サイバーヘルメット団のアジト
「どうだい?うまくできたかい?」
佐藤が副リーダーのパソコンの画面を覗き込む。
「ええ、キヴォトスのあらゆる端末にURLを添付したメールを送信しました。今ネット上でお祭り騒ぎですよ」
愉快そうに副リーダーが語る
「それにどんな技術を持ってしてもこちらを特定できないように細工してある。ふふふふ」
リーダーが微笑む。
「あ、そうだ佐藤先生。届けるように言われてた荷物だけど、多分ちゃんと2日後までには届くってさ。あれには何が入ってるの?」
「ん?………お守りだよ。」
「へぇ…?そう。まぁいいや。
………!。手、怪我してるけど大丈夫?」
リーダーが佐藤の左手の包帯に気づく
「あぁ、これかい?大丈夫。すぐに気にならなくなるから」
「…………?」
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シロコと先生がゲヘナに到着する。
風紀委員会の部屋を目指して校舎を駆ける。
「ひどい、こんなに荒れてる…。これもテロ予告の影響で…」
シロコが校内を見回す
「大丈夫、これはいつも通りだから。」
「…………。」
シロコが言葉を失う。
「風紀委員には話を通してある。急ごう」
先生が風紀委員会の扉を開く
「ヒナ、待ったかい?」
「先生……!?ずいぶんと早く……」
「さっきまでトリニティにいたからね。距離はそんなになかったよ。」
「そう。
まぁ、この事態、先生が協力してくてすごく頼もしい。
……それにアビドスのあなた。砂狼シロコ。話は聞いた。この事態においてあなたも頼りにしている。先生がついているっていうのはもちろん、前に会ったときから信頼はしている。」
「ん、ありがとう」
ヒナと話していると続々とゲヘナの生徒が入ってくる。
アコ、イオリ、チナツ、セナ。それに他の風紀委員や救急医学部の生徒が何人か入ってくる。
「みんな集まったかな?」
先生が全員を見渡す
「風紀委員会を通して亜人、佐藤の情報を提供した。耳栓、麻酔の準備はあるかい?」
チナツがカバンから銃を取り出す
「こちらは私と救急医学部と連携し作り出した小型麻酔銃の試作品です。量産はまだで、数に限りもあります。ですが一発でも命中すれば、普通の人間は眠りにつくはずです。」
アコが無線のイヤホンを机に並べる。
「耳栓を兼ねた無線イヤホンです。佐藤と対峙する際はこちらをつけてください。こちらは風紀委員会と救急医学部の全員分と予備が大量にあるのでご安心を」
ヒナがゲヘナの地図を広げる
「前回ヴァルキューレの本部ビルを襲撃したことから、今回の襲撃も主要な第一校舎を標的するものだと考えられる。
よって、作戦としては麻酔部隊は中央で待機。東と西、それと南の入口を実銃隊で固める。佐藤が侵入した入口の部隊が食い止め、その間に麻酔部隊と他の入口の実銃部隊が合流する。以上が作戦。なにか質問はある?」
「飛行船が突っ込んできたりはしないの?」
イオリが質問する
先生が答える
「それは大丈夫。先日のテロを受けて、飛行船は全便が止まってる。他の飛行機とかも以前にもまして厳重なセキュリティを敷いてある。そのへんは気にしなくていいと思う。」
シロコが手を挙げる
「佐藤を食い止めるって…だいたいどれくらいの時間食い止めていればいいの?」
アコが答える
「そうですね…。だいたい麻酔部隊にはどの入口からも同じ距離の地点にいてもらうので……全力で走っておおよそ15分程度ですね。ゲヘナって結構広いもので……。」
「ん、わかった」
ヒナがペンを持つ
「それじゃ配置を決めていきたい。地形から考えて、イオリの指示のもと三班は西を。私と一班は南。二班はアコの統制のもとアビドスの砂狼シロコを加えて東の防衛を。麻酔部隊は救急医学部を中心として結成する。セナとチナツの指示に従って。先生も中央で総合的な指揮を。異議のあるものは?」
風紀委員の一人が手を挙げる
「あの………そいつも加わるんですか?アビドスなんですよね…?」
シロコを指差す
「…!」
ヒナがその風紀委員を見据える
「もちろん。伝えておいたでしょ。彼女も自分の学校の名前を勝手に利用されているだけの被害者。ここにいる人間と立ち場は変わらない。なにより私が信頼している。受け入れてほしい。」
「………わかりました……」
「大変かもだけど、よろしく班長。
襲撃は予告通りなら2日後の夜。2日後の朝に集合をかける。それまでに各部隊ごとに準備をよろしく。
以上、解散。」
