ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

88 / 146
14話 龍美とガイヤとオーフィス

一方その頃………、イッセーが暴走しているなかヴァーリにアーシアを託し別れたツバサは次元の間を漂っていた。

 

「……ふむ、ここあたりならいいかな?」

 

すると、何を思ったのか急に止まり息を大きく吸い込んだ。

 

「スゥゥーーーー……―ガイy――」

 

「呼んだか?」

 

「ん、呼んだ?」

 

「わひゃぁう!?」

 

ツバサは突然後ろから現れたガイヤと龍美に驚き奇妙な声を上げた。

 

「び…ビックリしたぁ……。突然出てこないでよぉ…。まだ呼んでないのにー…」

 

ツバサは心底驚いたのか少し怒った顔をしながら涙目で二人を睨んでいた。

 

「ハハハハ、いや~、すまんすまん!つい驚かしてみたくなってな?それでやってしまったんだよ。こんど甘いもの作ってやるから機嫌をなおしてくれよ…な?」

 

「…………………………今回だけなんだからね…」

 

ツバサは顔をプイッ!と横に向けながらそう言った。頬は少し緩んでいたのだった。

 

「ふふ。さて、今回はなんだ?……まぁ、だいたいは予想しているがな。」

 

グレートレッドことガイヤはわかっているかのようにツバサに言う

 

「うん。いまからイッセー達の所に戻ろうと思うの。そろそろイッセーの暴走も止まっているところだろうしね。それと、おそらくオーフィス(妹)も来ているだろうからその子を見にね~。たぶん、オーフィスの狙いはガイヤだろうしね」

 

「そうか…。だから私を呼んだんだな。龍美は何故だ?」

 

「それは勿論、妹に会わせるために!!」

 

「ふふ、そうか。……わかった。ならさっさと行かなくてはな!さぁ、派手にいくぞ!!」

 

そう言ったガイヤは魔方陣を足元にだす。すると魔方陣が光ると、そこにいたのは龍化したガイヤ…グレートレッドだった。

 

「さぁ、私の背中に乗れ。三人でいくぞ」

 

「うん♪」

 

「ん、わかった」

 

ツバサと龍美はガイヤの背中に乗ると、ガイヤは動きだし目的地のイッセー達の所へといくのだった。

 

―side out―

 

―レイジside―

目を覚ましたイッセーは、号泣するリアスに抱きつかれていた。

 

「うーん、あれ?何がどうなったんだ?」

 

俺は未だに状況の掴めていないイッセーの近くまで行き、これまでの出来事を話す。

 

「イッセー、おまえは暴走して『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』の状態になったんだよ。おかげで神殿はこの有り様だ…。ぁ、そうそう、シャルバはおまえが倒したぞ?……なかなかしぶといようだがな(ボソ」

 

実際、ギリギリで退散したようだしな……ま、今はそういうことにしておいた方がいいか。

 

「ヴァーリが助けてくれたのよ」

 

ゼノヴィアに抱きかかえられているアーシアの傍に座ったイッセーに抱きついていたリアスが教える。イッセーがヴァーリを見ると、ヴァーリは今でも疑問に思っているのか、隠すように苦笑いを浮かべていた。

 

「……あれ?……イッセーさん?」

 

アーシアが気がついたようだ。

 

ドン!

 

起き上がろうとしていたアーシアに抱きつこうとしたイッセー。それを横からゼノヴィアに弾き飛ばされた。

 

「アーシア!」

 

アーシアに抱きつくゼノヴィア。今まで見せたことがないほど号泣している。

 

「アーシア!アーシアアーシアアーシアアーシアアーシア!!私とおまえは友達だ!ずっとずっと友達だ!!だから、もう私を置いていかないでくれ!」

 

アーシアは泣いているゼノヴィアの頭をやさしく撫でる。

 

「よかったわ」

 

「そうですわね」

 

「一時はどうなるかと思ったわ」

 

「無事だったからよかったにゃ」

 

「ホントにねぇ」

 

アリア、朱乃、レイナーレ、黒歌、イリナは傍で微笑んだり泣いたりしていた。

 

「ゼノヴィアさん……苦しいです…」

 

あまりに抱きつき過ぎていたのか、アーシアは苦笑しながらそう漏らした。

 

ヴァーリがイッセーに話しかける。

 

「兵藤一誠、無事だったようだね~」

 

「ああ。なんだか、世話になっちまったようだな」

 

「ま、たまには良いよ。それよりもそろそろだよ?空中を見てみて」

 

ヴァーリがフィールドの宙を指さす。釣られるように宙を見るイッセー。

 

感じるな……大きな三つの気配を…。

 

……ふ、やっと帰ってきたか

 

バチッ、バチッ!!

