小学校サボって無印やってたのが懐かしい……
ちなみに作者はGO以外はゲームプレイ、アニメ視聴済み、GOはアニメのみになってます
この世界には家族というものが存在する。その家庭で生まれた子供は大抵幸せに暮らすものではあるのだが例外も存在する
ーーー親に捨てられたりした子供たちだ。
私、水牧涼花もその1人でお日さま園に引き取られ、当時歳が一緒だった八神玲名と一緒にサッカーの練習を頑張ったものだ。その生活が楽しかったしずっと続くものだと思っていた
ーーーお父様が、あの石を見つけるまでは
あの石で私たちの生活は一変した。お父様はその”エイリア石”を使い私含む”ジェネシス”以外の皆の身体能力を強化した。そして命じたのは”世界への復讐”
なんでもお父様の大切な物を、世界は奪ったらしい。それを壊すのが私たちの使命だった
お父様には確かに感謝しかない。私に大切な友達をくれたのだから感謝しない方がおかしいと思う
それは分かっている。分かっているけど
ーーー私が大好きだった”お日さま園”は、確かに壊れてしまった
それでも玲名は優しかった。これが終わればきっと、何時もの生活が戻って来ると信じて頑張ろうとお互いを励ましあってそれが人間のする事じゃなくても歯を食いしばって頑張った。お父様を取り戻す為に
だがそれを邪魔する学校があるという。雷門中という全国大会優勝校らしいのだがジェミニストームが完膚なきまでに叩きのめしてもまだ立ち上がるらしい
そんな時、お父様から私に声がかかった。なんでも雷門中に潜入してこいとの事だ。玲名は猛反対していたがお父様にこれは命令だと言われてしまい押し黙る
だから、私はそんな玲名を抱きしめる。
ーーー必ず、帰ってくるからと約束して
第1話 エイリアからきたるもの/激突!ジェミニストーム!
破壊され尽くした雷門中の誰もいない裏庭に、少女が二人いた
「ここが雷門中かぁ…」
「……随分呑気なものだな、涼花」
「んーん…別にそんなことは無いよ。それに仕方ないでしょ、仮にも玲名はジェネシスの副キャプテンだしお父様の娘に顔知られてるんでしょ?なら比較的接点の少なかった私が適任ってだけで…」
「そうじゃない…っ!なんで涼花を危険な所に送り込む必要があるんだ!お父様にも考えがあるのかもしれないが、万が一があったら、私…っ」
玲名は表情を歪めながらそう吐露する。初めて会って、同じ年齢であり同じ女の子でお日さま園でも比較的一緒にいる事が多かった私たち。だから本当はヒロトがするはずだった雷門を監視する役目をさせてくれなければ副キャプテンとして私を送り出さないと言ってお父様もそれでいいなら好きにしなさいと言ってくれたので何とかはなったのだが
「…いいか涼花。お前は、私の友達なんだ…無理だけはしないでくれ」
「わかってるよ。”ウルビダ”」
「…今はその呼び方をして欲しくなかったな”サン”」
やはり、この呼び方は何時まで経っても慣れない。私のこの”サン”の由来は私の笑顔が太陽みたいだったからとの事だ
「取り敢えず雷門中を内部から壊す時は私から連絡を入れる。分かったな」
「はいはい分かりましたよ副キャプテン様」
「茶化すな」
頭に軽いチョップが叩き込まれた。それでも少しでも玲名に笑顔が戻ったならそれでいいと思う。この日の為にずっとロングのままだった髪をバッサリ切ってよりバレないようにした。これでバレたものなら…まあ仕方ないだろう
「じゃあ行ってきますかね…」
「……気をつけるんだぞ。」
「わかってるよもー…」
そんな会話をしつつ雷門のジャージを身にまといグラウンドの方へと向かった
「…水牧、涼花ちゃんね?」
「は、はい…一応ミッドフィールダー?なら出来ると思いますけど…」
いかにも襲撃から隠れてて居なくなったのを確認してから出てきましたよという風を装う。話を聞けば隣の中学校がエイリアに壊されたらしい。…この惨状を見て私は素直に顔を顰めてしまう
「…」
そんな様子をお父様の娘である吉良瞳子に見られている気がしたがあまり気にしすぎるとバレてしまうので気にしない様にする
「…確かに、メンバーは足りないのは事実ですが実力が分からない選手を入れるのはどうかと思いますけどね」
うっ、流石雷門が誇るゲームメーカーと言われる鬼道有人…痛いところを突いてくる…
「なら試してみればいいわ。……彼女の実力をね」
吉良瞳子から放たれた意外な言葉に鬼道有人は勿論私までびっくりしてしまう。ま、まさか…
「私としてもその娘の実力を見ておきたいってのもあるから…鬼道くん、お願い出来る?」
「……わかりました。じゃあグラウンドに行こう」
え、えー…マジかぁ…ここで下手に実力見せすぎたら怪しまれるよなぁ…かと言ってあんまりにも下手すぎても雷門に入れない可能性あるしなぁ…しょうがないここは…!
