あれから時はたち…、グレモリー眷属は順調に修行を終えたのだった。私はアーシアの修行を付けてたまに他の人達の修行を見に行きながら過ごしていました。
アーシアは私が鍛えたせいか、かなり回復力が上がってしまいました。何れぐらいかと申しますと~、即死のダメージ以外はすぐに回復出来るようになりました。手足が取れたりした場合、傷口が塞ぐ前なら15秒程でくっついてしまいますし、瀕死のダメージは10秒もすれば全回復するぐらいです。因みに今までは回復するのは傷だけでしたが、今は体力や病気も回復出来るようになりました!
で、現在タイニーンさんがわざわざイッセーをグレモリー家まで連れてきてくれました。そのため、私の目の前にタイニーンさんがいる状態です。
「では、俺はこれで、魔王主催のパーティには俺も出席する。また会おう、兵藤一誠、それとドライグ」
「うん。おっさんありがとう!パーティでまた!」
『すまんな、タンニーン。また会おう』
「修行のお手伝いありがとうございます。タイニーンさん」
「あぁ、俺も楽しかった。あのドライグに協力したのだからな。長生きはするものだ。そうだ、俺の背に乗ってパーティ入りするか?」
「本当にいいのですか?」
「あぁ、問題ない。俺の眷属を連れて、パーティ開催時にここへ来よう。詳しくはあとでグレモリーに連絡を入れる。――では、明日、またここへ来よう。さらばだ!」
私とイッセーはお礼をして、タイニーンさんは飛んでいきました。
「やあ、イッセーくん、ツバキさん」
聞き覚えのある声に振り返るとそこには木場がいました。
「おー、木場とイッセー…それにツバキちゃんじゃないか」
そして今度はミイラになっていたゼノヴィアがいた。
「ゼノヴィア……どうしたんだ?その格好」
イッセーが訊くと、ゼノヴィアは改めて自分の格好を見て言う。
「うん。修行して包帯巻いて修行してケガして包帯巻いていたら、こうなった」
「ほとんどミイラ女じゃねぇか!」
イッセーがツッコンだ。やっぱりこれはツッコミを入れるところだったのかな?
「失敬な。私は永久保存されるつもりはないぞ?」
「いや、そういう意味じゃないだろう」
前から思ってたけどゼノヴィアはやっぱり天然ですね。
「回復しましょうか?ゼノヴィア」
「む?そうだな、頼もうか」
表情は包帯でわかりにくいですが、声が弾んでいるので嬉しいのでしょうね。
私がゼノヴィアを回復していると、アーシアとリアスさんが現れてイッセーはリアスさんに抱き着きそのあとシャワーを浴び修行の報告をした。
報告はイッセーの部屋でやることになり、イッセーの部屋で報告会をした。
そのなかで、数々の修行中のでイッセーの修行中の出来事を聞いていると、あまりの過酷さに皆が引いていました。
「あの先生、なんか、俺たちだけ酷い生活送っていませんか…………?」
「俺は、おまえが山で生活できていたから驚いたよ。途中で逃げ帰ると思っていたからな。まさか、普通に山で暮らし始めていたとは俺も想定外だった」
アザゼル先生はとても不思議そうな顔でイッセーを見ていた。確かに、私も思いますね。
「えええええええええええええええええっ!?何それ…?お、俺、冥界産のウサギっぽい奴とかイノシシっぽい奴を狩ってさばいて焼いて食べていたんですよ…………?さらに、水がないから、ツバキちゃんが持ってきてくれた鉄鍋で一度沸騰殺菌してから水筒に入れてたし………あと、変な果物や植物……それに変な魚とか食べてきたのに……………」
「だから驚いているんだよ。おまえ、たくましすぎるぞ。ある意味、悪魔を超えている」
「酷い!こちとらあの山でドラゴン達に一日中追いかけ回されて生活してたのにぃぃぃっ!何度死にかけたことか!うえええええええええんっ!」
あまりのことにイッセーは泣いてしまった。
「部長に会いたくて会いたくて!毎夜部長のぬくもりを思いだしながら葉っぱにくるまって寝てたのにぃぃぃ!辛かったよぉぉぉっ!ドラゴンのおっさん、手加減しないで寝ているときも襲ってくるんだもん!ティアさんなんて、爆発させてくるし!避けたと思えばクシャルさんの風の塊が木々を粉々に粉砕しながら飛んでくるんだぜ!?本当に死ぬかと思ったよぉぉぉぉぉぉ!」
