file.8 お届け
夜
佐藤が指定した犯行予告までもうすぐ
「キキキ。今頃、風紀委員会は佐藤対策に奔走してるとこだろうな。」
万魔殿のマコトがグラスを揺らしながら笑う
「何もしなくていいんですか?先輩。もう少しで佐藤がやってきますけど…」
イロハがめんどくさそうにマコトに聞く
「キキキッ!聞いて驚くな。我々、万魔殿は密かに佐藤と同盟を組んでいる…!よってゲヘナに襲撃などありえないのだ…!」
「それは……すごい。先輩らしからぬ有能ぶりですね…。」
「そうだろう…!すごいだろう…!
佐藤の真の目的はキヴォトスの征服。そこで同じ目的である我々と手を組もうとなったわけだ!
そしてこの荷物。佐藤からの献上品、焼き鳥パーティセットだ!
風紀委員会の奴らに同盟のことは伝えていない。風紀委員会の奴らが、来もしない佐藤のために奔走している間にこれを楽しもうではないか。キキキ!」
「焼きとり…?!イブキも食べたーい!」
「いいぞ!存分に食べるんだ。なんせこの量だからな。…………………………。
…………普通に量が多いぞこれ……」
段ボールいっぱいに詰まった焼き鳥を見てマコトは困惑する
「まさか……危険なものでも入ってるんじゃ……」
イロハが心配する
「そこは安心しろ!この荷物は二重のレントゲン検査がされてある。万が一にも不審物は持ち込めまい」
「じゃあ……本当に量が多いだけですねこれ……。はぁ……」
万魔殿のみんなで焼き鳥を皿に並べる。カセットコンロを持ってきたりと、着々準備を進めていた。
「ん?なにこれは…?」
チアキが緩衝材に使われていた布を引っ張り出す。
男性用のワイシャツとサスペンダーのついたのズボン。そしてハンチング帽。
「うああああああああああ!!??!?」
突如マコトが叫び散らす
「マコトちゃん…!?」
サツキが駆けつける
「ひ、人の手、手だ…!!」
焼き鳥の山の中に人間の手が入っていた。
イロハがイブキを抱える
「これは……なにか………嫌な予感が……。」
「な、なん何だこれは」
マコトが恐る恐る、人間の手を掴もうとする。
その瞬間、手から人間の体が生えてきた。
「「……!」」
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30分前…………
『総員、配置について、佐藤が来るまで残り30分を切った。』
ヒナが無線で伝達する
『こちら3班、配置終わり』
『こちら2班、配置についた』
『麻酔部隊、装備確認終わり。いつでもいけます』
『それと、ゲヘナの生徒は帰ってと言われて帰るような生徒じゃない。夜とはいえ、一般の生徒の存在も忘れないで』
『『了解』』
各々が戦闘の準備を終える。
戦場には静寂が広がるのみ。時計の秒針だけが音を伝えていた。
残り十分
残り五分
残り一分
残り30秒
残り10秒
残り..3....2....1...…………………
「………………………………………………。」
ヒナが無線に手を当てる
『………各班、佐藤を確認したものは……?』
『三班、確認してません』
『二班、確認していない』
「………おかしい。佐藤が怖気づくわけがない。確実に時間に来るはず……」
先生が時計を確認する
パーン!パン!ドドドド!
「…?」
(何だ…?銃声?万魔殿の方から?)
(もしかして………佐藤が………まさか。………でも………)
“断頭だ……”
先生の頭にセイアの言葉がよぎる。
(いや……ない!あるわけがない!死ぬんだぞ…!…いくら佐藤がイかれてるからって…………でも仮に……もし仮に…亜人の再生の核が……一番大きい肉片であるとするなら………。)
先生が考えに考えを巡らせる。
「ハァ…ハァ…………!」
そこにイブキを抱えたイロハが走ってくる。
「イロハ…?!」
怪我まみれのイロハが先生のもとに来る。
「どうしたんですか…?!…この怪我…」
セナが近寄る。
「あいつが……ハァ、ハァ。
佐藤が、きました…。
ハァ、ハァ……イブキを連れるだけで…精一杯で……」
イロハが息を切らしながら、話す。
「な…!」
「イロハ先輩!むりしちゃ……」
イロハから離れようとするイブキ
しかしイロハはイブキを離さない
「すみません…。万魔殿の失態です。あいつの……荷物の……焼き鳥から……手が…。それで……佐藤が……現れて……。マコト先輩はすぐに気絶させられて……残りの人員で戦っていますが……それも…いつまで持つか……。みんなからイブキを安全な場所までと…託されて……私は……。」
朦朧としながらイロハは話す
先生がはっとする
(あの荷物…焼き鳥の…!佐藤の差し金だったのか……またマコトがなにかしたんだろうけど……。
それよりも、………
おそらく、佐藤が断頭を受け入れている………)
「……わかった。誰かイロハを安全なところまでつれて行ってくれ。」
救急医学部の一人がイロハを担いで外へ連れ出した。
先生が無線を繋げる。
『各員に伝達…。佐藤が現れた。場所は万魔殿。』
「え…なんで」
イオリが混乱する…。
アコ、ヒナ、シロコも同様に困惑する。
『正直に言う。……作戦は破綻した……。佐藤の現在位置から一番近い……というか中央部にいるのは麻酔部隊。このまま行けば佐藤と接触は避けられない。』
先生は考える。
(実銃部隊がたどり着くまで…15分。こっちから実銃部隊と合流するべきか…?そうすれば5分程度で……。
いや、ろくな体制も取れないまま佐藤と鉢合わせたらどうする…。いずれ各個撃破されて終わるだけだ。
こちらが麻酔を準備していると知られていない今。今しか佐藤を倒すチャンスはない……!)
『…………よって実銃部隊抜きの麻酔部隊のみで佐藤を捕縛する。だけど実銃部隊はできる限り中央に集まってほしい』
『……了解……。』
ヒナが返事をする。
「……急ぐよ…!」
ヒナが部下に指示を出す。
イオリ、シロコと全員が中央へと走り出す。
「セナ、チナツ。麻酔部隊の統率を頼む。多分…事前に話したようにはいかないと思う。でもチャンスは今しかないんだ…。頼む…!」
「…わかりました。おまかせを」
「麻酔部隊、配置を1からやり直します。万魔殿の方から対象は来ます。時間はありません。自分で遮蔽を探して、射線を通してください。」
「「了解!!」」
救急医学部の生徒たちが移動し始める。
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「ふぅ…ちょっと頑丈すぎるよ。キヴォトス人って…」
万魔殿の生徒全員を気絶させた佐藤が部屋を出る。
「さて、どんなダンジョンになってるのかな?」
夜の校舎、佐藤が奪った銃を持って歩き出す