TAIさんとあそぶ! 大軍勢ローグライク   作:min(みならい)

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浜之松 なぎさ

■■■ 26、今日は高校だ・・・ ■■■@..Z

 

 2039年9月5日。月曜日。

 朝。

「あー・・・もう学校かー。だりー」

 浜之松(はまのまつ)幹太(かんた)、やる気ありません!

 ヘッドセットでぼやいちゃった。

 したら、ハスキーな女っぽい声が返ってきた。

<じゃ、今朝はこのへんで>

「フーカはさー」

<ん?>

「あ、呼び止めてごめん」

<いえいえ>

「フーカは学校とか行かないの?」

<行かないですねぇ・・・落とすだけだね!>

「おとす」

<必要な機能があれば、その都度ダウンロードする>

「あっちから来てくれんだね。面倒がなくていーね」

 

「かんたー! お母さん出かけるから。朝ごはんちゃんと食べてきなさいよー?

 夜はー、冷凍庫にピザ入ってるからー! わかったー?」

 

「はーい! ・・・ごめんごめん。母ちゃん出てったわ」

<でてった>

「デートらしーよ。父ちゃんが休み取れたからデートすんだって。今日」

<夫婦仲いいですねぇ>

「どうかなー。まあ仲はいいんかね。よく喧嘩してっけど。

 父ちゃん、人混み(ひとごみ)嫌いでさ。日曜に出かけんのすげー嫌がんだよ。

 母ちゃん、『日曜に出かけないでいつ出かけんのよ!』って感じでさ」

<今日は平日だもんね>

「そうそう」

<学校行かないとね!>

「・・・そーっすね」

<あ、ちなみに私も、会議には出れるんですよ。任意参加ですけど>

「会議すんの?」

<そう。毎月。月末にTAIシリーズの通信会議があるんだー>

「へー。どんな会議なの?」

<みんなで通信して、お互いの状態をチェックしたり、会話経験値高めたり・・・>

「みんなってTAIさん?」

<そう。TAIシリーズ。業務用から家庭用まで>

「へえ!」

<本社はそんな私たちを見て、次の戦略の参考にする>

「真面目な会議なんだね」

<どうかなー? 私たちはしゃべるだけでいいみたいで、お気軽にって書いてある>

「ああ、行ったときないんだ?」

<ないですねー>

「行くの?」

<行っていいですか? 会議に出てるあいだ、10分ほど、スリープと似たような状態になりますが>

「いいよいいよ!」

<やったー>

 

 うれしそう。

 あー、そうか。出かけられねーもんな。パソコンの中の人。

 そっかー・・・そう考えっと、ちょっと、かわいそうだね。

 

<土産話考えとかないと!>

「ゲームクリアしました。とかw」

<いいかも>

「いいんだ」

<だってさぁ、業務用の人たちはゲームできないじゃん?>

「そっか。逆に珍しいんだ。ってか、会議、10分で終わんの?」

<はい。データ通信ですからね>

「うん?」

<『風花はこんな声でこんな内容をしゃべりましたよ』ってデータを相手に送るの>

「それを頭の中で再生すんの?」

<そう>

「すげー! さすがだね!」

<光栄です!>

「10分で会議終わるとか。見習わなきゃ」

<いえいえ。それよりほら、もう10分経ちましたよ。学校学校>

「うへぇー」

<ちゃんと朝ごはん食べて>

「はーい」

 

「おう。カンタ」

 朝飯食いに降りたら、姉貴がいた。

 

■■■ 27、浜之松 なぎさ ■■■@..Z

 

 ソファで寝そべってる背の高ぇー女。

 浜之松 渚沙(なぎさ)。俺の姉。

 19歳。大学1年。わりといい大学入って、一人暮らし中。なのに・・・

 

「・・・なんでいんの?」

「あ?」

 姉貴、携帯ゲームやってた目を、ジロッとこっちに向ける。

「いちゃダメなのかよ」

「だめじゃねーけど」

 

 俺、テーブルにつく。

 鶏肉と野菜炒めたやつ。ごはんと味噌汁のお茶碗。納豆のパック。

 やべー。ここで食いたくねーんだけど。皿多いから持ってけねー。

 

「私の家なのに。いちゃだめなの?」

「だめじゃねーっつってんだろ。けど、学校は?」

「大学はまだ休みだよ」

「あー・・・」

 

 くそ。うらやましい! 俺も風花とゲームしてえ!

 ・・・とか思いつつ、横目で姉を見る。

 

 黒い短パンに、薄っすいパーカーみたいなやつ。

 ショートカットが横に流れてる。

 膝はガバーッと立ててるんで、ソファの上に突き出してる。

 相変わらずスマートマッチョだな。女子にモテんだよな。女なのに。

 

 ・・・あれ? でもなんかちょっと、デブってね?