 

空間に巨大な穴が開き始める。

 

「あれは――」

 

空間にできた巨大な穴から出現する真紅の巨大な龍を目の前に、俺たち数名以外の全員が驚きのあまりに口が開きっ放しになる…。

 

ヴァーリが口元を緩くにやけさせながら言う。

 

「よく見ておいて、兵藤一誠。あれが私が見たかったものだよ」

 

「デカッ!!」

 

イッセーが我に返ったのか、一言そう口にした。

 

「『赤い龍』と呼ばれるドラゴンは二種類いる。ひとつはキミに宿るウェールズの古(イニシエ)のドラゴン――ウェルシュ・ドラゴン。赤龍帝ね。白龍皇もその伝承に出てくる同じ出自のもの。だけど、もう一体だけ『赤い龍』がいる。それが『黙示録』に記されし、赤いドラゴンなんだ」

 

「古の…ドラゴン…」

 

「そう……、名を『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド。『真龍』と称される偉大なるドラゴン。自ら次元の狭間に住み、永遠にそこを飛び続けているの。今回、あれを確認するためにここまで来たんだよ。確かオーフィスも確認のために来てるよ。シャルバたちの作戦はどうでもよくて、あたしたちの本当の目的はこっち」

 

その言葉にグレモリー眷属がみんな驚いた。まぁ、俺達はそれよりも、その伝説の無限の名を持つ二体のドラゴンを家族として連れてきたツバサに心底驚いたけどな。

 

「でもどうして、こんなところを飛び続けているんだ?」

 

 イッセーの問いだ。

 

「さあ? でも、あれがオーフィスの目的で、あたしが倒したい目標だよー」

 

 ヴァーリの目標か。随分デカイ目標だな。まぁ、グレートレッドを倒しても、まだまだその上にはバカげた力をもったドラゴン達がいるんだがな。

 

「グレートレッド、久しい」

 

すると、突然聞こえてきた声に全員が驚く。後ろをみると、そこには龍美と同じ姿のオーフィスがいた。

 

……なるほどな、あれが龍美が置いてきた力が実体化して擬人化した姿か…。

 

さしずめ龍美の血の繋がった実の妹だな。

 

「――オーフィス。現『禍の団(カオス・ブリゲード)』のトップだ」

 

俺は確認して口にした。すると、イッセーたちが「この少女が!?」的な目でこっちを見た……何だよ、何故俺の方をみる

 

「因みに、まえ話したと思うが…俺達の家族にいるオーフィスこと龍美の実の妹になるな」

 

俺の言葉に更に驚くグレモリー眷属達。ほんと、驚くの好きだなお前ら。

 

オーフィスはグレートレッドに指鉄砲のかまえでバンッと撃ちだす格好をした。

 

「我は、いつか必ず静寂を手にする」

 

変わらないな……3年前の龍美と。

 

バサッ――ドスンッ!!

 

空中からタンニーンに乗ったアザゼル、光輝が着陸した。光輝はタンニーンの頭の上に胡座をかいて座っていた。

 

「先生、タイニーンのおっさん、それに光輝さん!」

 

「おう!全員、ご苦労さん」

 

光輝がグレモリー眷属に向けて言った。

 

「おー、イッセー。元に戻ったようだな。俺もどうなるか怖かったが、おまえならあの歌や女の胸で『覇龍』から戻るかもなんて思っていた。乳をつついて禁手(バランス・ブレイカー)に至った大馬鹿野郎だからな。あの歌の作詞をしたかいがあったぜ」

 

「ハハハハ、さすがは乳の好きな赤龍帝だ!――と、オーフィスを追ってきたらとんでもないものが出ているな」

 

アザゼルとタンニーンがイッセーと話した直後、空を飛んでいるグレートレッドに視線を向ける。

 

「懐かしい、グレートレッドか」

 

「タンニーンは戦ったことあるのか?」

 

「いや、俺なぞ歯牙にもかけてくれなかったさ。光輝のほうはあるのか?」

 

「いや、俺もない。グレートレッドは未知数だ……『人間最強』や『真なる赤龍神帝と並ぶ者』なんて通り名みたいのはいくつもあるが、名前負けしているのと変わらない。……てか、俺が人間最強なら俺以上に強いツバサはどうなるんだよ」

