ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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大幅に遅れてしまい申訳ないです。言い訳になるんですが、ちょっとこの補習授業のヒーローズの話がのっている巻が、行方不明で探したりしてたらいつの間にかこんな時間がかかってしまいました。いや〜、本当にすみません。

翼「ホントだよ、なんでこんなにもかかったんだよ。小説自体は二週間前には見つかったじゃないか」

……いやぁ〜、ちょっと他の小説に夢中で…あと、ハーメルンにある色んな人のジャンルの小説をあさっていたらいつの間にか……

「なぁ〜にが『いつの間にか〜』だよ。結局は、他の人の小説を読むのに夢中で忘れてただけでしょうに」

――うっ!? は、はいそうです。すみませんでしたーーー!!!

「俺に謝らないでよ。この小説を楽しみにしていた人達に誤ってよ。まったくもぉ」

うぅ、は、はい。本当に申訳ないです。翼さま。

さて、皆さんもこんな謝罪よりも話が気になっていると思うんでどうぞ、ゆっくりしていってくださいね。

場合最後に一言、ほんとマジですみませんでしたーーー!!!m(_ _)m


2話 失った悲しみは……

光輝を筆頭にした地球連邦軍が冥界の脅威と戦っていたころ、そんな冥界の所にあるグレモリー領。そこでは、イッセーを失い心の平穏を崩したリアス・グレモリーを含めたグレモリー眷属がいた。

 

「……いますぐイッセーさんのもとにいきたい……。……でも、私がイッセーさんを追ったら、……イッセーさんはきっと悲しむから……。……ずっと一緒だって、約束したんです……。それなら、私もそこにいければずっと一緒だって思ってしまって……。……お姉ちゃん……私はどうしたらいいんですか……?」

 

グレモリー邸にある客間のひとつ……アーシアの部屋で、アーシアが姉であるアリアの膝の上で泣いている。

 

「アーシア、私はイッセーくんが死んだとは思ってないよ。だって、奇跡を起こす赤龍帝でしょ?ましてや、あなたの命の恩人でもあり、この世で1番の想い人でしょ? 貴女が大好きな人を信じなくてどうするのよ。大丈夫、あの子は必ず私達の元へ戻ってくるわ。そう約束したのでしょ? だったら信じて待ちなさい。それが、1番する事だからね」

 

アリアは泣き崩れるアーシアを強く抱きしめながら優しくそう言った。……しかし、そんなアリアの顔も悲しみに触れていた。何故なら、いまの自分にはアーシアを宥める事しか出来ない。お姉ちゃんなのに……と、思っていたからだ。

 

――――――――――――――――――――――

とある別室、そこでも他の人達がいた。

 

そこには、妹のレイヴェルの様子を見にライザー・フェニックスと、フェニックス家の長兄にして、次期当主 ルヴァル・フェニックスがいた。

 

「これをキミたちに渡すついでに妹とリアスさんの様子も見に来たのだよ。こんな非常時だ、涙も各迎撃部隊のもとに出回りこれしか用意できなかった。有望な若手であるキミたちに大変申し訳なく思う。――もうすぐ私は愚弟を連れて魔獣迎撃に出るつもりでね」

 

「……愚弟で悪かったな」

 

 ライザー・フェニックスが兄の言葉に口を尖らせているなか……。ライザーの兄、ルヴァル・フェニックスは木場祐斗にフェニックスの涙を渡していた。話を聞くにフェニックス家の男達も戦に出るようだ。不死身のフェニックスは前線の心強い戦力となるだろう。

 

 木場祐斗はルヴァル氏から涙を受け取った。……ルヴァル・フェニックスはいまは哀しんでいるグレモリー眷属たちもきっと前線にくると、信じてくれているからこそ、フェニックスの涙を託したのだろう。

 

「リアスさんもリアスさんの『女王』も酷く落ち込んでいる。こんなときに冷静であるべきはおそらくキミだろうね。情愛の深い眷属でありながら、仲間の死に耐える――。見事だよ」

 

「ありがとうございます」

 

木場祐斗はルヴァル氏にお礼を言う

 

「レイヴェルのこと……頼んだぞ。グレモリーの騎士」

 

続いてライザーも木場祐斗に頼み事をした。

 

「はい、レイヴェルさんは僕たちがお預かり致します」

 

