亜人の佐藤がキヴォトスを楽しむ   作:はふはふサドンデス

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オリキャラに名前つけます。さすがにずっと一般名詞で行くのは扱いづらいので


file.33 Cyber Helmet

 

 

 

 

 

 

佐藤のアジトにて

 

 

 

 

 

「げえ…!指名手配……!」

 

「どうしたの、副リーダーさん」

 

副リーダーはパソコンの画面にくぎ付けになっていた。佐藤もそれをのぞき込む

 

「いやこれ、見てくださいよ。今日のニュース」

 

「ふぅん…」

 

そこのニュース記事には佐藤の写真が大きく載せられ、その下にはサイバーヘルメット団の2人の写真が小さく載っていた。その記事のタイトルは「佐藤に協力者か 明らかになる手口」であった

飛行船への不正アクセスを洗い出したり、ゲヘナへの配達履歴を調べたり、ミレニアムに残っていたデータなどを総合的に合わせて、ヴァルキューレが彼女らの正体を突き止めたようだ。

 

「あら、君たちもお尋ね者だね」

 

記事を読み終えた佐藤は気楽そうに言った

 

「お気楽言ってる場合じゃないっすよ……」

 

「ま、そうだね。これで君を堂々と作戦には使えくなったわけだし…」

 

「あ、そうか………。どうします…?」

 

佐藤は少し考えたあと、口を開いた

 

「彼女たちに、AJIN.comからメッセージを送るんだ」

 

「……メッセージ…?…ああ、なるほど」

 

タブを切り替え、新たな画面を開く

 

「それに伴って作戦は少し変わるけど……ま、大方問題はないね。メッセージの内容は君に任せるよ」

 

「了解でーす」

 

副リーダーが軽快に文字を打ち込んでいく

 

 

 

 

「あ、そうだ。佐藤さん」

 

 

副リーダーが手を止める

 

 

「ん、なんだい?」

 

 

 

「結局、リーダーをどこまで運んだんです?」

 

 

副リーダーが佐藤を見つめる

 

佐藤が口元を緩めるが、すぐに手で隠す

 

 

「……さぁ?教えられないね」

 

 

「なんでです?」

 

 

佐藤が考え込む

 

 

「…………私にも分からない。黒い幽霊任せにしてるからね」

 

 

「…そうですか、」

 

 

 

「悪いね。

 

ま、とりあえず早いところメッセージの方、頼むよ。そろそろ出発するからね」

 

 

「あー…はい。頑張ります……」

 

 

 

 

それぞれの作業に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

夜、シャーレの事務所

 

 

 

カタカタカタカタ…........

 

 

「......................ふぅ...」

 

 

先生はキーボードを打ち込み、大量にたまった仕事をこなしていた

 

 

「...こんなことしてる場合じゃないのにな…はは」

 

 

自嘲の後、パソコンを閉じてカレンダーに目をやった。メモされていた生徒の当番は、佐藤との対決のためにすべてキャンセルされている。

 

 

「まだ……一週間くらいしか経ってないのか…あいつと初めて会った日から…」

 

 

佐藤との戦いを振り返る。ヴァルキューレの残骸、ゲヘナでの衝戟、ミレニアムでの惨状。すべてが激しく、予測不可能なことばかり。生徒や自分の命が何度も危機に晒された。戦闘には常に激情が伴っていた。しかし残った感情は虚無のみ

 

 

「なんか………めんどくさくなってきた……」

 

 

ひとり、ぽつんと呟いた。言ってはいけないこと。

 

大人としての責務があり、生徒の悲しみや苦しみをこれ以上を増やしてはならないのに、シロコやプラナの前で啖呵を切ったのに

 

 

 

何をやっても佐藤には勝てない

 

 

そういう思考が頭を支配する。奴に挑んでも残るのは虚無。それしかないのだと

 

 

大企業の陰謀、大人の悪意、蠢く巨大都市、預言者、世界を滅ぼす存在。

 

あらゆる困難に生徒たちと打ち勝ってきた。その自信が何処かにあった。

 

