ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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皆様、かなりのお久し振りです!なにぶん、この話である小説10巻が無くなってからかなり経ちました。なので!探すのは諦めて新しく買っちゃいました。うぅ……かなり痛い出費なのですよ……


さぁ、今回はサイラオーグVS兵藤一誠の戦いです!どうぞ、ゆっくりしていってね♪

※すみません。間違えて消してしまいもう一度同じのを投稿します!※



6話 黄金の獅子VS赤龍帝

あれから、俺はすべての仕事を終えたところで兄さんと姉さん達のいる特別指定観客席に来た。

 

ここを出てから随分と時間がたってしまっていたので、いまどこまで試合がいったのかとても気になるところだ。

 

そう思いつつ俺は扉を開けた。

 

「――ん?つーくんか。帰ってきたんだな。おかえり。……で、そっちはどうだった?」

 

すると、いち早く俺の存在に気づいた光輝兄さんが聞いてきた。

 

「うん。こっちの仕事はなんとか終わり。……ただ、また調べモノが増えちゃったけどねぇ」

 

俺が嘆息しながら答えると、光輝兄さんが苦笑しながらこっちを見ていた。

 

「ははは。すまんな、いつも面倒ごとを・・・・」

 

「いいよ。それが俺たち特殊部隊・特別調査班の役割だしね。……それに、地球連邦軍でそういうヤツの本格的な調査をしてるの俺達の部隊だけじゃないか。しかたがないことだよ」

 

「かかっ! そうかそうか。」

 

「・・・ところで、試合はいまどこら辺かな?もうほとんど終わってそうだけど」

 

俺は話を切り替えいまの本題に入った。光輝兄さんは少し考え口を開いた。

 

「最終戦。サイラオーグVS兵藤一誠の戦いが始まってから少したったところだ。なかなか楽しいぞ?」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

俺が席に座ろうとした瞬間

 

――パァァァァアアァンッッ!!!

 

とつぜん辺り一帯に乾いた音が木霊した。

 

俺は驚き何事かと周りを見渡し、イッセーとサイラオーグの試合の方へと目を向けると……サイラオーグの鼻から血が噴出し、口の端から血が流れていった。

 

よろりと、その体も少しよろめいていたのだった。

 

どうやら、イッセーがパンチを繰り出したようだ。それも結構な威力の。

 

『いまの一発は倒れていった仲間があなたに届かなかった一発です』

 

イッセーがそう言うと、サイラオーグは口元を拭う。

 

『練り上げられた拳だ……ッ!気迫が体に入り込んでくるようだ。悪魔になって少ない月日のなか、どれだけ自分をいじめ抜いた!?生半可な想いで鍛えられたものではない!クイーシャに見せた新しい能力を見せないので、舐められたものかと若干感じたが、杞憂のようだ。その形態の禁手(バランス・ブレイカー)でも十分に力が底上げされているではないか!!』

 

確かに、イッセーは初期の禁手(バランス・ブレイカー)で俺や他の皆と基礎訓練を重ねてきた。目的はイッセー基礎能力と体力を底上げするためだ。だってそうでもしないと、イッセーは弱いからね。

 

…まぁ、そのために何度も死にかけたってのもあるだろうけどねぇ〜……

 

そんなことを思っていたら、イッセーとサイラオーグの殴り合いが始まった。近距離での拳と蹴りのぶつけ合いだ。

 

イッセーの戦闘はほとんどが実戦で鍛えあげられている。それほど、あの訓練が必死になるほど厳しかったから強くなれたんだろうね!

 

だって、そうじゃないと死んじゃってたからね・・・・あれ(;・∀・)

必死になるのはすごくわかるよ。うん。(;-_-)

 

『実戦で練られた攻撃か!余念が無い分、的確にこちらの中心点を狙ってくる!!』

 

笑って言うサイラオーグ。

 

何度かの近距離戦を終えたイッセーは、一定の距離を保った。

 

ふと、リアスさんとサイラオーグの『兵士(ポーン)』の戦いに目をうつすと、その『兵士(ポーン)』が仮面を静かに取り払ったところだった。

 

仮面の下にあったのは、イッセーや俺と歳が変わらない少年の顔がある。

 

だが、すぐにそれは変貌し始めた。

 

ボコッ!ベキッ!!

