ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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遅くなりました!気づけば沢山の人がお気に入りをしていただいてたので、とてもびっくりです。本当にありがとうございます!!これからも、よろしくお願いしますね♪

さて、それではどうぞ~


6話 『終末の大龍』ミドガルズオルム

―光輝 side―

 

俺たちはロキの襲撃後、兵藤家の地下一階でこれからのことを話し合っていた。

 

今回の事件の話で、俺とレイジが参加している。

 

イッセーの回復も良好で、部屋で寝ていたが起きてきて参加している。

 

ただ、ヴァーリが提案した「赤龍帝と白龍皇が手を組んで共闘する」という事も、場のほとんどの者が驚いていたが、流れを組むと次第に納得していった。

 

あれは、正直びっくりですけどね…。

 

「――だいたい話も進んだし…、さて、ロキ対策についてだが、ロキとフェンリルの対策をとある者に訊く予定だ」

 

アザゼルが提案を出す。

 

「ロキとフェンリルの対策を訊く?」

 

アザゼルがリアスの言葉にうなずく。

 

「そう、あいつらに詳しいのがいてな。そいつにご教授してもらうのさ」

 

「誰ですか?」

 

イッセーが挙手して訊く。

 

「五大龍王の一匹、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』のミドガルズオルムだ」

 

…………あぁ、あの寝坊透けか…。

 

「まぁ、順当だが、ミドガルズオルムは俺たちの声に応えるだろうか?」

 

ヴァーリの問いにアザゼルは答える。

 

「二天龍、龍王――ファーブニルの力、ヴリトラの力、タンニーンの力、黒刻龍の力、黒狐龍の力、風翔龍の力、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)の龍美の力で龍門(ドラゴン・ゲート)を開く。そこからミドガルズオルムの意識だけを呼び寄せるんだよ。本来は北欧の深海で眠りについているからな」

 

「もしかして、お、俺もですか……?正直、怪物だらけで気が引けるんですけど……」

 

匙がおそるおそる意見を言う。

 

「仕方がないだろう?ヴリトラの神器(セイクリッド・ギア)を宿しているのだからな」

 

「まぁ、要素の一つとして来てもらうわけだ。大方のことは俺たちや二天龍に任せろ。とりあえず、タンニーンと連絡が付くまで待っていてくれ。俺はシェムハザと対策について、話してくる。おまえらはそれまで待機。バラキエル、付いてきてくれ」

 

「了解した」

 

アザゼルとバラキエルは大広間から出ていく。

 

残されたオカルト研究部と生徒会。遠山家とヴァーリたち面々。

 

「赤龍帝!」

 

美猴が挙手をしてイッセーを呼ぶ。

 

「な、なんだよ」

 

おそるおそるイッセーが訊くと、美猴は悪戯のような笑顔で言った。

 

「この下にある屋内プールに入っていいかい?」

 

完全に変化球な質問にイッセーは返す言葉もないようだ。

 

突然、リアスが美猴に指を突きつける。

 

「ちょっと。ここは私と赤龍帝であるイッセーの家よ。勝手な振る舞いは許さないわ」

 

「まーまー、いいじゃねぇか。スイッチ姫――」

 

ベチンッ!!

 

リアスは美猴の頭を激しく叩いた!……結構いい音がしたな。

 

美猴は頭を押さえながら涙目で訴える。

 

「いってぇぇぇぇぇっ!!何すんだぃ!スイッチ姫!!」

 

「あなたね!あなたのせいで私は……冥界で変な名称で呼ばれているのよ!!」

 

リアスも同じく涙目だった。

 

「いいじゃねぇか。おっぱいドラゴン、俺も見ているぜ。光栄だぜぃ、俺の名付けたのが使われているからさ」

 

美猴はカラカラと楽しそうに笑うだけ。

 

「うぬぬぬぬ!どうしてくれましょうか……ッ!!」

 

ふぅ…、あんまり暴れすぎないでくれると嬉しいな。

 

『くっくっくっ…。それはお前が言えたことじゃないだろう。』

 

すると、俺の中にいる相棒――【黒刻龍】UNKNOWN(アンノン)が喋りかけてきた。

 

「(なんだよ、アリサ。いきなり失礼じゃないか?)」

 

俺はUNKNOWNことアリサに文句を言う

 

『くくく、そうでもなかろう。お前はいつも暴れすぎて物を壊しては、ツバサに怒られておろう。私はなにも失礼な事を言ってはいないが?』ニヤリ

 