けれど、一人の不死身の男がばらまく不幸に自分は太刀打ちできていない

 

 

戦った生徒たちを信頼していないわけではない。

 

むしろ信頼しているからこそ、彼女たちが敗れていく様は絶望そのものであった。

 

 

 

「…………………………」

 

 

こんなことを考えたって何にもならない

 

 

 

 

 

 

「もう、深夜か.....。夜食でも買いに行こう。」

 

 

シャーレの事務所から出て、下のエンジェル24へと向かう

 

 

____________

 

 

 

 

エンジェル24 

 

 

自動ドアをくぐり、弁当コーナーに向かう

 

 

「いらっしゃいませー………」

 

 

ソラが眠そうにレジ番をしている

 

 

先生は大量のおにぎりと弁当を持ってレジに向かった

 

 

 

 

「レジどうぞー……。……って先生…!?」

 

ようやく気づいたソラは、目を丸くして先生を見ていた。

 

「ひさしぶり、ソラ」

 

 

レジにおにぎりやら弁当やらを置いていく

 

「お久しぶり、です………。とにかく……無事で………」

 

ソラは先生を見ながら呆然としていた。それでも手はレジの作業を続ける。

 

「よかったです。……私見捨てられちゃったのかと…。よく来る四人も最近来ていなかったですし……」

 

レジに金額が表示され、先生は財布を取り出した

 

(そうか…。rabbit小隊のみんなもまだ戻ってないのか…)

 

「見捨てるなんて。だれもそんなことしないよ。あの子たちも佐藤と戦っててね。元気そうだったから、もうすぐ帰ってくると思う」

 

「そうだったんですか…元気ならよかったです」

 

ソラは素早い手つきで袋に商品を詰めていく。

先生がお金を払い、会計が済んだ。

 

「………佐藤のこと…店の新聞で読んだりして情報を集めてみても何もわからないんです。いったい佐藤は何をしたいんでしょうか」

 

「…何をしたいのかって言われたら、私にも分からない。けど…」

 

ガタッ…ドタ…!

 

 

「「!………?」」

 

先生が何か言いかけていたとき、入り口の方から物音がした

 

「い、今のは………」

 

「私が様子を見てくる。ここで待ってて」

 

先生が入り口の方に向かっていった。

自動ドアが開きっぱなしになっている。

 

そしてその扉の前に誰かが倒れていた。なぜか縄でぐるぐる巻きの状態だ

 

「何があった……」

 

すぐに駆け寄る。それは生徒であり、顔は擦り傷だらけで呼吸は浅い。そして先生にはその顔に見覚えがあった

 

「君は………」

 

その子は佐藤の部下のうちの一人だった。ミレニアムでシロコとネルと戦ってた子と、先生は記憶している

 

「あ!その人、指名手配犯のひと!」

 

ソラが後ろからやってきて、その生徒を指をさす。

 

「え?」

 

「ほら、これ!」

 

ソラが持ってきた新聞を広げた。そこには佐藤とその部下の2人の写真が載っていた

 

「ほんとだ…」

 

「……き、危険なんじゃ……」

 

「ま、大丈夫だと思う、たぶん……。なんか拘束されてるし、抵抗する力も残ってなさそうだし。とりあえずシャーレの事務所に連れてくよ。」

 

「え!?通報しないんですか?!」

 

ソラが目をグルグルさせている

 

「しないでおこうかな。それと追加でおにぎりでも買っていこうかな」

 

「ええ…!?」

 

先生はリーダーをおぶり、商品棚に戻っていった。ソラは戸惑いを隠せないままレジに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

 

 

『………私たち……学校……どうなるの……』

 

 

 

 

 

『ははは…終わりです…終わりですよ…ははは』

 

 

 

 

 

 

 

力なく笑う2人

そこへ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私が手を貸そう。復讐を始めるんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

「佐藤…………!!」

 

リーダーが目を覚ました。ベッドの上。知らない部屋だった。かけられた毛布をどけて起き上がる

 

「あ、おはよう」

 

ベッドのすぐ横にはシャーレの先生がいた。椅子に座っておにぎりを食べている

 

