あの日から修行が始まり数日。私は今はイッセーの修行場に来ています。イッセーがどれ程強くなったのかと、クシャルやティアに今の姿の状態を伝えなくちゃいけないのできました。
ドゴオオオオオオオオオオンッ!
「うわぁぁぁああんっ!」
タンニーンの一撃で木々は吹っ飛び、岩が崩れ、地面にクレーターが生まれイッセーが出てきた。
「ほーら、赤龍帝の小僧。もっと素早く避けんと炭になるぞ」
私は少し離れた場所で鴉天狗の翼を広げて空を飛びタンニーンとイッセーの修行を見ていました。
「ほーら、行くぞ!小僧!!」
ズギャァァァァンッッ!!
さらに、ティアマットによってあたりの景色が一変する。
「うわぁぁぁぁああんっ!」
イッセーの叫び声。それらの一撃を掻い潜り、ギリギリの中で生き残っている模様。
「ほら、まだありますよ」
ズガガガガガガァァァン!!
追い打ちで、クシャルの 咆哮により地面が全て風の力で削りとられる。
「し、死ぬぅぅぅぅ!?」
イッセーはそれをギリギリでかわして難を逃れた。
「スゲーなあいつ。よくあの三体を相手に生きてるもんだ」
私の隣で同じく堕天使の翼を出して空中で座るようにして飛んでいたアザゼルが呆れる様に呟いた。
「仕方がありませんよ。あぁでもしないとドラゴンの力を扱う事なんてできないんですから」
私がそう言うとアザゼルが此方を向いて見つめてきた。
「お前もやっぱりあんな事をしたのか?」
アザゼルは不思議そうに聞いてきた。
「はい、そうです。私は、クシャルを始めオーフィスやルーツを含んだ三祖龍に兄さんや姉さん達とよく修行をしていましたね。なので、嫌でも強くなってしまいます」
私がそう言うと、アザゼルは苦笑いした。
「ははは。相変わらず桁外れだな、お前ら家族は…」
むぅ、なんですか?その笑いわ~。……まぁいいでしょう、今はそれよりもイッセーのお弁当を持ってきたのでそれを渡さなければいけないですもんね。
「さて…と、行きましょうか、アザゼル先生?」
「そうだな」
私達はイッセーの所に飛びました。
―ツバキside out―
―イッセー side―
くそ!マジで死んじまう!!どうしよ、やべぇーよ!? 俺ってこんな所で死んじまうのかぁ!?
「おー、やってんな。どうよ?」
聞き慣れた声が聞こえ声のする方を見るとそこには総督がいた。
「あ…アザゼル先生!?ど…どうしてここに!?」
「いやぁ~、なに、お前さんがどれ程頑張っているのか知りたくなってな、見にきてやったんだ。ほら、お前さんの弁当箱だ。受け取りな」
……え?ま、マジで? おっしゃぁぁぁぁ!!!!!!
「うみゃい!うみゃいよぉぉぉおおおっ!」
俺はアザゼル先生が俺たちに差し入れを持ってきてくれた。部長とアーシアが作ったおにぎりと弁当に涙を流しながら食べている。
くぅ…マジで上手い! 最近まともな物を食べていなかったから余計旨く感じるぜ!
「数日見ない間に多少はいいツラになったな」
アザゼル先生は俺の肩を叩いて言う。
「ふざけんな!死ぬよ!俺、死んじゃうよ!このドラゴンのおっさん、メチャクチャ強いよ! クシャルさんにティアさんも桁違いに強すぎてもうやだよ!
ドラゴンの戦いを教えてくれるっていっての実力が開きすぎてて話にならねぇぇぇっ!」
くそ、マジで死んじまうからな!?この修行! 風見幽香さんの修行よりは増しだけどさ!!