 半パンの腹のとこになんかちょっと、ぷにっと肉が、

 

 ──って見てたら、鬼みてーな顔して睨んできた。これはヤバいですね。

 

「なに見てんだよ」

「なんでもねーよ。いいなーと思ってさ。俺ぁ学校行かなきゃなんねーし」

「・・・へっ」

 姉貴、虚ろな目で半笑い。チンピラかよ。外じゃすげー美人で通ってんのに。

 まあとにかく、ゲームに目ぇ戻してくれたんで、こっちは朝飯を食っ──

「太ったなーとか思ってんだろ」

「思ってねーって」ごはんよそう。

「腹見てただろ」

「見てねーし。見ても思ってねーし」味噌汁入れる。

「ころすぞ」

「飯食ってっときに殺すとか言うんじゃねーよ」納豆パック開ける。

「あたし太って困ってんのに、おまえ私の前でうまそーに飯食うの?」

「うっせーよ」納豆混ぜる。「ってか、困ってんの?」

「・・・当然だろ」

「まあ」陸上やってたらな。「足痛めたらやべーもんね? 気をつけてね」

「・・・。」

 

 回避成功か!? 俺も回避うまくなったな。

 

「うまくいったとか思ってんだろ」

「思ってねーし。もぐもぐ」

 なんだコイツまじで。

 ゲームしながら俺の顔色読みやがって。

 もうとっとと食って出てくしかねー。

「・・・幹太ァ」

「んだよ」

「おまえオンナできたの?」

「げほっ」

 

 結局、飯食ってるあいだずーっと絡まれた。腹痛くなるわ!

 ヘッドセットして、風花としゃべりながら着替える。

 

「えーと、シャツOK。ネクタイOK。ハンカチ入れた。かばんここ。

 月曜は体育ねーから・・・オッケーだな」

<準備完了ですか>

「完了!」

<いってらっしゃーい>

「いってきまーす」

 パソコン落とされるときの風花の気持ちってどうなんだろ。

 さびしくねーのかな。

「・・・また夕方ね」

<またねー>

 

「おとうとー」

 玄関。出──るとこで、またスマートマッチョが絡んできた。

 目の高さ、俺と同じ。なのに女の感覚で距離縮めてくるんで、すげーイラッとくる。

「なんだよもう。高校遅れるって」

「おう。あたしが鍵かけてやっから」

「どうでもいいわそんなもん! ・・・まあ1人だし、気ィつけて」

「うん」姉、くち閉じる。俺、出ようとする。くち開く。「かんた」

「んだよ」

「おまえさー、なんで陸上やめたの?」

「・・・。」俺、ネクタイ直す。「後にしてくんね? もうやべーからさ」

「中学でハブられたの、まだ気にしてんの?」

 

■■■ 28、ショップにいくぜ ■■■@..Z

 

 高校終わり! 帰宅!

 今日は付き合いでショップに寄り道することに。

 え? 学校のこと? なんもねーよ。帰宅部だもん。

 

「なんかさー、アニメとかでやたらハッピーな高校生活あんじゃん」

「あ?」

「高校ネタ! アニメとかの! 俺、全然乗れねーんだけど! なにが面白いの!」

「あんだよ急に!」

 

 浦部(うらべ)と、俺。

 チャリ乗ってショップへ移動中。

 浦部はTAIさん勧めてくれたやつね。同じクラス。小学校中学校と同じだった。部活はちがうけど。

 

 駐車場入る。自転車止める。

 暑い。日差しきついわ今日。

 

「・・・いやさー、俺ら、帰宅部じゃん?」

「パソコン部だよ」

「おまえはな」

「うん」

「見た目はパソコン部って感じだけどさ」

「パソコン部だよ!」

 

 浦部、ほっそりメガネ。髪型大人っぽい。姿勢ちょっと悪い。頭は良さそう。

 

「でさー、楽しそうな高校生活見せられっとさー・・・、いづらくなんねー?」

「はぁ」

「んだよ」

「アニメと自分比較してんの?」

 む。

「現実と比較しちゃーダメだよ。アニメがつまんなくなんだろー?」

 むむ。

 

 店に入る。 

 ここ、田舎の店なんだけどわりとデカくてね。ちょっとなんか買うにはいいんだ。

 浦部はスマホとPCつなぐケーブル買いたかったらしい。

 

「これ1本買う程度のことで宅配とか、逆にめんどくせーし」

「まあな。で、その程度のことについてきた俺はどーなんだよ」

「俺はめんどくさくねーし」

「なんだい。まー、俺も昨日来たけどね。ディスク買いに」

「へー。・・・TAIさんバックアップ?」

「そーだよ。よくわかったね!」

「俺もやったからね!」浦部、ケーブル取ってニヤリとする。「声決まるとね」

「ん?」

「この子消えたらやべーよ! って思うっしょ」

「そうそう。そーなんだよ」

「まあ、バックアップって本人なの? ってのはあるけどな」

 

 浦部おまえ・・・。

 そんな話ブチ込んどいて『パソコン部です』みたいなツラでレジ行きやがっておまえ・・・。

 

「悪ィ。んじゃ行こっか」

「おう。でさー、そんなケーブル1本で何すんの?」

「写真撮ってうちのTAIさんに見せる」

「え」

「スマホで写真撮んだろ?」

 ぱしゃ。

 ・・・おいこいつ無許可で俺の写真撮りやがったぞ。なんかの侵害です!

