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1話 鑑賞会とデートのお誘い
少し話が飛ぶけど、屑悪魔ことディオドラと『禍の団(カオス・ブリゲード)』との戦闘から数日――グレモリー眷属、アザゼル、イリナ、そして俺こと結城 翼とお付きの黒歌さんは兵藤家の地下一階にある大広間にて鑑賞会をしていました。
『貴様ら悪の組織なぞに俺は屈しない!!この乳龍帝が貴様らの野望を打ち砕く!いくぞ――禁手化(バランス・ブレイク)!!!』
いま、目の前の映像からイッセーにそっくりな特撮ヒーローが画面で見事な変身を遂げている……ふむ、顔のみをCG加工をしてあるみたいだね。
いま、俺達が見ている巨大モニターに映る鑑賞作品は『乳龍帝おっぱいドラゴン』と言って、特撮ヒーローで冥界のお茶の間で大ブレイクを起こしているとのこと。主に子供にね~…。
物語のあらすじは――伝説のドラゴンと契約したイッセー・グレモリーが悪魔と敵対する邪悪な組織と戦う変身ヒーロー……なのですよ。
そして、それを冥界に流す前に俺達が鑑賞中というわけです。
「再現度がすごいね…このおもちゃ版の『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』。音声も似ているね」
俺の隣ではおもちゃ版の『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』をいじっている祐斗。左腕に装着した『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』から『Boost(ブースト)!!』と機械の音声が流れる。
「確かによくできているね~……そうだ、ねぇねぇイッセー。本物と比較してみようよ」
「え?いいけど」
イッセーが左腕に『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』を出現させ、『Boost(ブースト)!!』と音声を出す。同時におもちゃ版も音声を出した。
重なって『Boost(ブースト)!!』と鳴り……あんまり変わらないね~。
「それ、かなりの自信作なんだぜ?今は試作品だが、直ぐに発売してやるさ!」
商魂がたくましくなりつつあるアザゼル。
そして、俺はまたアニメを見ようとモニターに目をやると――
『いくぞ、邪悪な怪獣よ!とおっ!ドラゴンキィィィィィィィィックッ!!』
見事なまでに決まる必殺技だが、直後に強力な技によりピンチに陥る主人公。
いつのまにか大分進んでいたよ……。
『おっぱいドラゴン!来たわよ!!』
そこにヒロインが登場する。ドレスを着たリアスさん――まぁ、実際は、背格好の近い役者にCGの顔を使用したもの何だろうけどね~。
『おお!スイッチ姫。これで勝てる!』
『おっぱいドラゴン』がスイッチ姫の胸にタッチする。すると、主人公の体が赤く輝き始め、パワーを取り戻していく。
「味方側におっぱいドラゴンとスイッチ姫がいるんだよ。そして、ピンチになったとき、スイッチ姫の乳を触ることで無敵のおっぱいドラゴンになるのだ!!」
アザゼルがノリノリで説明をする。
スパンッ!!と、リアスがアザゼルの頭をハリセンで叩いた。
「……ちょっとアザゼル。グレイフィアに全部聞いたわよ?ス、スイッチ姫の案をグレモリー家の取材チームに送ったのはあなたよね?おかげで私が、こ、こんな……」
リアスさんはわなわなと震えている…噴火寸前と言ったところだろうな。
「いいじゃねぇか。ガキどもからも支持を得るようになって、逆におまえの人気が高まったって聞いたぜ?」
「……もう、冥界を歩けないわ」
アザゼルの言葉にため息交じりにつぶやくリアス。
そ、それにしても…な、なななにゃんて、破廉恥なのでしょうか…///こ、こんなの子供の教育に絶対悪いよぉ~///
ズドォォォン!!!
