ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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やっとできたよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!


9話 京都大決戦(前編)

―ツバサ side―

 

ザッバァァァァァアアアアアアアッ!!

 

ゼノヴィアが特大の聖なるオーラで曹操たちに先制攻撃を仕掛けた!

 

新デュランダルの威力は、アスカロンと共鳴させたときより太いなぁ~。

 

「ふー」

 

ゼノヴィアが肩で息をしながら額の汗を手で拭う。

 

「おい、ゼノヴィア!一発目から飛ばしすぎだろ!」

 

「開幕の一発は必要だ」

 

「ロキのときもいきなりだったよね!?おいおいおい……」

 

イッセが突っ込み、ゼノヴィアは平然と答える…。あはは、もう慣れちゃったよこの流れは…

 

「安心しろ。これでもまだ威力を調節したほうだ。その気になればこの周辺を丸ごとなぎ払えてしまうからな。私としてはおまえの本気のドラゴンショットを目指しているんだが。なかなか難しい。うん。おまえのパワータイプな戦い方は私の理想だ」

 

いや…、ゼノヴィア…。騎士なんだからもっと破壊以外の技を覚えようよ…。

 

「うん、じゃない!俺はここまで破壊魔じゃないぞ!」

 

イッセーが叫んではいるが……………どうだろう?

 

すると、ゼノヴィアが新デュランダルをコツコツと叩く。

 

「この新しいデュランダルは錬金術により、エクスカリバーと同化したものだ」

 

ほぉ~…なるほどね~。

 

すると、イリナがゼノヴィアの隣に立った。

 

「私が説明するわ。大雑把に言うと、デュランダルの刀身に教会が保有していたエクスカリバーを鞘の形で被せたらしいの! エクスカリバーの力でゼノヴィア使用時のデュランダルの攻撃的な部分を外へ漏らさず覆う。そして覆っているエクスカリバーとデュランダルを同時に高めることでふたつの聖剣の力は相乗効果をもたらして………凶悪な破壊力を生み出すのよ!」

 

「なるほど、エクスカリバーをデュランダルのオーラの受け皿にしつつ、エクスカリバーもデュランダルと共に高めるわけか。それによって、ふたつの聖剣はひとつになって、これだけの強大なパワーを出せるってことね」

 

イリナの説明にイッセーが頷いていた。

 

「そういうことよ、イッセーくん。デュランダルのオーラが他の聖剣にも効果を与えることから研究が始まったらしいのよね」

 

「あ、夏休みのゲームでゼノヴィアが亜空間にデュランダルをしまったまま、アスカロンにオーラを被せていたな。アーシア奪還のときもアスカロンと相乗効果でオーラを高め合っていたし」

 

「そうそう、そこから新しいデュランダルの発送が生まれたみたいなの」

 

イリナがうんうんと頷きながら言う。

 

それにしても、デュランダルとエクスカリバーの合体聖剣ねぇ~。…………ん?まてよ…。確か、教会に保管されていたエクスカリバーは七本中六本――つまり、六本のエクスカリバーを合体させて一つの鞘にしたと…。

 

エクスカリバーの力なら、『支配』以外の力を持っているわけで……………

 

――――――って、ならいっそう破壊以外の技を覚えようよ!?ゼノヴィア!!

 

「―――エクス・デュランダル。この聖剣をそう名付けよう」

 

ゼノヴィアが新デュランダルを掲げて言い放った。

 

そんな三人を他所に俺は気配探知で英雄派の人達の動きを観察していた。

 

「イッセー、ゼノヴィア……まだ、曹操たちはピンピンしているよ?」

 

俺の言葉に二人は「そりゃそうだろ」的な表情で見てくる…。

 

まぁ、俺もそんな目をするだろうけどね。

 

ゴッ!