「…わ…!」

 

先生を見て固まっているリーダー。それに構わず先生はおにぎりを頬張っている

 

「おはよ、調子はどうかな。湿布がしみたりしてない?」

 

リーダーは自分の顔や腕に湿布が張られていることに気がついた

 

「…大丈夫、しみてない………あの、ここは?」

 

「ここはシャーレのオフィス。君がコンビニの前でぶっ倒れてたからここまで運んできた

私は連邦捜査部シャーレの先生……って知ってるか…」

 

「シャーレの…先生………」

 

「えっと…君は……なんて呼べばいいかな?」

 

先生の質問にリーダーは躊躇していた。しかし一息置いて口を開いた

 

 

「た、田中 ヨウコ……」

 

「田中ヨウコ、ね。オーケー。よろしく、ヨウコ」

 

先生が手を伸ばして握手を求めた

 

「よ、よろしく…」

 

ヨウコはそれにぎこちなく応えた

 

「あ、そうだ。これ」

 

「?」

 

先生が椅子の下から銃を取り出した

 

「これヨウコのやつ?君と一緒に縛り付けてあったけど」

 

先生はヨウコに銃を差し出す

 

「え…あ、うん。私の…だけど」

 

銃を受け取ったヨウコは呆然としていた。

 

「私に、渡していいの?」

 

「?なにが?」

 

「私は先生の敵なんだよ?

私の看病をして、しかも銃まで渡して

私が今ここで先生を撃つかもしれない……なんで?」

 

「いや、たぶん違うかなって。状況的に佐藤と何かあったんでしょ。敵じゃないって信じてるよ」

 

「……」

 

ヨウコが黙り込む。

 

「あれ?佐藤とは何もなかった?」

 

「いや、そこは合ってるけど。けど、いきなり信頼して看病までして……おかしいよ、先生」

 

「君は困ってそうだったからね。そもそも敵かどうかは関係ない。どっちにしろさ」

 

「…………」

 

鼻の奥が湿って痛い、言いたいことが言えない。ヨウコはそんな感覚に陥った

 

 

「それに私は君から話を聞きたい。佐藤のそばにいた生徒が目の前にいるんだ。こんな絶好の機会はない。合理的に考えたって君を邪険にする理由がない」

 

「それは……こんなことしなくても、いくらでも協力するつもり…だから…」

 

「ほんと?ありがたいね。

あ、それはそれとしておにぎり食べる?」

 

袋に入った大量のおにぎりを見せびらかす先生

 

「あ…いや、いい」

 

「毒とかは入ってないよ?袋あけてないし」

 

「大丈夫…私に優しくしなくていいよ。私はなんだって協力するから。それが終わったら警察に捕まりに行く。先生が、今の私に何かを施す価値なんてないよ」

 

「……………」

 

先生が口をぽっかりと開けたまま固まる。

 

「……ちなみに君は今、指名手配されててね。見た感じ結構な罰になりそうだよ…?しばらくの間シャーレを隠れ蓑にするっていう手もあるけど……」

 

先生は先ほどついでに買った新聞をヨウコに見せる

 

「それなら、なおさら捕まったらいい。バカな私にピッタリだ」

 

ヨウコは先生の言葉を遮った

 

「……………」

 

沈黙。先生はその間に神妙な面持ちになり、ヨウコを見つめる

 

「ヨウコ、今、君は自暴自棄になっている。」

 

「…そうかもね」

 

ため息を漏らすヨウコ

 

「けど君には佐藤についていかなきゃならない理由があったはずだ。君自身の心の整理をつけるためにも話してくれないかな?」

 

「……………」

 

「君たちに何があったのか聞かせてくれ」

 

「…………………分かった」

 

 

 

 

「ほら、食いな」

 

先生がおにぎりを一つ手渡す

 

「うん…」

 

ヨウコは袋を雑に開け、大きなひとくちでおにぎりを頬張った

 

 

 

 

 

 

 

 




田中 ヨウコ
→亜人の「田中」と下村さんの旧名の「陽子」から取ってきました
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