すると、画面にいた怪人は爆発し、そのあと色々あってエンディングが流れた。
「そういえば、イッセーくんって小さい頃、特撮ヒーロー大好きだったものね。私も付き合ってヒーローごっこしたわ」
すると、イリナがはしゃぎながら変身ポーズをとっていた。懐かしいな~。俺も小さいときはよくそんな遊びをやってたっけ~。
「確かにやったなぁ。あの頃のイリナは男の子っぽくて、やんちゃばかりしてた記憶があるよ。それが今じゃ、美少女さまなんだから、人間の成長ってわからない」
無自覚に口説き文句を言ったイッセーの言葉に、顔を真っ赤にするイリナ。
「もう!イッセーくんったら、そんな風に口説くんだから!!そ、そういう風にリアスさんたちを口説いていったのね……?怖い潜在能力だわ!!堕ちちゃう!私、堕天使に落ちちゃうぅぅぅっ!!」
展開していた翼を白黒と点滅させるイリナ。天使と堕天使の瀬戸際ですね~。
それを見てアザゼルが豪快に笑う。
「ハハハハ、安心しろ。堕天歓迎だぜ?ミカエル直属の部下だ。VIP待遇で席を用意してやる」
「いやぁぁぁぁっ!!堕天使のボスが私を勧誘してくるぅぅぅぅぅっ!!ミカエルさま、お助けくださぁぁぁぁぁいっ!」
イリナは涙目で天へ祈りを捧げていた。
そんな様子を見て笑っていると、ふいに黒歌さんがなにかを思い出したような顔をした。
「にゃははは!……あ、そう言えば、ツバサも小っちゃい時はよく戦隊ゴッコをしていたにゃ。あの時はスゴくはしゃいでて可愛かったにゃん♪」
すると、黒歌さんが俺の後ろに回り胸を頭に押し付けてきた。
「ちょっ!?黒歌さん!?///なにをしているのですか!!……てか、なぜそんな恥ずかしいこと覚えているのですか!?///」
俺がそう言うと、まるでいたずらっ子の様な顔をして、此方を見てきた。
「そりゃ、もちろん覚えてるにゃ。ツバサの可愛いい姿や恥ずかしい姿なんて私達が忘れるわけないにゃん!それに、たぶん私だけじゃないよ?光輝や皐月達や他のみんなも覚えてるにゃん♪」
そ、そんな…。俺のプライバシーは何処へいったのでしょうか…。シクシクシク……
「うぅ~…。もう色んな意味で恥ずかしくて死にそうです…///」
カシャッ
「?なに、いまの音…」
「気のせいにゃん」
何だろういまの音は…。そしてなぜ小猫ちゃんの手元にはカメラが?そしてなぜ黒歌さんと小猫ちゃん二人して親指立ててサムズアップしているのです?ねぇ…なんでぇー!?
「ツバサちゃん、少しお話とお願いがあるのですがいいですか?」
朱乃さんが突然こっちにやって来た。すると、なにを思ったのか黒歌さんが俺から離れた。あと、ウインクをして小猫ちゃんを連れて離れていった。
「お願いってなんですか?」
「はい、実は今度の休日買いをしようと思っているのですが……一緒に、行きませんか?」
顔を赤くしてもじもじさせながらお願いしてくる朱乃さん…可愛いい…じゃなくて!
「もちろんいいですよ~。どうせ暇していましたしね~」
「本当ですか!やった!」
嬉しそうな顔で少しはしゃいでいる朱乃さん。ほんとに嬉しそうですね~。
「よかったわね、朱乃!」
「はい、リアス。今度の休日、うふふ、ツバサちゃんと初デート♪」
なんだかスゴくリアスさんと嬉しそうに喋っている朱乃さん。なにを言っているかは、隣から聞こえるBoost(ブースト)という音で聞こえないけどね……てか、うるさいよ!?
そして、全てやることがなくなった俺達は帰ることにしたのだった。
―side out―
―イッセー side―
駒王学園昼休み。俺は松田と元浜、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、夕麻、優子ちゃん、ツバサちゃんと桐生で弁当を食べていた。
「そういや、もうすぐ修学旅行だぜ?班を決めないとな」
元浜が卵焼きをつまみながら言う。
「えっと、三、四名で組むんだっけ?」
「そうそう。泊まるとこが四人部屋らしいからな。ま、俺ら三人で組むしかない。嫌われ者だからな。俺ら」
そうだな…俺たちと組む女子はないな。アーシアたち七人とは仲がいいから…こうして、一緒に弁当も食ってるし。しかし、他の女子は全滅に近い。
「エロ三人組。修学旅行のとき、うちらと組まない?美少女七名でウッハウッハよ?」
「あぁ、おまえ以外の美少女六人組な」
「だから、俺は男です」
桐生の申し出にうなずく松田。その頭を思いっきり桐生が叩いた。そしてツバサちゃんは男だと叫んでいた。
「俺はもちろん、OKな」
そう返事をしたとき、アーシアとゼノヴィア、イリナの表情が明るくなったように見えた……気のせいかな?
