ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

105 / 146
8話 疑似京都

俺達はホテルを出て京都駅のバス停に赴く。

 

ここからバスに乗って二条城まで行く予定だ。イッセーたち学生は冬の制服、俺たちは全員が動きやすい戦闘服、もしくは私服だ。ちなみに俺は自分で作った私服だよ~。防弾防剣耐熱耐寒etc...といった、全耐性と防御に優れた私服だよ~。スッゴク軽いから日常生活でも使えるし、戦闘服としても使えるんだよね~。物凄く便利なんだよね。

 

「うっぷ……」

 

すると、俺の席から右後ろに座っているロスヴァイセさんが口を手で押さえて、時折襲ってくる吐き気と戦っている。黒歌が隣で仙術を用いて体調を整えようとロスヴァイセさんを支えていた。

 

「……すみません、何から何まで」

 

「いいのよ。戦闘で倒れられたら困るし、それで死んだら元もこもないもの」

 

今日はメイド服じゃなく何時もの着物姿の黒歌。――ただ、肩を露出しすぎてるのは、もう突っ込まないよ…。よく、あの状態で戦闘できるよね…。

 

――と、そのときだった。イッセーの背中に飛び乗るシルエットが。

 

「赤龍帝!私も行くぞ!!」

 

金髪の巫女服少女――九重ちゃんだ。

 

「おい、九重。どうしてここに?」

 

イッセーの肩に肩車の格好で座る九重は、イッセーの額をぺちぺち叩きながら、イッセーの問いに答える。

 

「私も母上を救う!!」

 

九重がそう言うとイッセーが反論するように言う。

 

「危ないから待機しているよう、うちの魔王少女さまや堕天使の総督に言われたろ?」

 

「言われた。じゃが!母上は私が……私が救いたいのじゃ!!頼む!私も連れて行ってくれ!!お願いじゃ!!!」

 

九重ちゃんの必死のお願いに、困惑するイッセーに俺は助け船をだした。

 

「あとは任せてよ、イッセー」

 

「わかった」

 

俺はイッセーと交代して九重ちゃんを見た。

 

「ねぇ、九重ちゃん。君はそんなに行きたいの?お母さんを助けに」

 

すると、九重ちゃんは大きく頷く

 

「もちろんじゃ!」

 

「いまから行くところはとっても危険なんだよ?下手すれば―――死んじゃうよ?」

 

その言葉に肩をビクつかせる九重ちゃん。でも、その瞳は覚悟をもった強い目をしていた。

 

「そのようなこと百も承知じゃ!母上を助けるのに楽なわけがない!私は誰になんと言われようとも、絶対母上を助けに行くのじゃ!母上の娘としてここは譲れないのじゃ!」

 

「………………そう。ならわかったよ。九重ちゃん。連れていってあげる」

 

俺がそう言うと九重ちゃんの顔が明るくなった。

 

「ほ、ほんとうか!?なら――」

 

「ただし!」

 

俺は九重ちゃんの言葉を遮る。

 

「危険だと感じたら即座に安全地帯まで転移させるから。1度転移すると、もう戦場には戻ってこれないからね。俺達の戦いが終わるまで動けなくなるってことを肝に命じていてね?

……まぁ、九重ちゃんは俺が俺達が守るから傷一本も付けさせるわけがないけどね」

 

そう言ったら、突然九重ちゃんがモジモジしだした

 

「わ、わかったのじゃ。その…よろしくお願いします…(か、カッコいいのじゃぁ~///)」

 

この時キリッと何時もとは違うイケメンスマイルが無意識で出ていたことを気づいていないツバサさん。

 

「……?…まぁ、いいや。―――――敵さんも来たようですしね~」

 

「ツバサ!!」

 

すると、優子姉さんが叫んできた。

 

「了解でござるよ~♪」

 

俺は少しふざけながら、各一人ひとりに小規模の転移結界を発動させた。

 

―――そして、俺達は霧に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧が晴れたとき、そこは地下鉄の線路上だった。

 

ふむ、どうやら転移結界は成功したようだね。

 

俺達は、『絶霧(ディメイション・ロスト)』のせいでツーマンセルのチームが崩されないように、対抗するため転移結界を発動させたのだ。

 

……と言っても、俺は一人だけどね~。

 

すると、目の前に地面からどんどん黒い形が歪なモンスターたちがわき出てきた。

 

―――そう、アンチモンスターだ。

 

「ざっと見たところ60体かな?……結構多かったね~。――そう言えば、九重ちゃんは大丈夫かな?イッセーと一緒にいて…。てか、俺の側に九重ちゃんを連れてこなくてよかったよ。さすがの俺でもこの数相手に九重ちゃんを守りながらじゃ苦戦するところだったね」

 

