「……………」
「今まで、頑丈で面倒くさいからキヴォトス人は殺さずにきていたんだ。それでも充分満足できたけどね」
佐藤の言葉を無視して先生が思考する
(…殺す………まずいな…)
「先生、君はいいものを持っている。けど今のままじゃ少しもったいない」
(さっきの瓦礫のせいでアロナのバリアはない………それにこの場で戦えるのはシロコだけ…。ユウカを呼ぶにしたって……)
「君は生徒を大事にするあまり、決断が遅れることがある。その、らしさは君の強みであり弱みでもある。」
(だめだ……こっちの戦力が足りない。アカネはどうだ…カリンもまだ…)
「生徒を一人で向かわせることを躊躇い、集団で戦うか、君が先行するか……………大人としては立派かもしれない。けどあさはかだよ」
(どうする……どうすれば………)
「いざ一人で生徒を送り出した時に限って、生徒はボロボロ。結果的に多くの生徒を傷つけるはめになる」
(使うか……あれを…)
先生がポケットに手を突っ込む
「1人失ってみれば踏ん切りがつくんじゃないかな。そうすれば君はもっと自由な発想ができるはずだ。一人を取るより、多くを取る発想。君に必要なものだ」
佐藤が銃口を向けてくる。
(ためらうな……絶好のチャンスなんだ……)
先生はポケットのなかで掴んだものを取り出そうとしていた
「先生!この人、任せた」
「きゃっ!」
シロコが先生に向かってヒマリを投げて、走り出す
「シロコ!?」
シロコのライフルと佐藤のマシンガンが同時に火を吹く
シロコがよろめきながらも進み続ける。
佐藤の心臓に弾が命中し、後ろに倒れ込む。
リセット。
佐藤が起き上がると同時に発砲。シロコの脳天に弾丸を命中させ、怯ませる。間髪置かず、麻酔を放つ。
「!」
シロコの動きが止まったのを皮切りに弾丸をありったけブチ込む。もう一発麻酔を撃ち込み、完全に動きを止めた。
「シロコ!!」
先生がヒマリとトキを地面に置いて走り出す。
「先生……」
ヒマリは手を伸ばせど何ができるわけではない
「………」
近づいてくる先生に佐藤がフックで顔面を殴る。
「がぁ…はぁっ………!……ああっ……!」
先生がふっとばされ、倒れてしまう
(……くそ…立てない……、脳震盪、………意識が……
どうでもいい!立て!立て!立て……!!!)
どんなに踏ん張っても先生の体に力が入らない
「そこで見ててよ…今から先生に生徒が命を失うさまを観察させる」
佐藤がシロコの首をつかみ持ち上げる。シロコは抵抗なくぶら下がっている
「窒息……人は3分程、酸素供給がないと死ぬ…これは頑丈にできているキヴォトス人であろうと変わらない」
佐藤の手に力が入る。シロコの体が一瞬痙攣するが、まただらんと垂れ下がる
「こんなふうに絞めていれば6分くらいで死ぬかな」
ぎゅう……、
「まて……やめろ……さとう……」
先生が呂律が回らないまま話す。
「麻酔も入ってるし、もっと早く死んじゃうかもね」
佐藤が手の力を緩めずに先生のほうを見つめる。
1分……2分……と過ぎていく。
シロコの顔が少し紫がかっていく。
先生はまだ体を動かせそうにない
「やめ……ろ……」
ダン!!
「「?」」
佐藤が腹から血を出している。
「私を……撃ったな……」
佐藤が倒れる。シロコが解放され、地面に落下した。
「あ、佐藤先生……ごめ、ごめん、なさい……」
「あなたは…侵入者の……」
ヒマリが銃声のしたほうを振り向くと、シロコの銃を抱えたサイバーヘルメット団のリーダーがいた
佐藤が落ちていたネルの銃で自殺する。リセット。
リーダーと佐藤、互いに銃口を向け合う
「何をしているんだ?リーダーさん。このシロコちゃんはアビドスの子だよ。君が恨んで恨んで仕方ない生徒だろう?」
「私が復讐をしたいと言ったのはわかってる……」
「銃を下ろすんだ」
「けど、こいつを殺すのは違う!世話になってる身分で勝手だけど!これは間違ってる!」
「……………」
「…………………」
「………………」
「……………」
朝日が昇ってきた。崩れたビルの隙間から光が差してくる。
「いいよ!」
「「!」」
「日も跨いじゃったし、犯行予告の日付もおしまいってことで、解散!」
佐藤が銃を投げ捨て、後ろを振り向き歩いていった
「………」
その場にいる佐藤以外の者は全く動けなかった。
「うう……」
しばらくして、先生の体が動くようになってきた。膝で歩いてシロコにかけ寄る。
「シロコ………」
シロコの胸に耳を当てる。心臓は動いていた
「よか、よかった…シロコ……」
フラフラになりながら立ち上がり、リーダーの方に近づく
「あの……君は……」
「あ、ごめっ、ごめんなさいっ!私は、ここでっ、さよっ、さようなら!」
シロコの銃を先生に渡すと全速力でどこかに行ってしまった。
「…………………………」
しばらく上の空でいると遠くから声が聞こえてきた。
「せーんせーい!先生!無事でしたか!」
ユウカとアカネがこちらに走ってくる
「佐藤は?どうなりました?」
「………逃した」
「…………」
「ごめん、学校…守れなくて………」
先生はただ校舎だった瓦礫を見つめている
「………と、とりあえず怪我の治療をしましょう!………あ、カリンとネル、無事だったんです!カリンが東棟まで運んできてくれて。ネルの方は重症ですが、なんとかなってます………だから……」
ユウカが言葉を詰まらせてしまう。
「そうだ、今は怪我人を運ばないと……」
先生が歩き出す。
「先生、それは私達が………」
アカネの制止も聞かず歩く先生。
先生がトキとヒマリ、シロコを一気に運ぼうとする。
「ちょっ、ちょっと!?先生!?無茶してはいけませんよ!?」
ヒマリの警告も無視して進み続ける先生
案の定バランスを崩して、転びそうになった
アカネが支えて、トキとヒマリを回収する
「やけになってはいけません。気をしっかり持って」
「ああ………そうだ……ごめん………」
「………………」
シロコを抱えてトボトボと歩いていった
その足取りは重く、鈍かった
トキのアビ・エシュフの時間制限は完全に設定を間違えてしまいました。今修正するのも難しいので少し目を瞑ってくださるとありがたいです