―イッセー side―
あのディオドラが来た日から数日がたっていた。
俺達グレモリー眷属のみんなは今日、冥界でインタビューをうけるということで冥界に来ている。
「お待ちしておりました。リアス・グレモリーさま。そして、眷属の皆さま。さあ、こちらへどうぞ。」
プロデューサーの悪魔に連れられて、エレベーターを二台を使い最上階へと登る。
エレベーターが最上階に着き廊下に出て、少し進んでいくと壁にポスターがイベントスタジオ並みに貼られていた。そこに写っているのは部長だった。アイドルが売りに出た時と同じような感じで写っていた。
暫く歩いていると、廊下の先から見知った人物が人を十人ぐらい引き連れて歩いてきた。
「サイラオーグ。あなたも来ていたのね」
部長が声をかけた人物はバアル家の次期当主、サイラオーグだ。
貴族服を肩へ大胆に羽織り、臨戦的な気を漂わせている。
すぐ後ろについている金髪ポニーテールの女性って確か、サイラオーグの『女王(クイーン)』だったよな。綺麗な人だから覚えちまったぜ♪
「リアスか。そっちもインタビュー収録か?」
「ええ。サイラオーグはもう終わったの?」
「これからだ。おそらくリアスたちとは別のスタジオだろう。――試合、見たぞ」
サイラオーグの一言にリアスは小さく顔をしかめた。
「お互い、新人丸出し、素人臭さが抜けないものだな」
サイラオーグは苦笑する。
サイラオーグと部長は少し会話した後、お互いに握手を交わした。そして、サイラオーグは去って行った。
「部長、そろそろ行きましょう」
木場が部長に伝える。
「えぇ、そうね」
部長が歩きだそうとすると、スタッフらしき人がきてスタジオに案内してくれるそうで、ついていった。
その後、スタジオらしき場所に案内され、中へ通される。まだ準備中で、局のスタッフたちがいろいろと作業をしていた。
先に来ていたのであろうインタビュアーの女性が部長にあいさつをしてきた。
「お初にお目にかかります。冥界第一放送局の局アナをしているものです」
「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」
部長も笑顔で握手に応じた。流石部長。上品な振る舞いだ。
「さっそくですが、打ち合わせを――」
と、部長とスタッフ、局アナの女性を交えて番組の打ち合わせを始めた。俺たち部長以外のメンバーは関係がないので少し離れた場所で待機する事にした。
スタジオには観客用の椅子も大量に用意されている。俺たちはこの椅子に座ってインタビューを聞くのかな?
「……ぼ、ぼ、ぼ、ぼぼぼぼぼぼ、僕、帰りたいですぅぅぅぅ……!!」
俺の背中でぶるぶる震えているギャスパー。……引きこもりにテレビ出演は酷かもなぁ…。てか、まだ治っていなかったのか? ディオドラが来たときあんな冗談を言えてたのに……
しばらくすると、部長が打ち合わせをしている時にスタッフの人がこっちにやって来た。
「グレモリーさんの眷属の皆さんにもインタビューをさせていただきます。どうぞこちらへ」
「あ、はい」
俺たちはスタッフの人に案内されながらスタジオをあとにしていった。
そして、俺たちはこの時知らなかった…。ツバキちゃんの身に危険が迫っていたなんて………
―イッセーside out―
―ツバキside―
あれから数日……、私はディオドラの後を追い一人で尾行を続けていた。
ディオドラが来たあの日以来、ディオドラは何の動きも出さなかった。基本的に一人でいるときの方が多いようだ。今はディオドラの眷属と一緒にいるところです。ちなみに、対魔力、対弾丸 斬撃、耐熱性に優れたお手製のシスターの服装を来ています。理由はディオドラが主に行くところが教会なのでこの服装です。
それにしても、ディオドラの皆さんは女の人ばっかりですね。それも、今調べたところ全員有名なシスターや信仰心が大きかったシスター達でした。何でこんなにもシスターが?……わからない。ただ――何か嫌な予感がします。 これはアーシアに絶対近けさせない方がかなり安全そうですね。
おっと…、ディオドラが動き出しました。私もついて行きましょう。でも何故自身の眷属も一人も連れて行かないのでしょうか?……これは怪しそうですね。
暫くディオドラについていくと、ディオドラはとある場所にたどり着いた。
そこは………
「廃…教会?」
な、何故廃教会何かに…。むっ?誰か来ました…。
「やぁ、ディオドラ・アスタロト君。久しぶりだね」
「えぇ、お久しぶりですね。シャルバ・ベルゼブブ様」
なぁっ!! シャ…シャルバ・ベルゼブブですって!? な…何で旧魔王派の一人が来ているのですか!? …………そうか、だからディオドラがオーフィスの『蛇の力』を持っていたわけですね!