 

体中から快音を起こし、少年の体が盛り上がっていく。

 

『ガゴォォォォォォォォォォォオオオオオンッ!』

 

そこに姿を現したのは、巨大な一匹の獅子だ。額に宝玉がついている。たてがみを雄大になびかせて、リアスさんの前に立つ。

 

『おおおっと!バアルチームの謎の「兵士(ポーン)」、その正体は巨大な獅子だったーッ!』

 

実況も驚いている…まぁ〜それが普通だよね。だって、俺だって驚いているんだもん。まさか、神器そのものを眷属とさせるなんて、普通しないもんね。

 

「まさか、ネメアの獅子か!?いや、あの宝玉はまさか……!!」

 

隣のアザゼル先生は何かを得心して、驚きの声音を出す。実況者が訊ねる。

 

『と、言いますと?』

 

「……もともとはギリシャ神話に出てくる元祖ヘラクレスの試練の相手なんだが……。聖書に記されし神があの獅子の一匹を神器(セイクリッド・ギア)に封じた。そいつは十三ある『神滅具(ロンギヌス)』に名を連ねるほどのものになった。極めれば一振りで大地を割るほどの威力を放ち、巨大な獅子にも変化できる――『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』!!敵の放った飛び道具から所有者を守る力も持っていたな。しかし、所有者がここ数年、行方不明になっていると報告を受けていたが、まさか、バアル眷属の『兵士(ポーン)』になっていたとは……!」

 

『いや、残念ながら所有者は死んでいる。俺が「獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)」の本来の所有者を見つけたとき、すでに怪しげな集団に殺されたあとでな。神器(セイクリッド・ギア)となる斧だけが無事だった。所有者が死ねばいずれ消滅するであろうその戦斧(バトルアックス)はあろうことか、意志を持ったかのように獅子に化け、所有者を殺した集団を根こそぎ全滅させていた』

 

……うわぁお。そんな事ってあるんだね。…いや、ドライグやアルビオンみたいな意思を持つ神器があるんだから、なんにも不思議じゃないのかな?

 

 

レグルス・ネメアと獅子を司るバアル。サイラオーグは必然に出会ったというわけね…。

 

……ほんと、運命って何が起きるかわからないよねぇ。

 

「……所有者抜きで単独で意志を持って動く神器(セイクリッド・ギア)……しかも神滅具(ロンギヌス)だと!?さらに悪魔に転生できてしまった!獅子がすごいのか、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)がすごいのか……。どちらにしろ、興味深い!実に興味深いぞ!!うーん、そりゃ、俺たちも把握できないわけだ。クソ!なんでまた現世に限ってこんなレアごとばかりが神滅具(ロンギヌス)に起こるんだ!?っていうか、サイラオーグ!今度、その獅子を俺の研究所に連れてこい!すげー調べたい!!」

 

隣でアザゼルがすごい笑顔で語っていた。顔の輝きかたが何時もよりもすごい。

 

「うるさいぞ…少し黙れアザゼル」

 

俺の隣に座っていた光輝兄さんが小さく嘆息しながら横目でアザゼルを見ていた。

 

『所有者無しの状態のせいか、力がとても不安定でな。このゲームまで、とてもじゃないが出せる代物ではなかった。敵味方見境無しの暴走状態になっては勝負どころではなくなるからな。今回、出せるとしたら俺と組めるこのような最終試合だけだった。いざというとき、こいつを止められるのは俺だけだからな』

 

サイラオーグがそう話す。なるほど話から察するに今のいままで試合に出てなかったんだね。確か…このダイス・フィギュアの試合ルールでは、数字が最大のサイラオーグと共に出場ができないから、なかなか出しにくい眷属だったというわけだな。

 

『……どちらにしても、私の相手はその神滅具ロンギヌスってことね』

 

イッセーとリアス、双方が相手に向かっていく。

 

イッセーはサイラオーグと拳の打ち合いになり、殴られては殴り、倒されては立ち上がってまた殴りあう。

 

「……――くっふふふふ!! なんだよ。随分と熱い戦いを魅せてくれるじゃねぇか! こんなの見せられたら……――――滾ってくるじゃねぇかよ!」

 

攻防を繰り返している2人見て、どうやら光輝兄さんは興奮しているようだ。隣でいまもずっと"うずうず"していた。

……こんな狭い場所で暴れないでよね(;-_-)ハァ…

 

『俺の仲間はッ!』

 

繰り出されるサイラオーグの右の拳。ストレートが伸びきった瞬間を狙って、イッセーは右腕に拳打を放った。

 

『Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト)!!』

 

増大した一撃が右腕の勢いを奪い、サイラオーグの体を少しだけよろめかした。

 

ここぞと言わんばかりに、イッセーは内の駒を変更させて、同時に赤龍帝の力を爆発させる!

