あれから時間がたち、俺達はいま、地下鉄に揺られて若手悪魔の会場へと向かっています。昨日はミリキャスの相手でミリキャスが寝るまで続いていたので、とても疲れました。しかし、ミリキャスはとても楽しそうだったので良かったのですよ。
それから俺達は地下鉄を降りてリアスさんたちと一緒に若手悪魔の集まる会場につき、エレベーターに乗りある広いホールに到着した。
「皆、もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何も言われても手を出さないこと。ここにいるのは将来の私たちのライバルよ。無様な姿は見せられない」
いつも以上に気合いを入れているリアスさん。そして通路を進んでいくと
「サイラオーグ!」
「久しぶりだな、リアス」
黒髪で短髪、武闘家のような体格そして瞳の色は珍しい紫色。でも顔がどこかサーゼクスさんに似ていますね~?
「ええ、懐かしいわ。変わりないようで何よりよ。初めての者もいるわね。彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるわ」
「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」
サイラオーグさんは挨拶してくる。なるほど…だからサーゼクスさんに似ていたのですね~。にしてもこの人かなりの強者ですね。内なる気が凄いです。この感じは………闘気ですね。この量は…家のコウキ兄さんに近い強さを感じます。初めて見ました…あの敵から見ただけで逃げられるぐらいの闘気の量を持ったコウキ兄さんに近い闘気を持ってるなんて…。この人もかなり死に物狂いで身体を鍛え抜いたのでしょうね………。 それに、魔力をいっさい感じません…。多分ですが生まれつき魔力が乏しいのでしょうね…。それなのに、今の悪魔社会で…それも魔王の次に偉い大王家の次期当主になるなんて………スゴいの一言ですね!!
「それで、こんな通路で何をしていたの?」
「あぁ、くだらんから出てきただけだ」
「……くだらない?他のメンバーも来ているの?」
「アガレスもアスタロトもすでに来ている。あげく、ゼファードルだ。着いた早々ゼファードルとアガレスがやり合い初めてな」
サイラオーグさんは心底嫌そうな顔をしている。その直後――。
ドオォォォォォォォォォォォォォオオ――!!!
建物が大きく揺れ、破砕音が近くから聞こえてきた。
「まったく、だから開始前の会合はいらないと進言したんだ」
リアスさんはそれが気になったのか、音のした大きな扉へ向かっていった。
サイラオーグさんの後ろには、眷属と思われる者たちがついて行く。そして俺達はそのあとをおうのだった。
開かれた扉の向こうには、破壊されつくした大広間がある。広間の装飾品やら諸々が全て破壊尽くされていた。
広間の中央には両陣営に分かれた眷属が睨み合っている。武器を取り出し、一触即発の空気が流れている。両方とも冷たくピリピリとした殺気を帯びていた。
「ゼファードル、こんなところで戦いを始めて仕方なくてはなくて?死ぬの?死にたいの?殺しても上に咎められないかしら」
「ハッ、言ってろよ、クソアマッ!俺がせっかくそっちの個室で一発しこんでやるって言ってんのによ!アガレスのお姉さんはガードが堅くて嫌だね!
へっ、だからいまだに男も寄ってこずに処女やってんだろう!?ったく、魔王眷属の女どもはどいつもこいつも処女くさくて敵わないぜ!だからこそ、俺が開通式をしてやろうって言ってんのによ!」
『……………』
下品な言葉を繰り出すヤンキーな男。こっちがゼファードルですか。そして反対側の眼鏡をかけた女性がアガレスですね……。
それを見た俺はため息交じりに呟く
「なんですか?あれ…」
本当…自然に出てしまいました。なんせそれぐらい呆れるんですもん
突然前に立ったサイラオーグさんが全員に説明するように語る。
「ここは時間が来るまで待機する広間だったんだ。もっと言うなら、若手が集まって軽いあいさつを交わすところでもあった。ところが、若手同士があいさつしたらこれだ。血の気の多い連中を集めるんだ……問題の一つも出てくる。それも良しとする旧家や上級悪魔の古き悪魔たちはどうしようもない。――無駄なものに関わりたくはなかったのだが、仕方ない」
サイラオーグさんは首をコキコキ鳴らし、睨み合う両陣営へ歩みを進める。
ふと隣を見ると、イッセーやアーシアが心配そうにサイラオーグさんを見つめていた。そんな心配そうにしなくても大丈夫ですよ。あの人は強いですからね~。
すると、リアスさんが言葉を発する。
「よく見ておきなさい。彼が若手悪魔ナンバーワンよ」
その言葉に数人が驚いたが、静かに見守っていた。
ケンカムードの両陣営の間に入ったサイラオーグ。眼鏡をかけた女性とヤンキー男たちの視線が集まった。
「アガレス家の姫シーグヴァイラ、グラシャラボラスの凶児ゼファードル。これ以上やるなら、俺が相手をする。いいか、いきなりだが、これは最終通告だ。次の言動しだいで俺は拳を容赦なく放つ」
サイラオーグさんの一言に、ヤンキー男が青筋を立てて、怒りの色を濃くした。
「バアル家の無能が――」
ドゴンッ!!
