ……なんでこんなひどいことを…」
アルがシロコの隣に座る
「アウトローってこんな感じじゃないの?アルちゃん」
ムツキが聞く
「そ、それは…!こ、この襲撃には崇高さがないじゃない…!私達が目指すのは崇高なアウトローよ!」
「さすがアル様…!そこらのアウトローとはわけが違います…!」
『また、ネット上でアビドス高等学校の生徒に関する情報が出回っており、「ゲヘナ校内でアビドスの生徒を見た」などの証言が出てくるなど佐藤との関連が注目されています。しかし連邦生徒会、シャーレ、ティーパーティー、ゲヘナ風紀委員会はいずれも佐藤とアビドスと佐藤の関連を否定しており、世論は二分化されています。本日は専門家の………』
「…ちょっと…!ネットでこんなのが……あなたこれ大丈夫なの!?」
アルがシロコに携帯の画面を見せる。アビドスの生徒に関する情報、そしてゲヘナの校舎を走り回るシロコの映像がSNSで拡散されていた
「…!…みんなの個人情報…本当に…!」
カヨコがスマホをスクロールしていく
「ここまで来ると、真実なんか関係なくアビドスの立場が悪くなる…特にあんたは現場にいたわけだし…これから佐藤を倒すにしても顔が広まっているあんたは動きづらくなるだろうね」
ハルカがスマホを見つめている
「なにか顔を隠せる道具とかないんでしょうか?」
「ん…あるにはある…けど…」
シロコがカバンから目出し帽を取り出す
「あ、それは…覆面水着団の…」
「あはは!そっちのほうもだいぶ悪名高いじゃん!」
ムツキが大笑いする
『…!速報です!AJIN.comから新たな犯行声明が出たとのことです!3日後にミレニア厶に対して襲撃を仕掛けるとの声明が出されて………』
「…!」
シロコがすぐにスマホを開いてAJIN.comを開く
『3日後、ミレニアムサイエンスハイスクールを破壊する。』
文章だけがサイトに載せられていた
「…あれ…動画じゃないんだ……」
「…?そこはそんなに重要じゃないんじゃ?」
カヨコがスマホを覗き込む
「それに、なんか今までの犯行予告とは雰囲気が違う……気がする…」
「……?そうかな?私にはよくわからないけど」
(佐藤と記憶が交差したせい……なのかな…?少しだけ…佐藤のことが理解できる…。何なんだろう…この違和感…)
シロコが考えていると、先生が勢いよく便利屋の扉を開けた
「みんな!ごめん遅れた!」
「おかえりなさい先生。佐藤の犯行予告はもう見たかしら?」
「え!もう!?ちょっと確認させてくれ」
先生がスマホを確認する
「ミレニアム……、3日後か。急がないと…
便利屋のみんな!ありがとう。色々と世話になってしまったよ。急だけどそろそろ行くね」
先生がスーツを羽織る
「気にしないで、便利屋はいつでも歓迎するわ」
「また来てね、先生」
「待ってるよ〜」
「お体に気をつけて…!」
「出れるかい?シロコ」
「ん、わかった」
みんなに見送られ、便利屋のドアから出た。
階段を降りて、先生がシロコと向き合う
「ねぇ、シロコ。まだ続ける?」
「…。どういう意味?」
「正直、佐藤は想定以上に危険なやつだった。あいつを相手にして無事でいられる保証はない。それにアビドスへの緊張が高まっている。学校への襲撃だってあるかもしれない。
だから…」
「………」
「君がアビドスに帰るって選択肢もある…。アビドスが4人で守りきれるとも限らないからね。シロコがいてくれたらすごい頼もしいだろうし…」
「…………」
「アビドスまでは送っていくつもりだし、……どうする?
シロコが決めてくれ。ついてくるか…こないか…」
「ん、そんなの決まってる。ミレニアムに行く。そして佐藤を倒す。」
「そっか…。わかった。」
「私はみんなを信じてるよ。学校はきっと無事 。それに学校が襲撃に遭う前に、私が佐藤を倒してしまえばなんの問題もない」
「はは、そりゃいい。
……IBMに関して新しい情報を手に入れたんだ。きっと次はもっといい対策が立てられるはず」
「ん、期待してるよ。先生の指揮。」
「ああ、」
「あ、先生、一つ伝えたいことが……」
「?」
________________________
サイバーヘルメット団アジト
「これでいいのか?文章だけで予告しちゃって…」
リーダーがスマホを見つめている
「佐藤先生がいない今、私たちが動画を撮って犯行予告したってなんになるんです。これでいいんですよ。そもそも犯行予告してちゃんとこなしてきてる先生がおかしいっていうか……」
副リーダーがUSBメモリを確認している
「私、佐藤先生のことよくわかんなくなってきたよ。わざわざ犯行予告したり、急に私たちに任せてきたり。このまま襲撃をやっちゃっていいのかな……」
「あなたは世界を救うために勇者になりますか?」
「え…何の話?」
「ゲームの話です。誰も本気で世界を救うために勇者になって魔王を倒そうなんて考えませんよね?」
「はあ?」
「スライムを倒して、魔法を出して、新しい技を覚えて使うのが楽しいんです。でもそれだけじゃだめなんです。どんなデタラメでもストーリーがないと進める気にならない。魔王を倒して世界を救うっていうストーリーが必要なんです」
「何が言いたいんだ…?」
「佐藤
「もっとわかりやすく言ってくれよ」
副リーダーがメモリを差し出す
「………やるんですか?やらないんですか?」
「……ここまで来たらやるよ」
リーダーがメモリを受け取る