「じゃあ鬼道くんからボールが取れたら同行を認めます。取れなかったら…申し訳ないけど帰って貰うわ」
ぐっ…結構キビシイ条件並べてくれるなぁこの監督!これ絶対怪しまれてるよ!取れたとしてもなんか面倒くさいことになるよ絶対!
「ではよーい…始め!」
まあ天才ゲームメーカー、鬼道有人の実力も確認しておきたいしやってみせるよ!
(な、なんだ…?何故来ない…)
鬼道有人は困惑していた。監督からの合図があった筈なのに目の前にいる水牧涼花はこちらをじっと見つめるだけで動く気配がない。まるで自分を観察しているかの如く動かない涼花に鬼道は戸惑っていた
「…ほっ!」
「なっ…!?」
そんな時だった。スキをつくように動き出した彼女はサラりと鬼道からボールを奪って見せた。鬼道とてその可能性を除外していた訳では無い。ただ彼女の動きが読めなかった。動き出しと動き出してからの身のこなし…その全てが彼女の実力を物語っていた
「き、鬼道からボールを奪った…!?」
雷門イレブンもあまりの出来事に絶句していた。無理もないだろう…なんたって雷門が誇るーーーいや日本が誇る天才ゲームメーカー鬼道有人からボールを奪って見せたのだから
「えへへ…スキあり…ってやつだね」
水牧涼花はそうにっこり笑って鬼道にボールを軽くパスを渡す。そして笑みを崩さず吉良瞳子の方へ向き直る
「どう、監督…私の実力…って、え?」
驚きの表情と共に軽く伸ばされかけた手に涼花が気づいたせいだろうか。瞳子はその手を下ろし無表情なものに変わり無機質にこう言った
「…いいでしょう。ある程度は実力があるみたいなので帯同を認めます。」
「ありがとうございます」
涼花はぺこりと頭を下げてから雷門イレブンの方へと向き直り再び屈託の無い笑みを浮かべた
「という訳で!私は水牧涼花!呼び方は…えーと…うんなんでもいいや!とにかく宜しくね!」
「ひぇぇ〜!!でっかいキャラバン!」
「あまりはしゃぐな水牧。」
「い、いや無理でしょ…こんなの初めて見たし…」
目の前に現れたイナズマキャラバンを見て大きな声を上げる涼花に鬼道は呆れながらそう注意する。マネージャーはというと意外と純粋に思った事を口に出す彼女を見て苦笑いしていた
「水牧ちゃん、これからこのキャラバンに乗って各地を回るんだから早く慣れなさい」
「な、慣れなさいって…まぁ、わかりました」
監督様にじとりと睨まれて涼花はしゅんとしてしまう。そんな涼花を見て何人かからため息が上がる
「にしてもよぉ…良かったのかよコイツ乗せて」
「仕方ないだろう。…それに俺としても彼女は気になるから近くに居てくれると助かるのはあるんだ」
染岡の言葉に鬼道はじっと涼花を見る。あの身のこなしは相当の練習を積まないと出来ない芸当だ
「……あ、聞くの忘れてたんですけどこれどこに向かってるんですか?」
そんな事を考えている鬼道は見えていない涼花は素朴な疑問を投げかけた。確かに涼花が来る前に話しただけで彼女は知らない。吉良瞳子はそんな涼花の疑問に目を瞬かせたが行先を教えた
「奈良よ。財前総理が誘拐されたんだけどそれにエイリア学園が関与してるらしいの」
「財前総理を…誘拐…それで奈良…ん?」
涼花は意味が分からず小首を傾げる。その仕草をジィっと見つめていた瞳子だったが直ぐにため息を吐く
「貴女ねぇ…一応日本の総理大臣が誘拐されたっていうのは一大事なのよ?分かってるの?」
「あれ?もしかして私バカにされてます!?い、いや一大事なのは分かるんですけどなんで財前総理が奈良に居たのか気になっただけですよ!」
「…奈良シカ公園で式典があったらしいんだ。その時にエイリア学園に誘拐されたらしい」
鬼道の言葉になるほど…と頷いてからガバッと立ち上がる。
「えぇっ!?それって滅茶苦茶一大事じゃないですか!」
涼花は慌てた様に叫んだ。というよりそんな話は彼女は聞いていないから素で驚いたという方が正しい。彼女が雷門に来てから決行された事なので知らなくて当たり前なのだが
「うるさいわよ涼花ちゃん…」
「あ…すみません…」
木野秋に注意され軽くぺこりと頭を下げてから席に座り直す。な、なんか私の知らない内にとんでもないことになってるんだけど大丈夫なの玲名…っ!