その言葉に木場祐斗は騎士の如く、鋭い目線でライザーを見る。

 

「うむ、では行くぞ、ライザー。おまえもフェニックス家の男子ならば業火の翼を冥界中に見せつけておくのだ。これ以上、成り上がりとバカにされたくはないだろう?」

 

「わかっていますよ、兄上。じゃあな、木場祐斗。リアスたちを頼むぜ」

 

フェニックス兄弟はそれだけ言い残してこの場を去っていった。

 

再びしんと静まりかえるフロア。

 

レイヴェルが白音の隣に座る。白音の隣には黒歌が座っていた。

 

するとレイヴェルが途端に目元に涙を溜めて、顔を手で覆う。

 

「……こんなのってないですわ……。ようやく、心から敬愛できる殿方のもとに近づけたのに……」

 

……レイヴェルはイッセーのことを想っていた。白音はイッセーのおかげでつばさに好きだと告白でき、やっと私達と同じ恋人になれたので、イッセーには感謝し切れない恩があった。

 

そんな時、白音がつぶやいた。

 

「……私はなんとなく覚悟はしていたよ。……激戦ばかりだから、いくらイッセー先輩やつばさ先輩、皆が強くてもいつか限界がくるかもしれないって」

 

 

白音の一言を聞き、レイヴェルが立ち上がって激昂した。涙を流しながら白音に食ってかかる。

 

「……割り切りすぎですわよ……ッ。私は白音さんのように強くなれませんわ……っ!」

 

レイヴェルの激情を当てられた白音。感じ取っていた気が緩みだし、徐々に表情を崩壊させ、震えながら涙を流していく。

 

「……私だって……っ。……いろいろ、限界だよ!やっと私の正体を打ち明けられたのに、イッセー先輩のおかげでつばさ先輩にやっと私の思いを打ち明けられたのに……まだ…ちゃんとしたお礼もできてないのに……死んじゃうなんてないもん……っ!イッセー先輩……バカ!バカです……ッ!」

 

白音は嗚咽を漏らしながら、制服の袖口で目元を隠した。

 

……白音はその体で懸命に溜め込んでいたものを一気に崩したかのように泣き崩れた。

 

レイヴェルはその白音の姿を見て、やさしく抱きしめた。

 

「白音さん……ごめんなさい」

 

「……うぅ、レイヴェル。つらいよぉ、こんなのってないよぉ……」

 

黒歌はそっと立って二人の前に座ると、やさしく二人の頭を抱く。

 

「………」

 

黒歌は黙って、胸のなかで泣く二人を抱きしめた…。

 

 

 

しばらく二人を抱きしめるなか、黒歌はふと誰かの気を感知したのか、顔を上げた。

 

……この気、確か…。

 

その感じ取った気のほうをちらっと一瞥すると、木場祐斗と話している堕天使の一人を見つけた。

 

――そう『雷光』のバラキエルだ。

 

堕天使の幹部で、朱乃の父親。…恐らく、朱乃の様子を見に来たのだろう…。

 

朱乃はいま、カンナと共に結城家の本家にいるつばさの介護をしている。イッセーがいなくなったあの日、突如倒れてから一向に目を覚まさないつばさ。朱乃は心が引き裂かれるほど辛い筈なのに、いまも泣かずに私達の分まで一生懸命頑張っている。

 

聞き耳を立てていると、木場祐斗が現状を説明をしながらバラキエルと廊下へ行ってしまった。恐らくだが、朱乃は地球連邦軍の本部、結城家にいることを伝えたのだろう。廊下にでてしばらくすると気配も消えたからだ。

 

……気がつけば、白音とレイヴェルは泣き止んでいて…私の胸を強く押していた。

 

「あら…、やっと泣き止んだみたいだにゃ」

 

そっと話すと、二人は私の胸から離れて軽く深呼吸していた。

 

「…黒歌姉さま、少し苦しかったです」

 

白音は涙を拭い、目元を真っ赤に腫れさせて私を見つめていた。

 

「にゃはは、ゴメンゴメン。さぁ、二人とも、場所を移動するよ」

 

黒歌が立つと白音とレイヴェルも立ち上がる。そのまま三人でフロアから出て、廊下を歩いていく。

 

ちらっと後ろを歩いている二人を見ると、お互い励まし合うかのように手を握り合っていた。

 