「それでも基礎トレーニング含めてこなしてんだろう?じゃあ、だいじょうぶだ。これぐらいこなさんと、禁手に至ったときに体がついてこないぞ。おまえは足りないものが多すぎるんだよ。魔力じゃ逆立ちしてもヴァーリには勝てない。そうなると必然的に体力のほうを上げるしかない」
まあ、たしかにそうだろうな。あ、そういえば
「アザゼル先生、あの時ヴァーリがなにかやろうとしていたのはなんですか?」
「ああ、『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』のことか」
「もしかして禁手のさらに上とか?」
「いや、禁手の上は存在しない。神器の究極は禁手だ。だがな、魔物の類を封印して神器にしたものがいくつかあってな。それらには独自の制御が施されている。おまえの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)とヴァーリの白龍皇の翼(デァバイン・ディバイディング)もその例だ」
それじゃあ、俺のにもそんな力が……
「それらは強力に制御されていて、その状態から力を取り出して宿主が使えるようにしている。赤龍帝と白龍皇の場合、それを強制的に一時解除し、封じられているパワーを解放するが『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』だ。一時的に神に匹敵する力を得られるがリスクも大きい。寿命を大きく削ること。それと理性を失うことだ」
「暴走ってことですか?」
「ああ、酷いぐらいにのな。周囲を全部破壊し、自ら滅ぼしかてやっと停止する。その力を使いこなすことは事実上不可能なんだが、ヴァーリは膨大な魔力を消費することで数分間のみ扱える。はずなんだがな。あのときのアルビオンの焦りようから察するにまだ危険を伴うようだ。力の亡者と化した者だけが使う呪われた戦い方だ。おまえは絶対に真似するな」
なるほど……。恐ろしい限りだな。
「現白龍皇は『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』が扱えるのか?それは問題だ。赤龍帝の小僧、必死にならんと殺されるぞ。白も赤も先にあの力に目覚めたほうが確実に勝ってきている。ある意味、早い者勝ちだった」
なるほどな、俺がもしその力を使えば最悪死ぬのか…。あまり使いたくないな。
「じゃあ、イッセー。おまえに休んでいる暇はないな。今度は俺もタンニーンさまと一緒におまえの修行をつけてやるよ」
今の俺の顔は鏡を見なくても笑顔だというのはよくわかる。だって…もう、絶望しかないからな………
「そ、それよりも、さっきから気になっていたんすけど、と…隣のつばさちゃん似の綺麗な女性はどちら様ですか?」
そう、俺はさっきから気になっていたんだけど、アザゼル先生の隣にいる綺麗な女性が気になってしかたがなかった。どことなくつばさちゃんに似ているけども…、髪が腰まであるし、何よりも胸がある! それも、Dカップぐらいに! つばさちゃんが女の子になったらこんな感じになるのかな? それにしても本当に可愛いな~この子
「ん?ああ、忘れてた。いいか、イッセー。よく聞けよ? こいつはな………」
「こいつは…」
俺はアザゼル先生の真剣な顔つきに唾を飲み込む。
「つばさちゃんだぁぁぁ!!」
……………………は? この可愛い子が、あのつばさちゃん?
「え?マジですか?じょ、冗談ですよね、アザゼル先生?」
「マジだ。なぁ?つばさ」
アザゼル先生がニマニマしながら隣の女性に聞くと、少しめんどくさそうにしてアザゼルを軽く睨んでいた。
「そのような顔をしないでください。さつき姉様にお仕置きしてもらいますか?」
「い、いや~、今日の天気はいいなぁ~!あはははは!」
アザゼル先生は顔を青くしながら明後日の方向を向いていた。何したんだろう、アザゼル先生…
「さて、アザゼル先生の言う通り、私は結城 翼です。今は結城 椿と名のっているのでそう読んでくださいね?イッセー」
「なんで女の子になってるんだ?」
「えぇ~とですね?それは………」
つばきちゃんの説明が入った。簡単に説明すると、あの若手悪魔の会合の時に無理したから、魔力が暴走して今の姿になると。
「だから、そのお姿になられていらしたのですね? あれほど身体にはお気をつけくださいと申しましたのに…」
「えへへ、ご免なさい。クシャル~。機嫌を直してくださいよ~」
つばきちゃんは、舌をチロッと出しながら微笑んでいた。 可愛いなぁ!もう!
「まったく……。次は気を付けてくださいね?つばき様」
クシャルさんは少し呆れたように言う。
「わかりましたよ。クシャル。次はこの様な事が無いように頑張ります」
そう言ってつばきちゃんはクシャルさんと仲良くお喋りをしていた。途中でトイレに行っていたティアも参加して更に賑やかになっていたのだった。
「ところで、イッセー。グレモリーの母上殿がよんでいるからいったん戻れ。修行はその後からだ、いいな?」
俺に? なんの用だ?