ヤンキー男は言葉を言い切る前に、激しい打撃音とともに広間の壁に叩きつけられた。
「あ~ぁ。力量が計れない者の末路ですね~、あれは」
俺は小さく自然に言葉を発した。
ガラガラと音を立てて壁からヤンキー男が落ちる。気を失っているので、床に突っ伏していた。
「言ったはずだ。最終通告だと」
「おのれ!」
「バアル家め!!」
サイラオーグさんに飛びかかろうとしたヤンキー男の眷属たちだが――。
「主を介抱しろ。まずはそれがおまえらのやるべきことだ。俺に剣を向けてもおまえたちに一つも得はない。――これから大事な用事が始まるんだ、主をまずは回復させろ」
『――ッ!!』
サイラオーグさんの一言に眷属は動きを止め、ヤンキー男のもとへ駆け寄っていった。
「シーグヴァイラも顔の化粧を治してこい」
「わかっていますわ」
サイラオーグさんの一言にシーグヴァイラさんも化粧を治しに部屋を出ていった。
修復作業が終わり、ゼファードルとその眷属を抜かした者達でテーブルを囲んでいる。
「先程は失礼しました。改めて自己紹介を、私はシーグヴァイラ・アガレス。大公アガレス家の次期当主です」
先ほど、ヤンキー男とケンカをしていたアガレスの次期当主からあいさつをもらう。
「ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」
「私はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」
続いてリアスさんと合流したソーナさんがあいさつをする。
「俺は、サイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」
威風堂々とあいさつをするサイラオーグさん。
「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」
あの騒ぎの中で動じることなく、お茶を飲んでいたやさしげな雰囲気の少年があいさつをする。
「グラシャラボラス家は先日、御家騒動があったらしくてな……。
次期当主とされていた者が不慮の事故死を遂げたばかりだ。
それで、先程のゼファードルは新たな次期当主の候補と言う事になる」
そう言えば、サーゼクスさんからそんな事情を聞きましたね。それにしても、不慮の事故と言うのが気になりますが…………。
それにしても、集まった悪魔の家柄は名高い名門ばかり。
―グレモリーがルシファー。
―シトリーがレヴィアタン。
―アスタロトがベルゼブブ。
―グラシャラボラスがアスモデウス。ですかー。
現四大魔王が輩出された四家、大王のバアル家、大公のアガレス家。
超豪華ドリームメンバーが目の前で揃っているのですよ。ここまで揃うなんて凄いですね~。あ……でも逆に考えると、現在の悪魔社会では若手がたったのこれだけしかいないって事なのですよね~。もしかしたらまだミリキャスの様な眷属を持っていない上級以上の家の悪魔もいるのでしょうけど…、それでも少ないのですね~悪魔って。
まぁ~、考えても仕方ないですし、俺も自己紹介するべきなのかな~?
「ふむ……、所で最初に出会った時からかなり気になっていたのだが………、そこにいるお嬢さんは誰かな?何故人間が此処に?」
すると、そんな事を思っていると、サイラオーグさんが質問をしてきた。やっぱり自己紹介はするべきですね~。
「あ、彼わね………」
俺はリアスさんが言おうと下のを止めて自分で言いますと言った。
「どうも始めまして。今回この悪魔の若手の会談に参加する事になりました、人間の結城 翼と言います。
因みに所属は、地球連邦軍 特殊部隊特別調査班 総隊長をやっています。この様な、裏の世界では二つ名で
『黒き疾風の破壊者』と呼ばれております。以後お見知りおきを♪」
俺は笑顔でそう言った。すると、リアスさんとソーナさんの眷属達以外の人達はかなりビックリした表情で固まっていた。当たり前かぁ~。こんな見た目の子が地球連邦軍の最強部隊の総隊長をやっているなんて驚き以外はありませんよね~。
「あ、貴女があの地球連邦軍の最強部隊の隊長さんなのですか?」
すると、驚愕の顔で目をパチクリしていた、シーグヴァイラさんが、聞いてきた。
「はい♪そうですよ?こう見えて総隊長をやってまぁ~す!いぇい!!」
俺が笑顔でチョキをすると、場の空気が一瞬で固まった。あ…あれ?楽しませようとしてやったのに……ダメだったかなぁ?
俺は少し不安になり目を開けて見ると………、皆顔を赤くして固まっていた。あ…あれれー!?予想外の展開になっていましたーーー!!
「ど…どうしたんですか~?皆さーーん!起きてくださーい!!」
俺がそう叫ぶと………
「はっ!私はいったい何を!!」
固まっていた皆がおきた。ふぅ~良かったのですよ。このまま固まっていたらどうしようかと思っていましたー。
「さて…と、もうすぐ来ますかね~」
そろそろくると思うのですが~?
「あら?誰がくるの?」
すると、隣に座っていたリアスさんが聞いてきた。
「えーとですね。そろそろ係りの人がくると思うのですが………」
そう言った瞬間、扉が開いた。
「皆様、大変ながらくお待たせしました。魔王様方がお待ちです。どうぞお入りください。」
そう言いに係りの人がきた。その言葉にリアスさんを含めた若手悪魔のメンバーとその眷属達がその扉の中に入って行くのだった。