「……本当に、知らないの…?」
逆に吉良瞳子は困惑していた。正直見たことない少女だったから注意してその行動等を観察していたのだがあまりにも”知らなさ”すぎる。本当に一般人でサッカーやっててこれに巻きこまれたのなら彼女の反応が正しいのだろう。ただ明らかに彼女は一般人じゃない。
ーーーあの鬼道有人からボールを奪った時の身のこなしは明らかにスキを突いた、だけでは片付けれる筈がない
それに、あの動きや仕草がよく似ているのだ
海外留学中に亡くなってしまった、兄と
だから酷く困惑した。あんなプレーを目の前で見せられてしまえば彼女は一体何者なのか気になってしまった。だから危険を侵してまで彼女をキャラバンに乗せたのだが…
「でも奈良かあ…初めて行くから緊張しちゃう!」
「……本当にコイツ乗せてよかったのかよ鬼道」
「……お、俺に聞くな染岡…」
余りにも緊張感というものが無い涼花には雷門イレブンは困惑気味ではあるが円堂だけは笑っていた
「…お前も緊張感がないんじゃないか、円堂」
「いや、水牧はすげえ奴かもしれないぞ?今からエイリア学園と鉢合わせるかもしれないのにあんだけ堂々としてるんだ。肝が据わってると思うぜ!」
「…気楽だよなぁ、本当に」
風丸はそんな円堂を見て溜息を吐く。確かに肝は据わってるだろうがまだ実力が未知数なだけに不安材料でしかない
そんな中、涼花だけはその2人の様子を伺っていた
(雷門中を優勝に導いたとされるGK、円堂守…そしてそんな彼の頼みで陸上部を辞めてまでサッカー部に入った風丸一郎太…実に興味深い2人だよね)
風丸と目が合ったので宜しくねの意味を込めてにこりとはにかんでみせる。対する風丸からは足でまといにはなるなよという様な視線が送られてきたので涼花は苦笑いをうかべた。
(勿論…雷門中に居る限りは出来るだけ力になれるようにはするよ)
調べれば調べるほど興味が湧く事なんて今まであっただろうか。こんなにもこのチームについて知りたいと思ったのは初めてかもしれないと思いながら風丸に軽くウィンクを送り前を向いた
「……水牧涼花、か」
鬼道からボールを奪う動きはまるで疾風の如き速さで。疾風ディフェンスの異名をもつ風丸としてもあの動きは真似したいものだった
(アイツの動きを真似れば、俺でもエイリアにも敵うのか…?)
しかし首を振りその考えを打ち消す。今はまだ実力が分かりきってる訳では無い。奈良で相見えるだろうジェミニストームでの動きを見てからでも遅くはないだろう
水牧から送られてきたウィンクにため息を吐きつつもうすぐ着くであろう目的地に向けてイメトレをする事にした
(なッ…!?あからさまな溜息を吐かれた……!?)
それが聞こえた涼花は見た目には自信があった為に地味にダメージを受けていたが
「うへぇ〜…こりゃ随分とド派手にやってるねえ。」
「お、おいそこの君!どうやって…」
ところ変わり奈良シカ公園。聞きこみ調査と称して別れて探索しつつSPのスキを突き侵入してみたが数が多くてバレてしまう
「どうやってって…そりゃ先手必勝の正面突破しかないでしょ。なんか見張りの人シカに襲われてたから入りやすかったし」
あっけっからんとそう言うのでSPの男はガクッと膝から崩れ落ちる
「…ん?もしかして君は雷門中の…」
「あっ、やば…探索終わったら集合っての完全に忘れてたぁ!」
完全にノリで入って来てしまったがこれは完全に逃げられない。という訳で…
「……勝手に侵入して、SPフィクサーズに保護された…と」
「ご、ごめんなさぁい…」
「まぁ貴女のおかげで余計なことをせずにシカ公園に入れたので今回は水に流しますが次からはこういうマネはしないように」
SPフィクサーズに保護され呆れた様子の吉良瞳子に身柄を渡された。本当に今だけは雷門イレブンの一員で良かったと心から思う。ただ今回先に入って色々と見て回った事もありジェミニストームが結構痕跡を残してることは分かった。おいおい大丈夫なのかジェミニストームとやらは…
「……それで、先に入って探索したんだ。何か分かったんだろうな?」
「まぁね…って言っても今の段階じゃジェミニストームが関わってるとしか分からないけど…まあSPのスミスさんに極秘とは言われたけど奈良シカ公園は案内してもらったしこっそり地図とか見せてもらったから後でこの周辺に何があるかとか教えるね?」
最後の方はSPに聞こえない程度に小さく鬼道にだけ伝わる様に話す。涼花の言葉に驚きはしたものの想像以上の成果を得てきた涼花に少し笑ってから頷いてみせる
「…にしてもどんな手を使った?SPからそこまでの情報、中々聞けないだろ」
最もな質問を風丸からされるが涼花は少しだけ苦笑いしながら答える
「スミスお兄ちゃん教えて〜このまま手ぶらじゃ帰れないよ〜…のゴリ押しかな…」
「……それで教えていいのかSP…」
涼花の苦笑いの意味が分かり風丸も苦笑いを浮べる。
「あ、あとそうだ!SPフィクサーズもサッカーやってるって話だったよね?」
「え、あぁ…」
「じゃあサッカーしようよ!」
突然スミスに話題を変えそんな提案をする涼花。その表情は楽しそうだがスミスの隣にいた黒服の少女に阻まれる
「今そんな時間はないよ。それでなくても今忙しいんだからな!」