そして、そんな女子メンバーを微笑ましそうに見るツバサちゃん達三名。……いったいなんなんだ?
「うーむ、最近、イッセー専用のフラグが辺りに散らばっているように思えるぞ?……そんなもの視認できたら、全力を用いてハンマーで叩き壊すんだけどな……」
呪詛のように言って眼鏡をくいっと上げる元浜…。
「てなわけで、修学旅行はこの十人で行動しましょう。清水寺!そして金閣寺銀閣寺が私たちを待っているわ!!」
桐生がメガネをキラリとさせながら宣言した。
というわけで、旅行の班が決まった。男子は俺、松田、元浜の三名。女子はアーシア、ゼノヴィア、イリナ、桐生、夕麻ちゃん、優子ちゃん、ツバサちゃんの七名。このメンバーで京都の町を巡ることになる。
ん?ツバサちゃんは男だって?……ふ、“男の娘”だから気にするな!
……そういや、俺、二天龍のドライグを宿しているから、天龍寺に行ってみるのもいいかも。
よし。そうなれば、今度アーシアたちと旅行に必要な品を買いに行こうかな。
―side out―
―ツバサ side―
――時は飛んで、現在、放課後の部室。
俺たちは部室に入ると、お茶をしていたイッセーたちが、初めての修学旅行のことを楽しそうに話していた。あと、何故かレイジ兄さんとアリアさんが来ていた。
それにしても感じんの顧問のアザゼル先生は来ていないみたいだ。冥界に帰って会議をしているらしい。俺は面倒見の係としてその会議には出席をしていない。
「部長と朱乃さんは去年どこに行ったんですか?」
イッセーの質問に朱乃さんが答える。
「私たちも京都ですわよ。部長と一緒に金閣寺、銀閣寺と名所を回ったものですわ」
リアスさんがうなずきながら続ける。
「そうね。けれど、以外に三泊四日でも行ける場所は限られてしまうわ。あなたたちも高望みせず、詳細な時間設定を先に決めてから行動したほうがいいわよ?日程に見学内容と食事の時間をキチンといれておかないと痛い目に遭うわね。バスや地下鉄での移動が主になるでしょうけれど、案外移動も時間がかかってしまうものだわ」
「移動の時間まできちんと把握しておかなかったのがいけませんでしたわね。部長ったらこれも見るあれも見るとやっていたら、最後に訪れる予定だった二条城に行く時間がなくなってしまって、駅のホームで悔しそうに地団駄踏んでいましたわ」
朱乃さんが小さく笑って言うと、リアスさんは頬を赤らめた。
「もう、それは言わない約束でしょう?私もはしゃぎすぎたわ。日本好きの私としては憧れの京都だったから、必要以上に街並みやお土産屋さんに目が行ってしまったの」
思い出を楽しそうに語るリアスさん。かなり京都が楽しかったのだろうな。
「修学旅行で訪れるまで京都に行ったことなかったんですか?移動は魔法陣ですればいいと思いますし」
イッセーがそう言うと、リアスさんは人差し指を左右にノンノンと振るう。
「わかってないわね、イッセー。修学旅行で初めて京都に行くからいいのよ?それに移動を魔法陣でするなんて、そんな野暮なことはしないわ。憧れの古都だからこそ、自分の足で回って、空気を肌で感じたかったの」
あ~あ、リアスさんの目が爛々と輝いているぞ~。
「あ、そうだ。俺達結城家のメンバーも家族旅行という項目で京都に行くからな。そこんとこよろしく」
レイジ兄さんがそう言うと、俺と優子お姉ちゃんと黒歌と夕麻以外全員が驚いていた。なるほど、だからここにきてたんだね
「そ、そうなのですね…。そうだわ!旅行もいいけれど、そろそろ学園祭の出し物についても話し合わないといけないわ」
