……まぁ、誰だか分かりますよね。
それでは、どうぞゆっくりしていってね♪
俺はイッセーの班メンバーに入っていて、俺たちメンバーは存分に京都の観光を楽しむため、まずは稲荷神社に行くことにした。
京都駅から一駅進んだところに「稲荷駅」があり、そこから下車することで伏見稲荷の参道に入ることができる。
俺たちは電車に揺られて稲荷駅へ到着した。
「おーっ、見ろ、アーシア、イリナ、夕麻。珍しいものがたくさん店頭に並んでいるぞ」
「わー、かわいい狐ばかりですね」
「ここでお土産ちょこっと買ってもお小遣い足りるかしら?」
「ふむふむ…」
「アーシア、こっちにもかわいい狐があるわよ」
「この狐のお饅頭……おいしそう」
「アーシアも夕麻もイッセーもイリナも、みんな頑張っていたからお金は特別にうちから出してあげるよ。だから、好きな物を買ってね♪」
「本当!やったわよ、アーシア!流石はあの伝説の『慈愛なる聖女』ツバサ様ね♪心がとても寛大だわ!」
「はい!ツバサさん、ありがとうございます!」
「ありがとうございます、ツバサ様。本当に嬉しいです!」
「いいですよ。あと、夕麻さん。今はプライベートですし、学校なので別にそんな敬語言葉をしなくてもいつもいいと言ってますのに…」
「いえいえ、これは私達のケジメと感謝の気持ちですのでいくらツバサ様でも、譲れませんよ。それに、結城家の専属メイドもやらせていただいていますので」
「むぅ~、固いな~。もう。まぁ、でも楽しんでいるようなのでよしとしましょうか。」
「「あ、なら、俺達はコンビニでエッチな物をかっ――」」
「貴殿方は関係ないでしょ。……てか、変態は死んでください」 (ジト目+汚物を見る目)
「「グフォア!?」」 ドサッ!
「あんた達バカでしょう」
そんなこんなで楽しんでいる俺達なのです。
そして、気づけば俺達は目的地がある大きな門の前に来ていた。
その門の両脇に狛犬のような狐の像が立っている。
「魔除けの像だね。本来なら、イッセーたちみたいな魔なる存在を寄せ付けない力があるのだけれど、例のパスのおかげで騒ぎは起きないようだね。――でも…」
そう、さっきから…
「――やっぱ、何かに見られてるよね?」
俺は駅から降りたときから、誰かに見られている気配を感じていたが、それがここに来てから増えたようだ。
――それも、人ならざる者達がね。
『……監視されているのは仕方ないけど、それでも、八方向からされているとなると……気になって仕方がないわね』
ルーツもどうやら気がついていたようだ。……あたりまえか。ここまで堂々と見られていたら嫌でもわかるよね。
…………さて、面倒事が起きなければいいのだけれど。
まぁ、普通に考えても俺たちは彼らにとって部外者なんだよね。しかも、悪魔や堕天使…更にドラゴンや神の血が混ざった者(俺)が入ってくれば、事前に話はしていても監視はするだろう。
無事に門を抜け、進むと本殿。さらに歩くと稲荷山に登れる階段が見えてくる。
「山登りしようぜ!」
元浜の何気ない言葉で、千本鳥居を見ながら山登りに挑戦することになった。
―side out―
―イッセー side―
門をくぐってから歩き始めて数十分。
「……ぜーはー……ま、待ってくれ……。ど、どうしておまえたちはそんなに動けるんだ……?」
元浜はすでに息があがっていた。……おまえが言い出しっぺだろうに。
松田が嘆息しながら階段の上から言う。
「おいおい、元浜。情けないぞ。アーシアちゃんたちだってまだ元気だってのに」
松田は運動神経バツグンだから、これぐらいでは根をあげない。
まぁ、俺たちは悪魔とかの異形な存在だから基礎能力は人間より上がっているからね。
ツバサちゃんや光輝さん達は異常だけども……
それに俺たちは厳しい訓練もしているから、これぐらいならまだ平気だ。この程度で根をあげていたら、またあの人の訓練と言うなの拷問を受けることになるからな…。
途中、休憩所のお店を見ながらも伏見山への挑戦は続く。
「わりぃ、俺、ちょいとお先にてっぺんまで行ってみるわ」
つい、冥界での山で修業したせいで得てしまったようだ……山の頂上が見たいってね。
皆に断りを入れてから、階段を勢いよく駆け上がった。
降りてくる人の邪魔にならないように階段を上っていく……って、あれ?人が一人もいないんですけど…?