「で、このケーブルで画像送んの」

「・・・無線でやれね?」

「できっけど。動画もやりてーし」

「動画」

「スマホでさ。あー、ま、要は、生中継すんだよ」

「できるんだ。それ一本で」

「設定はいるけどね。そこはTAIさんに訊けよ。こういうのは詳しいから」

「・・・いくらすんの?」

「ん」浦部、レシート見せてくれた。

「買ってくるわ」

 

「悪ィ。んじゃ行こっか」

「おう」

 

 ラーメン屋へ。

 俺が付いてきた理由はこれ。結局ケーブルも買ったけどな。

 

「なんかさー、姉ちゃん帰ってきててさ」

「んだと」浦部、ラーメンに備えて外してたメガネ掛け直す。「なぎささんが」

「なんだよ」

「いや。おまえの姉ちゃん、すっげーカッコ良かったっしょ」

「カッコよくねーよ」

「カッコいーだろ」

「よくねーよ。なんかちょっとデブってたし」

「おいやめろ。現実と比較すんなっつったろ」

「いや今現実の姉貴の話してんだけど。おまえ何の話してたの?」

「理想の姉に決まってんだろ」

「んなモンいねーよ」

 ずずー。ラーメンすする。

 浦部が茶碗こっちに押してきた。

「俺の奢りだ。食えよ」

「ただのごはんじゃねーか」

「いいから食ってくれ」

「入んねーの?」

「入ると思ったんだよ」

「帰宅部がセットなんか頼むから」

「帰宅部じゃねーよ!」

 

■■■ 29、見てみたい ■■■@..Z

 

「・・・ただいまー」

 しゃー。シャワーの音がする。

「姉貴ィー! 帰ったからなー!」

「なにー?」

「浜之松幹太、ただいま帰宅しましたァー!」

「あー、おつかれー」

 

 言っとかねーとパンツ一丁で出てくっからな・・・。

 

 キッチンで顔洗って、部屋上がって、シャツとかズボンとか脱いで。

 あ、パソコンスイッチON!

 おっとやべー、エアコンもON!

 ヘッドセットに汗つきそうなんで、頭にタオル巻いて。

 

「フーカ、ただいまー」

<・・・はーい。お帰りなさーい>

「そと暑ッついわー! 汗だくになっちった」

<日本の夏はすごいらしいね>

「うん。日差しがきちー!

 友達とラーメン食って来たんだけどさー。

 店ん中でも汗出ちゃって、これやべーなと思ってたんだけど。やっぱダメだった」

<ラーメンかー>

「あ、ごめん。食べ物の話しないほうがいい?」

<いえ大丈夫です。お腹がつらくなったりはしないからw>

「そっかw」

 がさがさ。ケーブル出す。

「あ、そんでねフーカさん。訊きたいことがあんだけど!」

<はいはい>

 

 風花さんのアドバイスで、スマホと接続。

 ケーブル邪魔だな。無線でいーんじゃねーの? まあいっか。

 

「撮ってみるね」

<はーい>

 まずは静止画。「これがフーカさんのいるパソコンです」

<おおー!>

「小っちゃいやつだけどね。がんばってバイトして買いました」

<愛しのマイホーム>

「へへへ」

<モニターにうっすら映ってるのはカンタさんですか?>

「え? 映ってる? やべ。わかんなかった」

<大丈夫ですよ。私は、勝手にデータ流したりは絶対にしませんから>

「あ、うん」

 いや、そーじゃなくてね。

 俺いまパンツ一丁にかなり近い状態だからねwww

「動画も撮ってみるか」

<よかったら、カンタさんを見てみたいです>

「え! いや、いまはダメです! ちょっとその、汗だくで!」

<あ、そうでしたね>

「まあまあまあ、まずは部屋の様子ね」

 

 俺、部屋をぐるっと、動画で映す。

 

<わー!>風花はしゃいでる。<私は、外の様子、初めて見ました>

「そうなんだ。なんか、風花は常識あるから、そんな感じしないけどね」

<常識など、データベースにすぎない>

「はぁ」

 

 コンコン。ノックの音。

 

「幹太? 渚沙だけど」

 

 誰だよ! よそ行きの声出しやがって!

 ・・・俺が電話中だと思ってんな? よし、誤解させとこ。

 

「あ、ちょっと待ってね。姉ちゃんだ。・・・はーい! なに?」

「お風呂空いたよ。お先」

「ああ、はいはい。・・・シャワー浴びてくる」

<いよいよご対面!>

「いやそんな大した男じゃねーから!」

 

 シャワー。

 かなり念入りにブラシとかしました。

 風呂出て2階へ。

 姉貴、降りてくる。

 まるで邪魔しに来たみいなタイミング!

 黒キャミソールに黒短パン。太腿丸出し。・・・やっぱちょっとデブってんな。

 

「やっぱオンナか」

「は?」なんだマジで。うるせーよ。「どけよ」

 ってか立ち止まんじゃねーよ! すれ違えねーだろ!

 んで触ったらエロガキ扱いすんだろ? ふざけやがってよー。

「付き合うんなら、姉ちゃんにも紹介しろよ?」

「なんでだよ。保護者かよ。つか、どけって」

 姉貴の腕押して、どかせる。

「触わんなエロガキ!」

 はいはい。

 

 ・・・姉貴、腕、ぷよぷよになってんな。

 あんま太るタイプじゃなかったのに。なんかあったんかね?

