ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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いやっほーー! 最近、家の電波が悪くてテレビやパソコン、スマホといったインターネット系統が使いにくい三元新でございますよ〜!


い、いや〜、なんとか投稿できてよかったよ。うん。インターネットの接続エラーが出過ぎてなかなか投稿できなかったけど、なんとか回復できて本当によかったよ。うん。 このまんま、回復すればいいのになぁ〜。

さて、今日も元気にいきましょう!

それでは、ゆっくりしていってね!


2話 発情期

あれからまた数日。いまの時間は昼休み、イッセーを含めた同じクラスのオカ研のメンバーは教室でのんびりとしていた。

 

そんな中、イッセーだけは自席で突っ伏していたのだ。その机の上には散らばる教科書の数々。

 

そう、あのイッセーが頑張って勉強していたのだ。

 

「……あー、覚えること多すぎだ」

 

頭を抱えながらそうぼやくイッセー。まぁ、ここ最近は、かなり忙しかったですからね〜。

 

体育祭の時はディオドラと旧魔王派との一件、修学旅行前に悪神ロキが襲来し、いざ修学旅行では旅行先にて英雄派との激突。さらに学園祭とほぼ同時期にサイラオーグさんのチームとレーティングゲーム。………そして、昇格試験では中間テストとブッキングと来ていますからね。……普通の一般的な新人悪魔なんかよりもありえないほどのイベント続きですからね〜。忙しいのも仕方がない気がしますよ。

 

ましてや、中級悪魔昇格試験なんて、イッセーなんな悪魔になってからまだ1年も経ってないのに、もう昇格なんですから。ましてや、本当なら中級とんで上級なんですもの……本当にすごいですよね〜。

 

そんなイッセーは毎夜、夕食後と悪魔の仕事後は家で勉強会だそうです。ほかの皆に教えてもらいながら学校のテストと昇格試験の勉強をしているそうですよ。

 

「おー、イッセーが勉強してるぜ」

 

「無駄だぞ。頭に詰め込んでも元がバカでは理解できまい」

 

すると、ぼやいているイッセーに松田と元浜のイッセーの悪友2人が近づいていった。

 

「うっせーな、ハゲにメガネめ。元浜はともかく、松田は俺と同レベルじゃねぇか」

 

そんなイッセーの言葉に松田はカラカラと笑っているだけだった。

 

「カカカ、こういうときは開き直って違う領域に興味を抱くべきさ。ほら!」

 

そう言った松田が取りだしたのは――エッチなDVDだった。

 

それを見たイッセーは素早く松田からソレを奪い取った。奪い取ったイッセーはそのパッケージをマジマジと見つめている。

 

「こ、これは……っ! いま入手困難な超人気作品――『真・爆乳戦隊パイオッジャー爆裂生乳戦争編』じゃねぇかぁぁぁぁぁっ! て、手に入れやがったのか!?」

 

イッセーはわなわなと震えたかと思えば、突然叫び出す。そんなイッセーを俺は呆れながら見ていた。……きっと俺の目は絶対零度の様な冷たい眼になっているだろう。

 

そんな俺の視線を他所に、イッセーの震える声に元浜がキラリとメガネを光らせた。

 

「まあ、独自のルートで入手したのだよ。これを手に入れるために俺はいろんなものを犠牲にしたがな。それでもそれだけの価値はある!」

 

元浜が叫んでる中、松田がイッセーの首に腕を回していた。そのまま実にいやらしい顔つきで耳打ちしていた。

 

「なぁ、イッセー殿。もうテストなんて忘れて俺の家で鑑賞会しようぜ? おまえん家、女子だらけでこういうの見られる機会ないんだろう?」

 

すると、イッセーがまるでその言葉に共感するかのような顔つきになる。

 

そんなイッセーを見て、俺は更に呆れてしまう。

 

「なになに?何の騒ぎなの?」

 

すると、そこへ姉の優子姉さんが俺がいまいる自席にきた。

 

「ああ、実はね――」

 

俺がこれまでのことを優子姉さんに話すと、優子姉さんは呆れながら嘆息した。

 

「……イッセー、あの子って子は本当に――はぁ」

 