「こっちだってそれは承知だよ。でもさぁ…私たちに勝てないようじゃ貴女達でジェミニストームには勝てないと思うけど?」
そこで涼花の雰囲気が変わった。言い方は優しいが明らかに挑発めいた口調。それを聞いた瞳子はその様子をじっとみる。
「なんだと〜!?」
「ぜ、前哨戦だよ、前哨戦。私たちは1回ジェミニストームとも試合してるっていうアドバンテージはあるし全国大会優勝校だよ?前哨戦にはそんなに悪くない相手だと思わない?」
流石に言い方がまずかったという認識が涼花にもあったのか訂正したその言葉には少女ーーー財前塔子もニヤリと笑った
「へぇ。そう言われたら確かにな…だったら最初からそう言いなよ。最初のあれだけじゃ勘違いされちゃうぞ?お嬢ちゃん」
「……貴女も私と年齢変わんないでしょ」
「ははっ、それもそうだな」
なんとか上手いこと説得することに成功して胸をなで下ろしたのも束の間、再び鬼道が耳打ちしてくる
「どういうつもりだ。こんなことしてる間にもジェミニストームが襲ってくる可能性だってあるんだぞ」
「……正直な話、これは今後の為だよ。」
「…今後の、為だと?」
涼花は顔をすっと真面目に変えてから鬼道に耳打ちする
「貴方たちの話を聞いてる限りだと吉良瞳子監督の手腕が分からない。それを確認するためにもこの機会を逃す手はないでしょ」
「……なるほどな。監督としての手腕を見るには最良の相手という事か」
「そういう事。それに…そこの彼はサッカーしたくてうずうずしてるみたいだし?」
そう言って涼花は円堂を見る。サッカーの試合をやるってだけであそこまで元気になり今じゃ財前塔子と話ーーという名のいがみ合いをしているが
「後はまぁ…緊迫感のあるサッカーばっかりやっても疲れるだけだしね。たまには楽にサッカーやらなきゃ」
「ふっ…意外と周りを見てるんだな?」
「当たり前だよ!…ミッドフィールダーってそういうポジションでしょ?」
そう、本来なら自分だって楽にサッカーがやりたいというのがある。……まぁ情報収集もやらないといけないけど
「てことでいいよね瞳子監督!監督だって私たちの実力、見たいんじゃないの?」
「…っ!そ、そうね…ではお願いします」
「返り討ちにされても文句言うなよ!」
「よっしゃー!全力サッカーだあ!」
VSSPフィクサーズ
「って私鬼道君とボランチ!?え、あの一ノ瀬君いますよね?な、なんで私…」
「貴女の実力を測るにはそのポジションが適任だと判断したまでです。」
お、oh……マジかぁ私本職サイドハーフだぞ…?
「…てか水牧は本来どこ守ってたんだ?」
「聞いて驚くなよ〜?……右サイドハーフ」
「……行けそうか?」
「まあ、やれって言われたらやって見せるよ。鬼道君に負担かけるかもしれないけど」
「それは任せてくれ。サポートはする」
さっすが天才ゲームメーカー!頼りになるなぁ
そんなこんなで試合開始のホイッスルが鳴った
相手ボールから始まり私はその動きを見ながら次の行動を考える。そして
「一ノ瀬くん右サイドだ!パスが来る!」
「え、お、おう!」
私の読みは的中しFWから右サイドへ散らすパスが行ってそれを見事に一ノ瀬くんがカットした
「染岡君、豪炎寺君はそのまま上がって!風丸くん!サイドを駆け上がって!」
「わ、分かった!」
一ノ瀬くんから返って来たボールをトラップしその流れでサイドを駆け上がった風丸くんにパスを出す
「…なるほど、監督が水牧をボランチに置く理由も分かる。的確だ、指示もパスも」
鬼道は一連の流れでシュートまで繋がったワンプレーを見てそう呟く。ただ問題があるとすれば
「水牧!カウンターの事を考えろ!」
「…り、了解!」
やはりなれないポジションというのもあるのだろう。フィールドを支配するボランチはそう簡単に出来ることでは無い
「くっ…行かせるかぁ!」
突破をしかけてきた塔子に必殺技の構えを取る
「スピニング…カットォ!!」
振り抜かれた足から出る衝撃波で壁を作りブロックする技、通称スピニングカット。勿論モロに突っ込んできた塔子は吹き飛ばされボールは涼花の足元に収まる
「へっ、やるじゃんお前!でも私だって行かせないよ!」
「くっ…必殺技!?」
「ザ・タワー!!」
涼花も突破を狙うが財前塔子の必殺技、ザ・タワーがその行く手を阻む。
「うわった!?」
ボールを奪われ前線へと蹴り出されてしまう。そしてそれをFWの加賀美がシュート体勢にはいる
「マズイ…っ!円堂くん!」
「ああ、任せてくれ!」
放たれた必殺シュートは”セキュリティショット”だ
「だあああ!ゴッドハンド!」
円堂守の十八番でもあるゴッドハンドが必殺シュートを止めて見せた
「あれがゴッドハンド…!流石雷門のキャプテンだね…!」
ボールが再び涼花に収まりパスコースを探すために周りを見る。しかし鬼道も豪炎寺も一ノ瀬も敵のマークに阻まれており目の前で財前塔子がこちらを見て笑っている
「突っ込むしかない…って訳か。やってやろうじゃん!」
その時涼花の目に近い場所にいた壁山が映る。その瞬間、声を飛ばした
「壁山君ダッシュ!ちょいと手伝って!」
「え?わ、分かったっす〜!」
財前塔子のザ・タワーを破るには恐らく飛び越えるか、そのタワー部分を破壊するかだが後者は完全に疑われるタブーでしかない。ならばあの何者も通さんとする砦を越えるためには…!