生徒たちが部屋から出ていく。ヒナと先生はまだ話し合っている。
シロコはそれを眺めている
すると、さっきシロコを指さした風紀委員が近寄ってくる
「えっと…砂狼……シロコ…だっけ…?さっきはなんかごめんな。お前だって大変なのに。」
「ん、大丈夫。気にしてない。こういう扱いだってことは覚悟してきてる」
「そうか…。私はお前が同行する二班の班長だ。私のことは班長とでも呼んでおいてくれ。どうせこの作戦が終わるまでの間柄だろうからな。」
「よろしく、班長。それで、私になにか用?」
「そうだ。お前に渡したいものがある。ついてきてくれるか?」
シロコが班長についていく。
校舎の端にあるロッカーの前まで来る。
班長がロッカーから取り出したものをシロコに渡す
「ゲヘナの制服だ。こんな状況で他校の制服を着ていると目立つだろう。着るといい。」
「……ありがとう」
制服を受け取り、シロコが着替える。
「私の予備の制服だからな…サイズが合うかどうか…」
制服はシロコにぴったりと合った。
「サイズが合っていてよかった。似合ってるぞ。それはもうお前のものだ。やるよ」
「………いいの?あなたの制服をもらっても…」
「ああ、別に予備に変える機会なんてないだろうしな。不満があるなら返してくれてもいいが」
「いや、不満なんて。……ありがとう」
「これから二班で合わせをやる。お前も来い」
「ん、わかった」
二人で廊下を歩いていく
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まだ風紀委員会の部屋にいたヒナと先生。ありとあらゆる資料に目を通していた。
「ここの排気管。ここからここへの近道にならないか?」
「たしかに。騒動が終わるまで塞いでおこう」
何枚もの書類を見ながら二人は会議を続ける。
先生が一枚の紙を見つめる
「………。ヒナ、これは?」
「これは…たぶん配達の記録。記載がわかりにくいけど、ここの図を見ればだいたいわかる。」
そこの書類に書かれていたのは
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救急医学部 麻酔剤 百人分
配達済み
風紀委員会 弾薬等の装備配達
配達済み
万魔殿 焼き鳥パーティーセット 八人前
未配達
経路不明 犬用首輪 10個セット
未配達
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「焼き鳥…パーティセット……。」
先生が絶句する。
「マコトのか…万魔殿はこのテロ対策に対してなんの支援もしないって言い切ってる。まぁ、邪魔するわけでもないだろうし、無視でいいと思う。」
「ええ……」
「怪しいのはこの経路不明の大量の犬の首輪……。念の為業者に言って、キャンセルしてもらう。」
「いや、それは……、」
先生は止めるに止められなかった。先生はその不明な経路を知っていて用途も知っていた。だからこそだ。
結局、配達はキャンセルし、その後も順調に会議を進めその日の夜に解散した
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2日後
「あ、熱い……。」
ここはゲヘナの火山地帯。
佐藤とサイバーヘルメット団一行は火山を登っていた。
「さ、佐藤先生。一体どうして火山なんかに……ゲヘナ学園を襲うんじゃ……」
「不死鳥を知ってるかい?」
「……え?不死鳥ですか?知ってますよ。死なないんですよね。なんだか佐藤先生に似てるかも…ははは……」
副リーダーが元気なく笑う。
「伝承によると、不死鳥は死ぬ。不死鳥は死に際になると自らを燃やし、その灰から復活するんだ」
「へぇ。ためになるなぁ………いったい……なんの話をしたいんだ…佐藤先生…?」
そのまま火山の火口へと近づく。
サイバーヘルメット団の二人が怖気づく。
「さ、佐藤先生…!これ以上は危険だ!いくらあんたが亜人だからって………マグマに飛び込んだら……!」
「我々も限界です…!目的は知りませんが…帰還しましょう……!」
佐藤が口を開く。
「あ。」
「?」
「別にここに君たちを連れてくる必要なかったよ。忘れてた。君たちは帰っていいよ」
「え…?」
「じゃあ佐藤先生はどうするんですか…?」
「亜人は絶命すると一番大きな肉片から再生するんだ」
「……な、なんの話ですか?」
「うまく行けば面白いものが見られるよ」
佐藤が、火山の火口に飛び込む
「先生…?!」
「転送だ」
佐藤が溶岩に全身を焼かれる