「ディオドラ、これが今回の『蛇』だ。これを渡すのだから、しっかりと自分の仕事をするんだな。」
「わかっていますよ。兵藤一誠とリアス・グレモリーの抹殺。そして、僕はアーシアを僕の物にする。でしたね」
「あぁ、そうだ。絶対にしくじるのでないぞ」
「えぇ、わかっていますとも。それに、僕はあの薄汚いドラゴン何かに負けるわけがない。僕の方が断然強いのだから」
「……ふん。まぁいい。目的さえ達せれば私はそれでいいのだからな」
こいつらの目的は、リアスさんにイッセーの抹殺でしたか……。それにアーシアを自分の物にしたいと…。
「ふふふふ、早く君を僕の物にしてその清き心を堕落の底へ落としたいよ…。フフフフフフ…」
「まったく…。貴様の趣味は理解できん。信仰心の強いシスターを陥れ自身の物にし、そのあと壊れるまでひたすら犯して堕落させる。まったくもって悪趣味な奴だな…」
「ふふふ、貴方も人の事を言えないでしょう。」
「ふっ…、確かにな…」
「フフフ、それに、僕はまだもう一人捕まえる予定です」
「ほぉう。それは誰だ?」
「教会本部にいる。『慈愛の聖女』シスター・ツバキ………またの名を、地球連邦軍 副総司令官補佐『白銀の舞姫』です」
なっ!? あいつ私まで…。
「ほぉ…、あの『白銀の舞姫』か。しかし、奴の隣には常にあの『黒き疾風の破壊者』がついている。そう簡単に捕まるものなのか?」
「えぇ、そう簡単には捕まらないてましょうね。なんせあの地球連邦軍最強部隊、特殊部隊 特別調査班 総隊長…結城 翼がいるのですから。彼を出し抜こうとすればそれこそ骨が折れます。ですが、彼は今別行動で調査をしているとの事。ですからシスター・ツバキも今は一人。このチャンスを逃す訳にはいかないでしょう?」
「なるほどな。なら今がチャンスか…。まぁ、私の話はこれまでだ。これで私は失礼する」
「えぇ、また作戦の時にお相しましょう」
そう言ったあと、シャルバ・ベルゼブブは魔方陣で帰ってしまった。
………………。
まさか、ディオドラが私の事を狙っているなんて…。幸いにも男の時の翼と今の女の時の椿を別人だと思っていてくれているので助かりましたか…。
それにしても、彼の話が本当ならリアスさん達にアーシアが危ない!
これをハイドラに送信して早くここから離れなくてわ
(pi…)
「……よし。配信完了。これでここからさらなければ」
そう思い後ろを向こうとしたその時……
ガバッ!
「……っ!? むぐぅ!」
いきなり後ろから口と鼻を押さえられた
「むぐぅ!うむむむ!」
くっ!油断しました。まさかこんなにも近くに人がいたなんて……!
「むぐぐぐぐ…ぅぐ……」
く…、この匂いは…睡眠薬…。
「うぐ……う………うぅ…」
……だめ………意識が…もう………
「……う………ぅ~………………」
……ごめん…なさい………しくじり…ました……本当…に……ごめん…お兄ちゃん……お姉……ちゃん……―――――――――
―ツバキside out―
―ディオドラ side―
「ふぅ…」
まさか、今日あいつが来るなんて思っていなかった。本当に面倒だ。
それにしても、早くレーティングゲームをしたいな。早く…早くアーシア、――君を僕の物にしたい。あぁ…、早く堕落しきった顔を見たい…
「アーシア…君に早く会いたいよ…」
カツン…カツン
僕がそんな事を思っていると後ろから誰かがきた。
「ディオドラ様、ご報告があります」
どうやら、念のためにこっそり『禍の団(カオス・ブリゲード)』から連れてきた僕の部下がきたようだ。男にじたい興味ないから、僕は後ろに振り向かずそのまま聞くことにした。
「なんだい?」
「はい、先程こそこそと怪しい輩を発見いたしました。その輩は女性でシスター服を着ておりました」
シスター服?……なら教会の人か?