 

何もなくなった建造物跡――地面から腕が突き出て、英雄派メンバー全員が現れる。

 

全員見た目は汚れているが、無傷だ。恐らくだが、霧使いが聖剣のオーラを防いだのだろう。

 

最初に地面から腕を突きだした二メートルはあろうかという巨躯の男が首をコキコキと鳴らしていて、後方で曹操が肩に聖槍をトントンとしたあと、あごに手をやりながら微笑む。

 

「いやー、いいね♪」

 

本気で楽しそうな一言だった……。

 

その曹操がイッセーたちに向けて言う。

 

「キミたち、もう上級悪魔の中堅――いや、トップクラスの上級悪魔の眷属悪魔と比べても遜色がない。魔王の妹君は本当にいい眷属を持った。レーティングゲームに本格参戦すれば短期間で二桁台――十数年以内にトップランカー入りかな?どちらにしても、末恐ろしい。シャルバ・ベルゼブブはよくこんな連中をバカにしたものだね。あいつ、本当にアホだったんだな。……それにしても、向こうから離れて、こっちにきて正解だ……だから、結城翼―――いや、『黒き疾風の破壊者』と巡り合うことができたからな…」

 

曹操がイッセーたちを見たあと、俺に目線を移してきた。

 

その曹操の言葉にジークフリードが苦笑しながらうなずいた。

 

「そうだね。旧魔王派は古い威厳にこだわりすぎて、下から来るものが見えなかった……といったところでしょ。だから、ヴァーリにも見放され、旧魔王派は瓦解したわけさ。――さて、どうするの?僕、いまの食らってテンションがおかしくなってるんだけど?」

 

「そうだな。とりあえず、実験をスタートしよう」

 

曹操が石突きで地面を叩く――すると、九尾化した八坂さんが輝きだした。

 

「九尾の狐にパワースポットの力を注ぎ、グレートレッドを呼び出す準備に取りかかる。――ゲオルク!!」

 

「了解」

 

曹操の一言にゲオルクが手を突き出す。すると、周囲に様々な文様の魔方陣が縦横無尽に展開した。

 

「……魔方陣から察するに、ざっと見ただけでも北欧式、悪魔式、堕天使式、黒魔術、白魔術、精霊魔術……なかなか豊富に術式が使えるようですね……」

 

ロスヴァイセさんが目を細めながらそうつぶやく。

 

――へぇ~、魔方陣を見ただけでわかるだなんて、流石ロスヴァイセさんだ。

 

それにしても、ゲオルグって言ったっけ?……かなりの才能だね。あれこそ、天性の才能だね~。

 

オォォォオオオォォォンッ。

 

そんな事を思っていると、八坂さんが雄叫びを上げた。双眸が大きく見開いて全身の金毛が逆立っている。

 

「グレートレッドを呼ぶ魔方陣と贄の位置は良好。あとはグレートレッドがこの都市のパワーに惹かれるかどうかだ。曹操、悪いが俺はここを離れられないんでね。これがまたキツくてねぇ」

 

俺は瞬時に武装を展開して、拳型の武器を腕に付けて魔方陣を殴った。

 

ゴンッ!!

 

音と共に弾かれた。この武器の特性は“魔法の無効化”なのだが、どうやらそれすら無意味のようだ…。

 

「無駄だよ、俺の張っている防御魔方陣はかなり頑丈だからねぇ」

 

ゲオルクの反応に少し表情をしかめた……かのように見せた。

 

―――そう、所詮この程度だということが、今の一撃でわかったからだ。

 

「さーて、どうしたものか。『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』のレオナルドと他の構成員は外の連合軍とやりあっているし。彼らがどれだけ時間を稼げるかわからないところもある。外には堕天使の総督、魔王レヴィアタン、そして『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』の片割れがいるうえ、地球連邦軍の総司令官に副司令官とセラフのメンバーも来るという情報もあった。――ジャンヌ、ヘラクレス」

 

「はいはい」

 

「おう!」

 

曹操の呼び声に細い刀身の剣を持った金髪の女性と、巨体の男が前に出る。

 