優子姉さんはため息をつきながらも、イッセーをまるで汚物を見るかのような眼をしていた。……あはは、イッセードンマイです。

 

「……よし、松田の家でこのDVDを――」

 

すると、イッセーの持つDVDを誰かがひょいと取っていく。

 

それを取った人物は、メガネ女子こと――桐生だった。

 

「あらあらまあ、テスト前だってのにエロ三人組はお盛んね。あら、でもこれおもしろそうね。――どう思う、アーシア?」

 

そんな桐生の隣にはアーシアが。桐生に促されてエッチなDVDのパッケージを見てしまったアーシアは、途端に顔を真っ赤にさせた。……そんなアーシアを見たイッセーはあたふたと慌てていた。

 

「はぅぅぅっ! イッセーさん! ま、またこんなエッチなものを! あんなにいっぱい持っているじゃないですか!」

 

アーシアの発言に心底驚いた顔をするイッセー。どうやらイッセーは知らなかったようだ。

 

すると、そこへ新たにゼノヴィアも登場して、マジマジと興味深そうにパッケージを見ていた。

 

「うん、前にイッセーのコレクションをアーシアとイリナと拝見したが、最後にやることは結局同じだと思うんだ。性交だろ? なぁ、イリナ」

 

すると、ゼノヴィアが隣に来ていたイリナに話を振った。

 

「か、過程や雰囲気が大事だって、リアスさんと朱乃さんも言っていたわ! きっとそういうことなのよ!」

 

……リアスさんはともかく、朱乃さんまで言ってたんだ。あぁ〜、だから最近、朱乃さんは俺と2人でいる時雰囲気作りに専念してたわけですね〜。

 

「ふむ。雰囲気か。確かに必要か。ただ抱かれるだけじゃ、"女"を堪能できない、と。そういうことだな、イリナ」

 

「って、クリスチャンな私にその手の話を振らないで! 大変なことになっちゃうし! けれど、興味もあって……! ああ、複雑な乙女心をお許しください!」

 

頭を抱えたり、お祈りしたりと、いつも忙しそうなイリナ。

 

「……あの子、いつも忙しいわね。いろんな意味で。……疲れないのかしら?」

 

そんなイリナを見た優子姉さんは1人つぶやいていた。

 

そんな中、プライベートが暴かれて羞恥に包まれているイッセー。そんな彼を見た松田と元浜も「あーあ」と半笑いしつつ、同情的な視線を向けていた。そんな彼らをイッセーは悔しそうな羨ましそうな、そんな視線を2人に送っていた。

 

「わ、私もエッチになりますから! 心配しないでください、イッセーさん!」

 

そんな奇想天外なことを言い出したアーシア。俺は思わず口に含んでいたお茶を吹き出すところだった。

 

「けほっごほっ!」

 

「だ、大丈夫?つーくん」

 

「あ、ありがとう。優子姉さん。もう大丈夫だから」

 

優子姉さんにお礼を言うと「そう?ならもう手を離すわね」といいながら、背中をさすってくれていた手をのけた。

 

咳き込んでいる中で、アーシアの隣にいた桐生が意味深な笑みを浮かべていたのは気のせいだろうか?

 

「ア、アーシア? わざわざそんなエッチな子にならなくていいからね? てか、ならないで!お願いだから! アーシアはそのまんまでいて?ね?」

 

隣にいたレイナーレ――夕麻が慌てながらそう言った。

 

「で、でも、イッセーさんが……」

 

「アーシア! お、俺はアーシアがエッチな子にならなくても嫌いになんてならないぞ!むしろ、エr――ゲフンゲフン! じゃ、なくて今のアーシアのまんまの方が好きだから! だからな! アーシアはそのまんまでいてくれ! 頼む!!」

 

イッセーが慌てながらアーシアに言った。

 

「わ、わかりました。イッセーさんがそう言うなら…………イ、イッセーさんが好きって…///」

 

アーシアはイッセーに言われて頷いた。……最後の方だけは、獣耳を持っている俺じゃなければ聞き取れなかった程の小さな声だったが、嬉しそうだった。顔は、イッセーが好きと言ったおかげで恥ずかしさ半分嬉しさ半分といったところなのか、真っ赤に染めていた。

 

そんな中、俺はある事をふと思い出してイッセーに近づいていった。

 

