「これは…………」
現場に到着した先生。ヴァルキューレのビルは崩れ落ち、あたりは火事が続いている。そこら中に瓦礫が散らばり、怪我人が担架で運ばれていく。その惨状に言葉を失う。
「rabbit小隊のみんなは……」
「先生…来られていたんですか」
「カンナ…!」
松葉杖を突き、頭に包帯を巻いたカンナが近づいてくる。
「怪我してるの?!大丈夫?」
「ビルの中にいたもんですから、かなり痛手を負ってしまいました。ですが杖さえあれば一人で歩けます。」
「他のみんなは…?」
「さぁ…なんとも。無事だった生徒たちで瓦礫の撤去と救助を開始していますが……なんせこの規模です。時間がかかりますね。」
「その…SRTの子たちが来たはずなんだ。その子たちのことはなにかわかるかな。」
「あぁ…それなら向こうの救助テントのほうに。ついてきてください」
おぼつかない足取りのカンナについていく。
カンナに案内された先で見た景色に先生は衝撃を受ける。応急のベッドにサキ、ミヤコ、モエが寝ており、その隣に銃身の曲がった銃を持って座り込むミユの姿があった。
「みんな!」
「あ、先生……も、申し訳ありません」
「ミユ……。何があったの…?」
「私のせいなんです……わたしが……」
「………」
泣き出すミユに先生はかける言葉を見つけられなかった。見かねたカンナが会話を切り出す
「彼女らは佐藤といち早く交戦を開始しました。健闘むなしく、全員が戦闘不能にさせられてしまいましたが彼女らが戦っていたおかげで初期の対応に多くの人員を割く事が可能でした。戦闘の後、佐藤はどこかへ行ってしまいましたが、彼女たちが時間を稼いだことで救援の現場を佐藤に荒らされずに済んだのです。」
「そうだったのか……。みんな本当によく頑張ったよ。」
ミユが先生に目を向ける
「そう…ですかね…。でもあのとき…わたしが…あのとき…撃たなかったせいで…みんなが……。」
ミユが言葉を詰まらせていると、
「佐藤オォ!!」
サキが勢いよく目を覚ます。
「おはよう…サキ…。」
「先生!?佐藤はどこに行ったんだ?」
「…佐藤は逃げたよ」
サキが周囲を見渡し、状況を理解し始める
「そうか……負けたのか…。クソッ!」
「……うるさい…」
ミヤコが毛布に包まり、もう一度眠りにつく。
「んん……。あ〜、先生じゃん。」
モエも目を覚まし、体を起こす。
ミユが顔を埋め座り込んでいるのをサキが見つける
「ミユ!無事でよかった。…その銃どうしたんだ!?」
「これは…えっと…その」
「お目覚めのところ悪いが、お前たちには聞きたいことがある。」
カンナが話し始める
「うわっ…。狂犬だ。すごい怪我してる」
サキがようやくカンナに気づく。
「私のことはどうでもいい。重要なのは佐藤についてだ。お前たちSRTが一人の人間に負ける。普通ならばあり得ない事態だ。
……佐藤はいったいどんな戦い方を?」
「…………」
rabbit小隊のみんなが佐藤の能力について話した。
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「………………亜人。死んでも生き返る……か。オマケにIBM…。ミユを放り投げ、モエを一撃で気絶させた…。」
先生がメモをとり、まとめる。
それをカンナが覗き込む
「そういえば、部下が佐藤を止めようとしたときに、奇妙な声を発して動けなくなったとも言っておりました。」
「奇妙な声…。」
先生がメモを付け足す。
「ですがおそらく、これは耳栓などで対処できてるでしょう。声の聞こえないくらい遠くから佐藤を確認した部下によると動けなくなったなどはなかったようですし」
「となると問題は…」
「不死身とIBM……。」
「不死身…というか、死んでも生き返る。これでは我々の銃器はなんの脅威になりません。rabbit小隊が考案した殺し続ける方法も条件が揃わないと厳しいものがあります。」
先生がしばらく考え込む
「…麻酔。そうだ。麻酔銃ってのどうかな?」
「確かに。眠らせれば死ぬこともなく、佐藤を拘束できます。」
「けど確か麻酔銃は違法のはず……」
「え?先生。麻酔銃なんてなんの規制もかけられていませんが……」
先生は思い出した。ここはキヴォトスだ。
「そうだね……とりあえず、亜人対策として耳栓と麻酔銃。これを周知させておこう。そしてIBM……これは……」
「いかんせん情報が少なすぎますね。」
「……情報…か。…可能性は低いけど、トリニティの図書館。あそこなら何かしら亜人やIBMについての書物がある……かもしれない」
「他の世界から来た存在に関する書物…ですか。いくらトリニティといえども……」
「まぁ…一人アテにしている生徒がいるんだ。その子に協力をお願いしようかな。」
「そうですね。何もしないわけにはいかないですし。我々も佐藤の犯行現場での調査を始めてみようと思います」
「頼りにしてるよ、カンナ。それじゃまた。rabbit小隊の子たちのこともしばらくよろしくね。」
「トリニティの方へ行かれるんですね、車でも出しましょうか」
「いや、まず最初に
アビドス高等学校の方に行くよ」