「かわいそうなイッセー………。よく耐えたわね。ああ、イッセーこんなにたくましくなって……。あの山は名前がなかったけれど『イッセー山』と命名しておくわ」
リアスさんはイッセーを抱きしめ頭を撫で慰めていた。イッセーも甘えるかのように部長さん胸で大泣きしている。
アザゼル先生はイッセーは禁手に至らなかったことも想定内いざ、禁手になると体力が増えたから鎧を着ている時間が増えていると言っていた。
「ま、いい。報告会は終了。明日はパーティだ。今日はもう解散するぞ」
「アザゼルの言うとおりね。それじゃぁ解散しましょうか。そうそう、明日は魔王主催のパーティーがあるわよ。ゲーム前の最後の息抜きになるでしょうし、みんな今日はしっかり休んで明日に備えなさい」
アザゼル先生とリアスさんの一声に報告会は終了した。
さて、日がたちとうとうパーティーの日です。私達はタイニーンさんが迎えに来ると言う広場に集まる前に、一室をかり、女性陣だけでドレスアップをしている所です。
「あら、こっちの方が可愛いんじゃない?」
「そうですわね。でも、リアスはこっちの方が可愛いわよ?」
「あ、本当ね。ならそれにしようかしら♪」
「あう~…、どうすれば着れますか?」
「ふむ、こうすればいいんじゃないか?」
「もう、アーシアにゼノヴィア、そのドレスはこう着るのよ。貸しなさい?」
「にゃぁ~。白音はやっぱり可愛いわぁ」
「く、黒歌姉さま……やめてください」
黒のドレスを着こんだ黒歌が、白のロリドレスを着こんだ白音に抱きついていました。
皆さんは各々にあった色のドレスを着ていました。ほんとに皆さんとても楽しそうです。私もたまにこの様に女の子になるときもありましたが、ドレスアップをするのは久しぶりです。過去に一度だけドレスアップをしたことがありました。しかし…、一人でするのは始めてです…。全部メイドの人達と姉さま達にやってもらったのではっきりいってわかりません。うぅ~……どうしましょう。時間がありません。
「どうしましたか?ツバキちゃん」
すると、朱乃さんがこっちにきました。
「あ、朱乃さん……。あのぉ、私もドレスが着れなくて…、手伝ってもらえませんか?」
私がそう言うと、朱乃さんが少し驚いたあとすぐに笑顔で微笑みかけてきました。
「うふふ、いいですわよ。でわ貸してくださいな」
そう言われた私は朱乃さんにドレスをわたし、私も無事に着ることができました。
「さぁ、皆ドレスは着れたわね。そろそろ行きましょうか」
そう言われ私達は集合場所へと向かいました。
「イッセー、お待たせ。あら、匙くん来ていたのね」
私達が広場に到着すると、イッセーと木場にギャスパー、それにシトリー眷属の『兵士(ポーン)』匙さんがいました。
イッセーはリアスさんに見惚れて固まつてしまっていました。
「あら、皆さんそろっていたのですね」
そこにソーナさんと眷属の女性陣が現れました。
「ソーナ、貴女もきたのね。」
「えぇ、私達もよろしいとおっしゃったので、お言葉に甘えてきました」
リアスさんとソーナさんがしゃべっていると、ソーナさんが匙さんに気づきました。
「サジ、サジ?どうしました?」
ソーナさんがいくらいっても匙さんは反応していませんでした。それほど匙さんは見惚れていました。
ゴゴゴゴゴ――。
軽い地響きが聞こえ、しばらくしてから執事がきて言いました。
「タンニーン様とそのご眷属の方々がいらっしゃいました」
どうやら、タンニーンさんが約束通りに迎えに来てくれたようですね。
私達は庭に出るとタンニーンぐらいのサイズをしたドラゴンが十体ほどいました。
「約束通り来たぞ、兵藤一誠」
「うん!ありがとう、おっさん!」
「おまえたちが背に乗っている間、特殊な結界を背中に発生させる。それで空中でも髪や衣装やらが乱れないだろう。女はその辺大事だからな」
「ありがとう、タンニーン。会場まで頼むわ。シトリーの者もいるのだけれど、だいじょうぶかしら?」