そんな俺に気がついたのか、イッセーが顔をこちらに向けてきた。

 

「イッセー、ちょっと耳を貸してください」

 

「え?……お、おう」

 

イッセーは、俺の言葉に戸惑いつつも耳をこっちに向けて貸してくれた。

 

そんなイッセーの耳元まで近づいて、両手で隠しながら俺は言う。

 

「最近、純粋だったアーシアがエッチな子になってきているので、超過保護で超シスコンな、アーシアのお姉さんこと、あのアリアさんが、アーシアがエッチな子になった元凶でもあるイッセーを、目の敵にしているので気をつけてくださいね?……これ以上、アーシアがエッチな子になったら――」

 

「な、なったら……」ゴクリ

 

俺の言葉に唾を飲み込むイッセー。

 

そして――

 

「――……うん。頑張って下さいね」

 

俺は最後の方だけ声を震わせて言った。そこで俺はイッセーの耳から手を離した。

 

「――ちょっ!? お、俺本当にどうなっちゃうんだ!?」

 

イッセーがそう叫ぶが、無視をした。ある程度進んだところで俺はイッセーの方へと振り向く。

 

「――まぁ、いろいろですよ」

 

俺はあえて意味深な笑みを浮かべてまた前を向いて姉がいる自席に歩き、座った。後方でイッセーが叫んでいるがあえて無視をしよう。

 

するとそんな中、突然ブルブルと音がした。音の発生源に顔をむけると――どうやら、イッセーのケータイだった。

 

「あ、薬の時間だ」

 

そう言ったイッセーは立ち上がる。

 

「あれ? おまえ、どこか悪かったっけ?」

 

そう松田が聞くがイッセーは軽く苦笑するだけだ。……まあ、その薬は"イッセーではない"からね〜。

 

「悪い。ちょっと出るわ」

そう皆に言ってイッセーは素早く人気のない場所に移動する。

 

そんなイッセーの後ろを俺は密かについて行った。

 

イッセーは、この時間に誰も使ってない家庭科室に入り、籠手を素早く出現させると、洗い場のところで瓶を取り出す。その瓶のなかにある液体を宝玉に振りかけた。

 

「どうだ、ドライグ?」

 

すると、イッセーは宝玉に向かって聞いた。

 

『……ああ、気持ちが和らいでいくようだ』

 

落ち着いた様子のドライグ。……実は、この二天龍の片割れ 赤き竜こと赤龍帝ドライグは、今代の赤龍帝の宿主こと兵藤一誠のパワーアップの仕方……つまり、イッセーのエロ魂によって起こった、乳関連でパワーアップを続けているせいか、心の病に陥ってしまった。

 

アザゼル先生が紹介した専門のカウンセラーに心が疲弊しているドライグを診てもらったところ、いま宝玉にかけている液体の薬を処方されたのだ。

 

意思はあるが、封印されているドラゴンというかなり特殊な存在であるドライグ。とりあえず、宝玉にドラゴン用の気分を落ち着かせる薬をかけることで効果があるかためしているそうだが、どうやら見た感じ薬が効いているようで以前よりも楽になったそうだ。

 

ちなみに、このドライグの治療に関しては、同じくドラゴン……それも祖龍を相棒に持っている俺もカウンセラーをしている。なんせ、俺はドラゴンマスターという、称号を"神龍 マスター•ドラゴン"からもらっているので、ドラゴンに関しては、知らない事はないのだ!

 

……てなわけで、俺もドライグの治療を手伝っているってわけなのよ。

 

「どうですか?イッセー。ドライグの症状は?」

 

「ああ、ずいぶんと良くなってるよ。それにしても、俺、ドライグに迷惑をかけているよな。しかもカウンセラーに診てもらうことになるほどだ。天龍の心が繊細だったなんて、想像もつかなかったものだから、俺は無茶なパワーアップしすぎてしまった。ほんとごめんな、ドライグ」

 

そう、天龍の心は以外にも繊細なのです。

 

「これからは、あんまりドライグに負担をかけさせないで上げてくださいね? それよりも、ドライグ。調子はどうですか? 最初の頃と比べると随分と落ち着いているようですが」

 