この人達も英雄の子孫か……ジャンヌさん…可愛そうだね…自分の子孫がテロリストにいるなんて知ったら……………――あ、ヤバイ…あの人の事だから、確実に“ちょっとお仕置きしてきますわ”なんて言って捕まえに行きそうだ…。そうなれば―――いや、これ以上思い出すのは止しておこう…。いろいろと危険だからね…。皐月姉さんの次に、OHANSIが怖い人だから……

 

内心でそんな事を思っていると、曹操が口を開く。

 

「――ジークフリート、おまえはどれとやる?」

 

曹操の問いにジークフリートは抜き放った魔剣の切っ先を木場とゼノヴィアに向ける。

 

「ん~、じゃあ、私は天使ちゃんにしようかな。可愛い顔をしてるし」

 

「俺はそっちの銀髪の姉ちゃんだな。随分、気持ち悪そうだけどよ!」

 

ジャンヌとヘラクレスがそれぞれが視線を交わす。

 

「んで、俺は赤龍帝っと。そっちのヴリトラくんは?」

 

曹操が匙に視線を送る。匙の炎の勢いを増すが、イッセーが手で制す。

 

「……匙、おまえは九尾の御大将だ。なんとか、あそこから解放してやれ」

 

「俺は怪獣対決か。……あいよ。死ぬなよ」

 

「これでもここに来る前、『女王(クイーン)』にいちおうプロモーションしてんだからさ。最初から気合は十分だッ!」

 

すると、匙の体が黒炎に包み込まれていき――巨大に膨れ上がっていった。

 

「――『龍王変化(ウリトラ・プロモーション)』ッ!!」

 

盛り上がる黒炎は形を成していき、体の長細い東洋タイプの龍へと変貌していく。

 

ヴリトラ化した匙は九尾化状態の八坂さんと対峙する。

 

イッセーがアーシアに言う。

 

「アーシア、九重を頼む」

 

「はい」

 

「九重、アーシアを頼めるか?」

 

「任せろ!じゃが――」

 

「あぁ、わかってる。おまえのお母さんは俺が――俺たちが助けるッ!!」

 

親指を立てて言うイッセー。背中からドラゴンの両翼を生やして曹操と対峙する。

 

「レイナーレ、黒歌、アーシアと九重の護衛を頼める?」

 

「はい。任せてください」

 

「任せてにゃ!つーくんも頑張るにゃ!!」

 

俺はレイナーレと黒歌に訊くと、レイナーレも黒歌もうなずいて引き受けてくれた。

 

「うん、わかってるよ!それじゃ~あとはよろしくね!」

 

俺はモンスター達がいる場所へ走りながらそう叫んだ。

 

俺はモンスター達がいる場所へと到着して目の前のモンスターを見ていた。

 

「――さ~てと…、俺は雑兵を一掃しようとしますかねぇ~」

 

相手の雑兵は、中堅クラスの武装した人間と前回より二回りほど大きいアンチモンスターだ。

 

「……ふむ、随分と今回は前よりも気合いが入っている様だね。さぁ、いっちょひと暴れしましょうか!!」

 

俺は、両手に刀を持ってアンチモンスターの一体に突貫する。

 

アンチモンスターからは光の攻撃や炎の攻撃などが飛来するが、俺は難なく避けたり、切り裂きながらアンチモンスターの一体に両手の刀を刺し込み、そのまま宙へ打ち上げる。一気に空中を跳び、アンチモンスターの真上へ滞空する。

 

「双刃烈破斬ッ!」

 

刀をクロスさせて、そのままX切りをして地面に叩き落とす。

 

そのアンチモンスターは地面に衝突したあと霧散した。

 

そこから俺は、地面に着地し瞬時に武器を刀から西洋の剣に変えて、右手の剣に雷を、左手の剣に風の属性を纏て空へ向け、一気に突貫してきたアンチモンスター達を一閃する。

 