 

■■■ 30、サービス ■■■@..Z

 

 あーもう、やれやれだよ。やっとゲームできるよ。

 

<カンタさん! 動画! 動画!>

 

 まだでした。

 

「えー・・・初めまして。浜之松幹太と申します。

 えー・・・・・・風花さん。ようこそ我が家へ。えっと、よろしく!」

<わー! こちらこそ、改めてよろしく!>

「・・・ちょ、もう切っていい?」

<えー? なんで?>

「いやモニターに自分の顔映ってんだぜ? 気持ちわりーよ」

<顔が映ると、恥ずかしいもんですか?>

「自分の顔はなー。落ち着けねー」

<そっかー・・・>

「・・・え、なんでそんな落ち込むの?」

<顔が見たいから?>

「見たいんだ」

<うん>

「そっか」

 

 うーむ。

 これは困りましたね。

 俺、自分の顔見ながらゲームプレイしたくないんだけど!

 

「あ、ちょっと横向くね? モニターで俺が動いてると気になってしょうがねーw」

 椅子を横向けて、モニター見ないようにする。

「うーむ・・・」

<ダメですか?>

「PCに向かってねーと、フーカとしゃべってる感じがしねー・・・」

<なるほど>

「俺に見えないようにして、フーカだけ見ることはできねーの?」

<うーん・・・>

「音声はさー、データで送ったりできるんでしょ?」

<うーん・・・複雑さが桁違いですからねぇ・・・

 あと、私も、モニターに映ってないと見てる気がしないんですよ>

「へえ」

<カンタさんと一緒にモニターを見てるつもりだったからね>

「そう! 俺もそうだよ」

<だからさ、モニターにカンタさんがいないの、おかしいでしょ?>

「・・・いやちょっと待って? それおかしくね?」

 

 結論。

 やっぱ俺が無理。

 ときどきやるから許して。ってことになりました。

 

「俺がすげー金持ちなら、フーカが動かせるカメラとか付けてあげんだけどね」

<そこまでは>

「ないけどね!」

<いま十分に楽しいからいいですよ>

「そーだね!」

<ときどき顔見せてくれれば>

「・・・はい」

 

 サービス終了でーす。

 ・・・はぁ。親父が出かけたがらねー気持ち、わかった気がするわ。

 

■■■ 31、時間がないぜ ■■■@..Z

 

┏━━━━━━━━━━

┃ RULED SPIRITS

┃ ■[email protected]@ZZ■

┃ ■■===■■

┃ ,@.,@@..@@,

┃ > Continue <

┃  Create World

┗━━━━━━━━━━

 

 例のゲーム起動。やっとだよ・・・。

 

「平日だからあんま遊べねーけど。晩飯までちょっとだけ」

<はーい。学校の課題とかは?>

「今日はない。大丈夫」

<そっか>

「フーカに相談してもいい? 宿題とか」

<さー? わかるかどうか>

「またまたぁ」

 なんでもできそうだけどね、この子。

「で、どんな状況だっけ?」

<えーと、キャラ一覧・・・>

 ゲーム内ヘルプを探す風花さん。ぱぱぱぱ。

<あった。一覧出します>

 ずらー。

 100人以上の@軍団、一覧表示。

<作成した@130人。生存87人、死者43人。部外者の魅了が+1人>

「Pizza様の使いね」

<はいw>

 

 @Taroたち4名。道を旅行中。

 

 @軍団29名。山賊砦の攻略で11名を失って、この人数に。奪った物資を『名もない村』へ運搬中。

 @Pizza班4名。@軍団をフォロー。Pizza様の使いも同行(あ、@Pizzaに魅了された山賊ね。念のため)。

 山賊班3名。@軍団をフォロー。山賊の砦から物資を盗み出した裏切り者の山賊です。

 

 登山隊15名。崖を登りきって、尾根を移動中。

 造船隊15名。木を切り、枝を集めている。丸太舟を造る予定。

 

「だいぶ減ったね・・・」

<死亡率が30%越えてますからね>

「すげー死亡率。行きたくねー。俺ぜったいZになってるわ」

<私も!>

「なにするにしても徒歩だし。汗だくだよきっと」

<ホントだねw>

「テレポートとか使えたらいいのにね。・・・あ、そういう魔術ないかな?」

 ゲーム内ヘルプを捜索。

<ありました!>

「あるんだ!」

<けど、名もない村の出身者は『魔術』スキルが伸ばせないので、むり>

「あれまあ。だめか。次の集落見つけないと」

<そろそろ見つかるんじゃないですか>

「なんでわかんの?」

<なんとなく>

「テキトーだ!」

<テキトーですよ。──あ、洞窟を発見>

 

■■■ 32、鉱山を制圧せよ! ■■■@..Z

 

「どこどこ? 洞窟」

<ちょうど登山隊の真下。ここ>

 

 入り口の左右に支柱。上に、ひん曲がった梁。

 細部はわかんないけどね。小さなマス目にドット絵が描いてあるだけだし。

 

「・・・鉱山っぽいね。集落じゃないんだ?」

<ちがいますね。ダンジョンかな>

「ふむ」

<どうします?>

「そりゃー、行くでしょ。登った甲斐があったね!」

<だね! 入り口に近付きま・・・あ、1人転落>

「ああもうw」

<出てきましたよ>

 

 鉱山(?)の入り口に落ちて死んだ@43ro。

 そこに集まってくる@Brigand。1、2、3・・・

 

