ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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遅れてすみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!! 言い訳させてもらいますと、専門学校の研修旅行でパラオまで行ってましたのでスマホとうとうは自室に置いて来てたんですよ。故に、毎週投稿が途切れていました。さて、今回からまた毎週投稿していきますので、よろしくお願いします!

それではどうぞ、ゆっくりしていってね♪


4話 襲撃者

昇格試験当日、俺たちは兵藤家の地下にある転移用の魔方陣の前に集合していた。

 

イッセーたちの服装は駒王学園の制服。鞄も手にしている。

 

試験会場となる昇格試験センターに行くのはイッセーと木場と朱乃、マネージャーのレイヴェルの四人だ。

 

俺やアザゼルたちは冥界まで付いて行くが、会場近くのホテルで待機する予定だ。

 

転移は一気に会場まで行くとのこと。まずはイッセーたち受験者とマネージャーのレイヴェルだけ。

 

そのあと、俺たちがホテルにジャンプ。

 

直接ジャンプする理由は、まぁ、いろいろあるんですよ。

 

「純血であり、姫でもあって、魔王の妹でもあるリアスと、それの眷属下僕悪魔であり、赤龍帝でおっぱいドラゴンなおまえとは身分違いの恋愛ってことになる。貴族社会でそんなニュースが出てみろ。そりゃ、こぞっておまえたちの様子をうかがいたくもなるだろう?一般市民の女性の間じゃ、身分違いの恋がキャーキャー言われているようだぞ」

 

と、アザゼルがイッセーにそう言っていた。

 

……俺は悪魔でないため、冥界で騒がれていないわけでもないが…イッセーたちに比べれば、マッチの火程度の広まりだった。……というか、なんで広まってるんだろうか

 

そんなことを思いつつ、広まる原因となった人物を見る。

 

「……ん?なんだツバサ。俺の顔に何かついてるか?」

 

「いや、なんにも」

 

そう、広まった原因を作ったのは光輝兄さんだ。そんな光輝兄さんを見ていた俺は、横顔を見ていたが何も無いといいイッセー達をみる

 

「?」

 

俺の反応に光輝兄さんは首をかしげていた。

 

 

「お兄さまのもとにもマスコミが取材を申し込んできていて大変なことになっているそうですわ」

 

すると、レイヴェルがそう言った。ライザー……哀れなり。

 

ふと、イッセーがきょろきょろと見渡して言う。

 

「ギャスパーは見送りに来ていないのか」

 

「あ〜あいつなら、一足早くここで転移して、冥界――グリゴリの神器(セイクリッド・ギア)研究機関に行ったよ」

 

イッセーの問に光輝兄さんがそう答えた。

 

「――っ。あいつ一人で、ですか?」

 

予想もしてなかったのだろう答えに驚くイッセー。

 

「バアル戦が終わってすぐにな。あいつ、泣きながら俺のところに来たんだよ」

 

すると今度はアザゼルが答える

 

『先輩たちのように強くなりたいんです!もう、守られるだけじゃ嫌です……!僕はグレモリー眷属の男子だから、情けない姿だけはもう嫌なんです……!』

 

ギャスパーはアザゼルにそう懇願したらしい。

 

「引きこもりの上に臆病だったあいつが、それだけの決心をして一人でグリゴリの門を叩いたんだ。生半可な決断じゃないだろう。今頃、研究員指導のもと、自分の神器(セイクリッド・ギア)と向き合い始めたはずだ」

 

「そういうことだから、試験に集中しなよ、イッセー。ギャスパーが頑張ってるのに、イッセーが頑張らなくてどうするの?」

 

俺の言葉にうずいたイッセー。

 

――と、イッセーの視線がオーフィスと金華とルフェイに向く。

 

「オーフィスや金華たちはどうするんですか?」

 

アザゼルに訊く。

 

「俺たちと共にホテル行きだ。さすがに会場まではマズいだろう」

 

確かに、試験会場に連れていってはいろいろと問題が出かねない。アザゼルの判断は適切だろう。

 

「それにな。おまえらの試験が終わったら、一度サーゼクスのもとにオーフィスを連れていくつもりだ。いい機会だからな。オーフィスもおまえが行くなら付いていくと言っている。だから、おまえたちも試験が終わったら、その足でサーゼクスのところに行くぞ」

 

「わかりました。何ができるかわかりませんけど、オーフィスをサーゼクスさまと会わせるのには大きな意味があるんですよね?」

 

