亜人の佐藤がキヴォトスを楽しむ   作:はふはふサドンデス

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file.38 佐藤先生

 

 

 

 

 

 

 

約 一ヶ月前 リン行政官襲撃事件から3日後

 

 

 

 

佐藤は変装用のゴムマスクをつけ、D.Uの街を歩いていた。ロボットやら獣人やらが闊歩する街ではゴムマスク程度で怪しまれることはなかった

 

(三大学園に、連邦生徒会、それに付随する様々な組織…そのほか百鬼夜行連合などの大規模な学校…………。この世界もなんだか歯ごたえがありそうだな……)

 

佐藤はこのキヴォトスについて、IBMなどを駆使して情報を集めていた。

定期的に自殺をすることで足取りも複雑にして捜査を惑わせおり、足取りを掴ませずいたのだ。

 

(そういえば、ここの生徒と呼ばれる子たちはみんな口々に「先生」って言うね……

シャーレ、か………なんだか気になるな。

幽霊に盗聴器を仕掛けさせるか)

 

先日、盗んだスマートフォン。電話としては使えないが、カメラなどは使える。IBMに侵入させた後にこれを設置してしまえば、充電が持つ限り、放置してても情報が手に入るので佐藤は重宝していた。

 

(シャーレのオフィス……ね。)

 

IBMにスマホを手渡す

 

「よろしく」

 

『ボン……ボヤー…ジュ…』

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてから…

 

佐藤はスマホで保存された映像を見ていた。

短時間ではあるが、先生の姿を把握することもできた

 

「へえ…これが先生………やっぱりヘイローがないんだ…」

 

映像には先生の言動の逐一が記録される

生徒との会話。戦闘の指導。贈り物のプレゼント。カフェでの交流。大規模作戦での編成。

 

 

 

「なるほど…………ポケモンみたいなものかな……」

 

 

 

そして、佐藤に一つのアイデアが思い浮かぶ

 

「私も生徒を育ててみようか……」

 

飽きたらやめればいい。そういう軽い気持ちである。マフィアにいた時代に、戦闘を指導した経験はあるので問題はないと考えていた。

 

 

 

佐藤は頭の中で情報を整理する

 

(できるだけ足がつかない生徒がいいな……。

となると退学になった生徒が適任だ…。

連邦生徒会への恨みも大きい子がいるだろうし…

そういえば、アビドス高校……だっけ?あそこの子たちの会話から考えるに、あそこらへんは砂漠化の影響で廃校が多そうだね……。

 

 

 

行ってみるか……)

 

 

 

 

佐藤はアビドス砂漠の方角へと向かった

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

アビドス砂漠 西端

 

 

 

「クソ……!」

 

銃を構え、息を荒げるヨウコ。その後ろではマスミが力なく倒れていた

 

サイバーヘルメット団として活動していた2人は、砂漠で商売をしていた反社会集団のヤクザから金を盗もうとしていたが、失敗して逆に追いかけ回されていた。

 

何人かが迫ってくる。サングラスとスーツを着こなしているが、その雰囲気はカタギのそれではなかった

 

「てめえらのせいで、大事な商売がめちゃくちゃになっちまったよ…この落とし前はつけさせてもらうぞ」

 

「ハァ…ハァ…………」

 

ヨウコはマスミのほうにヨロヨロと駆け寄り、銃を構える。

 

「こうなったら………やってやる……!」

 

「抵抗するつもりか…。大人しくしてれば、すぐ済むってのに」

 

大量の銃口がヨウコに向き、そのすべてが頭を

に狙いを定めていた。

 

「ハァ…ハァ………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、君たち。学校はたのしいかい?」

 

「あ!?」

 

後ろからかかる声に、全員が一斉に振り向く。

そこに佐藤がいた

 

「なんだお前は?!」

 

(なに…?あの人…。大人?)

 

ヨウコは、奇跡的に生まれたこの隙に、マスミを引きずり物陰に身を隠れた。ただしかし、その目に映る老いた大人から目を離せなかった

 

「何が目的だ!」

 

ヤクザの一人が問いかける

 

「ちょっとしたアンケートだよ。学校はどうかなって」

 

全員が困惑した様子で首を傾げていた

 

「学校……?んなもん行ってねぇけど……」

 

「ほんと?それじゃあ私と一緒に連邦生徒会にテロを仕掛けないかい?」

 

「「……………………」」

 

 

 

 

 

「……は?」

 

「何いってんだこのジジイ…」

 

「するわけないだろ、そんなこと……」

 

皆が口々に言う。

 

「そ、じゃ、バイバイ」

 

佐藤は振り返るとそのまま歩いて行こうした。しかし

 

バシュ!