「連れてきて」
「はい。おい!連れてこい!」
男の叫び声により、数名の男が廃教会の入り口から出てきた。すると、その中の男のひとりにシスター服をきた女性が肩に担がれていた。
「こいつです」
ドサッ
男が乱暴に床に落とした。僕は彼女の顔を見ようと僕の方に向けるとその顔は――――
「なっ!! シスター・ツバキだって!?」
そう、あの『慈愛の聖女』シスター・ツバキだった。
ふ…ふふふふふ…。ま、まさかこんなラッキーな事が起きるなんてね…。探す手間がはぶけたよ。あぁ…、なんて愛おしいんだ。このシミの一つもない綺麗な白い肌。艶々して滑らかな手触りの髪。なおかつこのシスター服の上からでもわかるほどスラッとした体型で形の綺麗な美乳。それにこの綺麗で天使の様な寝顔…。あぁ…なんて綺麗な人なんだ。こんな人をあの地球連邦軍とかいう変な所に置いとく訳にもいかない。どんな奴かは知らないがいつも隣にいるという噂の男。結城 翼にも渡す訳にはいかないて。寧ろ不釣り合いだ。僕こそ彼女に相応しい男だ。僕は君を僕の物にする。
しかし、いきなりただ処女を奪うだけでは面白くない…。フフフ…良いことを思い付いた。これならこの子の純潔を奪い更に地球連邦軍をいのままに操り僕の組織にすることもできる。
「ふ…ふふふふふ…ふはははははははははは!!!!!!」
あぁ…なんて実に愉快なんだ!はははははは!!
僕の笑い声が教会に響きまくった…。
―ディオドラside out―
―ハイドラside―
我が主、ツバキ様がいなくなってから数日。あれから定期的に連絡が来ていた。どれも手懸かりがないと少し愚痴っている内容ばかりだった。
「はぁ…、ツバキ様は無事だろうか」
「無事だろう。ツバキ様が簡単にやられるものか。だから元気を出すんだハイドラ。我々は今ツバキ様の命で部隊を預かっておるのだぞ?なにをクヨクヨしている」
「ドラグーン…。あぁ…そうだな。いつまでもクヨクヨしてられぬか」
そうだ、いつまでもクヨクヨしていては、ツバキ様の側近等といったものをできぬ。ハイドラよ!頑張っていこうぞ!
(pipipipi)
「むっ」
すると、私の通信機にツバキ様から情報が流れてきた。ふむ…今日は随分とお早いようで。
「ツバキ様からか?」
隣にいるドラグーンが聞いてきた
「あぁ、そうだ。ふむ…なになに……………なっ!?なんだと!!」
「ど、どうした!ハイドラ!!なにがあった!」
ドラグーンが慌てていた。
「これを見てくれ!」
私はツバキ様からきた情報をドラグーンに見せる。
そこに書いていたのは―――
『○時○○分
○○にある廃教会にてディオドラ・アスタロトと「禍の団(カオス・ブリゲード)」所属、旧魔王派 幹部シャルバ・ベルゼブブとの接触あり。
その接触にてディオドラ・アスタロトにシャルバ・ベルゼブブがオーフィスの「蛇」を渡した。
シャルバ・ベルゼブブとディオドラ・アスタロトの目的は―――
リアス・グレモリーと「赤龍帝」兵藤一誠の抹殺。
そして、ディオドラ・アスタロトはアーシア・アルジェントの誘拐の可能性あり。
なお、この事は機密事項にて、地球連邦軍の幹部及び各三大組織の幹部――魔王、堕天使総督、天使長のみ伝えたし。
この情報を至急に渡されたし。』
「なんだと!?ハイドラ、急ぐぞ」
「おう」
俺とドラグーンはこの事を急いで伝えようとした時………
ヴーヴーヴー!!!
俺とドラグーンの中に設置してある“警告アラーム”が“2つ同時”に作動した。
「なにっ!?…………この警告アラームは…まさか!?」
この警告アラームは間違いない!