「風雷・疾風斬ッ!」

 

雷を帯びた竜巻が俺を囲むように出現し、四方八方から突撃してきたアンチモンスター達の群れを瞬時に巻き込み凪ぎ払う。

 

風に飛ばされたアンチモンスター達が、英雄派の中堅クラスの人達に落ちていきその人達にも被害がでた。

 

「さぁ!きなよ!こないと俺に倒されちゃうよ、おじさん達!」

 

俺がそう叫ぶと、ブチッと音が聞こえた気がしたら、他の英雄派の人達が其々の武器を持ってこっちにきた。

 

先程飛ばされて倒されて霧散していない残ったアンチモンスター達も突撃してくる。

 

「あはは!そうこなくっちゃね!じゃないと、面白くないから!」

 

俺は次々と飛んでくる属性魔法や飛び道具や武器、いろんな技の攻撃を避けたり弾いたり防いだり、時には跳ね返したりと…、いろんな事をしていた。

 

それでもなお、俺を倒そうとしてくるアンチモンスターと人間。

 

「全然当たってないよ~。それでは、次は俺から行くね~!スペルカード『大地の怒り』!」

 

俺はスペルを発動させた。

 

すると、地面が地震の様に揺れて地割れがおき、アンチモンスターや人達を落としていく、避けた人達も今度は地面から突き出てきた円柱型の岩に突き飛ばされたりアンチモンスターは同じく岩の――それも針型の岩に貫かれて体を霧散させる。……流石に人間が串刺しになるところは俺もルーツも見たくないので俺が意図的に操作していた。

 

『つーくん!後ろからくるわよ!』

 

「うん!わかってるよ、ルーツ!」

 

俺はルーツの言われた通り後ろからきた奴を蹴飛ばした。

 

蹴飛ばした人は、その後ろにいた人達の所まで飛んでいき、ボーリングの様に衝突して倒れた。

 

すると、残った奴等が俺の方へと魔法を一斉攻撃してきた。

 

「だから魔法は効かないんだってば~。『ミラーシールド』」

 

俺は鏡の様に光る盾をスキマから取り出した。

 

すると、俺の身体に触れた魔法は全て跳ね返され撃ってきた術者に跳ね返る。

 

そして、跳ね返った魔法は術者にあたり爆散した。どうやら、魔法は爆発系の魔法だったようだ。

 

「ルーツ!力を借りるね!」

 

『えぇ、私――いえ、私達の力を存分に使いなさい!』

 

「ありがとう!んじゃいっくよ~!龍変化(ドラゴン・プロモーション)」

 

「“熾凍龍 ディスフィロア”!」

 

俺の体が光だして、体を変換させる。光が止むと、そこにいたのは…………半竜化した俺がいた。

 

龍変化(ドラゴン・プロモーション)とは、俺がライザーや他の戦闘で使った“獣変化”の変換番で、変身できる獣類はドラゴン限定だ。

 

頭部にはディスフィロアの特徴的な角に、腕や脚はドラゴンの両手両足。それでも人間の形をしているがね。

 なによりも、全身から出ている、炎と氷が特徴的だ。

 

このドラゴンはルーツと同じ古龍種であり、数少ない、対極なるふたつの属性を持っているドラゴンだ。

確かに、属性を複数持っている龍はいるのだが、ディスフィロアは対極である“炎”と“氷”を持っているのだ。

 

「さて、お前達は俺の攻撃を何処まで耐えられるかな?」

 

そして俺は息を思いっきり吸い込んで―――――

 

「熾凍龍の咆哮ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

ゴォォオオオオオォオオオオオォォウ

 

炎と氷が交わった咆哮が竜巻の様に回転しながら目の前を凪ぎ払う。

 

炎に包まれる者、氷により凍ってしまう者、全員アンチモンスター以外死んではいないが、完全に動くことは出来なくなった。

 

俺は龍変化を解除して、イッセー達が戦っている所へと向かった。

 

――――――――――――――――――――――

 

全ての敵を一掃し終えた俺はイッセーの所へとたどり着いた。

 

「――いい攻撃だった。強い強い。こちらもギアをもう少し上げないとダメか」

 

来てそうそう、曹操が左腕の傷を治癒したところだった――右腕の瓶は…フェニックスの涙か!?