……な、なんか腹立つな…

 

『まぁ、でも。あやつはまだ寝ていたのか…。たまには起きて動かなければ退屈だと思うのだがな』

 

「(なんだ?知っているのか?)」

 

『もちろんだとも。それに、海において我らの同胞もいるしな、寧ろ、知らない方がおかしいのじゃ。』

 

……海、か。海に関係する古龍種は、アイツか…

 

『そうじゃ。……ところでツバサはアイツを探しに行ったきり連絡は来ていないのか?』

 

「(いや、まだだ。……おそらくだが、そのままミドガルズオルムの所にでも行っているんじゃないか?)」

 

あいつは、そう言うところは面倒ぐさがるし。

 

『……まぁ、あの寝坊すけを起こすのが目的だからな。それぐらいは、よしとするか。あやつ自身お主よりも確りしておるし、ましてや、奴には『祖龍』どのがいるんじゃ。心配することはないじゃろう。』

 

――まぁ、それもそうだな。……それに、確りしてなくて悪かったな、コンチクショウ…

 

『さぁ、一仕事しなくてはな。』

 

そして、俺たちは召喚場所に飛んだ。

 

アザゼル、イッセー、俺、匙、ヴァーリ、レイジ、更にクシャルと共に転移魔方陣で兵藤家から飛んできた俺たちはいま、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』のミドガルズオルムを呼び寄せるための特殊な儀式場に来ている。

 

到着した場所は――白い空間だ。周囲を見回すと、巨躯のドラゴンを見つけた。

 

「先日以来だな、おまえたち」

 

「タンニーンのおっさん!!」

 

イッセーはテンションが上がって嬉しそうにしている。

 

「……そちらがヴリトラか」

 

匙を見るタンニーン。

 

「ド、ド、ドラゴン……龍王!最上級悪魔の……!!」

 

匙は緊張と尊敬が混じっている様子だ。ふむ、そんなことで緊張していたら、これから大変だぞ?匙くん。

 

「緊張すんなよ。おっさんは強面だけど、いいドラゴンなんだ」

 

「バ、バカ!最上級悪魔のタンニーンさまだぞ!お、お、おっさんだなんて!!」

 

俺はイッセーと匙の会話に笑いそうになっていた。

 

『くくく…タイニーンをおっさん呼ばわりか…。……くっくっく!今代の赤龍帝は実に面白いな』

 

アリサは普通に笑っていた。

 

「……白龍皇か。妙な真似をすればその時点で俺は躊躇いなく噛み砕くぞ

 

タンニーンがヴァーリを睨みつける。威嚇されたヴァーリは苦笑するだけ。

 

「さて、魔方陣も基礎はできた。あとは各員、指定された場所に立ってくれ」

 

俺たちは指示されたとおりに各指定ポイントの文様の上に立った。

 

カッ!

 

淡い光が下の魔方陣を走りだし、イッセーのところは赤く、ヴァーリのところは白く光る。アザゼルのところは黄金に、匙のところは黒く、タンニーンのとこは紫に、俺のところは匙のところより一層黒く……てか闇の様な色だ。そして、レイジのところは赤黒い色に、クシャルの所は銀色に光り輝いた。

 

『それぞれが各ドラゴンの特徴を反映した色だ』

 

イッセーの方からドライグの説明が聞こえてきた。

 

『ここにはいないが、ティアマットが青。玉龍(ウーロン)が緑を司っている』

 

ティアマットかぁ……。今頃、何をしているんだろうな?最近、俺たちも家を開けっ放しだから暇を持て余しているんだろうな。……まぁ、家には他の動物や精霊…更に、ツバサと誓約した魔物やドラゴン達もいるからそこまで、暇ではなさそうかもな。

 

そして数分後、魔法陣から何かが投影され始めた。

 

俺たちの前に投影されたのは、この空間を埋め尽くさんばかりの巨大な龍だ。

 

その龍の姿は、巨大な蛇のようで、長い体をとぐろを巻くようにして寝ている。

 

なるほど…日本の青龍と同じ東洋型のドラゴンか。

 

「ドラゴンの中で最大の大きさを誇るからな、こいつは。グレートレッドの五、六倍はあるだろう」

 

単純計算で五、六百メートルか…。

 

『………………ぐごごごごごごごぉぉぉぉおおおおおおん………』

 

「案の定、寝ているな。おい、起きろ、ミドガルズオルム」

 