『……薬をもらってから、だいぶ持ち直してきたぞ。ククク。しかし、薬漬けの天龍か……。白いのが知ったらどう思うやら……』

 

意気消沈しているドライグ。……よほどのダメージがたたっているのでしょうね〜。

 

『……ドライグ。あなた、別にあの"白いの"に知られなくても、"薬漬けの赤龍帝ドライグ"……もう、この時点でほかのドラゴンから笑われるわよ? なんせ、あなたはあの二天龍の片割れなんだから。』

 

『…………グスン』

 

そうドライグに言う俺の相棒 ルーツ。その言葉に少し涙ぐんでいるドライグがいた。

 

「まぁ、何せよ、これからしばらくは、俺と別の人の2人の先生に週二のカウンセラーを診てもらい。日に三度のお薬タイムがあるんです。……これから頑張っていきましょう?ドライグ。きっと相棒のイッセーも頑張ってあなたを支えて上げますから。」

 

『……ククク。一万年も薬漬けか……』

 

俺の言葉に、さらに沈み出した。……頑張れ、ドライグ!

 

そんなドライグを見てイッセーはため息を吐きながら家庭科室を出ると――

 

「兵藤か」

 

「あ、匙」

 

あの匙くんとでくわした。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

俺はあの後、イッセーが匙と話している中、2人に別れを告げて家に帰ってきた。

 

今日は俺が晩御飯の担当なので張り切って作るために早く帰ってきたのだ。

 

本当ならメイドの人達が作るんだけど、いつもしてもらってちゃ悪いから、たまにこれぐらいは手伝っているのだ。ほかにも家事に洗濯などなど、いろんなことを手伝っていたりする。

 

なんでできるのかって?……それは知らないよ。小さい時に、お兄ちゃんにお姉ちゃん。今は亡きお父様にお母様、更にはどこに行ったかわからないお爺様。――つまり家族皆に、『将来必ず必要になるからやっておきなさい!これも修行(花嫁)の一つだ!』と言われたから。なんだか裏があるような気がしたけれど、すると皆喜ぶので俺は好きでやっているのだ。

 

「〜♪〜♪……とと。うん!いい味が出来た。おーい。みなさんご飯ですよ〜」

 

そう言った俺はみんなを呼んだ。

 

いま、この家に住んでいるのは……俺の専属メイドのカンナ、黒歌、そして居候の、朱乃、白音こと小猫ちゃん。ぐらいかな。ちなみに、朱乃さんはロキとの戦いが終わった後から、小猫ちゃんは修学旅行が始まる少し前くらいから、一緒に住み出したのだ。

 

「そんじゃ、手を合わせて……いただきます」

 

「「「「いただきます」」」」

 

俺達はご飯を食べてると、俺はふとあることに気がついた。

 

「ねぇ、白音?食べないの?どこか調子が悪い?」

 

俺は、いつも誰よりも食べている白音ちゃんがほとんど食べていないのに気になった。

 

「……すみません。私、お腹がいっぱいです。…ごちそうさまでした」

 

そう言って白音は部屋に帰ってしまった。

 

そんな白音を少し心配そうに見ている黒歌。……やっぱり、何かしってるんだね。

 

……でも、いまはいいや。いつか言うと思うから。

 

 

そんなことを思いつつ、俺はご飯を食べるのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

時刻は深夜。 みんなが寝静まった中、俺は今日の研究レポートを書き終え、光輝兄さんにレポートをスキマを使って飛ばしたところだった。

 

「くぅ〜――……ふぅ。疲れた、寝よう」

 

疲れた俺は、机の電気を消しベットに潜り、寝ようとすると――

 

ギィィ―

 

……と、音がなり、部屋の扉が開かれる音が聞こえた。

 

誰だろうと思い、俺は顔を上げて扉に目線を向けると――

 

 

そこには、白装束姿の白音がいた。

 

白音はその服装にプラスして猫耳と尻尾を出している。つまり猫又モード。本来の姿をしていた。

 

それにしても、どうしてこんな深夜に? 悪魔の仕事も今日は体調不良で休んでいたそうだし、なにより、今日はご飯をほとんど食べていなかった。確かに最近不調だったのは知っているけども、黒歌には気にしなくてもいいと言われたし……。見た感じは、風でも、ましてや仙術の練り方が悪いわけでもないみたいだけど……。

 

顔をよく見ると、なぜか白音は真っ赤な顔をしていた。……若干、艶があるような…。

 

すると、白音が俺に近づいてくると、恍惚とした表情のまま白装束の裾をたくし上げた。

 

そこには――

 

「……ふぁっ!?」

 

は、はははははいてない!?