「無駄だよ!ザ・タワー!!」
「行くよ壁山君…飛んで!」
「な、何となくやりたい事は分かったっす〜!!」
壁山君、察しが良くて助かる…よっ!
「な…っ!?」
「まさか…っ!!」
1人で越えれないなら…2人で越えればいい!
「う、上を越えただと〜!?!?」
壁山君のお腹をトランポリンと同じ様に使いザ・タワーの上を通ってしまえばいい。
「豪炎寺君!」
そのまま上空で身体をひねりながらマークが外れた豪炎寺にパスを送る。おっはぁ〜!!足に着地の振動が響く〜!
「っ…ファイアートルネード!!」
私の荒業とも言っていいザ・タワーの攻略にキーパーも驚いたのか豪炎寺君のファイアートルネードは必殺技に阻まれることなくゴールに突き刺さった
「あ、荒業すぎる…」
財前塔子もよもや上を越されるとは思っても見なかったようでそんな言葉を呟いている。仕方ないじゃんこうでもしなきゃ延々と雷に撃たれ続けなきゃいけなくなるんだから!
「でもお前…ほんっと最高な奴だな!」
尻もち着いていた私は塔子に差し出された手を掴み立ち上がる。
「今まで頭の上を越えられた事なんか1度もなかったからビックリしたぞ!」
「あのねぇ…あれは何回もできるもんじゃないから…」
苦笑いしながら塔子にそんな事を言っていたら背後から物凄い声ーーーー円堂が私に向かって手を振っていた
「スゲーな水牧、壁山!あのでっかいタワー2人がかりで越えるなんてよ!!」
それに応えるように軽く手を振っているといつの間にか隣に鬼道が居た
「確かに、お前はボランチより前の方が向いているな。」
「だから言ったじゃん…」
パッパっと土を払っていると前半終了のホイッスルが鳴った。
「…」
あー、わたくし水牧涼花は調子に乗りました。ハイテンションになったあまりあんな荒業をしてしまったせいで吉良瞳子監督に怪しまれております。玲名、多分心臓バクバクさせながらみてるんだろうなぁと思うと申し訳なくなるがスイーツ奢るから許してくれ…!
「壁山君ナイス〜。おかげで助かっちゃった」
「いいってことっすよ〜。豪炎寺さんでこういうのは慣れてるっすからね〜」
はい?豪炎寺さん?……なぜ目を逸らすんだ豪炎寺修也ァァ!!
「……後半戦もボランチでお願いね」
え〜!?マジィ!?今の見たら最前線置いてよ〜!
「水牧はトップはやめと置いた方がいいな。調子に乗って突っ込んでジェミニストームに吹き飛ばされる未来しか見えない」
ちょ、風丸くん酷くない!?ま、まあ確かに今はジェミニストームにそんな事出来ないよ?でも本来ならできるから!
まあその後の試合展開は……円堂くんがSPフィクサーズのシュートを全て止めるというまさに守護神という言葉が相応しい活躍を見せて1対0で勝利を収めた
「あ〜……ボランチキツかったぁ」
「お疲れ様、水牧さん」
マネージャーの音無さんから水を受け取り喉を潤わす。やっぱり試合後の水は最高だぜぇ!
「……で、どうだった鬼道。水牧とボランチ組んでみて」
「周りを見る力とパスの精度に関しては文句が無い。ただサイドハーフをやってたらしいからゲームメイクという点に関してはこれからだろうな」
一ノ瀬はその鬼道の言葉を聞いて軽く頷く。確かに観察眼に関しては今の試合を見れば大丈夫なのは分かる
「パスの内容もかなり考えられているのはいい点だな。豪炎寺に出したロングパスに然り一ノ瀬からパスを受けて流れで風丸に出したパスに然り相手が取りやすく、尚且つパスやシュートが打ちやすいスペースにパスを送れるのは彼女が技術だろうな。慣れたらいいボランチになれるさ」
風丸もその言葉には頷く。一瞬の判断能力は恐らく鬼道並にある。ただ彼女の性格が災いしているのか自分から突っ込みがちなのは気になるが…
と、そんな時だった。奈良シカ公園にある巨大モニターにジェミニストームの映像が映し出されたのは。私はそれを見て目を細める。キャプテンであるレーゼの物言いは人を完全に見下している。その言葉には少なからず味方側ではある私だが……なんか”癪”に障る
塔子達はその発信源がこの近くにあるテレビ局だと言って、その奈良シカTVに向かって行った
「……行ったか。じゃあ教えてもらおうか水牧。その奈良シカTVの場所を……って水牧?」
鬼道君は私にそう話しかけてくるが私は未だ消えた巨大モニターを見ていた
「……あれがジェミニストーム…なんか、癪に障る奴らだね」
ふっと笑顔を浮かべ雷門イレブンの方へ向き直りその場所へと指を指した
「…早く行かないと塔子達が危ない。私に着いてきて!」
そんな私の言葉に皆は頷いて奈良シカTVへと向かった
「……上だね」
私たちは本来なら入れないテレビ局に入れてもらい上を目指す。なんでも塔子が自分たちから連絡が無かったら私たちを入れてくれとお願いしていてくれたらしい。やっぱり縁というものは大事だと改めて思った
「ほう……また負けに来たのか。懲りないヤツらだ」
テレビ局の屋上にあるサッカースタジアムの真ん中に、レーゼが居た。塔子達は負けてしまったらしくスタジアムに倒れている
「貴方がジェミニストームのキャプテンさん?随分ド派手にやってるねぇ」
そんな緊迫した状況の中、私は笑みを崩さずレーゼに話しかける。そんな私にレーゼは少し驚いた表情を見せたがすぐに余裕のある笑みを浮かべた
「別にそんなつもりは無い。それより…お前は随分と余裕そうだな?」
「貴方ほどじゃないよ。それよりさ…ちょっと舐めすぎじゃない?そんなんじゃ痛い目見るのそっちだと思うけど」
挑発めいた発言に今度は雷門イレブンが驚く。しかし私は止めるつもりは無い。こんな奴、私からしたら”格下”だから
「ふん。その威勢、いつまで続くかな?」
「その台詞…まんまお返ししてあげ…ふがっ!?」
ちょ、カッコつけてるのに口塞がないで音無さん!