「ああ、少しでもいい方向に向かわせたいからな。無理だと思われていた話し合いが可能かもしれない。大きな一歩だ。オーフィスは何を考えているかわからないが、だからこそ、戦いを避けられるかもしれない。うまくいけば敵の組織自体を瓦解させ、分散できるだろう。そうすれば各個撃破も可能となる。――オーフィスの『蛇』を失えば、奴らの打倒も予想以上に早まるだろうさ。この案件を申し出てきたヴァーリに感謝したいところだ」

 

…だろうね。そもそもヴァーリがアザゼルにオーフィスを任せたのが事の始まりだし。

 

「……隠そうとしたのかもな。――脅威から」

 

光輝兄さんがぼそりとつぶやいた。首をかしげているイッセーたち……数人は気がついているみたいだけど。

 

オーフィスはテロ組織の親玉に立っていた。どの勢力も狙ってはいたが、下手に手を出せずにいただけ。なんせ姉の龍巳もいるわけだし…。

 

先にイッセーたち四人が試験会場に転移しようとしたときだ。

 

「待って」

 

リアスさんはイッセーたちを引き留めた。そして、イッセーに近づいていき――イッセーの頬にキスをした。

 

「おまじないよ。イッセー、必ず合格できるって信じているわ」

 

イッセーはリアスさんにもらった『おまじない』でテンションが上がったせいか、俺たちがいることを忘れ、顔を赤くしながら言う。

 

「俺、絶対に合格します!ご、合格したら、俺とデートしてください!!」

 

イッセーがデートの誘いを告げると、一瞬だけポカンとしたリアス。すぐに満面の笑みで答える。

 

「うん、デートしましょう。――約束よ。私、待ってるから」

 

ガッツポーズをするイッセー。気合がさらに入ったようだ。

 

「……ったく、人前でイチャイチャしやがって……若いっていいね!」

 

おもしろくなさそうに嘆息したアザゼル。

 

「ねぇ、木場。ちょっとこっちに来て」

 

「ん? どうしたんだい?」

 

イッセーとリアスさんがイチャイチャしている中、俺は木場を呼んだ。とうの本人は俺のところに来た。

 

「ねぇ、木場。……いつになったら、イッセーとアーシア、それにゼノヴィアに君の正体を言うの?」

 

「男じゃなくて――"女の子"だってこと」

 

俺の言葉に木場が固まる。……そう、何を隠そう木場祐斗の本当の性別は男ではなく女なのだ。しかも、本名は木場祐奈。師匠に教えてもらった変身魔法で、今の姿をしているらしい。

 

……え? なんで俺がその事を知っているのかって?――まぁ、いろいろあるんですが、その話は後ほどね?

 

「……うん。じつは今回の試験が終わったあとに、全て話すつもりだよ」

 

「そう。ならいいんですよ。あなたがそう決めたのなら、ね。」

 

「うん」

 

「さて、それは置いといてと――頑張って下さいね。応援してますから!」

 

「うん。頑張るよ!」

 

俺は木場にエールを送った。

 

「てなわけで、行ってきます!」

 

木場とわかれたあと、イッセーたち四人は俺たちに一時の別れを告げ、転移の光に包まれていった。

 

―――――――――――――――――――――――

光が収まるとそこは広いロビーだった。無事に予定していたホテルに飛べたようだ。

 

「ここがグラシャラボラス領のホテルね」

 

リアスさんが周囲を見渡してつぶやいた。

 

そう、俺たちは中級悪魔の試験会場の近くにあるホテルに転移したようだ。イッセーたちが受ける試験会場の近くにね。

 

一旦、自由解散になったところで、泊まる予定の部屋にて俺と光輝兄さん、レイジ兄さん、優子姉さんの4人が話し合っていた。

 

「今回の試験なんだが……お前はどう思う?ツバサ」

 

他愛のない話をしていると、突然光輝兄さんが聞いてきたので俺は答える

 

「……どう思うよって言われてもね〜。確実に来るね。禍の団(カオス・ブリゲード)の連中は。……まぁ、それが何時になるかはわかんないけど、俺の勘がイッセー達の試験終了後ってところかな」

 

「……そうか。そうきたか。―――はぁ〜〜。面倒くさいな〜おい。」

 

心底面倒くさそうに愚痴る光輝兄さん。

 

「まぁまぁ、仕方がないだろう。試験中は悪魔や魔王達の目が届いてる。しかし、試験後は悪魔や魔王たちもそうだが、なによりイッセー達の気が一気に緩む時だ。特に、こんな場面に慣れていないイッセーが1番緩むだろうな。そこを狙うのは、誰だってするさ」