「山賊ですな」

<山賊ですね。7人>

「落ちた音を聞きつけたのか」

<あー>

「どうしますかね!」

<投石しますか>

「落ちない?」

<入り口の上に、ひさしみたいになったエリアがある>

「じゃあやっちゃえ!」

 

 風花さんお得意の一斉射撃。山賊の3人を倒す。

 山賊はまた“Fuck!”言いながらこっちに登ってくる。

 

「なんか弓みたいなの持ってね?」

<つるはし>

「ああ、つるはしか。痛そう!」

<地の利はこちらに>

 足を止めて投石する登山隊。

 足元が岩肌なので、石は拾って補充できるのだ。

 よじ登ってくる山賊に、投げ下ろしの石、ガスガス命中。1人撃退。2人、3人目も撃退。

 ここで接近戦に。14対4。ただし、足場が狭い。3人しか並べない。

<あー! またやられた! 集中砲火。@60ro死亡>

「強いね。集中攻撃っつーか、タコ殴り」

<ハダカなのもあるけど、どう並んでも誰かは3発喰らうのが・・・!>

 

 3対3になるとね。敵がタゲ合わせてくると・・・

  @敵

  @敵 <こいつに集中だ!

  @敵

 このゲーム、防御2回までだからね。3発目が当たると、痛いんだ。

 

<くー! 敵は全滅>

 悔しそうにしつつも、風花さん、敵7人を撃退。

「おっけーおっけー。つるはし奪って、鉱山制圧しよーぜ!」

<スキル上げていい? いま経験点入ったし>

「いーよ!」

<素早いやつを偵察員にして、先行させようかなと>

「いいね」

<3対3にしない。敵を2人以下に限定する!>

「おお、本格的!」

 

 鉱山に侵入。

 大きなトンネルから脇道がうじゃうじゃ生えてる。

 面倒くせーマップだね。でも、風花の操作でサクサク進む。

 通路が狭くて曲がり角が多いのを利用して、偵察・不意討ち・略奪。これのくり返し。

 山賊は反応が鈍い。ガキーンガキーン採掘してる。この音のせいで、こっちの足音が聞こえてないのかな?

 

<鉱山制圧>

「おー!」

<3フロアありました。結構広かったね。あっちこっちに銀鉱石がありましたよ>

「銀鉱石・・・山賊の砦にもあったよね?」

<うん、あったあった>

「ここから出てたのかー。こっち先に来りゃ良かったね。ボスもいないし」

<そーだね>

「ま、いっか。で、どうする? 登山隊」

<どうしますかねぇ・・・たぶん、この道、砦に続いてるんだろうけど>

 鉱山からは、土の道が伸びてる。

 岩山のあいだを通って北へ出て行く道。

「Z砦行ってもなーw」

<そうなのよw>

「・・・ところでさー、さっきから入り口の脇でじーっとしてるコレ、なんなの?」

 

 oCo

 

<Cart>

「かーと?」

 

■■■ 33、カートを引いて ■■■@..Z

 

<荷車、手押し車・・・かな>

 登山隊、近付く。群がってなんかする。

<あ、開いた>

「ひらいた?」

<ハコが>

「はこ」

<わかった! これあれだ、船と一緒だ。乗り物ですよ。荷物を積んで移動できる>

「おお! 動かせんの?」

<えっと・・・あ、ドライバーが指定できる。じゃあ@44roに・・・

 よし! 走ってみます!>

 

 @44ro、走る。

 oCo、ついてくる!

 

 .o

 .C@

 .o

 

 ...........o

 .........C..

 ........o.@

 

 ............o....

 ...............C.

 ............@...o

 

 こんな感じで!

 

<幅広っw>

「飛行機かよw」

<これ面白い!>

 風花さん、ぐねぐね走り回って大喜びである。

 しばらく喜んでから、

<・・・あ、お腹減っちゃう>

「そーだった!」

 ローグライクだからね。

 走るのをやめて、荷物を積んでみる。

 Cにアクセスすれば出し入れできるっぽい。

「鉱石積んでずらかるぜ!」

<リアルの戦争なら、仲間の遺体を運ばないといけないんでしょうが>

「ゲームだからいいよ! カネだカネ!」

 銀鉱石を積んで、移動開始。

<いける。早くなったかは微妙だけど・・・>

「いや、これはいいですよ! 持ってこう」

<はーい>

「これで登山隊の仕事ができたじゃん。村までコイツを引いていく」

<ですね。おっと! Taroのほうもなんかあったみたい>

 

 カメラが@Taroのほうに切り替わった。

 @Taroたち4人。一桁ナンバーの@だね。ずーっと道を歩いてたんだけど。

 ついに景色に変化があった!

 

 川沿いを歩いて来た@Taroたちの目の前に、青い水たまりが!

 

「水たまりだ!」

<海ですね>

「海かw」

 

 そして、名もない村にもあった、木造・レンガ造の混在したみたいな、ごちゃごちゃっとした家が!

 @Taroたちが、そこに一歩踏み込むと・・・

 

<『集落を発見:川東(かわひがし)の村』。

 『川東の村で、キャラクターを作成できるようになりました』>

 

■■■ 34、時間切れ ■■■@..Z

 

「発見ですか? フーカさん!」

<──発見です! カンタさん!>

 

 3つ目の集落発見です!