 

「それにしても、何かをするようだね……」

 

すると、俺の存在に気がついた曹操は、俺が持っている刀が気になるらしい。そして曹操は、槍の切っ先を俺に向けてくる。

 

「……そうだね、これはおまえたちの計画を根元から無駄にするためのものだからね。文字通り“何か”をするんだよ」

 

俺は口の端を釣り上げた――そのときだった。

 

「イリナさん!」

 

アーシアの悲鳴交じりの叫びが聞こえてくる!

 

「あら?こちらはまだやってるんだ?」

 

ジャンヌの声がし、そこに目を向けると…血まみれのイリナを抱えていた。

 

「ま、赤龍帝だからさ。彼らよりはやるんじゃないの?」

 

今度はジークフリート……六本に増えている腕に抱えているのは…木場とゼノヴィアだ。

 

「俺が赤龍帝とやればよかったぜ」

 

巨躯のヘラクレスが俺とイッセーの眼前に何かを放り投げる。俺はとっさに展開したクッション系の結界の網で受け止めた。――それは、銀髪を赤い血に染めたロスヴァイセさんだった。

 

『グオオオオオオッ!!』

 

向こうでは、ヴリトラが九尾化した八坂さんの九本の尾に縛られ、苦痛の声を漏らしていた。

 

…………どうやら、この場はあまりよろしくないようだ。

 

「……イッセーとアーシア以外が倒されたようですね…。少し甘く見ていたなぁ~…」

 

俺は自問するように静かに口ずさんだ。

 

シュンッ――。

 

俺はイリナと木場とゼノヴィアをスキマで取り返すと、スキマから落として重傷の四人を急いでアーシアのところまで運んだ。

 

「皆さん!」

 

アーシアが駆け寄って、涙を流しながら治療を始めた。

 

「私も手伝うわ」

 

傍で待機していた黒歌もレイナーレも、仙術や優子姉さん直伝の回復魔法を用いて四人の自然治癒力を高めていく。

 

苦痛に表情を歪めていた四人は、徐々に穏やかになっていく。

 

「――さて、フィナーレだ。お前は俺たちの実験の邪魔になる……いまのうちに潰しておこう!」

 

曹操が聖槍の切っ先を俺へ向けてくる。

 

「「「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」

 

ヒュゥゥゥ―――チュドォォォォォォォン!!!

 

――突然、空から誰かが落ちてきた。

 

そして俺は、その落ちてきた“人物”を見て小さく笑う。

 

「ふっ、遅いんですよ―――お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 

すると、煙がブワッと晴れて落ちてきた“四人の人物”の人影が見えた

 

「いやいや、すまなかったな。外の連中が予想以上にめんどかったからな、時間がかかった」

 

「ほんとよね。なんであんなにも多いいのかしら。私は回復専門だし、あまり戦闘は得意じゃないのに、私まで戦うはめになったのよ?…………この二人がいるなら余裕だった筈なのに、遊んでいるから」

 

「しかたがないじゃないか。俺達だって好きで暴れられないんだからな」

 

言い争う三人の男女。――そう、光樹、レイジ兄さんと優子姉さんの三人だった。

 

「――なに?……なぜあの人達がいる。殆どの実力のある奴等を向かわせたというのに…」

 

曹操が渋るような声でそう言った。

 

「ん?あいつらか?……あぁ、別にあの程度の連中に負けるほど俺達は弱くない。――むしろ、殺さないように手加減するのが難しかっただけだ。あまりにも弱すぎてな。………おかげさまで来るのに時間がかかったんだ」

 