そんな事を呟きながらも俺はアンチモンスターに目線を向ける。

 

「……さてまずは――――――お掃除からといきましょうかね!」

 

「スペルカード『あの空の落ち星』」

 

俺は懐から一枚のカードをだした。だしたカードは瞬時に光ると、そこから白色の弾幕が大量に出てきた。

 

すると、弾幕は数秒空に浮いていると、突然雨の如くアンチモンスターたちに降り注いだ。

 

この攻撃により20体のモンスターが消滅した。

 

「つぎ!スペルカード『奈落の怨手』」

 

アンチモンスターの足元から黒い手の様なものがアンチモンスターを掴んだ。すると、アンチモンスターたちを次々と闇に引きずり込んでいく…。

 

「これで残り10体だね。―――そんじゃ~最後!」

 

「スペルカード『天の裁き』!」

 

スペルカードを空に掲げると、渦を巻いた雲が出てきた。――――すると、その渦の中から一筋の光が出てきたと思えば………

 

チュドォォォォォン!!!!!!

 

残りのアンチモンスターごと光の柱が消し飛ばした。

 

「……いよし。それじゃ~、集合場所の二条城にいきますかね~」

 

俺は目的地に向かって飛んでいった。

 

――――――――――――――――――――――

 

二条城の東大手門に向かうと――数人のメンバーが集まっていた。

 

「――全員、無事だった?」

 

俺は着くと、声をかけた。

 

「えぇ、みんな無事よ。つー君のおかげでね」

 

優子姉さんがそう言った。

 

「そう、よかった。―――あとは、イッセーと九重ちゃんだけか…」

 

イッセーと九重ちゃん以外はみんな集合できたようだ。

 

あの二人は無事かな?

 

そんな事を思っていると、最後の二人が来た。

 

「わりぃ、遅れた――」

 

イッセーと九重が姿を現したとき…。

 

「おげぇぇぇぇぇ……」

 

近くの電柱でロスヴァイセが我慢できず、黒歌に仙術を背中に当ててもらいながら嘔吐していた。

 

「……だいじょうぶ…なの?」

 

「…いや、あれは…無理なんじゃい?」

 

周りから心配の声が上がる。

 

ちょうどそのとき――。

 

ゴゴゴゴゴゴ……。

 

鈍い音を立てながら、巨大な門が開き始める。

 

「あちらもお待ちしていたようだわ。演出が行き届いているようね」

 

「まったくだよ。絶対に舐めてるね」

 

俺と優子姉さんのそんな軽い会話をしながらも、全員、確認し合うと二条城の敷地へと歩を進めた。

 

――――――――――――――――――――――

 

「僕が倒した刺客は本丸御殿で曹操が待っていると倒れる間際に言っていたよ」

 

後ろを走っている祐斗がイッセーに話している。

 

――本丸御殿ね~。

 

敷地内を進み、二の丸庭園を抜け、本丸御殿を囲む水掘りが見えていた。本丸御殿に続く『櫓門(やぐらもん)』を潜り抜ける。

 

たどり着いたのは――古い日本家屋が建ち並ぶ場所。整備された庭園にライトが当てられており、闇夜の世界でも映えている。

 

「(ここまで再現できるとはな…ゲオルクだっけ?やるじゃん。でも、再現するなら、細かい傷も再現できればなおよかったんだけどね~)」

 

英雄派の気配を探るイッセーたち…俺はドラゴンの身体能力によって場所は特定していた。

 

「禁手(バランス・ブレイカー)使いの刺客を倒したか。俺たちのなかで下位から中堅の使い手でも、禁手(バランス・ブレイカー)使いには変わりない。それでも倒してしまうキミたちはまさに驚異的だ」

 

う~ん。残念ながら、俺はアンチモンスターのみとの戦闘だったよ…しかも、こちら側の一方的な攻撃でしたね。すぐに全滅したし…。

 

俺は曹操を見ていた。――いつでも攻撃ができるようにね

 

向こう側も、建物の陰から構成員が姿を現す。

 

「母上!!」

 

九重が叫んだ。その九重の視線の先――着物姿の女性が佇んでいた。頭部に狐耳、九本の尾。――絵画で見た姿と同じ、彼女が九尾の八坂さんで、藍さんの妹でしたね…。

 

「母上!!九重です!お目覚めくだされ!!」

 

九重が駆け寄り声をかけるが、八坂さんは反応しない。瞳も陰り、無表情だ。

 

俺は瞳を通して感じている…八坂さんは、操られている。絶対…。

 

「おのれ、貴様ら!母上に何をした!!」

 

「言ったでしょう?少しばかり我々の実験に協力してもらうだけですよ、小さな姫君」

 

曹操はそういうと、聖槍の石突きで地面をトンッと叩く。刹那――。

 

「う……うぅぅぅ、うああああああああああっ!!」

 

八坂さんが悲鳴を上げ、様子が変化していく。体が光り輝き、その姿を徐々に変貌させていく。

 

オオォォォォォォンッ!!