「わかりました。じゃぁ、いったん戻ります。」
「おし。おぉ~い!そこの女性三人方~、いったんグレモリー家に戻るぞー!」
アザゼル先生に呼ばれ、仲良く喋っていた三人が戻ってきた。そして、俺達はいったんグレモリー家に戻る事になるのだった。
―イッセー side out―
―つばき side―
「アザゼル先生、何故今回はヴェネラナ夫人はイッセーを読んだんです? もしかして…あの言った事は本気なのですか?」
私は今、グレモリー家に戻っています。転移するほどの距離ではないので、ティアの上に乗ってグレモリー家に向かっている途中です。 今回はあのヴェネラナ夫人が直々にイッセーをお呼びしたので、私とアザゼルは弁当箱を届けるついでにイッセーを迎えにいったのです。
「ああ、ヴェネラナ夫人は本気だろうな。まぁ、いいんじゃねぇの?リアスはイッセーの事が本気で好きなんだし」
「確かにそうですけど………とうの本人が気づいていませんからねぇ~」
私はチラッと後ろを向くと、余程修行が無いのが嬉しいのか、顔がかなりニヤケていて、だらしない顔をしていました。
「まぁ、それは時間の問題だろうな。いくら超が付くほどの鈍感なアイツでもいつか必ず気づくさ。」
「だといいのですが…」
すると、アザゼル先生がニヤニヤしながら此方を見つめてきました。な…何でしょうか
「朱乃とはどうなんだ?」
「い、いきなり、何でしょうか?アザゼル先生」
「いや、なに。お前さんの事が大好きな朱乃だ。それに関してはお前さんが一番理解してるだろ?」
「確かに…、朱乃さんが私の事を、恋愛感情の意味で好きな事は知っています。勿論嬉しいです。ですが………」
「お前さんにはその資格がないと?」
アザゼル先生に先に言われてしまいました。やっぱり敵いませんね…この人には………。
「はい。私は職業柄常に命を賭けています。いつ死ぬかも分かりません。更にいつも命を狙われていますので、今日死ぬか、明日死ぬかも知れません。その様な環境に常にいます。 それに、私にはとても大きな力を持っています。このルーツのドラゴンの力を始め……数多くの大きな力を持っているんです。
大いなる力には、大いなる代償がある。 かつてお祖父様によく言われた言葉です。………ですから常に危険な所にいる身、私には誰かを愛す資格なんてありません。 私にはまだ…誰かを必ず守りぬく力がありません。 私は確かにこの強大な力があり、その力を使って今まで乗り越えてきました。ですが、完全に力を扱えているわけではないのです。現に今がその証拠ですしね。だから私は誰かを愛す事なんてできないのです……そう、誰かを愛す事なんて………」
私が話していると、突然アザゼルが頭に手を置いてきてガシガシと強く撫でてきました。
「い、痛いです、アザゼル!何をするんですか!」
「はぁ…、そんな事でいちいち気にすんな。確かに大きな力には、大きな代償があるだろうよ。それに、お前さんの仕事上いつ命を落としてもおかしくわない。お前さんは必ず守りぬく事ができないだろうな」
「そうです…だから、私に誰かを愛する事なんて……」
「……が、それがお前さん一人ならの話しだったらな」
「え?」
私は驚きアザゼル先生を見ました。アザゼル先生は私に向かいニマっと笑いました。
「今のお前さんには、数多くの頼れる仲間がいる、相棒がいる、それに………あんなにも誇り高くそして誰よりもお人好しで優しい最高の兄弟姉妹がいるじゃねぇーか!
そんな、最高の仲間達がいるのにそれでもお前さんは一人で守りぬくつもりか? 」
そうだ…私には、数多くの仲間がいます。それに、いつも頼りになる最高の家族がいます。それなのに私は………
「あんまし一人で抱え込もうとするな。そんなんじゃすぐ潰れてしまうぜ? 人間ってのは脆く弱い生き物だ。だけどな、人間ってのは支え合って生きてくもんだろ? 一人じゃ無理でも、二人…三人…っと沢山の人と支え合えばどんなものでも乗り越えれるさ。 それに、支え合って生きていけば、より多くの者を助け守ることができる。違うか?」
「確かにそうですね。私は一番大切な事を忘れてしまっていたようです。ありがとうございます。アザゼル先生」
「ふ…、いいって事よ。此方だっていつも世話になってるからな。こんぐらい安いもんだ。 だからこそ、もう、一人で頑張ろうとするな。お前には沢山の仲間達がついている。それに、俺やサーゼクス達やミカエル達もついてるんだ。いつでも力になってやるぜ?俺達はな」
アザゼル先生……
『そうよ?私も、他の古龍種のあの子達も皆貴女の仲間なんだからね? いつでも貴女の力になるわ。だからそんな悲しいことを言わないで、貴女にはちゃんと愛する資格はあるんだから。だから元気だしなさい。貴方らしくないわよ?つばきちゃん♪』
ルーツ…。 ふふ、そう、そうだよね…。あはははは♪なんだか悩んでた自分がバカに見えてきました。本当…私って幸せ者だね。こんなにも最高の仲間と家族がいるんですから。
「ありがとう、アザゼル、ルーツ。お陰で元気がでました。此れからもいっぱいご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。」
「おう!これからもよろしくな!つばき」
『もちろんよ。じゃんじゃん迷惑をかけなさい!それでこそ、家族ってものよ♪』
えへへ、本当、最高の家族だね♪
こうして、私達はグレモリー家に向かうのでした。