 

え、え?ええ? し、白音はなんでノーパンなの!?なんでなんにもはいてないんだよ! ちょ、ちょちょ!!えぇーー!?どういう状態なのーー!!!

 

俺がパニクっていることを他所に、白音が白装束をはだけさせると、ベットに上がってきて俺に抱きついてきた! 荒い息づかいとほんのり汗ばんだ小柄だけどやわらかい体が俺を襲う!

 

「ちょっ! し、白音!?」

 

俺があんまりにも慌てながら叫ぶと、白音が耳元に顔を近づけてきてこう囁いた。

 

「……つばささん……切ないです」

 

そんなセリフを言うと、あまりの唐突な出来事にフリーズしていた俺の手を取って、自分の胸に当てた。白音の小さいけど確かなやわらかさが俺の手に伝わってきた。

 

途端に白音は口からあえぎ声を発する。

 

「……にゃぁぁ……」

 

――っ!? い、いや!本当にどうしたんだよ白音ちゃん!? な、なんでこんなエッチなことを!? それも、朱乃や黒歌、挙句に酔っ払ったりイタズラする時の姉さん達の様ななんでエッチなことを!?あの白音がどうして……っ

 

――すると、突然黒歌の言っていた言葉を思い出した。

 

『んにゃ…、だいじょうぶよ。誰もが通る道だし、女の子の秘密に男の子が入り込むのはどうかと思うにゃん。つばさはそんな子だったのかにゃん?』

 

……確か、俺はあの時……『誰もが通る道、女の子、アレ、猫又、獣系妖怪………まさか―』なんて思ってたけど……もしかして……

 

すると、突然、ざらっとした猫特有の舌触りが俺の首を伝っていく……! し、白音に首筋を舐められた! な、なんですか、この舌使い! 黒歌みたいじゃないですか! 本当に姉妹ですねあなた達は!

 

ふと、白音を見ると、切なそうな瞳を浮かべたまま、小さく声を漏らす。

 

「……つばささんの……あ」

 

「……あ?」

 

訊く俺に白音はハッキリと告げてきた。

 

「赤ちゃんが欲しいです」

 

…………。

 

……………………。

 

―――あ、あ、あ、あ、ああ、あ、赤ちゃんっ!?

 

………………――と、いうことはやっぱり。

 

「……白音。ちょっとごめんね」

 

俺は寝転んでいた体を起こし、白音に訊くと、まず白音の首元に手を当て、次に瞳を覗き込んで、最後に胸とお腹にも手を当てた。

 

………やっぱり。白音は――

 

ガチャッ

 

すると、またしても扉が開く音が聞こえた。……でも、今度は気配を探知していたので誰かはわかっていた。

 

「Goodタイミングだよ。黒歌」

 

「にゃははは。おまたせにゃ。つーくん」

 

そう言った黒歌は、素早く白音の後ろに移動し、首筋を軽く撫でた。

 

……トサ

 

すると、こと切れるように持たれかかってくる白音。どうやら気絶したみたいだ。

 

「……ねぇ、黒歌。白音ってやっぱり――」

 

すると、黒歌が人差し指を立てて俺の唇に当ててきた。

 

「そこまで言わにゃくても、わかってるにゃん。あとは私に任せて、つーくんは今日はもうねるにゃ。良い子は寝てる時間にゃよ? ほら、続きは明日の放課後話すにゃん。もちろん、つーくんだけじゃなく、ほかのみんにゃにもね」

 

そう言って黒歌は白音をお姫様抱っこで担ぎ、バイバーイといいながら部屋をでた。

 

……白音の様子と黒歌のあの発言。やっぱりそうなんだね。

 

「……いいや。今日はとにかく早くねよ〜。」

 

俺は、まだ凄くドキドキしながらも能力を使ってまで無理やり寝て、邪念を捨て去るのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