タンニーンが話しかけると、ミドガルズオルムはゆっくりと目を開いていく。

 

『……懐かしい龍の波動だなぁ。ふあああああああああああっ……』

 

大きいあくびをするミドガルズオルム。その大きな口はタンニーンを一口で喰らえるほどの大きさだ。

 

『おぉ、タンニーンじゃないかぁ。久しぶりだねぇ』

 

かなりゆったりとした口調だな。

 

ミドガルズオルムは周囲を見渡す。

 

『……ドライグとアルビオンまでいる。……ファーブニルとヴリトラも…。オーフィスと……ミ・ル?それに、アンノンにクシャルダオラもいるぅ…。なんだろう、世界の終末なのかい?』

 

「いや、違う。今日はおまえに訊きたいことがあってこの場に意識のみを呼び寄せた」

 

タンニーンが説明するが……。

 

『…………ぐ、ぐごごごごごごん…………』

 

ミドガルズオルムはいびきをかきだす。

 

「寝るな!まったく、おまえと玉龍(ウーロン)だけは怠け癖がついていて敵わん!!」

 

怒るタンニーン。

 

『……タンニーンはいつも怒ってるなぁ………ぐごぉぉぉごぉ…』

 

「き、貴様ぁぁぁ!」

 

タイニーンは喋りながら寝るミドガルズオルムに切れそうになっていた。

 

アザゼルたちは慌てて止めようとしたとき…

 

『―――お前はいつまで寝ているんだ…ミドガルズオルム』

 

突然、魔方陣から別の声が聞こえてきた。

 

すると、その声を聞いたミドガルズオルムがパチッと目を覚ました。

 

『……あ、あ、あなたは…』

 

『久しいな、ミドガルズオルム。約220年ぶりか?』

 

そこには、ミドガルズオルム程ではないが、それでも大きな巨体を持ったドラゴンがいた。

 

『おや?やっと来たようじゃな』

 

――あぁ、そうだな。

 

『ナ、ナバルデウス……さん』

 

――そう、大海原の主…「大海龍・ナバルデウス」だ

 

そのナバルデウスの背中には人が乗っていた。

 

『やっほぉ~!聞こえてるー?やっと着きましたよ~お兄ちゃーん♪』

 

笑顔で手をふるのは、ツバサだった。

 

『おい、光輝!……何故ツバサはあの「大海龍」に乗っているんだ!?』

 

すると、ドライグから質問が出てきた。

 

「ん?……あぁ、それは簡単なことさ。大海龍・ナバルデウスはツバサの使い魔みたいなもんだ。だから、一緒にいても可笑しくはないさ」

 

俺の言葉に『なんだと!?』と驚くドライグ。龍美とクシャルを除いたメンバーも驚いていた。

 

『始めまして、ミドガルズオルム。俺はこの大海龍・ナバルデウスと誓約していて、『祖龍』ミラ・ルーツの主でもある、結城 翼って言います。よろしくね!

……あっ、そうだ。あと、オーフィスは龍美、クシャルダオラはクシャルって呼んで、名乗っているからそう言ってね♪』

 

ツバサは水中であるのにも関わらず、普通に喋っていた。……おそらく、アイツがこうして水中で喋れるのは、アイツの開発した“酸素玉”なるものを飲んでいるのだろう。

 

『ん~、わかった。それで、僕に訊きたいことってなんなのぉ?』

 

「おまえの兄弟と父について訊きたい」

 

ミドガルズオルムは普通にまた喋りだして、タンニーンが訊いた。

 

『ダディとワンワンのことかぁ。いいよぉ。どうせ、ダディもワンワンも僕にとってはどうでもいい存在だし……。あ、でも、タンニーン。 ひとつだけ聞かせてよぉ』

 

「なんだ?」

 

『ドライグとアルビオンの戦いはやらないのぉ?』

 

ミドガルズオルムはイッセーとヴァーリを交互に見る。

 

「あぁ、やらん。今回は共同戦線でロキとフェンリルを打倒する予定だ」

 

タンニーンの言葉にミドガルズオルムは笑うように答えた。

 

『へぇ、おもしろいねぇ……。二人が戦もせずに並んでいるから不思議だったよぉ』

 

『ふむ、まぁ確かにな…。そこにいるバカ二人は俺の所にも来て喧嘩したぐらい仲が悪かったからな。……まぁ、そのあとは二人して吹っ飛ばしたがな』

 

『『うっ!?』』

 