 

『龍剛の戦車(ウェシュ・ドラゴニック・ルーク)ゥゥッッ!!』

 

『Change Solid Impact(チェンジソリッドインパクト)!!!!』

 

赤いオーラが膨れあがり、イッセーの体が肉厚の鎧に包まれる。そして、その極大の拳でサイラオーグにアッパーをかました

 

ゴバァァァァアァンッ!

 

ど派手な爆発音を鳴り響かせて、サイラオーグの体が宙高く投げ出された。

 

『弱点のないあんたに弱点を作ったッ!その右腕のことだッ!!』

 

――ほぉ。イッセーは気づいていたんだ。……いや、"そうしたんだ"

 

イッセーは宙に投げ出されたサイラオーグを追撃しようと、再び内の駒を変化させた。

 

『龍牙の僧侶(ウェルシュ・ブラスター・ビショップ)ゥゥゥッ!!』

 

『Change Fang Blast(チェンジファングブラスト)!!!!』

 

鎧が通常の厚さに戻り、背中にバックパック、両肩にキャノンが形成されていく。

 

静かに鳴動させるトリアイナ版の『僧侶(ビショップ)』。砲口は上空にいるサイラオーグに照準を合わせている。

 

『ドラゴンブラスタァァァァァァァァッ!』

 

ズバァァァァァァンッ!!

 

放射された絶大なオーラ。サイラオーグは空中で体勢を立て直し、翼を展開するが――。

 

『くっ……!!』

 

右のドラゴンブラスターに巻き込まれていった。左のほうは絶妙な差で外したようだ。キャノンが役目を果たして赤い光となり霧散していく。

 

空中で煙を立ち上げながら、地にゆっくりと下りていくサイラオーグ。

 

イッセーは肩で息をしている状態だ。

 

サイラオーグは光輝兄さんに似た闘気をまとっといたために、イッセーの攻撃は通ったのだが……決定打となるものにはなっていない。ふむ…光輝兄さん並の防御力だね。相当硬いみたいだ。……いや、いいすぎた。さすがに光輝兄さん並ではないな。まぁ、それでも、近いくらいの防御力だ。……どちらにせよ馬鹿げた防御力には変わりないよね。

 

そんな事を思いながら見ると、満足そうな笑みを浮かべているサイラオーグがいた。

 

『――強い。これほどのものか……ッ!』

 

その顔は歓喜に満ちていた。

 

それほどまでにイッセーの攻撃に満足しているようだ。

 

「ふっ。本当にいい闘いを見せてくれるなあの2人。……サイラオーグ・バアル…か。――あいつ、俺の部隊に欲しいな」

 

光輝兄さんはとても嬉しそうにそうはいた。……無理矢理に連れてこないよね?

 

「……流石に無理矢理は止めろよな」

 

すると、俺と同じく思ったのかレイジ兄さんが注意していた。

 

「わかってるよ。……"無理矢理"には連れてこないさ」

 

……不安だ。

 

また俺と同じく思ったのかレイジ兄さんは深い嘆息を吐いていた。

 

『キャッ!』

 

すると、突然リアスさんの悲鳴が聞こえ、そちらの映像へ目を向けると……、ひざをついている血染めのリアスさんがいて、相手の獅子はダメージを負いながらも、リアスさんの前に立ちふさがっている。

 

『リアス・グレモリーはこのままいけば失血でリタイヤとなるだろう』

 

わぉ!獅子が話し出したぞ?……てか喋れるんだ

 

『助けたければ、フェニックスの涙を使用するしかない』

 

……なるほどね。リアスさんを屠るだけの強さを持っているのは間違いない。でも、それをしないのはフェアな戦いをしたいからなんだろう。つまり、わざと"王(キング)"であるリアスさんをあの程度で済ましたんだろう。