「猫又の発情期ってことか」

 

翌日の放課後、イッセーの家にて集合した俺達は、オカ研の他のメンバーから連絡を受けて駆けつけたアザゼル先生が、事情を聞いて開口一番にそう言った。

 

ちなみに、白音はいまここにはいない。なぜなら姉さん達に任せているからだ。一番安全だからね。

 

「……発情期、かぁ」

 

俺は黒歌を一瞥すると、黒歌はペロッと小さく舌を出す。

 

はぁ、普段のシスコンぶりはどこにいったのやら。

 

「猫又の女は体が子供を宿せるようになってしばらくすると一定周期で発情期に入る。ようは猫又の本能が働いて子孫を残すために子作りしたくなるんだよ。その辺は猫と同様だな。猫又の特性上、相手は気に入っている異種族の男ってわけだ。つまり、おまえだ、つばさ」

 

そう言ったアザゼルが俺に指を指してきた。

 

「小猫はレアな猫又――猫魈だ。子孫を残すのはいいことだと思うぜ。それが結城家でそれも祖龍との間の子供なら万々歳だ。だが、ちょっと今回はな……」

 

……そう。アザゼルの言う通り、今回は――

 

「小猫――いや白音はまだ小さいにゃん」

 

俺とアザゼルの言葉の前に白音の姉である黒歌がそう言った。

 

ふと、静かなイッセーが気になったのでイッセーの方を見ると、リアスさんと朱乃の胸を見ながらうんうんと頷いていた。……どうせ、イッセーは胸が小さい事だと思っているんでしょうね。……そんなことあの子の前で言ってみろ?イッセー…死ぬぜ?

 

そんなイッセーを見ていたリアスさんは嘆息した。

 

「もう、体のことよ」

 

そんなイッセーは眼福とばかりな顔をしながら、アザゼルに顔を向けて、質問をした。

 

「小猫ちゃんが小柄ってことですか?」

 

イッセーの言葉に、俺が答える。

 

「そうだよ、イッセー。猫又 及び 猫魈の出産は心身共に成熟した状態でないと、凄く危険を伴うんだ。人間界でも出産は母体にとって大変なことでしょ? 白音――小猫ちゃんはまだ未成熟なの。 いまのままで、仮にも俺の子を宿してしまったりしたら、出産の際に母子共に耐えられずに死ぬ可能性が高すぎるんだよ。 それらを含めて、もう少し成長してからのほうがいいんだよ。子供を作ろうと思うのならね」

 

「つーくんの言う通りにゃ。私たち猫又はオスがほとんどいなくいまいる猫又の殆どがメスにゃ。そのために、子孫を残そうと異種族との子作りが最適な体づくりになってるにゃ。故に、殆どの猫又が私みたいな体型をしているのにゃ。だからよく、エッチな漫画やイラストで女の猫又がエッチで、こんなエロい体をしているのは、そんな理由からにゃ。だから、白音もいつかは私と同じ体型になるにゃん。

そんな理由があるからこそ、体が成熟してないうちに子供を作ると、どの種族よりも命を落とす危険性が高いから、体が成熟するまでは子作りを禁止してるにゃん。」

 

俺の言葉にイッセーは少し納得したような表情をした。

 

「けど、それなら猫魈の本能で子作りできないと判断してもおかしくないですよね? どうして小猫ちゃんは……」

 

「あ〜……それは、そのぉ〜……」

 

イッセーの言葉にどう答えるか悩んでいると、朱乃が俺の肩に手を置いてきて口を開いた。

 

「つーくんと一緒に住んでいる女として、そして、ここの部員としてならわからなくもないですわね」

 

朱乃の言葉にみんなの視線が集まる。

 

「きっと、小猫ちゃんは家での私と黒歌そしてカンナさんのつーくんへのスキンシップと、今までといまのイッセーくんとリアスの関係を見て、感情が高まったのだと思いますわ。つまり、『私も負けてられない』『次は私だ』と強く心に思ってしまったのでしょうね」

 

「まぁ、朱乃さんの言ってる通りです。そんな影響で体の準備が充分に整わないまま、発情期に入ってしまったと……つまり、ほとんど俺のせいなんですよね〜。あははは!……はぁ、どうしよぉ」