どうやら、さっきの言葉に見に覚えがあるのか、ドライグとアルビオンは二人してダメージを受けていた。

 

「そんなところだ。ところで、質問の答えを聞きたい」

 

俺はミドガルズオルムに言う。

 

『ワンワンはダディよりも厄介だよぉ。牙で噛まれたら死んじゃうことが多いからねぇ。でも、弱点もあるんだぁ。ドワーフが作った魔法の鎖、グレイプニルで捕らえることができるよぉそれで足は止められるねぇ』

 

「それはすでに確認済みだ。だが、北からの報告ではグレイプニルが効かなかったようでな。それでおまえからさらなる秘策を得ようと思っていたのだ」

 

『……うーん、ダディったら、ワンワンを強化したのかなぁ。それなら、北欧のとある地方に住むダークエルフに相談してみなよぉ。確かあそこの長老がドワーフの加工品に宿った魔法を強化する術を知っているはずぅ。長老が住む場所はドライグかアルビオンの神器に転送するからねぇ』

 

すると、アザゼルはヴァーリを指さす。

 

「情報は白龍皇に送ってくれ。こちらは頭が残念なんだ」

 

「酷いっ!?」

 

アザゼルの一言に俺は吹いた。

 

「――把握したよ。アザゼル、立体映像で世界地図を出してくれないかな」

 

しばらくして、ヴァーリはアザゼルと話し出す。

 

「――ミドガルズオルム、ロキ対策の方はどうだ?」

 

話し合っている二人をよそに、俺は話を進める。

 

『そうだねぇ。ダディにはミョルニルでも撃ち込めばどうにかなるんじゃないかなぁ』

 

「ミョルニルか……。雷神トールの武器だったっけ?」

 

『そうだよぉ。あのビカビカのビリビリならダディも倒れるはずぅ』

 

「さすがにトールが貸してくれるのは無いに等しいだろう?」

 

『それなら、さっき言ったドワーフのとダークエルフに頼んでごらんよぉ。ミョルニルのレプリカをオーディンから預かってたはずぅ』

 

「物知りで助かるよ、ミドガルズオルム」

 

話が終わったアザゼルが、苦笑しながら礼を口にする。

 

「でも、もしもそれすらも借りれなかったらどうするんですか?」

 

イッセーの言葉に俺は答えた。

 

「その時はツバサの力を借りるさ。あいつの持っている能力で、1度でも触ったことのある武具ならたとえそれが神の使う神具だろうとも、全く同じ物を作ることができる。だから、たとえ借りれなくてもアイツの能力でなんとかできるさ」

 

「ツバサちゃんスゲェー!?」

 

そんなイッセーに俺は苦笑した。……お前は何度も見たことがあるだろうに。

 

『ふふ、たまにはこういうおしゃべりも楽しいよ。さーて、そろそろいいかな。僕はまた寝るよ。ふああああああっ』

 

「あぁ、すまんな」

 

『いいさ、また何かあったら起こして』

 

ミドガルズオルムの映像がブレて消えてしまった。

 

「ちょっといいかな?結城光輝さん。二人で話がしたいの」

 

ヴァーリが呼んだので、俺は皆から少し離れた場所に移動した。

 

「何だ?話とは」

 

「お願い!ツバサちゃんと光輝さん達に、協力してほしいことがあるの」

 

珍しくヴァーリが頼みごとをしてきた

 

「なるほどな…内容は?」

 

「えっとね、私はロキの傍にいるフェンリルを引き入れたいの。そのためにある程度弱らせてほしいのと、いろんな魔獣や魔物、それに神獣といった獣達を沢山ハントして仲間にしてきたツバサちゃんの力を借りたいの!……ダメかな?」

 

仲間に引き入れる…か。……まぁ、そのくらいなら大丈夫かな?ツバサもいるし。

 

それに、こんなかわいい子にお願いされたら断れないさ!

 

……とその前に

 

「……何が目的なんだ?」

 

「あの牙が欲しくてね。もちろん、そちらには向けないよ?」

 

なるほどなぁ…

 

「……ふぅ、わかったよ。ある程度は協力しよう」

 

「うふふ、ありがとう!感謝するね」

 

こうして、俺はヴァーリの頼みごとを引き受けることとなった。

 

すまんな、ツバサ。勝手にきめて…

 

『……お主、どうなっても知らぬぞ?』

 

……ははは、どうにかなるさ…多分な。

 

そんな不安を抱えながら、この日の集まりは幕をおろした。


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