慌てて切り替えられた……
「あー、学園祭も近かったですね。うちの高校って、体育祭、修学旅行、学園祭は間が短くて連続でおこなうからな。そう考えると俺ら二年生は大変だ」
「そうですね~」
ほんと、忙しくてかなわないよ~。まぁ、家の仕事と比べたら楽な方だけどね…。
リアスさんは朱乃さんからプリントを受け取って、テーブルの上に置いた。どうやら、オカルト研究部の出し物をそれに書いて生徒会に提出するみたいだ。
「だからこそ、いまのうちに学園祭について相談して、準備しておかないと。先に決めてしまえば、あなたたちが旅行に行っている間に三年生と一年生で準備できるものね。今年はメンバーが多くて助かるわ」
「学園祭!楽しみです!!」
楽しそうにアーシアが言った。
「うん。私もハイスクールでの催しは楽しいぞ。体育祭も最高だった」
ゼノヴィアの瞳は輝いている。この間の体育祭で応援席から見てはいたものの、ぶっちぎりで各種競技の一位を乱獲していたもんね。
「私もこういうのは初めてだから楽しみだわ~。良い時期に転入したよね、私!これもミカエルさまのお導きだわ!!」
と、イリナが天に祈るポーズでそう言う。後ろでアーシア達と話しているアリアさんも同じようで、教会メンバーは学園祭を心底楽しみにしているみたいだ。
「去年は……確かお化け屋敷でしたっけ?俺、その時は所属してませんでしたけど、本格的な造りで話題になっていましたよ」
イッセーの質問に小猫ちゃんが答えた。
「……イッセー先輩、それは本物のお化けでしたよ」
「え?」
お…お化け?本物?
「そうよ。本物のお化けを使っていたわ。それは怖かったでしょうね」
小猫ちゃんの返答にリアスさんがネタばらしをした。
「ほ、本物だったんですか……?」
イッセーが驚きながら訊くと、リアスは笑顔で答えた。
「えぇ。人間に危害を与えない妖怪に依頼して、お化け屋敷で脅かす役をやってもらったわ。その妖怪たちも仕事が無くて困っていたから、お互いちょうど良かったのよ。おかげで大盛況だったっわね」
お……お化け屋敷……
「あとで、生徒会に怒られましたわね。当時の副会長だったソーナ会長から、『本物を使うなんてルール無視もいいところだわ!』って怒られましたわ」
朱乃さんが少し懐かしそうに言った。
「じゃあ、今年もお化け屋敷ですか?段ボールヴァンパイアのサーカスでもやりますか?」
イッセーの発言に、ギャスパーが頬をプクリと膨らませてイッセーの頭をポカポカと叩く。
「先輩のいじわるぅぅぅぅぅっ!!すぐに僕をネタにするんだからぁっ!」
「イッセー、ギャスパーをあまりいじるなよ?唯一の男子の後輩だから、大切にしてやれ」
「わかっていますよ。ちゃんと面倒見ますから。でも、その分いじるけど!」
レイジ兄さんの言葉に半笑いで返してきたイッセー。
「あ…そう言えば、ツバサは大丈夫なの?お化け」
ビクっ
「…………」ダラダラダラ
「はぁ…、無理だけはしないでよね」
「……」コクコク
―なんやかんやで一時間後…―
「うーん……とりあえず、新しい試みを――」
もう少しで話し終わるところで、イッセーたちの携帯が一斉に鳴った。
全員が顔を見合わせる……合図だ。
リアスさんは息を整えたあと、真剣な声音で言った。
「――行きましょう」
どうでしたか?久しぶりにやっと更新できて少しだけ嬉しいです。やっと物語が進んでいるって感じがしてとてもいいですね。
さて、今回で主人公の弱点がまたひとつ暴露されましたね。今後どうなることやら…
てなわけで、また次回でお会いしましょう!!ばいば~い( ̄∇ ̄)ノ