 

……うん。マジでどうしよ

 

「それは違うにゃ。私も白音のことを気づかなかったから、私も悪いにゃん。白音のお姉ちゃんなのに……」

 

「それは私も同じですわ、黒歌。私だって白音ちゃんのことを気づいてあげられなかったんですもの。私達でなんとか頑張っていきましょう」

 

「そうにゃね。朱乃の言う通りにゃ」

 

「うん。ありがとうございます。朱乃、黒歌」

 

「「どういたしまいて/にゃ/ですわ」」

 

そんななんとも言えない空気のなか、アザゼルが口を開いた。

 

「何はともあれ、発情期を無理矢理抑え込んでもな。薬で抑制し続けても今後は成熟したあとに本能が働かなくなる可能性も無いわけじゃない」

 

すると、アザゼルが俺と目線をあわせてきた。

 

「もう、つばさはわかっていると思うが、一番いいのは……」

 

「小猫の状態が完全に落ち着くまで俺自身が耐えることでしょ?」

 

「おう。そういうこった! できるか?」

 

「もちろん! それぐらい耐えますとも!……それに、発情期の獣や獣娘に襲われるのは、いまに始まったことじゃありませんしね」

 

俺は、最後にそういいながらチラッと黒歌を見た。そんな黒歌はアハハと笑いながらも明後日の方向に顔をそらしていた。

 

「……? まあ、とりあえずただ我慢して耐えればいいだけだ。 どちらにせよ、お前が小猫を襲うのはないと思うがな。イッセーとはちがってよ」

 

「ちょっ!? それどういう意味っすか! 先生!!」

 

「そのまんまの意味だよ!」

 

アザゼルがケラケラと笑いながらそう言った。イッセーは少し拗ねながら、隣にいたリアスさんになだめられていた。

 

ただ、ものすごく甘々な雰囲気が漂ってはいるけどね。

 

「おらおら、バカップルが暑苦しいぞ」

 

アザゼルが半眼で言うと、握り合っていた手をパッと離すイッセーとリアスさん。

 

すると、アザゼルが

 

「見せつけやがって。そういうのは二人だけのときにやれってんだ。なあ、お前ら?」

 

そういいながら、ほかのみんなに聞くが

 

「いえ、お二人の様子は安心して見てられるというか」

 

「いいなーと思いつつも二人の仲を見守れる安堵感は癒されるぞ」

 

「そうねぇ、決着するまで案外長かったものねぇ。見つめ合ったとき、二人の間に演出的なお花が満開だったような気がするわ!」

 

アーシア、ゼノヴィア、イリナの教会トリオはうんうんと頷いて。

 

「うふふ、アーシアちゃん達の言う通り、いままで距離が長かったぶん、本当の恋人同士になれた二人を見ていたら、思わずこっちまで笑顔になってしまいますわ。しいていうなら……そう。娘と息子を見るような母親の気持ちですわね」

 

ニコニコと朱乃がそう言って。

 

「いまの場面を録画してライザーお兄さまに見せたら悶死しそうですわね。うふふ」

 

レイヴェルがライザーをイジメていた。

 

そんな彼女達を見ていた俺は半笑いするだけだ…。

 

「……ったく、いい女たちに恵まれているな、イッセーは。それとついでの報告だ。――朱乃」

 

アザゼルが朱乃に話題を振る。

 

「バラキエルは承諾した。俺もそれでいいと思う。あとはおまえの意思しだいだ」

 

「父が……そうですか。わかりました。これ以上、眷属に迷惑はかけられませんものね。――ギャスパーくんもがんばっているのですもの、私も近くに必ず」

 

…なにやら、二人の会話から堕天使関係の話をしているように思えた。まぁ、あれ以来、朱乃とバラキエルさんの間にあった溝はロキ戦の前のデート時。つまりあの時以上に埋まっていっているらしく、今じゃかなり家族愛で満ち溢れて、家族と一緒にいる時間が昔よりも増えたそうだ。一度、久しぶりに朱璃さんに会いに行った時にも何度か聞いている。

 

アザゼルは朱乃の言葉を聞いてうなずく。

 

「わかった。――と、それは置いておくとして、他の皆もちょっといいか」

 