 

佐藤の足元に一発、着弾する。

 

「…。」

 

「おいちょっと待てや。私らにちょっかいかけといて、ただで帰すわけねぇだろうがよ」

 

「私らはここいらじゃ名のしれた組だ。テメェみたいなジジイにおちょくられてじっとしてたらメンツに関わる。少し痛い目見てもらうからな」

 

「ああ、君たちは組織自体には属しているんだね……じゃな足取りも掴めそうだし、なおさら無しだったか……」

 

佐藤が独り言をつぶやく

 

「何ブツブツ言ってんだよ!死ね!!」

 

バン!!!

 

一人が放った弾丸が佐藤の頭部に命中し、貫通。そのまま佐藤は出血して倒れた

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

「…………え?…え?」

 

「これ………え?」

 

ヤクザの全員が混乱していた

 

(し、死んだ…!?弾丸1発で…?!!?)

 

物陰から見ていたヨウコも驚きを隠せない。

 

 

 

「と、とりあえず確認だ!!」

 

「あ、ああ…!」

 

何名かが佐藤を確認するために近づいていった。

佐藤を直接撃った組員は放心のあまり手から銃を落としていた。

 

 

「ほんとに死んだのか…?」

 

 

組員たちは倒れた佐藤に対して銃口を向けながら慎重に調べる

 

「さっき弾丸が貫通したように見えたからな……」

 

「まさか、弾丸一発で……」

 

「……あれ…?それより…血は………?」

 

「え?」

 

その瞬間、組員の一人の銃身が佐藤に掴まれる

 

「は__」

 

佐藤が銃を引き寄せて、顔面にパンチ。そのまま痛がる組員から銃を奪い取り、近くにいた他の組員も銃床で殴りつける

 

「ぐふっ…!」

 

近くにいた標的に追加で殴打して仕留める。素早く銃を構えて離れた標的に狙いを定める。

 

「まだ生きて__!」

 

 

 

 

 

バン!!!

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ………こういう感じなのか…キヴォトスの人間との戦闘ってのは………」

 

大量に転がる組員たち。佐藤は気絶させた彼女らの装備を物色しながら息を整えていた。

 

 

 

「…ん?」

 

少し離れたところから見ていたヨウコと目が合う。

 

「あ…!」

 

佐藤は彼女に向かって歩み寄っていった

 

「…………まずい、目があった…!こっちに来る」

 

「ちょ、リーダー…!どうするんですか!」

 

目覚めたばかりのマスミはうまく体を動かせないでいた

 

「わ、私が戦わないと___」

 

「やぁ!」

 

いつの間にか目の前まで迫っていた佐藤

 

「あああ!ごめんなさいぃ!アイツラと私たちは関係ないからぁ!!」

 

ヨウコが大声で叫ぶ。

 

「いやいや、君たちと戦うわけじゃないよ」

 

「へ?」

 

「君たち、学校は?」

 

「が、学校……?」

 

「そう、学校は楽しいかい?」

 

その言葉を聞いた二人の表情が曇る。

 

「………。何かあったの?」

 

「「………………」」

 

 

 

二人は母校が廃校になった経緯を説明した

佐藤は腰を落として、耳を傾けた

 

_______________________

 

 

 

 

「なるほど、砂漠化が原因で………辛かったね…」

 

佐藤は口を手で覆って隠す。その手で隠された表情は誰にも見られないようにして、その思案も読み取れない

 

(この子たちでいいかな……。)

 

「…………」

 

ヨウコは涙目になっていた。恐怖からの解放と、過去と再度向き合ったことで感情がおかしくなっていたのだ

 

「そういえば、あなたは誰なの…?大人だよね?さっきすごい強かった」

 

「ああ、まだ名乗ってなかったね。私は佐藤。元々、連邦生徒会の方で先生をしていた」

 

「先生?!」

 

「といっても、かの有名なシャーレの先生みたいな役職ではないけどね。ざっと言えば裏方みたいなものさ。」

 

もちろんデタラメだ。この内容もこれから語られる内容も、すべてデタラメだ。

 

「でも元々ってことは……いまは何をしてるんです?」

 

マスミの質問に対し、

佐藤の表情が突如として引き締まり、重く口を開いた

 

「………私は連邦生徒会が持っていたある秘密を知ってしまった。それのせいで、私は濡れ衣を着せられて投獄されそうになった。けどまぁ、何とか逃げ出すことができたんだよ」

 

「連邦生徒会…やっぱりまともな組織じゃないな…」

 

ヨウコが恨みのこもった声で言う

 

「………ある秘密って……なんです?それは」

 

マスミの質問に、佐藤は顔の前で手を組み、息を大きく吸う

 

「このアビドスで広がる砂漠化について、だ。」

 

「「!!」」

 

ヨウコとマスミは顔を見合わせた。

 