 

『……「余計な事を」と言えば、俺の「王(キング)」としての資質に疑問が生まれるな。いいだろう、それは認める。だが、赤龍帝との一戦はやらせてもらうぞ、レグルス』

 

『わかっております。申し訳ございません、主を思ってこその行動でございます』

 

イッセーは攻撃を再開しない獅子とサイラオーグを警戒しながらもリアスに近づき、リアスのポケットから小瓶を取り出した。

 

『部長、これを使います』

 

『……情けないわ。私が……あなたの枷になるなんて……』

 

リアスさんは悔しそうにしている。『王(キング)』として獅子に抵抗出来なかった自分が心底許せないのだろうねぇ。

 

そんなイッセーは小瓶の涙をリアスさんに振りかけた。途端に煙を立ててケガが治癒していく。

 

サイラオーグの方は兄さん曰く一つ前の試合で使ったみたいだから、これで両者ともに涙を使い切ったみたいだね。

 

……さぁてと、これからが"本番"ってところかな?

 

すると、獅子がサイラオーグに向けて叫んだ!

 

『サイラオーグさま!私を!私を身にまとってください!!あの禁手(バランス・ブレイカー)ならば、あなたは赤龍帝を遥かに超越する!勝てる試合をみすみす本気も出さずに――』

 

そう言う獅子にサイラオーグの怒号が飛ぶ!

 

『黙れッ!あれは……あの力は冥界の危機に関してのときのみに使うと決めたものだ!この男の前であれを使って何になる!?俺はこの体のみでこの男と戦うのだ!』

 

……へぇ、いまでも充分イッセーと互角に戦っているサイラオーグがまだ強くなるんだ。てか、あの神器をサイラオーグは使うことができるんだね。流石だな。

 

それにあのイッセーの瞳。絶対に望んでいるな?サイラオーグが"獅子の力"を使う事を。……もし、俺がイッセーの立場だったら望むね。それが、"本気"の戦い――いや、"闘い"ってもんだ!

 

『――獅子の力を使ってください』

 

イッセーの言葉に思わずニヤリとしてしまった。

 

「――ふふ、そうこなくっちゃ」

 

どうやら無意識に口に出てしまったらしい。隣にいた光輝兄さんやレイジ兄さんに顔を見られたが、二人とも同じような顔をしていた。兄弟そろって同じ考えをしていたみたいだ。3人で顔を見合わせ思わず"プッ"と吹いてしまう。

 

ほんと、仲いいな俺たち兄弟は。

 

……それにしても、いまのイッセーの顔は"男"というより、まさに1人の"漢"だね。

すっごくカッコイイよ!イッセー!!

 

『それを使ったサイラオーグさんを超えなければ意味が無いんです。今日、この日まで培つちかってきた意味がないんです!!』

 

イッセーは熱く騙りながら叫ぶ。

 

『――今日、俺は最高のあなたを倒して勝利をつかむッ!俺たちは夢のために戦ってんだッ!!本気の相手を倒さないで何になるんだよッ!?』

 

イッセーの心からの叫び。その言葉にリアスさんも呆れ顔でイッセーに顔を寄せていた。

 

「……ふっ。随分と成長したじゃないか…あいつ」

 

「あぁ、つい数ヶ月前と比べれば随分と男前になってるな。……ほんと、ああいう熱い男は成長が早い。あのエロのスケベ根性だけが取り柄だった兵藤一誠がここまで成長するとわな。これだから、人を育てるのは止められないんだよ」

 

光輝兄さんとレイジ兄さんが感情深く何処か遠くを見ながらそう言った。

 

「……まったく。ふたりして何言ってんのさ。兄さん達もいまも絶賛成長中だろ?いろいろと…。

まぁ、確かに随分と見違えたよねぇ。イッセーは。流石だよ…本当にねぇ」

 

俺や兄さん達がそんなコトを話していると、サイラオーグが不気味な笑みを放っていた。

 

『……すまなかった。心のどこかでゲームなのだと、二度めがあるのだと、そんな甘い考えを頭に思い描いていたようだ。なんて、愚かな考えだろうか……ッ』

 

ドゥッ!