 

光輝は呆れた様な顔をしてそう言った。……だが、目はどうにもなにか企んでいるようだった。

 

どうせ、グレートレッド…ガイヤの事を話すタイミングを伺っているんだろうな。

 

「久しぶりだね、アザゼル……クルゼレイ・アスモデウスは倒したの?」

 

「あぁ、旧アスモデウスはそこにいる光輝が片付けた。……と言うより、戦おうとしたら、ツバサの部隊の乱入でボコボコにされて戦う前に終わったけどな。ちなみに、そのあとなんか隕石が落ちてきて消し飛んだけどな……。あれはいったい何だったんだ?」

 

アザゼルは悩みながらそう言った。

 

……隕石って…。たぶんだが紫さんだろうな。ツバサの部隊で隕石を落としてくる人なんて数が知れているしな

 

「まぁ、 まとめていた奴らが取られれば配下も逃げ出す。シャルバ・ベルゼブブのほうはイッセーが『覇龍』で片づけたみたいだしな」

 

「お兄さまは?」

 

リアスがアザゼルに訊く。

 

「結界が崩壊したからな、観戦ルームに戻ったよ」

 

そのアザゼルがオーフィスに言う。

 

「オーフィス。各地で暴れ回った旧魔王派の連中は退却及び降伏した。――事実上、まとめていた末裔共を失った旧魔王派は壊滅状態だ」

 

「そう。それもまたひとつの結末」

 

オーフィスはまったく驚く様子も無く言う。目的以外なら、どうだっていいのだろうな…。

 

それを聞き、アザゼルは半眼で肩をすくめた。

 

「お前らの中であとヴァーリ以外に大きな勢力は人間の英雄や勇者の末裔、神器の所有者が集まった『英雄派』だけか」

 

英雄派か…。厄介なことこの上なしだろうな……。

 

アザゼルが光の槍をオーフィスに向ける。しかし、オーフィスはきびすを返した。

 

「我は帰る」

 

そう言ってオーフィスは帰ろうとした。

 

…………しかし

 

『ちょっとまったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』

 

ヒュゥールルルルルル……ズドォォォォォン!!!!!!

 

なにかが落ちてきた。その事に驚くみんな。しかし、俺達は気づいていた。落ちてきた人物が二人で、しかも、“俺達が一番知っている人物だということに”

 

「だれ?」

 

「やっハロ~。みなさんお久しぶり~♪結城 翼、ただいま次元の間から戻って参りました!!」

 

『ツバサちゃん!?』

 

みんなが驚いて声を揃えて叫んでいた。

 

そんなツバサは、ビシッ!と効果音が付くくらい、綺麗な敬礼をしている。みんなが驚いているなか、その隣からオーフィスと服装以外瓜二つの少女が出てきた。

 

「我の名前は龍美。『無限の龍(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス』あらため、結城龍美。よろしく」

 

オーフィス(姉)こと龍美は綺麗なお辞儀をした。うん、流石『祖龍』ミラ・ルーツに教え込まれただけあって、かなり綺麗なお辞儀だな。

 

「お前さんが、光輝の言っていたオーフィス…で、いいんだな?」

 

「ん、そう。我はツバサの家族になった。そして、『禍の団』から出るために力を置いてきた。だから、今はここにいる」

 

龍美はアザゼルの質問に答える。

 

「それと…、久しい妹」

 

「ん、久しいお姉ちゃん」

 

龍美とオーフィス(妹)が目の前で挨拶していた。

 

……それにしても不思議な感じだな~『無限の龍(ウロボロス・ドラゴン)』が二人もいるなんて…

 

「妹はまだ、静寂を望むの?」

 

「ん、我の望みは静寂だけ。静寂あればそれでいい」

 

その言葉に龍美は悲しそうな顔をする

 

「……そう、なら我からはなにも言わない。……でもこれだけは覚えていて?――静寂だけだと寂しいよ?静寂なんかよりも…もっと楽しい事があるからね」

 

龍美はオーフィスに向けてそう言った。その目には絶対に諦めない意志が宿っていた。

 

ま、妹だもんな。自分の家族を悪党共に置いとくなんて嫌だもんな。

 

「……ん。覚えとく。でも、我は静寂以外なにも要らない。だから、いつかグレートレッドを必ず倒す。そして静寂を得る」

 

そう言ったオーフィスは魔方陣を出してその場から消えた。

 