「…砂漠化…?………それに何の秘密が…?」

 

「結論から言おう。この砂漠化は自然災害などではない…!」

 

「………え?」

 

「…………じゃあなに、

誰かが引き起こしたって言いたいの…?」

 

「ああ、そうだ。この砂漠化は連邦生徒会…そしてアビドス高校によって引き起こされたものだ!」

 

佐藤の力強い声は空気を震わせた。

 

「ア、アビドス高校………?あの砂漠の端っこにある小さな学校…?そんなのがどうやって砂漠化を…?」

 

「砂漠化の起こし方は分からなかった。だがアビドス高校が主体となり、連邦生徒会はサポートという形で砂漠化は引き起こされた、という情報は掴んである。」

 

「いや、ま、待ってください…!たしかアビドス高校は昔はマンモス校だったはずで、砂嵐が起こった十数年前から、砂漠化で追いやられて見る影もないほど縮小したって聞いたことがあります。自分たちの首を絞めるようなこと、わざわざする必要が、どこに…。

それに連邦生徒会だって困るのは同じはず……」

 

マスミは自分の脳内の疑問を整理しようと懸命になっていたが、混乱は収められずにいた。

 

「彼女らは、土地の売買で金銭を得ていたようだ。自治区内はおろか、自治区外の土地すらも手にかけ、安値で購入し、それをカイザーと呼ばれる企業に売りつけて金を得る。カイザーはカイザーでその土地を軍事などに転用。そのような悪行で今の世代まで金銭を継続的に受け取り続けている」

 

「カイザー………最近いっぱい問題を起こしてるって聞いたことがありますけど………でもそんな突飛な話、信じられないですよ…。ねぇ、リーダー?」

 

「…………………」

 

ヨウコはマスミの呼びかけに目もくれず、一点を見つめている。

 

「リーダー……?リーダー……?………ヨウコ…?」

 

「砂漠化がなかったら……私たちはまだ学校にいれたんだ………」

 

「…え?」

 

「アビドスが…連邦生徒会が……悪さをしたから……私たちは………。………復讐しなきゃ……」

 

「な…………」

 

マスミは圧倒されていた。ヨウコが恨みに囚われ、進んではいけない道に行ってしまうのだと確信した。そしてマスミはそれについていくしかないのだとも確信した

 

 

「君たちと私が出会ったのは運命だと確信している。私が手を貸そう。復讐を始めるんだ。私が君たちを鍛え、君たちと共に戦う。」

 

佐藤が大きく息を吸い、力強く宣言する

 

「今日から私が君たちの先生だ」

 

解釈は自由だ。だから他者を騙せば、誰もが何者にもなれてしまう

 

「…うん、佐藤……先生……」

 

ヨウコの目は心酔と怨嗟に燃えていた

 

「復讐って…何するんです?」

 

マスミが聞く

 

「破壊だ」

 

佐藤が砂の上に4つの大きな丸と2つの小さな丸を描いた

 

「まず、アビドス高等学校を騙り、様々な大規模組織へテロ活動を行うんだ。そうすれば、アビドス高校の立場は地の底まで失墜するだろう。

そして、仕上げに連邦生徒会が管理する地区に対して大規模な作戦を展開する。彼らに全体の政治を行える権利などないと教えてやるんだ」

 

砂の上に描かれたテロ。それを見つめる2人

 

「大規模組織って……例えばなんです?」

 

「三大学園なんてどうかな。分かりやすい」

 

「…え…。そんなことできるわけ……」

 

「三大学園………。いいよ、何でもやってやるよ」

 

ヨウコは銃を持ち直し、気合を入れる

 

「ああ、私たちなら必ずできるさ」

 

佐藤が2人の肩に手を置く

 

「力を合わせて頑張ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

約3週間後、ヴァルキューレ本部 襲撃当日

 

そこから少し離れた場所のビル。

サイバーヘルメット団の2人はそこで待機していた

 

ニュースを確認し、行ったハッキングの振り返りをしているヨウコ。

 

「手…震えてるよ…」

 

マスミは銃を抱えて、隅でうずくまっていた。

 

「ヤバいんですよ……!」

 

手だけではない。マスミの全身が震えだす

 

「は?」

 

「これは……ヤバいですよ」

 

「……?」

 

その時、佐藤の乗った飛行船が爆発した。 遠くに設置したカメラの映像にはっきりと映っていた。建物は崩れ、煙が立ち上る

 

「おー、やるー」

 

ヨウコは軽く言うが、その目は真剣であった。

マスミは冷や汗をかきながら、しかしそれでも笑顔が浮かんでいる

 

「ああ、ほんとにやるんですね………!」

 

マスミの目の色が変わった

 

 

 

 

 

 




全然関係ないけどノゾミがすり抜けて、ん~~♡
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