 

レイジ兄さんは光輝兄さんにそう言った。

 

「そうね。アイツらのことよ。それぐらいはするでしょうね」

 

レイジ兄さんに続いて優子姉さんも頷く。

 

「そうだよ光輝兄さん。レイジ兄さんと優子姉さんの言う通り、その気のゆるんだ一瞬が奴らにとって格好の的なんだから。俺が敵なら絶対にそこを狙うね。特にイッセーみたいな訳の分からないタイプだと、戦闘になる前に叩くのが1番いいもん」

 

俺の言葉にレイジ兄さんと優子姉さんが強く頷いた。

 

そりゃそうでしょう。誰だってイッセーみたいな予想外の訳の分からない方法で力をアップさせてきた人間ほど、厄介な相手なんてこの世にそうそういてたまるもんですか

 

「それもそうだな。……っとそろそろ集合時間だ。俺達も動くとするかね」

 

光輝兄さんの言葉に光輝兄さんを除いた俺達3人もたった

 

俺たちが集合場所のロビーに戻ると、黒歌たちが手を振ってきた。

 

「悪いな、遅くなっちまって」

 

光輝兄さんは皆のところに行くと、詫びの言葉を入れる。

 

「ううん、私たちもさっき集まったばかりよ。それより、少し早い昼食にしましょう?」

 

黒歌がそう言った。

 

「昼食ねぇ…。意外と長い時間話していたんだな…俺達」

 

苦笑する俺は、アザゼルのところに行く。

 

「光輝、レストラン行くぞ。もちろん貸し切りだ」

 

貸しきりって…それもそうか、この大人数ですしね。

 

レストランへ移動してきた俺達は、レストランに入ってそれぞれが好きな席に着いた。

 

「さぁて、何を頼もうかな〜」

 

俺はメニューを開くと、ひとつひとつ見ていく。

 

「俺は昼酒だ」

 

そう言って店員に酒を注文しているアザゼル。

 

「ほどほどにしとけよ?アザゼル。てなわけで俺もワイン一つください」

 

近くに座っている光輝兄さんがそう忠告するが、同じようにお酒を頼みだした………

 

「……って おい!」("▔□▔)/

 

俺が兄さんに突っ込むが……

 

「大丈夫!潰れねぇ程度に飲むぜ」(`・∀・´)b

 

「そうだぜ、心配すんなや!」(`・∀・´)ニヤッ

 

調子のいい光輝兄さんとアザゼルはそう言ってスルーした。

 

「…………」(╬^∀^)

 

「まてまてまて!? こんなところで暴れるなよツバサ!?」(°∇°;)

 

手を出そうかと思っていたが、レイジ兄さんに止められてしまった。

 

なぜ止める。 なに? 顔が怖い? そうなのか? あ、そうなんだ。なんかごめんなさい。

 

それから数分が経ったとき――。

 

アザゼルが突然、魔方陣を展開した。

 

『せ、先生!実技なんですけど……!』

 

魔方陣の向こうから声がし、見慣れた顔が現れた――そう、イッセーだ。

 

俺はアザゼルの傍に立って会話の様子をうかがう。

 

「おー、どうした。こっちはホテルのレストランで貸し切りの昼酒中だ」

 

『実技の試験なんですけどね!あ、あの、俺も祐奈も朱乃さんも問題ないというか、むしろ俺たち……』

 

「圧倒的、だったろう?」

 

にやけるアザゼルの言葉に向こうにいるイッセーがうなずく。

 

「当然だ。おまえら、下級悪魔のなかでは異例の強さを誇るからな。そこに試験に行くのは強くても中級悪魔の上クラス相当だぞ?で、おまえらの実力はというと、上級悪魔クラスだ。特にイッセーはトリアイナや真『女王(クイーン)』形態を発揮すればそれ以上のクラスと比べても遜色そんしょくがない。まあ、それはサイラオーグも一緒か」

 

『……知りませんでした。俺――俺たち、そんなに強くなっていたんですね』

 

イッセーの言葉を聞いて、俺は嘆息した。

 

「おまえ達が相手にしてきたのは、伝説級がゴロゴロのヴァーリチーム、北欧の悪神ロキと最悪の魔物フェンリル、それに最強の神滅具(ロンギヌス)『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』なんだぜ?そいつらと戦って全員生きて帰ってくるなんて、正気の沙汰じゃない。むしろ異常だって言われて当然のレベルだ。少なくともグレモリー眷属では、イッセーと木場、朱乃、ゼノヴィア、ロスヴァイセは上級悪魔クラスの実力を持つ猛者揃いだ。それに、日ごろの特訓には俺たちが関わっているからな。普通に考えてとんでもないんだよ、イッセーたちの周囲はな」