黒歌はそんな二人の様子を見て思った。

 

「(……何だかんだで、仲がいいのよね。)」

 

「(二人は鳥猫の間柄だけど、喧嘩したあとはそっぽを向きながらでも仲良くしていた。それがこんなときに出るなんて、本当に二人は仲がいいんだから…。)」

 

黒歌は前を見ながら、そんな事を心の中で想い思わず苦笑してしまった。

 

目的の部屋の前に着く。

 

ドアを二回ノックすると、なかから声がして…ドアが開く。

 

「……あら、皆こっちに来ちゃったんだ…。入って」

 

部屋のなかから出てきたのはアリア。……そう、この部屋はアーシアとアリアの二人が使っている。

 

なかに入ると、広い空間の一角に置いてあるソファにアーシアが座っている。

 

アーシアは、泣き止んだばかりみたいか、目元を赤く腫らして、小さくしゃっくりをしていた。

 

そんな様子のアーシアに姉のアリアが言う。

 

「アーシア、皆来てくれたよ。元気出しなさい。ほら、笑顔笑顔!」

 

明るく接するアリアに小さくうなずくアーシア。

 

そんな様子を見ながらも、黒歌は白音とレイヴェルをソファに座らせた。

 

「さて、3人はそこで大人しく待機しててね。私たちはいまから大事な"仕事"をしてくるから」

 

マリアの言葉にアーシアが反応した。

 

「……お、お姉ちゃん…どこに……っ!!」

 

アーシアはアリアの考えていることに気がついたようで、立ち上がると同時に目を見開いて口元に両手を当てていた。

 

「そう、アーシアがいま思った所に私たちは行ってくるわ。だって、それが私達のお仕事なんだもの。」

 

「で、でも!お姉ちゃんが行ってしまったら…私…っ!!」

 

そのとき、アリアの表情が変わり、怒鳴った!

 

「アーシア!」

 

突然の檄にアーシアが驚いて、ソファにペタンと座り込む。

 

「いつまでも私に甘えていないで、一人で立ち上がりなさい!!あなたの想い人――イッセーくんはいつも立ち上がってきたでしょう!? どんなに酷い目にあっても、苦しい悲しい時があっても、あの子はそれでも尚、愛する人達の為にただがむしゃらに頑張って1人で乗り越え自分の足で立ってきた! あなたの愛した人はそんな人なの。生半可な覚悟でついていける程甘くわないわよ。

……もしも、アーシアがそれでも横に並んで歩みたいと言うのであれば、一人で立ち上がれる女に、イッセー君に釣り合う様なそんな相応しい女性になりなさい。それが出来て初めて、イッセー君の彼女と言えるのよ」

 

最後にそう言うと、アリアの表情がやわらかくなって…微笑んでいた。

 

……激励の言葉だった。妹想いで離れてたこともありかなり甘やかしていたアリアだが、流石にこれから先もこうではいけないと心配してアーシアを怒り励ましていた。

 

黒歌も白音とレイヴェルに激励をおくり、しばしの別れを告げ、アリアと一緒に最前線へと急ぐのだった。

 

―――――――――――――――――――――――

―木場 side―

 

僕はバラキエルさんを、つばさちゃんが寝ている部屋がある結城家まで送り届けたあと、僕はグレモリー家に戻ってきた。僕は廊下を歩いていると、ある人物と出会う。

 

「――匙くん。」

 

 そう、匙くんだった。僕が話しかけるとあちらも手を挙げる。

 

「よ、木場」

 

「どうしてここに?」

 

 僕がそう尋ねると息を吐きながら言う。

 

「ま、会長がちょいとリアス先輩の様子を見にきたってところかな。その付き添い。表ですれ違い様フェニックスのヒトたちにも会ったけどさ。つばさちゃんの様子も見に行ったぜ」

 

「そっか、ありがとう」

 

 つばさちゃん……イッセー君の死を知ったあの日、つばさちゃんはイッセー君の『兵士(ポーン)』の駒を持って帰ってきた。でも『兵士(ポーン)』の駒を部長に渡した際、そのまま倒れてしまった。つばさちゃんは倒れたあの日から、一向に起きない。現にいまも眠ったままだ。倒れたあの日から朱乃さんとカンナさんがずっと付きっきりで看病している。

 