「ほんとにオーフィスと家族だったんだねツバサちゃん」

 

するとヴァーリがツバサに聞いていた。

 

「ん?うん、オーフィスとは次元の間で出会ったからね。その時に家族になったの。3年くらい前にね~」

 

「そうなんだ。相変わらずスゴいね君は」

 

「ふふん♪誉め言葉として受け取っておきますよ」

 

胸を張りながら言うツバサ。身長もヴァーリより小さいので、姉に自慢する弟みたいでなんだか微笑ましい。

 

そんなツバサにヴァーリもまるで成長を見守る母親の様な顔になっていた。

 

すると、ヴァーリの近くで空間に裂け目が開いたのを感じ取ってそっちを向いた。

 

「さてと、あたし達も退散だー」

 

ヴァーリがそう言いながら一緒にきたメンバーと帰ろうとしていた。

 

すると突然ヴァーリが此方を向いてきた。

 

「ねぇ、兵藤一誠。貴方は私を倒したい?」

 

ヴァーリがイッセーに突然聞いた。

 

「………あぁ、倒したい。倒したいさ。でも、いまの俺にはまだお前を倒せねぇ。それに、俺にはまだまだやらなきゃいけないこともいっぱいあるし、超えなきゃいけない壁もある。……でも、いつかお前を倒せる日がくるまでひたすら鍛えて強くなる!!必ずお前を倒すためにな!」

 

イッセーは高らかにヴァーリに向かって叫んだ。

 

「ふふ、私もだよ兵藤一誠。私も君みたいに倒したい者が沢山いる。おかしいよね。現赤龍帝と現白龍皇は宿命の対決よりも大切な目的と目標が存在している。きっと、今回の私とキミはおかしな赤白ドラゴンなんだろうね。だけどね、そういうのもたまにはいいはずだよ?――でも、いずれは」

 

イッセーが拳をヴァーリに向けた。

 

「ああ、決着つけようぜ。部長や朱乃さんたちのおっぱいを半分にされかけたからな!」

 

「ふふふ、やっぱりキミはおもしろいね。――強くなってよね、兵藤一誠」

 

「あぁ!絶対に強くなってやるぜ!」

 

ニヤリと笑いながら完全にライバル宣言している二人。……うん、やっぱり競えるライバルって者がいたらもっともっと強くなれるな。

 

……俺と光輝の様にな

 

「じゃあな!おっぱいドラゴン!それとスイッチ姫!」

 

ぶふぅ!……くくく、美猴のせいでライバルの会話が台無しだな…。

 

「木場祐斗さん、ゼノヴィアさん」

 

背広の青年が木場とゼノヴィアに言う。

 

「私は聖王剣の所持者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーと呼んでください。いつか、聖剣を巡る戦いをしましょう。では」

 

次元の裂け目に入る直前、光輝が口を開き引き留めずに言った。

 

「アーシアとイッセーを助けてくれたお礼だ…。いつか暇があれば、家に遊びに来い。ご馳走をふるまうぞ。もちろん、フルメンバーでだ。

あっ、この魔方陣を使え。そしたら特別に入れるからな。ちなみにこの魔方陣は俺か、結城家の誰かが直接渡した本人とその魔方陣に書かれた名前以外の人物は来れないから、もしも他の奴に渡しても意味はないからな」

 

光輝の言葉に全員が驚いていた。反対にヴァーリとアーサーは反応することなく入っていき、美猴は片手を上げて反応した。

 

「――さてと、事後処理は俺達に任せておいて、お前らは家に帰ってろ。ツバサ!……あとは頼んだぜ?」

 

「はぁ~い」

 

すると、ツバサは魔方陣を描きだした。特殊なモノなので、文様もかなり複雑なものだ。

 

「今度こそ帰ろう、アーシア。俺たちの家へ」

 

「はい。皆さんのいる家に」

 

直後倒れる音がした……イッセーだ。

 

そのイッセーの両肩をゼノヴィアとイリナが持ったのをみて、ツバサは魔方陣を完成させる。

 

タンニーン、アザゼル、光輝は冥界に戻るようなので、ここで別れることになった。

 

「さてと、俺も帰ったらここの後始末をするか」

 

さっさと終わらして、“宴”の準備もしなくちゃいけないからな…

 

「さてと、みなさん帰りますか~!」

 

『はい!♪』

 

そして、俺達はそのまま魔方陣で各自家に帰るのだった。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。