光樹兄さんが、何を当たり前の事を…みたいな感じで曹操にそう言った。

 

「……これでは潰すことは無理そうだ」

 

曹操は諦めたのか、聖槍を肩にトントンしだした。

 

「僕たちが相手をしよう」

 

「止めておけ。ジークフリート…あの中にいる結城優子はともかく、他の連中を相手に『阿修羅と魔龍の宴(カオスエッジ・アスラ・レヴィッジ)』でも無理だ。そこにジャンヌ、ヘラクレスが参戦してもだ。――ひとりひとりの戦闘力が高いだけでなく、三人のブレのない完璧な連携もある……俺たちだけでは勝てないよ」

 

ジークフリートが一歩前に出たが、曹操に忠告されて一歩引いた。

 

「母上!目を覚ましてくだされ!!九重です!九重はここにいます!!母上ぇぇぇっ!!!」

 

九重が泣き叫ぶが、八坂さんは視線を合わせることはなかった……。

 

「――このままでは埒が明かないな……優子。後ろにいる皆を連れて俺達が結界を張った安全な場所へ戻れ。八坂さんを止めに行ってくれる奴は他にいるから心配はするな。あと、レイジとツバサはここに残れ……ここを死守するからさ。だから――」

 

「死守じゃないでしょ。絶対通さないじゃないの?」

 

優子姉さんが光樹兄さんの言葉を聞いて訂正してくる。

 

「…ふ、そうだな。死ぬ気は毛頭ない…行け!」

 

「了解!!あんた達も頑張りなさいよ!」

 

そう言って後方にいるイッセー達の方へと走り出した。

 

睨み合う両者。曹操はゲオルクのところに行き、術式の状態を確認していた。

 

すると、俺達の後方で背中合わせでしゃがんでいたイッセーから眩い赤い閃光が発された!

 

「むっ?」

 

「おっと!」

 

「うわっ!」

 

俺たち二人は飛び退き、イッセーとの距離を取る。ジャンヌたちも同様に曹操のところまで退いた。

光樹兄さんだけは、何事もなかったかのように仁王立ちしていたけども………。

 

「……なんだ?」

 

光樹兄さんがボソリとそう言って、曹操とゲオルクもその光に気がつき、イッセーに顔を向けた。

 

イッセーが天高く掲げた眩しく輝いている宝玉が何かを移しだしていく。それはしだいに人の形をなしていき、一人、二人と増えていく。

 

その数はどんどん増えていき、増え終わる頃にはおよそ千人は超えていそうな規模だ。

 

『おっぱい……』

 

『お、おっぱい』

 

『おっぱいーん』

 

『すごい、おっぱい』

 

『大変なおっぱい……』

 

人影が突然おっぱい、おっぱいと口走り始めた!?

 

「「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい」」」」

 

……………………へ?

 

人影の大群は呪詛のようにおっぱいとつぶやきながら、のろのろとおぼつかない足取りで動き出していく……何かの陣形を形作るように。

 

「「「「「「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい」」」」」」」」

 

「……おっぱいゾンビか?」

 

曹操がそうつぶやく。この異常な情景を見た俺でもそう思えざるを得ない。

 

カァァァァァァアアッ!!

 

すると、イッセーの左腕が光り輝きだす

 

「召喚(サモン)ッ! おっぱいぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

イッセーの叫びと共に人影の集団に描かれた魔方陣が光り輝きだす。

 

一瞬の閃光が止むと、そこには――。

 

「な、何事!?ここはどこ?ほ、本丸御殿……?きょ、京都?あ、あら、イッセーじゃないの?どうしてここにって、私がどうしてこんなところに!?しょ、召喚されたの!?え?え??」

 

物凄く狼狽しているリアスさん。呼び出したであろうイッセーは無言、俺たちと英雄派御一行も呆気にとられていた。

 

『彼女のお乳をつつきなさい』

 

「つつくんですか?」

 