 

サイラオーグの体に気迫がみなぎっていく。

 

『このような戦いを終生一度あるかないかと想像すらできなかった自分があまりに腹立たしいッッ。レグルスゥゥゥゥッ!!』

 

『ハッ!!』

 

獅子を呼ぶ、主。主に応える獅子!

 

巨体の獅子が全身を金色に輝かせ、光の奔流と化してサイラオーグに向かう。

 

『よし、ではいこうか。俺は今日この場を死戦と断定するッ!殺しても恨むなよ、兵藤一誠ッ!!』

 

黄金の光を全身に浴びるサイラオーグは高らかに叫んだ。

 

『我が獅子よッ!ネメアの王よッ!!獅子王と呼ばれた汝なんじよッ!我が猛たけりに応じて、衣と化せェェェェッ!』

 

ドォォォォォォオオオオッ!!!

 

フィールド全体が震えだす。

 

周囲の風景を吹き飛ばし、サイラオーグと獅子が弾けた。

 

『禁手化(バランス・ブレイク)ッ!!』

『禁手化(バランス・ブレイク)ゥゥゥゥゥッ!!』

 

まばゆい閃光が辺り一面に広がり、イッセーとリアスはその神々しい光を腕でさえぎる。

 

映像越しの俺も目を細めた。

 

……閃光が止んだとき、映像に現れたのは金色の姿をした獅子の全身鎧だ。

 

頭部の兜にはたてがみを思わせる金毛がなびく。

 

胸に獅子の顔と思われるものがあり、意志を持っているかのように目を輝かせた。

 

『――獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)の禁手(バランス・ブレイカー)、「獅子王の獣皮(レグルス・レイ・レザー・レックス)」!兵藤一誠、俺に本気を出させてくれたことに関して、心から礼を言おう。だからこそ、おまえに一撃をくれてやる。――あの強力な「戦車(ルーク)」で攻めてみろ』

 

イッセーに一歩一歩近づくサイラオーグはそう口にした。映像越しでもわかる…鎧に闘気をまとわせて歩む姿は圧倒的な存在感を生みだしている…

 

「……ほう。あれはなかなかだな」

 

光輝兄さんがサイラオーグの鎧を見てそんな事を言った。

 

『当たり前だな。ある意味であれが直接攻撃重視の使い手にとって究極に近い形だからな。力の権化である鎧を着込み、それで直接殴る。だから、どうしても果があのような姿になってしまうのだ。

そう言う、私もお前に合わせてほぼ究極と言ってもいいぐらいの最高の形にしているがな。』

 

すると、光輝兄さんの中から声が聞こえてきた。

 

光輝兄さんの相棒であり神器の主である、二帝龍の片割れ【黒刻龍】UNKNOWN(アンノン)だ。

 

光輝兄さんの持つ神器も直接攻撃重視型なので、光輝兄さんとはかなり相性が抜群だ。はっきりいって最強のタッグ又はパートナーと呼んでもいいほどだ。

 

「……なるほどな。だから、俺と似た感じがするわけか。これでやっと納得がいったよ」

 

それに関しては、俺もやっと納得がいったね。なんでサイラオーグの雰囲気やオーラが光輝兄さんに似ていたのかと言うことが……

 

試合に視線を戻すと、肉薄する距離でサイラオーグがイッセーに言った。

 

『さあ、一発打ってみろ』

 

イッセーはサイラオーグの言葉通りに内の駒を変更させる。

 

『龍剛の戦車(ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク)ゥゥッッ!!』

 

『Change Solid Impact(チェンジソリッドインパクト)!!!!』

 

分厚くなる鎧、何倍にも膨れ上がった腕。

 

巨大な拳を振り上げ、一気にぶち抜いたイッセー。肘の撃鉄を鳴らし、その勢いで拳打の威力を上げるが――。

 

ガンッ!!

 

イッセーの巨大な拳は、サイラオーグの左手に軽々と止められてしまった。

 

その光景にフィールドにいたリアスさんたちだけでなく、ここにいるアザゼルやサーゼクスさん達も驚いていた。

 

……しかし、俺や兄さん姉さん達は驚きはしなかった。何故なら、サイラオーグがあの鎧を纏った時点でもうわかっていたからだ。なんせ、ここにいる光輝兄さんと同タイプの奴らだ。"あの程度の攻撃力"では簡単に防がれてしまうのはわかっていた。

 

――イッセー。まだまだ修行がたりませんね。

 

「……もっと修行を増やすべきでしたか」ボソッ

 

『――ッ!?…(な、なんか急に悪寒が!……あれ?風邪引いちゃったかな?)』ブルリ

 

……おろ?なんか一瞬イッセーが身震いしたような…気のせいかな?