 

光輝兄さんがイッセーにそう言った。

 

……そうなんだよね。よくボコっている俺はともかく、龍巳や光輝兄さんたちも暇がてらに手を抜いて付き合っていたりしているし。幻想郷メンバーの何人かもイッセーたちの修行を手伝ってくれてるしね〜。まぁ、結果的に実力が飛躍しすぎていったんだけど…。

 

「よくもまあ、これだけのメンツと巡り合ったよ、おまえの惚れた女は」

 

『はい、リアスは最高の女性です!!』

 

イッセーがそう言うと、アザゼルはいやらしい声音で近くに座っているリアスに声をかけた。

 

「おい、リアス。イッセーが『リアスは最高の女性です』だってよ」

 

アザゼルの言った言葉を聞いて、手元のフォークを止めて顔を真っ赤にしているリアスさん。

 

『ちょ、ちょっと、先生!何、それを報告してるんですか!!』

 

慌てて問い詰めるイッセーだが、時すでに遅しというもの…。

 

「ははっ!リアスの奴、おまえのそれを聞いて真っ赤っかだぞ!!ったく、お熱いこって!クソ!涙が出てきやがる!!俺、独り身を極めっかな、ちくしょうッ!!!」

 

悔しさを入り交らせた声音で言う。

 

独り身って…。完全にいじけてるね、アザゼル。

 

「独り身……ぷっ」( ´艸`)

 

……俺の隣では物凄いイラッてくる顔でアザゼルを笑っている光輝兄さん。

 

そんなアザゼルは光輝兄さんを気づいていないのか、気を取り直して続ける

 

「ま、リアスにもちょうど言ってはいたんだよ。リアス自身が猛トレーニングをして強くなることもないってな」

 

さすがに猛特訓まではしないでいいとは思う…。そこは、アザゼルと同感ってところだ。

 

「おまえの惚れた女が持つ一番の武器は、巡り合わせの良さだ。グレモリー眷属の豊富さは他の上級悪魔が持つ眷属の比じゃない。ライザーの野郎も言ってたことらしいな。こいつばかりは教えて得られるものじゃない。そいつが生まれながらにして持ってるものが必要だ。そういうのは今後も続くもんさ。俺的にはさっきも言った生存率の高さを評価したい。修羅場を全員体験して生存するなんざ、奇跡を通り越してイカレてるレベルだ」

 

イカレているレベルねぇ…。俺たちも関与しているんだから、それも影響しているんだろうなぁ。

 

「何はともあれ試験は終わったんだろう?センターの転移魔方陣でこっちのホテルまで移動してこい。合否はまだだが、こっちで打ち上げをしよう」

 

向こうでは、イッセーたち四人の歓喜した声が魔方陣を通して聞こえてきた。

 

イッセーとの連絡はそこで終わり、アザゼルは息を吐いた。

 

「悪いな。俺だけ話しちまってよ」

 

「かまわないさ」

 

光輝兄さんはそう言って自分の席に戻った。……あんた、さっきまでバカにした笑いをしてたのに、いつの間に真面目な顔に戻ってるんだよ

 

 

 

「てなわけで、試験お疲れさん。乾杯」

 

アザゼルがそう言うと注がれたグラスを呷あおっていた。

 

イッセーたち四人がホテルに移動して、ここで試験の疲れを労っている。

 

「どうだった?」

 

イッセーの横に座るリアスさんがそう問う。

 

「えーと、そうですね。どちらも手応えがありました。これも皆が協力してくれたおかげです。でも、実技でちょっとやり過ぎまして……」

 

実技で相手を赤龍帝の力で吹っ飛ばした上に、会場の壁に穴を空けてしまったことを述べるイッセー。

 

「壊してしまった壁の修理代はこちらで払っておくから、気にしなくていいわ。けれど、今後他の中級悪魔と出会っていざこざに発展したとしても、いきなり本気で殴りかかってはダメよ?あなたは現時点でかなりの強さなのだから」

 

リアスに注意されるイッセー。

 

「イッセー、おまえは上級悪魔……いや、ひいきして言えば最上級悪魔に匹敵しないとは言えないほどの実力を身につけてきているだよ。中級悪魔クラスの相手なら、鎧を身にまとって軽く吹かせば裕に倒せるぐらいにね。今回の件で少し学んだね、これからは力加減を覚えることだな」

 

俺は軽く笑いながら言うが、イッセーは顔を赤くしてうなだれてしまった。

 

イッセーはそのまま左腕を凝視しだす…ドライグと話しているのだろうな。

 

「…………」バクバクガツガツ!