そんなことを考えているうちに、気がつけば頂上らしき場所に出ていた。…………そこにあったのは古ぼけたお社だ。
辺りは木々でうっそうとしていて、まだ日が出ているというのに薄暗い。
俺はお社で手を合わせて下山することにした。
お社でパンパンと手を合わせ、
『おっぱいをたくさん見て触れますように!彼女ができますように!部長や朱乃さんたちとエッチ出来ますように!』
と、卑わいで正直な願いを念じて、その場をあとにしようと――。
「……京の者ではないな?」
突然の声。周囲に気を配らせると……。
なんか、俺……囲まれている?明らかに人間じゃない気配を複数感じる。
しかも、この気配は妖気…だっけ? ……となると、この人達は俗に言う妖怪って人達になるのか。
そんな事を思いながら身構える俺の前に現れたのは――巫女装束を着た小さな可愛らしい女の子だった。
キラキラと光る金髪に、金色の双眸。小学生低学年ほどの容姿だ。
だが、頭部に生えているものを見て人ではないと理解する。
――獣の耳。
視線を下へもっていくと、お尻からはもふもふしてそうな尻尾が!どこかで見たような……。犬の妖怪?いや、ここは伏見稲荷だから、狐……あ、思い出した。確かツバサちゃんが話していた狐の妖怪、たしか狐耳と九本の尻尾を出している九尾って妖怪だっけ?
でも、尻尾は一尾しかないから、この場合は妖狐って呼ぶんだったっけ?
などと考えていたら、獣耳の少女は俺を激しく睨み、吐き捨てるように叫ぶ。
「余所者め!よくも……ッ!かかれっ!!」
少女の掛け声と共に林から山伏の格好の黒い翼を生やした頭部が鳥の連中と、神主の格好をして狐のお面を被った奴らが大量に出現してきた!!
「カラス?天狗に……狐?」
驚く俺だが、少女は容赦なく指を俺に向ける。
「母上を返してもらうぞ!」
天狗と狐神主が同時に襲いかかってきた!
俺は瞬時に籠手を出現させ、攻撃を躱していく。
「は、母上?何を言ってんだ!俺はおまえの母ちゃんのことなんて知らないぞ!」
俺は少女にそう叫ぶ!しかし、少女は問答無用のご様子だ!
「ウソをつくな!私の目は誤魔化しきれんのじゃ!」
ウソンッ!京都について早々誘拐犯扱いとか……運がねぇ!!
「理不尽なッ!」
俺は叫びながら攻撃を躱すが、バランスを崩したところに天狗の錫杖が俺に降りかかってきた!!
一撃食らうと思ったそのとき――。
ガキィィン!!
「まったく、着いてそうそう厄介事ですか?貴方は……」
天狗の錫杖を同じく槍のような刃が付いた錫杖で真っ二つに割っていたツバサちゃんがいた。
「どうした、イッセー」
「何々?妖怪さんよね?」
「面倒なことに巻き込まれたわね」
さらに、イリナにゼノヴィアに夕麻ちゃんが来てくれた。
遅れてアーシアと龍美ちゃんも来てくれたようだ。
俺たちツバサちゃんを含めて七人が集まったことで、少女一行さまは驚き、怒りを一層深めた様子だった。
「……そうか、おまえたちが母上を……もはや許すことはできん!不浄なる魔の存在め!神聖な場所を穢しおって!絶対に許さん!」
話し合いは無理そうだ…。一方的にやられててすごい不快だけどさ!!
「……それはどういう事ですか?我々はつい先程この京都に来たばかりです。まったくもって襲われる理由が不明なのですが?」
ツバサちゃんは錫杖を構えながらもこの臨戦状態のなか冷静に問いかけた。
「うるさいうるさい!お前たち余所者が母上を拐ったのじゃ! ――母上を返すのじゃぁぁ!!」
少女の叫びと共に妖怪達がツバサちゃんに襲いかかる。
「……ふぅ、話もろくに通じませんか。仕方がありませんね。なら―――――」
ツバサちゃんは目を閉じて一息したあと、目を開く。
「戦うしかないでしょう」
ドゥッ!!