 

夜空に向かって咆哮を上げた巨大な獣。

 

イッセーが曹操に問い詰める。

 

「曹操!こんな疑似京都まで作って、しかも九尾の御大将まで操って、何をしようとしている!?」

 

曹操は聖槍の柄を肩にトントンとしながら答える。

 

「京都はその存在自体が強力な気脈で包まれた大規模な術式発生装置だ。名所と呼ばれるパワースポットが霊力、妖力、魔力に富んでいる。この都市を生んだ古き陰陽師たちが都そのものを巨大なひとつの『力』にしようとしたからだ。まぁ、それゆえに様々な存在を呼び寄せてしまったわけだが……。この疑似空間は京都から極めて近く限りなく遠い次元の狭間に存在し、気脈のパワーはこちらにも流れ込んできている。そして、九尾の狐は妖怪でも最高クラスの存在。龍王クラスとも言われている。京都と九尾は切っても切り離せない関係だ。だからこそ、ここでおこなうことに意味がある」

 

息を吐く曹操。

 

「――都市の力と九尾の狐を使い、この空間にグレートレッドを呼び寄せる。本来なら複数の龍王を使ったほうが呼び寄せやすいんだが、龍王を数匹拉致するのは神仏でも難儀するレベルだ。――都市と九尾の力を代用することにしたのさ」

 

「グレートレッド?あのでっかいドラゴンを呼んでどうするつもりだ?あいつ、次元の狭間を泳ぐのが好きで実害がないんだろう?」

 

そうなんだよね~。――いまは家でゴロゴロしてるけどね…。

 

「あぁ、あれは基本的に無害なドラゴンだ。――だが、俺たちのボスにとっては邪魔な存在らしい。故郷に帰りたいのに困っているそうだ」

 

――もうひとりのオーフィスか。

 

「……それでグレートレッドを呼び寄せて殺すのか?」

 

イッセーの問いに曹操は首をひねる。

 

「いや、さすがにそれはどうかな。とりあえず、捕らえることができてから考えようと思う。いまだ生態が不明なことだらけだ。調査するだけでも大きな収穫を得ると思わないか?たとえば『龍喰者(ドラゴンイーター)』がどれぐらいの影響をあの赤龍神帝に及ぼすのかどうか、まぁ、どちらにしろ、ひとつの実験だ。強大なものを呼べるかどうかのね」

 

――『龍喰者(ドラゴンイーター)』?

 

俺の『龍喰者(ドラゴンイーター)』という単語を何処かで聞いた事がある気がして必死に思いだそうとしている。―――むぅ~……どこでだったかなぁ~。

 

『つーくん。「龍喰者(ドラゴンイーター)」はあなたも必ず知っているものよ。ドラゴンの力を持つものとして絶対に忘れてわダメよ。絶対に…』

 

すると、ルーツが注意をしてきた。

 

「(わかったよルーツ。絶対に忘れない。肝に命じておくよ)」

 

『忘れなければそれでいいわよ』

 

俺はルーツと喋りながらも、イッセーと曹操の会話を見ていた。

 

「……よくわからねぇ。よくわからねぇが、おまえらがあのデカいドラゴンを捕らえたら、ろくでもないことになりそうなのは確かだな。それに九尾の御大将も返してもらう」

 

イッセーが言うと、ゼノヴィアが剣を曹操に向ける。

 

――鞘ごとかまえたデュランダル。鞘の各部位がスライドしていき、変形していく。

 

ズシュゥゥゥゥゥゥ!!

 

激しい音を立てながら、鞘のスライドした部分から大質量の聖なるオーラが噴出し始め、刀身を覆い尽くし、極大のオーラの刃と化していく!

 

「イッセーの言う通りだ。貴様たちが何をしようとしているのかは底まで見えない。だが、貴様の思想は私たちや私たちの周囲に危険を及ぼす。――ここで屠るのが適切だ」

 

ゼノヴィアの宣戦布告に祐斗がうなずく。

 

「意見としてはゼノヴィアに同意だね」

 

「同じく」

 

イリナも応じて光の剣を作りだす。

 

「グレモリー眷属に関わると死線ばかりだな……」

 

嘆息しながら匙が言う。俺は苦笑せざるを得なかった。

 

「さて、私達も行くわよ…ツバサ!」

 

「了解ですよ。優子姉さん!」

 

こうして俺達の本当の全面戦争がいま始まった。




さて、次回曹操VSツバサちゃん。どんな戦いになるのかお楽しみに!

それではこれで、また次回お会いしましょう!

ばいば~い!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。