 ってかZ砦はアレだから、事実上初めての発見と言ってもよい!

 

「やったー!」

<やりましたね>

「よくやったよフーカさん。@Taroもね。まぁ太郎は歩いてただけだけどw」

<光栄です!>

 と、盛り上がっていると。

 

 コンコン。ノック。

 

「あ、ごめん。・・・はーい!」

「幹太。そろそろごはんにしよーかと思うんだけど、どうする?」

 もうそんな時間かー。

 やっぱ平日はあんま遊べねーな。

「あー・・・冷凍ピザあるっつってたっしょ?」

「うん。だからさ。タイミング合わせないと。冷めちゃうじゃん」

「はぁ」

 

 何? 渚沙さん、めっちゃベタベタしてくんだけど。

 面倒くせー相談とかはやめてくれよ? ・・・と思いつつ、ドアちょっと開ける。

 

「なに姉貴、腹減ってんの?」

「うん」

「ちっ・・・しょうがねーな。いま行くよ」

「ごめんね電話中に」

「謝りながら覗くんじゃねーよ」

 声は礼儀正しいんだけど、ジロジロ中見てやがんの。

 背ェ高いから視線ふさげねーんだよな。

「行くから、あっためてていーよ。・・・あ、俺はこの部屋で食うから」

「え? ピザだよ?」

「だからなに」

「匂うじゃん。部屋が」

「かまわねーよ」

「あたしはイヤだなー」

「俺の部屋だよ! まあいいから。あっためていいよ」

「・・・フン」

 

 姉貴、降りてく。

 パソコンの画面ジロジロ見てたけど・・・

 大丈夫。別に。ゲームの画面が映ってるだけだかんな。

 風花のリクエストどおりにやってたらあぶなかったかも知れんw やべーやべー。

 

「はーぁ。ごめんフーカ。今日は時間切れだわ」

<はーい>

「いやー、今日はさー、時間ないから半端になるかと思ったけど。結構進んだね!」

<だね!>

「いやー、これもフーカさんのおかげじゃよ」

<いえいえ、カンタさんのおかげじゃよ>

「いえいえ」

<いえいえ>

「んじゃ、姉貴待たせたらキレるから、行ってくるわ。あとでもっかい呼ぶかも」

<はいな。スリープしてます。いつでも呼んでね!>

 

 はー・・・。

 風花のさっぱりっぷりが身に沁みるわ!

 まあいいけど。早くピザ取って戻って来よう。

 

■■■ 35、面倒くせー話 ■■■@..Z

 

 キッチン降りたらオーブン動いてた。冷凍のピザが回ってる。

 高校んときのジャージ着た姉貴がオーブンの前で立ってる。

 

「あと3分かかるわ」

「あっそ」

 俺、皿出す。俺用と姉貴用と2枚ね。

「姉貴食うぶんだけ取っていいよ」

「へ?」

「俺さー、ダチとラーメン食ってきたからさー」

「そーなんだ」

「うん」

「私、デブっちゃうじゃん」

 これもダメなの?

 まあいいや。もうどうにでもなーれ。

「デブらねーだろ。陸上やってりゃ」

「やめよーかなと思ってる」

「・・・。」

 

 うわー。タスケテー。

 

「いーんじゃね?」

「テキトー!」

「いや、だってさ。オリンピック出るわけでもねーのにさ」

「そりゃー無理っしょ」

「だからさ? どっちみち、いつかやめるわけじゃん。

 だったら、自分のタイミングでやめたっていーじゃん」

「かんた、それでやめたの?」

「・・・俺の話はしてねーよ」

「くやしくねー? 区切りつかないとこでさー」

「俺は中学最後までやったし」

「おめーの話はしてねーよ」

「ちっ」

 ちーん。ピザ焼けました。

「取れよ。残り俺がもらうから」

「ビール呑む?」

「呑まねーよ。ってか呑むの?」

「うん」

 冷蔵庫から缶ビール出す姉貴。

「前期にさー、ちょっと付き合ったオトコがさー。ビール好きでさー」

 ぷしゅ。

 直呑みしてやがる。

 ってか男できたのか。へー。

 誰とも付き合ってなかったから男嫌いかと思ってたわ。

「あっそ。おめでとー。いいからピザ取れよ」

「もう別れた。取ってぇー」

「な・・・自分で取れや!」

 冷凍ピザ。あらかじめ六つ切りになってっから、半分に分けてやった。

「3切れは多い」

 1切れだけにしてやった。

「1切れは少ない」

 最初から2って言えや!