「……まあいい。やるなら早く準備しろ。すぐに実力を見せてやるさ」
かーっ!腹立つ〜!!こんの野郎!
「……水牧、落ち着け。相手の挑発にのるんじゃない」
「そんなこと言われてもさあ!鬼道くんは悔しくないの!?バカにされてるんだよ!?」
「悔しくないわけないだろう。だが…実力差は自覚しているつもりだ」
じ、実力差……そっか。1回ボコボコにされてるんだもんね。仕方ないか
でも、でもね!
「そんな弱気じゃダメだよ!!実力差があるから負けるって考えじゃいつまで経っても勝てるものも勝てなくなっちゃうよ!」
実力は確かにどうにもならないかもしれない。でもそれに抗える精神がなきゃ先にはすすめないんだ!
「一寸の虫にも五分の魂……貴方たちにだって誇りはあるでしょ!」
そんな私の言葉を聞いてレーゼは目を見開き、そして笑った
「だが地球にはこんな諺もある。…弱い犬ほどよく吠えるとね」
「だったら吠えて吠えて吠えまくってあげるよ!お前達が耳を塞ぎたくなるくらいにはね!」
バチバチとやり合っている涼花とレーゼを見て瞳子監督は…少しだけ笑っていた
「水牧ちゃん…」
「止めないであげなさい。あの子にもあの子なりのプライドがあるのよ」
そう言って瞳子監督は私たちを呼んだ。そして始まるのだ。ジェミニストームとの試合が
VSジェミニストーム
「水牧ちゃんはまた鬼道くんとボランチをお願いするわ。…財前さん、DF行けますか?」
「行ける行けないかで言えば行きたくなかったけど…あんな力強い言葉を聞いた後に行けないなんて言えるわけないよな!」
ボランチ…確かに不慣れなポジションだけど今はそんなこと言ってらんない!確かに私は”あっち側”の人間だけどプライドをバカにされて大人しくなんて出来るわけないでしょ!!
「今回は出来るだけ失点を減らしましょう。その為には…水牧ちゃん。あなたの力は必要不可欠です」
「……分かりました。出来るだけ頑張ります」
軽く準備してレーゼの方を見る。早くしろ、と言わんばかりに悠然としているが…見てろ…その顔、歪めてやるからな!!
そしてジェミニストームキックオフで試合のホイッスルが鳴った。
「…土門君、サイドから来るよ!」
「分かった…!!」
私の読みは的中しサイドからリームが駆け上がってくる。が…
「遅いっ!」
「なぁっ!?」
華麗に抜き去られたがそこまで予測していない私じゃない
「何っ!?」
「だから言ったでしょ?…私を舐めるな…ってね!!」
ボランチからそのカバーに入りその前に立ち塞がる。リームは軽く舌打ちし突っ込んでくるが…
「力任せで私を突破できると思うな!!」
力任せで強行突破を仕掛けてきたリームからボールを奪って見せた
「な…っ」
「くぅっ…!」
多少の激しいぶつかり合いは予測していたがこれは確かに相当な実力者であることは間違いない。気を緩めていたら吹き飛ばされていただろうから
「…ジェミニストームから…ボールを…」
「ボサっとしないで風丸君!こっちもサイドから仕掛けるよ!!」
「っ!?お、おう!!」
素早く体勢を立て直し風丸君にパスボールを出す。風丸君にボールが収まったのを確認して私は前線へ走り出す
「風丸君!こっち!」
「あ、ああ!」
サイドから今度は中央へ。パス回しはサッカーの基本である、それが実力差で通せないならば私がそのパス回しの中心にいればいい!