「おおっ、リアス嬢。美しい限りだ。そちらの件は任せてくれ」
タイニーンさんがそう言い、リアスさんとソーナさん達がドラゴンの背中に乗って行くなか、タイニーンさんが此方を見てきました。
「お前は乗らないのか?」
「私ですか?私は迎えが来るそうです。先程連絡がはいり、もうすぐ来るそうですよ?」
『ツバキさまぁぁぁぁぁ!!!』
突然大声が聞こえたかと思うと、空から何かが落ちてきました。
少し煙がモクモクとたっていましたが、タイニーンさんのお陰で此方まで来ませんでした。
「ツバキさまぁぁぁ♪」
すると、突然何者かが私に抱きついてきました。私はも思わず倒れそうになりましたが、なんとか踏ん張り体勢を立て直しました。
そこには、蒼色の眼で、白いミニスカの着物を着た桜髪の女の子で、帯に桜の柄が着いていて、袖口は地面につくほど長く、着物の上側は胸までしか長さがなく大きな胸が今にも見えそうだ。
そう、この子の名前は『桜火竜』リオレイアのレイちゃんだ。
「レ、レイちゃん!? 何故ここにいるの?…………もしかして」
すると、レイちゃんは物凄く笑顔で笑いました。
「はい♪私が迎えにいってくれと、言われたのできました! ダメでしたか?」
レイちゃんは目の下に少し涙をためてうつむいてしまいました。
「ああ、そんなことないですよ! 少し驚いてしまっただけです。まさか、レイちゃんが来るとは思っていませんでしたから。ですが、久しぶりにレイちゃんに会えたので私は凄く嬉しいですよ?」
「ほんとに?」
「えぇ」
すると、レイちゃんはパァァっと効果音が付くぐらい明るい顔をしていました。
「ならなら!私がツバキさまを乗せて行くの!?」
「はい、よろしくね?レイちゃん」
「うん! じゃ準備するね!」
そう言うとレイちゃんは私から離れて、目を瞑りました。すると、足元に桜色の魔方陣が輝き、その光は更に強まりました。 一瞬の光のうちそこにいたのは、先程の可愛い女の子じゃなく、桜色の綺麗な二本足の翼竜でした。
「さぁ、乗って乗って!ツバキさま♪」
そう言ったレイちゃんは片翼を下ろしてきました。私はそれに乗り、そのまま移動してレイちゃん背中に乗りました。
「準備はいいか?」
タイニーンさんが聞いてきました。
「はい、すみません。またしてしまいまして」
「いや、いいさ。では、主発するぞ」
そう言ったタイニーンと他のドラゴン達はいっせいに飛びだちました。それに続いてレイちゃんも飛び立ちました。
しばらく飛んでいると、私とレイちゃんの隣で飛んでいたタイニーンさんの上に乗っている、イッセーとドライグがしゃべっていました。
『ドラゴンの上からこの景色を見るとは。なんとも言えん体験だ』
「ハハハ、それは面白い体験だろう、ドライグ。しかし力のある強力なドラゴンで現役なのは俺を含めても三匹か。いや、俺は悪魔に転生しているから、元の姿で残っているのはオーフィスとティアマットぐらいだ。残りはやられて封印されたか、隠居したか。はたまたは他の所で住んでいるか。玉龍もミドガルズオルムも二度と表に出てこないだろう。そしてドライグ、アルビオン、ファーブニル、ヴリトラは神器(セイクリッド・ギア)に封じられてしまった――いつの時代も強いドラゴンは退治される。強いドラゴンは怖い存在だものな」
「なあ、ドラゴンのおっさんはどうして悪魔になったんだ?」
「大きな戦もできなくなったこの時代、レーティングゲームをすれば様々な連中と戦えると思ったことがひとつ。そして理由にはもうひとつある」
「もう一つ?」
「……ドラゴンアップルという果物は知っているか?龍が食べる林檎のことだ」
「いや、初めて聞いた」
「あ、私はしっています。この子達も好きなんで」
「うん♪大好きぃ~」
「確か、ドラゴンアップルってとある種族が生きていく為に必要なんでしたよね?」
「そうだ。確かに、とあるドラゴンの種族にはドラゴンアップルでしか生存できないものもある。ところが、人間界に実っていたそれらは環境の激変により絶滅してしまったのだ。もう、その果実が実るのは冥界しかない。しかしな、ドラゴンは冥界では嫌われ者だ。悪魔にも堕天使にも忌み嫌われている。ただで果実を与えるわけ無いだろう?―――だから、俺が悪魔となって実のなっている地区を丸ごと領土にしたんだよ。上級悪魔以上になれば、魔王から冥界の一部を領土としてちょうだいできる。俺はそこに目をつけたのだ」