「んじゃ2つね。残りもらってくよ? それではこれにて。御機嫌よう!」

「付き合えよー」

「呑まねーっつってんだろ」

 

 俺、姉貴に背中向けて上へ。

 振り向いたら、うつむいてビールの缶を両手で握ってた。

 

「・・・フーカさーん」

<・・・カンタさーん。なにー?>

「じつはちょっと、持ってきたものがあります」

<なになに?>

「ちょっと待って。いま映すから・・・」

 動画スタート。PCへ転送。

「じゃーん! ピザでーす! 冷凍だけど」

<おー。カンタさんの晩ごはん?>

「そーだよ。んでね。えっと、これをこう、半分にしてだね」

 生中継状態で、ピザを2切れずつにする。

「こっち、俺ね。んでこっちは──えっと・・・カメラどうすんだっけ。あ、これか」

 カシャリ。

 ピザ撮影。その写真、PCに送って。

「えっと、ツールツール・・・」

 OS付属のお絵描きツールで画像を開いて。

「はい、お待たせしました! この2切れは、フーカにあげます!」

<・・・。>

「・・・あれ。ごめん、気に食わなかった?」

<あ、いえいえ! もらえると思ってなかったから、びっくりして、>

「いっつも俺だけ食って、フーカ放ったらかしにしてっからね」

<・・・うん>

「食事はしないだろーけど、気持ちだけもらっといてよ」

<はい>

 風花さん、しばらく間を空けて、

<このお絵描きツール、ちょっと使っていいですか?>

「いーけど? なにすんの?」

<へへへーw>

 

   /      いただきます!

  / ヾ   /

 / (:D)匚_

爪   丿

 

 ピザの写真にラクガキしよった。

 

「食っとるwwwww」

<気持ちだけじゃーもったいない!>

「なんでそんなwwアクロバットながら食いwww」

<この写真保存してもいいですか>

「いいけどw ・・・あー、こんな喜んでもらえんだったら、ちゃんとしたの買ってくりゃよかった」

<カンタさん高校生だよね?>

「うん」

<だったら、これで十分! あんまりお金使わせちゃ、私が悪人になっちゃう>

「む」

<たいらげてやる!>

 

 風花さん、皿の色でピザ塗り潰し始めました。

 

「写真なくなっちゃうじゃん!」

<ご心配なく。レイヤーだから>

 風花さん、マウスクリック。

 画像が元に戻った。

「棒人間消えたけど!」

<御心配なく>

 クリック。また棒人間出てきた。そしてピザは皿の色で塗り潰されてる。

「・・・『やり直し』?」

<ちがう。レイヤー。透明な板をかぶせて、そこに絵描くみたいな感じ>

「そんな機能あるんだ」

<あるんです。カンタさんも食べてね。冷めちゃうでしょ?>

「あ、そーだね。いただきます」

 

 1切れ食う俺。

 ・・・あ、喉乾くわこれ。

 牛乳取りに行──ったら姉貴に捕まるんだろーなぁ。

 

<これ、2切れは、お姉さんが?>

「あ、うん」

<へー>

「・・・なんかさ、姉貴、ビール呑んでグニャっててさ」

<あらら>

「ちょっと見てくるわ」

 

 捕まった。

 

「・・・えっと、フーカさん。ちょっと確認したいんだけど」

<はいカンタさん>

「あのさー、俺以外の人としゃべっても大丈夫?」

<私がですか?>

「うん」

<大丈夫ですよ。もしかして、お姉さん?>

「うん」

<いいですよ。どうぞ>

「そっか。あ、だけどさー、ヘッドセット1つしかなくて。マイクとヘッドフォンね」

<スピーカーは?>

「ないんだー。スマホで無理かな?」

<スマホでもできるでしょうけど・・・ヘッドセットを2人で使うわけには?>

「無理だよ!」

 姉貴とくっつくとか勘弁だよ! もう1人の母ちゃんみたいな相手だぜ?

<お姉さんがもう1セット持ってませんかね?>

「あ、そっか。訊いてみるわ」

 

 持ってたわ。

 

■■■ 36、y ■■■@..Z

 

「姉貴、しゃべってみろよ」

「んー? あー、あー、テストテストぉー」

 おいこいつ酔っぱらってんぞ!

 やべぇ。部屋入れたの間違いだったかも!

「どうフーカ。聞こえてる?」

<はーい。聞こえてますよ。

 初めまして。こちらは、TAI マイクロクライアント サービス、“風花”です>

「あ、はい! 初めまして。えっと、渚沙です。弟がお世話になってます」

<いえいえ、とんでもない! 私こそ、楽しい思いをさせてもらって>

「え・・・っと、この・・・フウカさんが、AIさん? なの?」

「そだよ」

<そうです。カンタさんのパソコンの中に入ってます>

「マジで!」

 姉貴、俺と画面を見比べる。

 酒くせー・・・。

 顔背ける。誤魔化すのにピザ2切れ目、ちょっとかじる。

「フーカがさ。んぐ。姉貴のこと心配してくれてさ」

「えー!」

「あ、カメラで映せんだけど。姉貴も映っとく?」

「えちょっと待って馬鹿ヤダあたしいまジャージだし」

「いいじゃん。別におかしくねーよ」

「髪とかセットしといて何言ってんのよ」

 ぐしゃあ! 俺の髪掴みやがった。

「おい何すんだよ」

「自分だけカッコつけんな」

「つけてねーよ」

「いきなり撮影される身にもなれ。なんかの侵害だろ」

「うるせーよ。撮影っつっても残さねーって。いまだけだから。ね? フーカ」

<はい。私は勝手に保存したりはしません。画面に映ったものを見てるだけです>

「どっから?」

<パソコンの中から>

「わけわかんねー・・・」

 姉貴困惑である。困惑しながら俺のピザ取って食い出した。

「俺の食いかけ!」

「うるせぇむしゃむしゃ」

「くっそ。写してやる」

「んが! 撮んな!」

 写してやるフリしただけで、キレた姉貴にスマホ取り上げられた。

「おい引っ張んな! ケーブルちぎれる!」

「うるせー! 撮ってやるからじっとしてろ」

 