しかしレーゼがそれを食い止める為に私の前に立ち塞がる
「行かせるか!」
「…疾風ダッシュ!」
パス回しをした所で前線にボールが渡らない。それにレーゼから来るならこっちだって好都合だよ!
「なんだと!?」
「豪炎寺君!」
レーゼを間一髪で振り切り豪炎寺君にパスを蹴り出す。
「……ファイアートルネード!」
しかし豪炎寺君のシュートは…斜め上に外れた
「……え?」
これは流石の私も予想外だった。しかも豪炎寺くんの顔は何かを”迷っている”ように見えた
「くっ…!」
相手のゴールキック。前線へ上がって、しかも呆気にとられていた私はジェミニストームの素早いパス回しに戻れるはずも無くそのリームから放たれたシュートは円堂くんのマジンザハンドを破りゴールに突き刺さってしまった
(豪炎寺君……)
ゴールに入らない可能性は考慮していた。しかし枠にすら飛ばないなんて予想外だったから動き出しが遅れてしまった。……豪炎寺君、一体どうしちゃったの…?
(ダメだ…切り替えなきゃ!このまま点を入れられ続けるのだけは避けないと!!)
そしてわたしは円堂くんの元へ歩み寄りゴールからボールを拾う
「……くっそ、またゴールを…!今度は絶対止める…!」
「円堂君…」
円堂くんは諦めていない。誰よりも力強くゴールを守りそして勝利へ導いてきたんだろうと思う。
……私は、こんなサッカーがしたかったのかな。楽しいサッカーを壊して、後悔しないのかと頭の隅を過ぎるが首を振る。それでも私には私のやるべき事が、やらなければならないことがある。だから、今だけは
―――時間が許す限りは、雷門イレブンとして戦う”ヒーロー”でありたいと思う
「鬼道くん」
「……なんだ?」
前半戦終了のホイッスルが鳴りベンチに戻る最中、私は鬼道君にあることを耳打ちした。鬼道君は酷く驚いた様子だったが頷いてくれた
(……あんまり、こんなことしない方が良いんだろうけど)
堂々とゴールを決めることは流石に出来ない。……本当ならしてあげたいけど目的から反した行動は出来ないから
ただジェミニストームにやられっぱなしなのは腹が立つ。だったら……”これ以上、点はやらない”
「……よし!」
マネージャーから貰ったスポーツドリンクを飲み干し瞳子監督の顔を見て、にっかり笑ってグラウンドに走って向かった
「……水牧、涼花……面白い子ね」
「瞳子監督?」
「……ふふ、何でもないわ。」
そんな涼花を見て普段は見せない笑みを浮かべる監督に雷門夏未は少し目を見開く。そしてグラウンドに目を向け飽きずにジェミニストームと睨み合いをしている涼花を見て、溜息と笑みを浮かべた
「全く……こんな時でも彼女は変わらないわね」
「あんなこと水牧さんにしか出来ないですよ…」
音無春奈も苦笑いを浮かべそう呟く。きっと彼女には実力差なんて関係ないのだ。ただ目の前にいる自分たちを馬鹿にする相手が許せないだけなんだろう
(……)
そんな中涼花を風丸はじーっと見つめていた。ジェミニストームに臆することなくボールを奪い取り自分たちを翻弄してきた相手を素早くかわした身のこなし
――きっと自分が到達しなければならない場所に、彼女は居る
(水牧……俺はお前みたいになれるのか…?)
そんなやり場のない事を考えているとふと風丸の方を向いた涼花は軽くウィンクをし、キックオフの体勢に入った
された本人は一瞬目を瞬かせるがふわりと笑い臨戦態勢に入る。
――アイツ……本当に馬鹿だな
馬鹿だからこそ臆すること無く突っ込み、吹き飛ばされる可能性があったとしても諦めない。まるで円堂守を見ているようで何故かは分からないがやれる気がしてくるのだ
そしてホイッスルがなった瞬間、水牧はレーゼに一目散に飛び交った。それを確認して風丸は再び笑みを浮かべ―――前線へ駆け出した
「2度も同じ轍は踏まない」
「それはどうだろうな?」
「何…っ!?」
水牧のスライディングをジャンプでかわしたレーゼの隙を見計らい風丸はボールをカットする。それを見た水牧は一瞬目を見開いたがそして体勢を立て直してから前線へ走り出す
「はあっ!」
それを確認してから蹴り出されたボールは水牧の足元へすとんと収まった
(風丸一郎太……流石は疾風ディフェンスって事ね…っ!)
此方へ向かってくるジェミニストームのディフェンス陣を確認し―――にやりと笑った
(楽しい……雷門中のサッカーがこんなに楽しいなんて……!!)