ツバサちゃんの体から莫大な気が膨れ上がった。そしてその気で風が舞い、妖怪達を吹き飛ばす。
その風は俺達の方にも来て、あまりの強さに腕で顔を隠した。
そして風が止み、煙の中から出てきたツバサちゃんは――――
白銀の長い髪に頭には耳と腰には尻尾をユラユラと動かし、その瞳は金に染まり瞳孔は獣の様に縦に割れていた。
そう、その姿こそツバサちゃんが『白銀の戦乙女(ヴァルキリー)』と呼ばれる由縁――それが…
「牙獣変幻『モード“白銀狼 ヴェオウルフ”』!」
ツバサちゃんは仁王立ちしながら、堂々と宣言した。
突然変わった姿に戸惑い驚かく妖怪さん達。
これをチャンスと思った俺は行動にうつした。
「アーシア!部長から例のものを受け取っているな?」
「はい!」
俺の問いにアーシアはポケットからグレモリーの紋章入りカードを取り出した。
「行くぜ!えーと……」
ここは破壊しないように凌ぐしかないから、『女王(クイーン)』と『戦車(ルーク)』は使えない。ならば……。
「『騎士(ナイト)』にプロモーション!」
体に力が流れ込み、体が軽くなった感覚を得る。
「アーシアは私が守るから、全員は安心して戦って」
アーシアは頷くと、今度は龍美ちゃんがアーシアの隣にきて、黒い結界の様な物をアーシアの回りに張った。
「……姫君。私は無闇な戦闘はしたくありません。ですが、もしもこの人達を襲うのであれば、我々もそれ相応の対処をしなくてはなりません。どうかお考えを…」
ツバサちゃんの言葉に俺たちは戦闘の態勢に入る。もちろん、周囲を破壊しないように武器の破壊だけを破壊し、追い返すだけ。
戦闘が始まると思った――その時だった。
「――待ちなさい、あなた達!」
突然この場にいない別の人物の声が空に響き渡った。
その突然の事に少女を含めた妖怪さん達もそして俺達も慌てふためく。
しかし、そんな中でもツバサちゃんは落ち着き優雅に振る舞っていた。……それに、何故か笑っているようにも見えた。
「まったく、いったい何をしているのよ。……どうしてこうなったのかしら?」
突然空中に割れ目が出来たと思ったら、そこから出てきたのはツバサちゃんの双子のお姉さん。
――結城 優子ちゃんだった。
「京の姫君さま。どうかここは大人しく引いて貰えると嬉しいのですが…どうでしょうか?」
「我々も、同じ考えでございます。どうか姫君様。何故この様な事をするのかは分かりませぬが、この場はお引き取りをお願い申し上げます…」
優子さんとツバサちゃんが頭を下げながら、少女に言っていた。
少女は俺たちを憎々しげに睨んだあと、手をあげる。
「……撤退じゃ。いまの戦力ではこやつらに勝てぬ。おのれ、邪悪な存在め。必ず母上を返してもらうぞ!」
少女がそれだけ言い残すと、一迅の風と共に連中は消えていった。
いったい…何だったんだろうか…
―side out―
―ツバサ side―
――初日の夜。
俺はあのあと、境内を掃除してこのホテルに帰ってきた。
そして、夕食を食べたあと一息休憩して、俺はひとりでホテルにある露天風呂を堪能していた。
――チャプン…
「――ぅん!ふ~……いい湯だなぁ~」
俺は露天風呂に浸かり夜空を見ながらのんびりとしていた。
「……はぁ~、それにしても…いったいこの京都で何がおきているのでしょうか…」
俺はひとり呟いた。
「……それは、私が話すわ」
すると突然女の人の声が聞こえてきた………って
「ゆ、紫さん!?ど、どどどどうしてここに!?」
そう、伝説の大妖怪こと八雲紫さんが隣にいたのだ。……それも裸で…
俺は慌てて紫さんに背中合わせにするように顔を背ける。
「……と、取り合えずどういう事ですか?その…話って…」
俺は恥ずかしさにどもりながらも聞いた。
「……そうね、私…と言うよりも、私の式である藍に関係するのよね~」
「藍さん…ですか?」
何故、藍さんが?……同じ妖狐の妖怪だから?
「まぁ、それに関しては明日説明するわ。それを伝えるために態々、幻想郷から来てあげたのだから」
まじですか…
「それに――」
すると、紫さんは突然俺の肩を持ち、クルッと半回転させ向かい合わせになるように俺を固定した。
「――ッ!?///」
俺が恥ずかしがってると、紫さんは真剣な顔で口を開いた。
「いまこの京都には悪がいるわ。……充分気をつけなさいよ…絶対」
紫さんは俺の肩を持ちながらも、真剣な口調と顔でそう言った。
……悪、か…。この嫌な予感は的中したって事ですね…
「わ、わかりました。気をつけます。かならず」
俺も、紫さんに答えるように真剣な顔でそう言った。
「そう、わかったのならいいわ。私の役目はそれだけだから。今日はもう帰るわね。それにいいものも見れたことですし、それじゃ――また明日ね♪」
紫さんは少し微笑んだあと、最後に不吉な事をいいながらとてもいい笑顔で帰った。
――――――ん?
「え?えぇ??いいものって……いったいどういう事ですかぁぁぁ!?」
俺の悲痛な叫びは綺麗な夜空にかき消えるのだった…。
駄「どないでしたか?……つばさはんの裸姿…いい眺めですなぁ~、グヘヘヘ」
ツバサ「……駄作者…、いっぺん本気で死んでください…いますぐに!!『スペルカード!“レーヴァティン”』!」
ズガァァン!
駄「ギャァァァァァァァァァ!!!!!」 チーン
ツバサ「悪は滅びた…です。コホン。駄作者も死んだことですし『死んでないよ!?』チッ!……ゴホン
では、今日はここまでにしましょう。
次回もお楽しみに。それでは皆様、ごきげんよう」
駄「ゴッホン!それでは皆さん。次回もお楽しみに~!それじゃ~」
ツ・駄「『バイバ~イ!』」