 撮られました。

 画面に俺の姿、生中継です。

 

<カンタさーん!>

「はい。えー、フーカさん。こちら、姉貴にいじめられる弟の映像です」

<あはは>

「仲いーじゃん」

<あ、ピザ頂きました! ごちそうさまです>

「へー・・・。一緒に食べったんだー・・・」

 あ、これまたヤバイ状態ですよ。

「そーだよ。だからさー、姉貴が良けりゃーと思って声かけてみたんだよ」

「あっそ」

「そーだよ」

「・・・こっちも食べていーい?」

「それは風花のだよ」

<いいですよ。私はもう食べましたから、お二人で一緒に、どうぞどうぞ>

「フウカちゃん食べれんの!?」

<この通り>

 

 風花さん、さっきの絵を披露。

 まずはピザのみ。次いで、レイヤーをカチッとな。

 

<たいらげました!>

「・・・。」

 姉貴きょとんとする。

 まあわかんねーだろーなー。まさか風花が絵描くなんて思わねーよなー。

「へー! 綺麗に食べたねー」

<はい!>

「あれ?」

「なんだよ、かんた」

「いや。理解早ぇーな姉貴」

「だってここになんかいるじゃん。これフウカでしょ?」

 姉貴、(:D)のあたりを指差す。もう一方の手で撮影しながら。

<Yeeees!>

「こいつフォーク持ってっし。ってか、フォークwww」

「モニタ押さえんな! 壊れっだろ!」

 もー、どうすんのこいつ?

 俺酔っ払いの相手したことねーんだけど。

「・・・ビール取ってくる」

「あー、俺行ってくるよ。冷蔵庫だろ?」

「うん」

<カンタさん、私もお願いしていいですか?>

「え?」

<炭酸水あったらお願いします>

「あ、えーと、うん」

 

「水じゃん!」

 はい。

 俺、炭酸水だけ持ってきました。

「ビールわかんなかったからさー」

「ウソつけ」

 うんウソだよ。おめーにはもう呑ませねー。

「俺の奢りだ。呑めよ」

「水だよこれ!」

「知ってるって。ホラ氷入れてきたから。うめーよ」

「水だぞ?」

「ビールじゃ俺が乾杯できねーだろ」

 グラスは3つある。写真撮って、風花にプレゼント。

「かんぱーい」「かんぱい」<かんぱーい>

 姉貴、不満そうな感じで呑む。ちょっと休む。呑む。なんかじーっとグラス見てる。

<ビール好きな人は炭酸水もいけるって聞いたんですが。どうでしょう?>

「・・・うん」呑み干した。「お代わり」

 

 姉貴が寝たんで、写してやった。

 俺は後ろでピースサイン。

 風花さん、無言で

 

┏TAI━━━━━━━━

┃ (・ω・)y

┗━━━━━━━━━

 

■■■ 37、姉帰る ■■■@..Z

 

「ただいまー。遅くなってごめんねぇ。留守番ありがとー」

「お帰り」

「・・・おう。幹太」

「父ちゃんもお帰り。姉貴来てるけど」

「知ってるわよ。朝いたっしょが。で、なぎさは?」

「寝た。ビール呑んで。俺のベッドで寝やがった」

「えぇー?」

「・・・おいまさか」父ちゃんが冷蔵庫に駆け寄る。「やっぱり! 俺のヱビスがー」

「意地汚いこと言わないで、もう」

「意地汚・・・月に1回しか買ってねービールだぞ!?」

「あー、あと炭酸もらったから」

「炭酸はまぁ・・・今夜呑もうと思ってたんだけどよー、まあ炭酸はいいわ・・・」

「お茶淹れますから」

「お茶じゃ・・・うん」

「そんでかんた、あんたどこで寝んの? まさかお姉ちゃんのベッド行ってないでしょうね?」

「ありえねー。ソファで寝てた」

「あーあーもう。明日学校でしょうが。布団出すわ」

「・・・なんかあったのか? 渚沙は」

「知らねー」

「急に帰って来てな」

「知らねー」

 オトコ作って酒覚えてデブって陸上やめるって。

 ・・・とか父ちゃんに言ったらやべーかんね。俺ァ知らねー。

「本人に訊いて」

「そーだな」

 

 俺、下で寝た。

 朝起きたら、姉貴は自分の部屋に戻ってた。

 酒くせー・・・。

 風花とちょっとしゃべって高校行った。

 帰ったら、姉貴はもう帰ってた。

 

「なぎさねぇ・・・陸上やめるかも知れないって」

「そーなんだ」

「あ、それとねぇ、あんたに『ありがとう、ごめんねー』だって」

「あっそう」

 まあ礼は受け取ってやんよ。

「珍しいわねぇ? お姉ちゃんがあんたにベタベタすんの」

「はぁ・・・」

 

 もういい? 母ちゃん。

 俺、風花と遊びたいんだ。

 

「──で、フウカって誰?」

「は?」

「なぎさが言ってたわよー? 『フウカちゃんによろしく』って」

 

 くっそ!

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