ディフェンスの数は3人――だが
「水牧の目付きが…変わった…?」
すぐ近くに居た一ノ瀬は彼女の目が少しギラついたのを、見逃さなかった。そして――――3人がかりて止めに来たジェミニストームディフェンス陣を華麗に抜き去ったのだ
「……っ!!」
そしてそのままの体勢でシュートを放つが流石に通常シュートではゴールを割らないことは分かってはいたが見事なまでに綺麗に止められると流石にがっくり来るものがある
「……か〜っ…結構本気で打ったんだけどなぁ…」
まだまだ鍛錬が足りないという事だろう。少ししょぼくれている水牧を見てマネージャーは口をあんぐりと開き吉良瞳子は――─やはり只者じゃないと確信を得たように、それでも少しだけ笑った
「ナイスパス、風丸君」
「……水牧、」
「落ち込まないよ。シュート1本止められた位で音を上げてたらエイリアとの戦いはやってけないでしょ?」
予想通りの答えが返って来た風丸は深い溜息を吐き、それでもふわりと笑ってから水牧の肩を軽く突く
「違う。もう少し周りを頼れって言いたいだけだ。雷門はお前一人のチームじゃないんだからな」
そう言ってディフェンスラインまでもどって行った。一瞬呆けた顔をした涼花だったが少しだけ頬を赤らめる
(……ま、間近であんなの…卑怯でしょ…)
雷門中屈指のイケメンでもある風丸にあんな距離で笑いかけられたら流石にドキッとしてしまう。ふるふると顔を振って気合いを入れ直してから軽くユニフォームを整える
「水牧、風丸は意外と円堂寄りだから気をつけるんだな」
「……へ?それって、どういう…」
「試合が再開するぞ。集中しろ」
鬼道がにこやかにしながら耳打ちしてきた内容に涼花は少し困惑するが蹴り出されたボールを確認して慌ててカバーリングにはいる涼花だった
「……」
結果から言えば1対0で雷門中は負けた。しかしジェミニストームに噛み付く事は出来たのか破壊活動せずに去って行ってしまった
「……ジェミニストームかぁ」
屋上から降りた後トイレに行くと行って抜け出し1人再び屋上へ戻って来た涼花は今は誰も居ないグラウンドで軽くボールを蹴りあげリフティングを始める。長居は出来ないがこうしていると少しだけ頭が回るような気がするのだ
(豪炎寺君のあの感じ、絶対エイリアが絡んでる。でも何が目的なの?今の実力差はれっきとしてる筈なのに…)
大統領の誘拐にしろ、自分が知らないところで事が動き過ぎている。世界がお父様の大事なものを奪ったのかもしれないがそれで何故大統領を誘拐を……?
「……あー!もうわかんないっ!!」
リフティングを途中でやめてゴール目掛けてシュートを放ち出口の方にいるだろう親友に声を投げかけた
「……どうなってるの玲名。なんか色々ヤバい事になってる気がするけど」
じとりと睨めば名前を呼ばれた玲名は少しだけ、肩を竦めた
「……私にも、分からない。お父様なりの考えがあるんだろうが…」
少し困惑した様子の親友に涼花は少し溜息を吐いて、出口を通り過ぎる時にあるお願いをした
「どういう事だ?」
「……嫌な予感がするから、一応調べてみて。何かわかったらすぐに教えてね」
「それは構わないよ…」
玲名は涼花を見て少し儚げに笑い、背後から抱きしめた。理由は痛いほどわかる。ずっと雷門中のことを見てきた私たちだからこそ、そう思ってしまうのだから
「……なあ、涼花。私たちも…いつか」
「…そうだね。雷門中のようなサッカー、したいね」
大好きだったサッカーをこんな武器にしてしまった私たちには絶対無理な願いなのは分かっている。分かっていても、願わずにはいられないのだ
「……豪炎寺君が……そっか。」
奈良シカ公園に戻った涼花は妙に雰囲気の重い雷門イレブンに話を聞いてみるとやはり豪炎寺修也がチームを抜けていた。それを促したのは──吉良瞳子らしい
「……」
それを聞いた涼花は少し苦い表情を浮かべ、ちらりと吉良瞳子の顔を見た。
確実に雷門イレブンに流れている不協和音───でも水牧涼花は彼女の判断が恐らくではあるが最善策だと思っている
──シュートを枠から外す程の何かが、豪炎寺修也にあった。恐らくだがそれに監督も気づいたんだろう
失意と怒りと共に居なくなった雷門メンバーを見送ってから再び監督を見る。無表情の様に見えたが少し表情を崩し深い息を吐いたのを見て自分の考えは間違って居なかったのだと確信に変わった
「瞳子監督」
「…まだ居たのね。貴女も早く、」
「――進む道を、間違わないで」
「え…、」
「……それでは」
見開かれた目を真っ直ぐ見て私は少しだけ笑ってから皆がいるキャラバンへ走って向かう
……監督はきっと、やり直せる。本来の”目的”の為なら道すら踏み外しそうな彼女に少しだけ助言を送ることは許して欲しいんだ
「道を……間違えない……」
吉良瞳子は水牧に言われた言葉をポツリと呟いて、目を瞑る
(…ジェミニストーム戦での彼女の動き…恐らく私の考えは間違って無い。……間違ってないけど、)
しかし間違ってないからこそ、矛盾が発生してしまう
(……なら貴女は何故、
自分の考えが正しいのならばジェミニストーム戦で雷門の為に希望を見せる動きをして見せたりわざわざ体を張ったプレーをする意味が無いのだ。
(……水牧、涼花。貴女は一体…)
早く新作アプデしろ!!
以上です()