 

俺は光輝兄さんの反対側に座っているレイジ兄さんを見ていたは、無言で出ている料理を食べていた。一瞬で目の前にあった料理はなくなり、光輝兄さんの口のなかへ瞬間移動するという謎現象が起きている…いつものことながらおかしなスピードだ。既にレイジ兄さんの隣には山の様にカラになったお皿が積み重なっていた。……毎度のことながらあんたは何処ぞの戦闘民族か

 

――と、レイジ兄さんから視線を移した先で微笑ましい光景が視界に映り込んだ。

 

「ほら、白音さん。これとこれとこれを食べたほうがいいですわ」

 

「……別に取ってもらわなくても自分で食べられる」

 

「私だって好きでお世話しているわけではありません。あなたが元気にならないとイッセーさまが悲しむんです」

 

「……わかった。食べる。……ありがとう」

 

「いいえ、こちらこそ。元気になってもらわないと張り合いがありませんもの」

 

という白音とレイヴェルのやり取りを見かけた。

 

兵藤家では会うたび毎日口喧嘩している二人。初めて会ったときなんか、上空で激戦を繰り広げていたほどだ…。鳥猫、腹のなかを見せ合った仲だからこそ、仲良くなれたのかもしれないね……それよりも、なんでこんなにも仲が悪いのだろうか?

 

「……我、じーっとドライグを見る」

 

…レストランの隅ではじーっとイッセーを見つめているオーフィス。もぐもぐとパスタ料理を口に運んでいた。そのオーフィスの隣で苦笑しながら、口についたソースを口拭きで取ってあげている龍巳がいる。

 

金華とルフェイもレストランの隅の席で甘い物を食べているようだ。しかも、とっても満足そうだ

 

フェンリルは姿を見せていないが、俺の影に隠れている。フェンリルの息子娘であるスコルとハティが一緒に食事をしたかったそうで、ルフェイに頼んだのだ。それを聞いたルフェイは嬉しそうに了解してくれて、俺の後ろで3匹揃って食事をしている。この3匹には『無意識を操る程度の能力』を使い、俺以外、無意識にそこから視線を外すようにしているので、この能力を破らない限りは見つからない

 

金華は、はぐれ悪魔であり、冥界では指名手配中のため、猫耳と尻尾をしまっており、ルフェイと同質のローブをまとっている。

 

気や魔力、その他のことは心配いらない。光輝兄さんが試作してあった腕輪をつけているため、その効力で、その手の感知をされることはない。だから、三人は怪しまれずに共に行動できているのだ。……相変わらず、変なものを作っている光輝兄さんに呆れたのは、家族内での内緒だ。

 

俺は、アザゼルたちが神器(セイクリッド・ギア)や神滅具(ロンギヌス)うんぬんの話になっているのを聞きながら食事を楽しんでいた。

 

少しすると、アーシアが話にまざる…回復のことについて話しているみたいだ。

 

それから少しして、俺が食事を終えようと口元を拭いたときだった。

 

……俺――いや、この場の全員が違和感を感じ取ったようだ。食事と会話を止め、険しい表情になっている。

 

「……来たか」

 

光輝兄さんがボソッとつぶやいた

 

つかつかと近づいてくる人影――金華だ。

 

猫耳と尻尾を出して、ピクピクと耳を動かしている。その口元は皮肉気な笑みを浮かべていた。

 

「ありゃりゃ、ヴァーリはまかれたようにゃ。――本命がこっちに来ちゃうなんてね」

 

それを最後まで聞く瞬間、俺と兄さん姉さん達は戦闘準備を終えていた。

 

「――くるぞ! 敵襲だ!!」

 

光輝兄さんの叫び声と同時に、見覚えのある霧が俺たちの周囲にたちこめて、辺りを包み込んでいった――。




ちなみに、木場祐斗の女体化はもっと早めに出す予定でしたが、なんか出すタイミングを逃していって、今回になりました。

ちなみに、主人公であるツバサがこの事を知った話は後ほど番外編にて書くつもりです!

それでは次回でお会いしましょう! バイバ〜イ!

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