アザゼルが改まった声音で俺たちを見渡す。

 

「明日、この家に訪問者を呼ぶ予定だ。リアス、それについての了解を取りたい」

 

「あら、初めて聞いたわ。突然ね」

 

まぁ、ここは本当はイッセーの実家なんだけども、リフォームさせたのはリアスさんだから、実質宿主はリアスさんになってるからね〜。だから、アザゼルはイッセーではなく、リアスさんに聞いたんだろうね。

 

「ああ、ちょっと、な。」

 

アザゼルの表情はいつになく真剣なものになっていた。

 

「おまえたちはその訪問者に確実に不満を漏らす。いや、そいつに対して殺意を抱いてもおかしくないはずだ」

 

アザゼルの発言に一部を除いて皆一様に顔を見合わせて驚いている。不満は確実な上に殺意を抱くほどの者が来るのだから、当然の反応だろう。

 

「イッセー、おまえがいま頭に過ぎった集団があるだろう?それで半分正解だ」

 

「――っ!先生、ヴァーリたちがまたここに?」

 

ロキ戦のときにヴァーリたちはここ、イッセーの実家を拠点に動いていた。

 

別に、次に会うとしても死闘を繰り広げるわけじゃあるまいしね。……まぁ、仮に潰し合いになったとしても、俺は負ける気は一切ないけどね。

 

「ヴァーリはテロリストですもの。一時共闘したけれど、ここにもう一度用があるというのなら、戦う準備ぐらいはして当然だわ。けれど、極端な話、すぐに殺意を抱くというのはないのではないかしら。話では京都でもイッセーたちを助けてくれたみたいだし、私個人の見解では、敵だけれど英雄派ほどの危険性はないと思うわ。会うぐらいならまあ……警戒は最大限でおこなうけれど」

 

リアスの意見にアザゼルは息を吐きながら、頬をかく。

 

「まあ、ヴァーリチームに関してはおまえたちも曖昧な立ち位置であることは認識しているだろう。ただな……。いま言ってもしょうがない部分があってな。明日の朝まで待ってくれ。それでわかる。だが、俺の願いとしては決して攻撃を加えないでくれ。それだけだ。話だけでも聞いてやればそれで十分なんだ。――うまくいけば情勢が変化する大きな出会いになるかもしれない。俺も明日の朝、もう一度ここに来る。――だからこそ、頼む」

 

堕天使総督のアザゼルがイッセーたちに頭を深く下げた。そうまでして招き入れたい重要な訪問者みたいだ。よほどの大物が来るんだろうね〜、"ヴァーリ以外に…"

 

会議が終了したあと、俺は玄関で帰り際のアザゼルに呼びとめられた。

 

「つばさ、明日の訪問者が来たときに一番に対応してくれ。それとだ、お前らと一緒に暮らしている『無限の龍神(ウロボロス•ドラゴン) オーフィス』こと、龍巳って言ったっけか? とりあえず、オーフィスを連れてきてくれ。おまえらなら殺意を抱くことはないと思うし、龍巳はその逆になるだろうな」

 

アザゼルの言葉に、俺は納得した表情になる。

 

「なるほどね。オーフィス――いや、龍巳を連れてくるって言うことは、龍巳の"片割れ"がヴァーリたちと一緒に来るってことだね。あいわかった。そういう事なら引き受けよう。一番に対応してあげるよ。……それにどうせアザゼルのことだ。兄さんや姉さん達も呼んでるんでしょ?」

 

「ククク。ああ、よんでるよ。んじゃ、てなわけで明日、よろしくなつばさ!」

 

「うん。了解」

 

アザゼルは俺の言葉にうなずき、一言「ありがとうよ」と言い残して帰った。

 

「……それにしても明日かぁ〜。……面倒くさいことにならなきゃいいけどなぁ」

 

俺は自分の思った言葉に不安になりながらも、家に戻ったのだった。




さてさて、次回はいつになるのやら……できれば週一に投稿したいな〜なんて思ってみたり。

でもまぁ、頑張りますか! インターネットさえ使えれば投稿できるしね! 今度こそ、1発で投稿できるように頑張るぞーーー!!!

それじゃ〜、また次回でお会いしましょう!バイバ〜イ!

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