「エネルギー切れです………」
ネルを投げ終えたポーズのままアビ・エシュフが固まっている。トキがアビ・エシュフから降りてくる。先生はただ窓の外を見つめる
「佐藤のことはネルに任せよう…。とりあえず私たちは念のためにまだ建物に残っているヒマリとシロコを避難させないと……」
「ヒマリ先輩のところには私が行きます」
「わかった。シロコは無線は聞こえているようだし、一人で避難してもらうか…
シロコ、聞こえてるかい?今すぐこの建物から出て。そして東か西の方向に逃げるんだ…………
…………聞こえてるか分からないな、一応合流するか」
「先生、お気をつけて」
「ああ、お互いに」
トキと先生が別々の方向に走り出す
「ユウカ、もうシロコとは会えた?」
『ええ、シロコさんは私にチヒロを渡したらすぐに階段を登っていきました。今はもうチヒロの応急処置も終わっています。』
「わかった。念の為すぐに動けるようにしていてくれ。ここの建物が崩れたら、東のほうの別棟も危ないかもしれない。」
『了解です。………みんな、先生から___』
ユウカの無線が切れる
(シロコが階段を登っているなら、このまま下っていけば会えるだろう。ちゃんと無線を聞いてればもうここから抜け出しているかもしれないしな)
先生が階段を駆け下りていく
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「ハァ……いやぁ、ハァ……時間かかっちゃったよ。ハァ………」
「……………」
血溜まりの中で倒れるネル
佐藤が顔の血を拭う
「ハァ……そろそろ……始めようか……ハァ…」
ネルのサブマシンガンを拾ってリセットをかけた
ダン!
『終わった?』
隠れていたIBNが出てくる。ボタンに手をかけていた
「ああ、結構耐えられちゃったよ」
佐藤がネルに背を向けた。その隙をカリンは逃さなかった
(今しかない…!)
カリンが起き上がり、ネルのもとに駆けつける。
「あ」
ネルを拾い上げ、すぐに近くのドアに手をかける
ダダダダダダ!
「くっ!」
佐藤に撃たれながらもドアを閉め、逃げ切る
「気絶したふりをしてたのか……」
『追いかける?』
IBMが二人が逃げた方向を指を指す
「いや、いいよ。どうせ巻き込まれるだろうし」
佐藤が手すりに手をかけ、身をのりだす
「フィナーレといこう」
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ドカン……ゴゴゴゴゴ…………!
「…!」
遠くから地響きと爆発の音が聞こえてきた。
先生が階段を降りる足を早める。
(ネル…!)
「トキ!始まった!ヒマリと一緒に安全なところに!」
『……安全なところって…いったい…』
「それは………その…」
『とにかく北側です。南から倒れてくるビルが直撃する位置だけは避けなくてはなりません。北東か北西どちらかの角に寄るんです』
言葉の詰まった先生にヒマリが指示を出す
「ああ、そうだ…そうだな…急ごう……」
『階段が近いならできるだけ低層階まで降りておくのも手です。ビルが崩壊しても脱出のチャンスが高くなります』
「わかった…」
『ということです………。早く運んでください!トキ!このままではふたりともぺしゃんこですよ!!』
急にあたふたしだすヒマリ
『了解です。振り落とされないでください。走りますよ。
先生も早く避難を』
「ああ」
(シロコに無線で指示が通ってなければ、階段を登ってくる。どっちにしたって私はこのまま駆け下りるしかないな)
先生がさらに足を早める
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「ん?なんの音だ?」
「え?佐藤さんじゃないですかね?」
サイバーヘルメット団の2人はすでにビルから抜け出して近くの広場まで来ていた
「あの爆弾使ったって…量が足りてないってのに…あの人は何考えてるんでしょうかね」
「さぁな、、、。…………って…嘘だろ!?