――素の声のイッセーと前ドライグにルーツ経由で紹介してもらった、女性で歴代最強の“エルシャ”さんの会話が聞こえる……前にルーツとドライグを自由に俺とイッセーの意識だけを行き来できるよう繋げたため、それによって赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を介して聞こえているものだろう……と思う。

 

『あなたの可能性を開く最後の決め手。それがリアス・グレモリーの乳首なの。あれはスイッチ――。あなたの可能性という名の扉を開くためのスイッチなの』

 

――えぇ!?ス、スイッチ!?いやいや、もう驚きはしないよ…もう、イッセーだもんですむから…。

 

『つーくん。頑張りなさい…………絶対にあんな風になったダメだからね!』

 

ルーツがお姉ちゃん達の様に言ってくる。……うん、わかってるよ。むしろ、あんな風になりたくないもん…。

 

「な、何なの!?光が私を包んでいくわ!!」

 

パァァァァァァァァ……ッ。

 

――リアスさんの胸が輝きを放ち出している。

 

下着姿とはいえ、この離れた距離からでも目視できるほどの光量だ…。

 

エルシャさんが言う。

 

『あのおっぱいは限界を超えたの。スイッチ姫の限界を――。第二フレーズに突入したといっていいわ』

 

――うん。これは由々しき事態だよ。

 

俺は自ら声が聞こえないように無理やり遮断した。

 

『あれをつつくことであなたは変わる。劇的な変化を遂げるわ。あなたのなかの『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』はあと一押しで力を解き放つ。その一押しが――』

 

――無理でした!そうですよね!わかっていましたよ!!イッセーの変態!スケベ!この、大バカぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

 

イッセーとリアスさんが全員の死角となる場所に移動する。

 

しばらくすると、パスを繋いでいた『赤龍帝の籠手(ブースデット・ギア)』から鳴き声が聞こえてきた。

 

『うおおおおおおおんっ!うわぁぁぁぁぁぁああんっ!!うおおおおおおおおんっ!!!』

 

――ド、ドライグ!?大泣きしているドライグの声が聞こえてきたよ!!いったい向こうで何が起きてるの!?

 

次の瞬間――。

 

リアスさんが輝きながら、天高く昇っていき……光と共に消えてしまった。

 

『もとの場所に帰っていきました』

 

エルシャさんがそう言った。

 

「……なんだったんだ、あれは?」

 

「…………さぁ?ボクニモワカラナイヨ…」

 

『つーくん!!元気をだして!お願いだから戻ってきて!!』

 

――はっ!? 危ない危ない…ルーツの声で意識が戻ってきたよ…。

 

光樹兄さんがそう言って、曹操たちも呆然として、いまの現象にどうしたらいいかわからないでいる……。

 

『来たわね。さぁ、行きましょうか!』

 

エルシャさんが叫ぶと、イッセーの鎧の宝玉から赤い閃光が溢れ出る

 

『あぁ、俺も感じるぞ、相棒……。懐かしいものを思い出させてくれる。これは――本来の俺のオーラだ。激情に駆られ、「覇」の力に身を任せたものじゃない。呪いでも、負の感情でもない。これは――俺が肉体を持っていた頃の気質だ。ただだた、白いあいつに勝ちたかった頃の――』

 

ドライグの楽しそうな声音が聞こえる…。

 

あれ?……さっきまで号泣してたのに…。もう、復活?

 

イッセーから発されていく赤いオーラが、イッセーの周囲を包み込み…俺たちも包み込んでいったのだった――。




どうでしたか?…………イッセーェ~。

今回わかったこと、それは……………変態は強い!です。

イッセーのエロスパワーはもはや理解不能の境地にたっており、ツバサちゃんは、一時思考を停止させるレベルだったのだ。

さて、次回は明日中に作れればいいなぁ~……なんて思っている三元新です。

それでは次回、またお会いしましょう!

それでは、バイバ~イ♪( ´∀`)ノミノ

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