昼頃、ミレニアムの東棟で怪我人の治療が行われていた。待機していた生徒が主に治療を担当していく
「ユウカちゃん、そろそろチヒロの包帯を取り替えましょうか」
「ねぇノア、応急処置のときに焦ってたからもしかしたら外せなくなってるかも……」
「え、患者の前で不安になるようなこと言わないでよ」
「部長、足の方はどう?」
「ああ、この前作った義足付きフリスビーが活かせるチャンスかもしれないぞ、ヒビキ……」
「そういうことじゃなくて……」
「痛ってぇえ!!!テープはそこじゃない!アリス!!」
「わかりました!今度は失敗しないように貼り直します!」
「あ剝がすなバカ………があああ!!!」
「アスナ先輩。いつまで寝て……」
「う〜ん……」
「麻酔の効果は切れてるはずなのに………」
「エイミ!車椅子がないのでおんぶです!」
「私も怪我してるので、おんぶを希望します」
「トキは歩けるでしょ」
「お姉ちゃん!その箱違う!運ばないで!」
「え?!」
「その箱ユズが入ってるやつ!!」
「アカネさん!新しいメガネをどうぞ!」
「あらどうも………。…コトリ…これ変なのついてませんよね…?妙に重いんですが…」
「よく気づきました!!このメガネには赤外線センサーによる接敵を検知する装置に加えさらには超伝導リアクターを使用した、、、、、」
「……賑やかだね」
シロコが薬品の入った箱を抱えている。
「そうだね………
…それ、中身を入れるのは私がやるよ」
先生がシロコから箱を預かる
「ん、ありがと…。
………みんなここにいるのかな…」
「いや、大半の生徒は自宅で待機してるし、
ヴェリタスの部員とかは通信関係の修理に回ってるよ。」
「………そっか………スミレに会いたかったな………」
先生が箱の中身を棚に並べていく
「シロコ、体調のほうは大丈夫?」
「大丈夫…火傷も大した事ないし。先生のほうこそ大丈夫なの?」
「ああ……問題ないよ。頭に異常は見つからなかった」
「そう…良かった……」
無言がしばらく続いていく
「先生、」
「なんだい?」
「まだ、続ける?」
「……………」
先生が作業の手を止め、シロコに向き合う
「やるよ、佐藤が止まるまで」
「もしかしたら、全部が無駄になるかもしれない……
それでも?」
「……そうかもね。
でも、無駄だとわかっててもやる、それが大人ってもんだよ」
「………………やっぱ、先生はそうだよね。」
「シロコはどうする?一緒に来る?」
「いや、辞めるよ」
「………」
「これ以上やっても、私は足手まといになる。先生にも迷惑をかけてしまった。
あの時に、なにも考えず前に出たから命を失いかけた。
ホシノ先輩との約束、無事に帰ってくるって約束、それだけは守らなきゃ。」
「わかった。
学校に戻ったら、アビドスのみんなにはもう少しだけかかるって伝言を頼むよ」
「ん、わかった……
…私が着いていきたいってわがまま言ったのに…今になって辞めたいって言って…その……ごめんなさい…」
「いやいや、シロコがいてくれてよかった。あとは任せてくれ」
「先生、命を粗末にしちゃだめだよ」
「…しないさ。」
先生が薬品をしまい終えた
「もう少し復興の手伝いをしたら、ここを出ていこうか」
___________________
治療が一通り終わり、瓦礫等の被害状況を確認しようとヒマリ、エイミ、先生が外に出てきていた。
「なんだ、これ………」
するとそこには大量のドローンとロボットが撤去作業している姿があった。
エイミにおんぶされているヒマリが眉を潜めている
「まさか…………。リオ……あなた……」
「え、会長?」
『…………遅れたわね、申し訳ない』
ドローンの1個からリオの声が聞こえてきた。
「おお、ほんとにリオだ……ひさしぶり」
『ウトナピシュティム以来ね、先生。どちらもドローン越しではあるけど。
あとヒマリ、あなたも……』
ヒマリがドローンを睨んでいる
「……今更なんですか?安全圏から、ことが終わったあとになって、ようやく、支援を始めたというわけですか………。
…さすがの判断力ですね。セミナーの会長さん……」
ヒマリが冷たく言い放つ
『……援護に行けなかったのは申し訳ないと思っているわ。けど、厳戒令とレーダーで近寄れなかったの』
「………………。」
「…………もしかして…会長が来れなかったの部長のせい?」
エイミが背中に乗っているヒマリを見つめる
「………………」
ヒマリが顔を隠す
「ま、仕方ないよ。敵の侵入の選択肢を狭める必要があったからね。レーダーは必須だった」
先生が擁護したところでヒマリが顔を出す
「そ、そうです。敵に予想外からの侵入を許しては元も子もありませんから。
だいたいリオ、あなたほどの人間なら厳戒令なんか破って、レーダーを突破するくらいわけないでしょう!」
「むちゃくちゃだよ、部長…」
『ミレニアムの警備を甘く見たりはしないわよ』
「……………」
『まぁ、その話は置いておいて。
ヒマリ、私と一緒に来てちょうだい。区画と撤去作業について話しておきたいの。またすれ違ったら困るわ』
「……まぁ、いいでしょう。ほら行きますよエイミ」
ヒマリがエイミの肩を叩く
「あれ、これ私も行く感じ?」
『瓦礫の撤去は私たちに任せてほしいわ。
先生たちはしばらく休んでおいて。』
「わかった。みんなに伝えておくよ」
ドローンが行く先に、エイミが歩いていく。
先生はまた東棟に戻っていった。
_________________
「……というわけだ。撤去作業はリオたちに任せよう」
「リオ先輩がいるんですか?会いに行ってきます!」
「私も行きます」
アリスとトキが走り出していく
「あ、ちょっと…」
先生の制止も聞かずに2人は出てってしまった。
「ま、いいか。
少し落ち着いてきたみたいだし、私たちはもうそろそろ行くよ。今いないみんなには伝えといてくれ」
「そうか、今回も色々世話なったな、先生」
ネルは全身を包帯でつつまれて、松葉杖をついていた
「ネルもよく頑張ってくれたよ。
立ち上がれるようになってよかった。」
「アリスの包帯のおかげかもな」
そう言うと少し取れかかっている右手の包帯を掲げた
「優秀なヒーラーだ」
先生の言葉にネルが少しニヤける
「シロコ、お前も頼りになった!」
「こっちも、色々と良くしてもらった。またいつか会いたい」
「おう!佐藤をぶっ倒したら祝杯をあげよう!」
「…………。……うん………それじゃ」
みんなに見送られながら、二人はミレニアムを出た