「ドラグーン!!」
「おう!」
俺はドラグーンに叫ぶとドラグーンはわかっていたかの様に返事をした。
「見つけた。その情報を送ってきた○○の廃教会だ!このアラームが鳴るということはツバキ様の身になにか起きたということだ!急ぐぞ!!」
「あぁ、わかっている!」
ツバキ様……どうかご無事で!!
「「モードチェンジ!!『飛行モード』」」
ガチャン!ドウォォォォ!!
俺たちは飛行モードにチェンジしてマッハ30で目的地に急いだ。
―side out―
―光輝side―
「ふぁ~…。あぁ…よく寝た。」
俺は今は休憩時間で庭にある樹齢が1000年を超えた大木の枝の上で寝ていた。
ここは程よく日が差し込んでとても気持ちいい。つー君に教えてもらっていつもここで休憩している。
「うぅーん。今日も平和だな。いつもこんなに平和ならいいのにな。」
ほんと…マジで、いつもこんなに平和なら俺たちの仕事も減るものを…。
「ん?……なんだあれ?」
ゴォォォォォォ――………
やかましい音と共に空に何かが横切った。
「あいつは…、ハイドラにドラグーンだと?なんであんなにもスピードを出してたんだ?………………何か嫌な予感がする。これはひと波乱が起きそうだ。」
俺は起き上がり、木の枝から飛び降りて地面に着地した。
「さて…、一応幹部達とその部隊全員を集めておくか……」
ほんと、何か胸騒ぎがすんな。
「さぁ…てと。一仕事といきましょうかねぇ!」
俺は早足で基地の司令室に向かうのだった。
―side out―
―ハイドラside―
暫く空をもうスピードで飛んでいて目的地についた。
「ここだな」
ドコォォン!
俺とドラグーンは扉を殴り飛ばし破壊した。
「おい、取り合えずくまなく探すぞ」
「あぁ、わかった」
俺とドラグーンは別れて廃教会中を探しまくった。だが手懸かりがなかった。
「ツバキ様は何処にもいない。いったい何処に…」
「こっちもいなかった。くそ!何処にいるのだツバキ様は!」
ドラグーンも同じだったか…
「くそぉ………ん?」
俺が悔しくて床に拳を叩いていると、ふと顔を上げた先に白い小型端末が落ちていた
「おい、ドラグーンこれって…」
俺はその小型端末を手にとりドラグーンに見せる。
「これは…ツバキ様の!」
「やはりか…」
「あぁ…。ん?……あれは!」
ドラグーンが何かに気づき声を上げる。その視線の先にあったのは一輪の花だった。
「これは…“時の花”だ! ツバキ様が品種改良を能力で造った時に出来た、別名『記憶の花』。まさか…ツバキ様がこれを植えたのだろうか」
この『時の花』別名『記憶の花』はその名の通り、そのはえている場所で起きた出来事を一度だけ保存する事ができる花だ。特定の魔力を花にあてることによりその花が記憶したことを見ることができる、携帯式の便利な花だ。
「取り合えず見てみよう」
ドラグーンが花に手をかざすと、花が開きその中から小さな光の玉がでてきた。
その玉は宙に浮くと、眩い光をだし映像が写しだされる。
そこに写っていたのは……。ディオドラ・アスタロトとシャルバ・ベルゼブブが話していたあと、ツバキ様が男に口を押さえられ気絶し、ディオドラ・アスタロトがツバキ様を抱えて何処かに魔方陣で連れ去った所だ。
「ディオドラ…アスタロト!!」
俺は怒りのあまり、壁を木っ端微塵にしてしまう。
「その怒りは大いにわかるが今は押さえろ…。取り合えずこの花をもっていって、あの情報と共に総司令官に渡すぞ。いいな」
「……あぁ、すまねぇ。わかった。取り合えずこの情報を渡さなくては何もできん。取り合えずツバキ様の救出はその後だ……」
俺はドラグーンと共にこの情報と花をもって本部へ急ぐのだった………
さて、今回はこんなお話でした。にしても………
(作者「ツバキちゃんが拉致られただと!?くそ!ツバキちゃんを助けるのに人数が足りない!! 誰か…誰でもいい! 力を貸してくれる奴等を探してくるんだ!」
隊員『はい!了解しました!!』
はてさて…ツバキの運命はどうなるのか…。次項ご期待ください!!