おい!!あれ見ろ!!」
リーダーが指差す方向を副リーダーが見る。
「あれは………」
南棟が倒れかかってる
「ははは………やるじゃないですか…佐藤さん」
副リーダーが固唾をのみこむ
「…………なぁ、副リーダー」
「ん?どうしました?」
「私、あそこに戻る」
「は?」
「お前は一人で帰っててくれ!」
副リーダーが止める間もなくリーダーが走り出した
「ええ!?………ちょっと……………マジですか…」
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「あ は は は は は は ! !」
根本から折れた南棟が中央のビルに向かって寄りかかってくる。ビル同士が接触し、互いに破壊し合う。激しい揺れと音が建物全体が襲った
「がっ…クソ…!」
先生が歩みを止め、階段の手すりに掴まる。そうでもしないと体が放り出されてしまいそうだったからだ。
ミシミシと音を立て壁と天井が崩れだす。
ゴゴゴゴ…!
轟音とともに床が崩落していき、様々な瓦礫がグチャグチャになってあちこちから飛んできた。
「あ、」
目の前のすべてが崩壊し、
目の前が真っ暗になった
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リセット
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「……せい!……ん…い!先生!すみません!これ以上……は……!」
アロナの声が聞こえる
「…………う…」
先生が目を開けるが、動けない
「アロナ……?どうなって……」
少し振り返ってみると大きな瓦礫に体が埋まっているのが見えた
「……まずい…早く出ないと…」
ありったけの力を込めても体は抜けない
「クソ……」
「先生!」
誰かがこっちに来る
「…シロコ…!無事だったのか」
「少し待って、今助ける…!」
シロコが瓦礫を持ち上げる。そこにできたわずかな隙間から先生が抜け出す。少し息を整えてから立ち上がった。
「ありがとう、シロコ。助かった。そっちも大した怪我がなさそうでよかった」
「ある程度下の階まで降りられてたから大丈夫だった。危うく生き埋めになるところだったけど」
「あと、よくここがわかったね」
「スマホに謎の位置情報が来てて……それでわかった」
先生がシッテムの箱を手に持つ。何度やっても起動はしなかった
「これのおかげかな…感謝しないと。………
………それにしても……………」
先生が辺りを見渡す。
中央ビルは7階あたりから上は完全になくなっていた。南棟は完全に折れており、中央に向かって倒れている。
2つのビルが残した瓦礫から火の手が上がって、地獄絵図を描いていた
「あいつ……まじで……」
先生が瓦礫に登って辺りを再確認する
「建物に残っていた生徒はどう……?無事かな…」
「わからない……探さないと」
先生が歩き出す。すると
パン!パン!パンパン!
「!」
発砲音がする。2人が音のした方に走り出す
パン!パン!
瓦礫の下から音がしていた。
「ここか……シロコ、手伝ってくれ」
「もちろん」
二人で手分けして瓦礫をどけていくと、そこにはヒマリとトキがいた
「先生……よかったです。伝わったみたいで」
ヒマリは片方で拳銃を握りしめて、もう片方でトキを抱きしめていた
「無事か?」
二人を引っ張り出しながら様子を確認。トキは意識を失っていた
「トキが…かばってくれましたので……わたしの方は…軽症です」
ヒマリがへたり込んで、浅い呼吸をしていた
「トキのほうもそこまで大怪我はしていないみたいだ。ふたりとも東棟まで運ぶよ」
先生がトキを抱え
シロコがヒマリを肩車で運ぶ
「…ネル先輩たちは……?」
カリンとネル、まだ見つかっていない二人。ネルは特に重症だ
「…………………わかんない………」
シロコの問いに先生はただそう返すしかできなかった。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ
先生たちの後ろから足音が聞こえてくる
「今来るなよ………」
先生が力なく言う
「や、先生」
先生が振り向くとそこには佐藤がいた。
こちらに手を振っている。もう片方の手にはネルのマシンガンが握られている
「今更なんのつもりだ…校舎は破壊しただろ……。もうお楽しみは終わりだよ」
ため息と一緒に言葉が出てくる
「そうだね。けれど、ステージクリアのあとはボーナスステージってのがあるだろう?」
「はぁ……」
「私はねぇ、殺すのが結構好きなんだ」
「……」
「だから」
佐藤がマシンガンを構える
「君の生徒を1人、殺してみることにするよ」