そんな状態のつばさちゃんの顔は、安らかな寝顔だった。血色も未だ良いままだし……。けれど、いまだ目を覚ます気配がない……。それほどの激戦だったのだろうか

 

「木場、俺たちも今回の一件に参加するつもりだ。都市部の一般人を守る」

 

 ――っ。僕は匙の言葉に息を呑む。シトリー眷属も冥界の危機に立ち上がったようだ。実力のある若手は召集がかけられている。シトリー眷属がそこに参加してもなんらおかしくはない。本来ならば僕たちも力ある若手として参戦しなければならなかった。

 

「僕たちもあとで合流するつもりだ」

 

 そう僕は言うが、匙くんは心配そうに聞いてくる。

 

「……リアス先輩たちは戦えるのか?」

 

 ……いまの部長たちを知ればそういう感想を抱くだろうね。わかっているんだ。いまの状態ではとてもじゃないが、まともに戦えるはずがないと。

 それでもいかねばならない。

 

「戦うしかないさ。この冥界の危機に力のある悪魔すべてに召集がかけられているのだから。僕たちは力のある悪魔だ。――やらなきゃダメさ」

 

 匙くんはにんまりと笑みながら大きくうなずいてくれた。

 

「だよな」

 

 だが、匙くんは険しい表情で問うてきた。

 

「木場、兵藤を殺した奴はわかるか?」

 

 匙くんの瞳は、迫力に染まった瞳をしている。

 

「イッセーくんの敵は、もうこの世には存在しないよ。――その者はイッセーくんが倒したからね」

 

 つばさちゃんとともに帰還した神器、ルーツさんの証言で、それは判明した。もっとも、証言がなくとも僕にはそのことはわかっていた。イッセーくんがシャルバ・ベルゼブブを打ち損じるわけがないんだ。

 僕の応えに匙くんは一瞬だけ目元を緩ませた。

 

「そうか。相討ち。いや、負けるわけがねぇ。勝って死んだんだよな? あいつが負けるはずがねぇんだッ!」

 

 匙くんは――大粒の涙を堪え切れずにこぼし、心底悔しがっていた。

 匙くんは気迫に満ちた表情のまま言う。

 

「俺は、兵藤を――あいつを目標にしてたんだ。身近に同じ『兵士』のあいつがいたから俺はどんな辛いトレーニングでも耐えてこられた!」

 

 匙くんは憎悪に包まれた言葉を吐きだす。

 

「俺たちの目標を――俺たちのダチを殺した奴らは絶対に許さない。全員、ヴリトラの炎で燃やし尽くしてやる……ッ! 俺の炎は死んでも消えない呪いの黒炎。たとえ刺し違えても命だけは削りきってやるさ……っ!」

 

匙くんが憎悪の瞳と声を出しながらそう言った時…

 

「死んでもらっては困りますよ、サジ」

 

 二人をたしなめる声が背後からした。振り向けばそこにはソーナ会長の姿が。

 

「会長」

 

「感情的になるのはわかりますが、だからといってあなたたちに死んでもらっては困ります。――やるのなら、生きて敵を滅しなさい」

 

「はいっ!」

 

 ソーナ会長の言葉に匙くんは涙をぬぐい、大きくうなずいた。

 ソーナ会長の視線がこちらに移った。

 

「私たちはこれで失礼します。魔王領にある首都リリスの防衛及び都民の避難に協力するようセラフォルー・レヴィアタンさまから仰せつかっていますので」

 

「部長にお会いになられたんですね?」

 

 僕の問いに会長は静かにうなずいた。

 

「部屋にこもったきりです。私が問いかけても反応はあまりありませんでした」

 

 ……親友のソーナ会長でもダメだったのか。

 

「代わりにこういうときにうってつけの相手を呼んでおきました」

 

「うってつけの相手?」

 

 僕が訝しげに問い返してもソーナ会長は薄く笑まれるだけでその者の正体を教えてはくれなかった。……いったい、誰を呼ばれたのだろうか。

 




あ、ちなみにですが、白音はこの小説の主人公、結城翼に惚れていて、イッセーには恩があります。

レイヴェルはイッセーに惚れていて、つばさちゃんとは家ぐるみなどでよく遊んでいたので、兄(姉)の様な存在と認識しています。

分かりにくくてすみませんでした!

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