 

すると、イッセーはもう一度撃鉄を撃って、インパクトの威力を底上げして放つ――。

 

バシュンッ!!

 

撃鉄が撃たれ、威力を増した拳を放つが――。

 

ガゴォォンッ!!

 

イッセーの巨大な拳はサイラオーグの掌底の威力に負け、無残に破壊されていく。

 

……サイラオーグと獅子の鎧…やはり光輝兄さんの禁手化(バランス・ブレイク)時の防御力と攻撃力に近いね。どんだけ威力とか底上げされているんだか…

 

『――これで限界か』

 

サイラオーグがそうつぶやく。

 

そして―――

 

ガギャァァァァァアンッ!

 

サイラオーグの拳が分厚いイッセーの腹部に撃ち込まれ、難なく鎧を砕かれていく。

 

そして、その拳は鎧の内部まで届いており、イッセーの体を破壊していった。

 

『ごぶっ!!』

 

イッセーはマスク越しに口から大量の血を吐き出し……地面に突っ伏してしまった。

 

ピクリとも動かないイッセー、どうやら意識を持っていかれたようだ。

 

『――イッセー! しっかりして!イッセーェ!!!』

 

リアスさんがイッセーにかけろよりイッセーの体を揺さぶる。しかし、いまのダメージが大きかったのかイッセーの意識は戻っていない

 

そんなイッセーを、サイラオーグは仁王立ちして様子をうかがっていた。

 

……それにしてもイッセーのあの様子…もしかして

 

「……なぁ、ツバサ。イッセーの奴もしかしたら、いまの衝撃で…」

 

光輝兄さんが俺に聞いてきた。

 

……うん。光輝兄さんの言う通りおそらく…

 

『つーくん。……あの子、イッセーはどうやらさっきの一撃で赤龍帝の深層奥深くまで意識を持って行かれたみたいよ。ドライグがどうやらあまりにも深すぎて手が出せないみたい。

私たちじゃどうしようもないわね。あの子自身が自力で帰ってこなくちゃ最悪あのまま意識不明で植物状態になるわね』

 

どうやら、悪い予感は的中したようだ。隣では兄さんや姉さん達も、自分の相棒から同じような事を聞いたのか、複雑そうな表情をしていた。

 

……確かに、このままじゃかなり危険だ。でも――

 

「俺は信じるよ。イッセーは必ず戻ってくるって。……それにあのイッセーだぜ?常にエロを求めてドスケベ根性でいままでの死地に、ありえない方法で奇跡を起こして来て、ここまで来れた"奇跡の乳龍帝"だぜ?そう簡単にくたばるたまじゃないよ。

きっとここでも奇跡を起こしてくれるさ。だから俺は信じるよルーツ。イッセーが必ず戻ってくることに!」

 

俺はそう高らかに自信満々で言った。だって本当の事だもん。だって…その……お…おっぱいで禁手化(バランス・ブレイク)を起こすような子だよ? 絶対今回もきっと大丈夫だよ!俺の勘がそういっているから!

 

「だからルーツもイッセーを信じようよ!・・ね?」

 

『・・・・そう・・そうね。つーくんが信じるなら私も信じてあげましょう。つーくんの言う通り、今代の赤龍帝の所持者は随分と面白くておかしな人間だからね。私も今回はどんな奇跡を起こすのか見てみたいし、信じて上げましょう。まぁ、それ以外できないのも事実だけどね』

 

ルーツの言葉に嬉しく思いながらも、最後の言葉に思わず苦笑してしまう。まぁ、確かに事実だから仕方がないっちゃしかたがないんだけどねぇ〜。

 

「……イッセー。必ず戻ってこいよ。待ってるからな」

 

俺はそう吐き、イッセーの帰りを祈るのだった。




今回は久しぶりの投稿でした。なんとか出来て嬉しいです。

せめて、この章の話が終わるまで頑張って連続投稿していきたいと思います!明日は最低でも1話、頑張って2話投稿したいと思っています。

次回もお楽しみに!

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