「じゃあ、食べ物に困っていたそのドラゴンの種族はおっさんの領土に住んでるか?」
「ああ、おかげでそいつらは絶滅を免れた。それと俺の領土内でそのドラゴンアップルを人工的に実らせる研究もおこなっている。特別な果実だ、研究には時間がかかるだろう。それでもその種族に未来があるのであれば、続けていったほうがいい」
「そうなんだ」
「おっさんは、良いドラゴンなんだな!」
イッセーの言葉に、流石に驚きで顔をそちらに向けたタイニーンさん。
「良いドラゴン?ガハハハハハハッ!そんな風に言われたのは初めてだ!それも赤龍帝からの賛辞とは痛み入る!しかしな、小僧。種族を存続させたいのはどの生き物とて同じこと。人間も悪魔もドラゴンも同じなのだ。俺は同じドラゴンを救おうと思ったに過ぎない。それが力を持つドラゴンが力のないドラゴンにできることだ」
「……すごい。俺は、ただ闇雲に上級悪魔になりたいってだけだし……」
「若いうちはそれでいい、富や権力を欲すのは人間として普通のことだろう?だがな、兵藤一誠。それだけを最終目標にするのは勿体無いぞ、上級悪魔になり、何を成すか。そしてその先はどうするのか………まだ若いお前には難しい話かもしれんな」
やっぱり、ドラゴンと言うものは凄いですね。ルーツもそうですが、凄く憧れてしまいますよ。
「そういえば、ドラゴンアップルは育っているのか?」
イッセーがそう言うと、タイニーンさんは少し顔を暗くした気がした。
「いや、元々数が少ない果物だ。それにドラゴンアップルはそう簡単には育たん。かなり難しい植物で中々増えんのだ。そのせいでそろそろドラゴンアップルも数が減ってきた。いつ無くなくかは時間の問題だな。」
「そんな! おっさん!?なんとか出来ないのか!?」
「わからん…。ただ、いまのままでは無理だろうな」
タイニーンさん………。確かに、ドラゴンアップルはそこら辺で出来るような果実ではないです。あらゆる環境に適した所ではないと育ちませんからね…。
「ツバキさまぁ……」
レイちゃんが私の方に目を向けてきました。うん…、わかってるよ…
「タイニーンさん…、ひとつお聞きしたいことがあります」
すると、タイニーンさんはこっちに向いてきました。
「なんだ?」
「そのドラゴンアップル………私に手伝わせてもらえないでしょうか?」
「何故だ」
「それはですね……。実は私の家族―ペットの中にいるんです。ドラゴンアップルを食べないと生きていけない種族の子達がいるんです」
「なんだと?」
「もちろん、その子達の為に私はドラゴンアップルを探しました。ですが、殆ど失われた果実。そう簡単に見つからないものでした。ですが、私は探しに回ってとうとう見つけました。でも………」
「でも?」
「その果実のなる木はもう枯れていました…。ですが、偶々一つだけ残っていたのです。私はそれをとり家に持ち帰ったあと私は植えました。そのあとは、私の能力をつかいドラゴンアップルの木を増やして、現在はかなりの数が増えたのです。 ですので、私の力を使えばドラゴンアップルを増やすことができます。ですので、私に手伝わせてください!お願いします!!」
「本当に…そんなことが出来るのか?」
タイニーンさんは私に目を向けてきました。私は真剣にタイニーンさんの目を見ました。
「はい」
『タイニーン。この子の言うことはほんとよ? 私もドラゴンアップルに関してはこの子に厳しくあたったわ。もしもの事があったら、一気に全滅する恐れがあるからね。でも、この子はその事を真剣に考えて、その結果あの子達はドラゴンアップルのお陰で助かったわ。』
「そうだったのか。ルーツ様がそこまで言うなら信じる。ツバキ……よろしく頼む」
「はい!」
私とタイニーンさんは笑いあった。それからは、皆さんと喋りながら空の旅を楽しむのでした。