スパロボ世界の胡散臭い教祖様   作:スカウトマニア

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最終回にちなみマハトマの正体について、後半で述べています。
これまでお付き合いいただきありがとうございました。


最終回 マハトマの正体

 コロニー統合軍と地球連邦宇宙軍の救援が駆けつけたころには、ナーガデッセイ号を襲ったバグス、アーチンら二種の異星人の部隊は一機残らず壊滅していた。

 科特隊の自前の戦力と突如出現した白銀に輝く巨人の手によって、瞬く間に倒されたのだ。その戦闘映像はコロニー統合軍にも連邦宇宙軍にも、隠すことなく提供されて、第三の異星人かとざわつかせることとなる。

 

 バグスとアーチンに戦い、地球人類を守る動きを見せた為に、人類に対して友好的な存在ではないかと一部は考えたが、そんなに都合の良い考えがまかり通るものかと、誰もが期待しなかった。

 白銀の巨人──マハトマンに変身したクロマーの戦闘時間はきっかり三分。少数の敵機が残っていた為、クロマー自身はそれらも全て倒したかったのだが、それが限界だと自然と悟り、慌ててナーガデッセイ号の中へと退避せざるを得なかったのである。

 

 シュウの精神世界では時間制限のなかった変身も、現実世界では勝手が違うらしい。

 科特隊を襲った襲撃事件は地球圏ばかりでなく、襲った側にも多くの衝撃を齎した。

 例えば自身の離反を悟らせないよう細心の注意を払いながら、SRX計画を進めていたイングラム。

 アウレウスレクス教団ならびに政府、軍、民間に広がる光の派閥に対し、情報収集と監察を秘かに行っていた軍の情報部に属するギリアム・イェーガー。

 なおシュウ・シラカワはヴォルクルス教団からの離反に伴い、故郷である地底世界ラ・ギアスに戻り、自分の行った所業の清算と報復に動いており巨人の情報を得るのは少々遅れた。

 

 そして例の政府高官──アルテウル・シュタインベックは誰よりも、マハトマンの存在に衝撃を受けて愕然とした表情で立ち尽くしていた。

 秘かに手配した数ある私邸のリビングには、ホログラフィックモニターにマハトマンの戦闘様子を収めた記録映像が映し出されている。

 特徴的なのはそれが科特隊の記録した映像ではなく、バグスないしはアーチンの側から記録したと思しいものだった点にある。

 

 科特隊にも歯噛みしながらなぜか意識を逸らせず、秘かに匿名で出資までしたアルテウルは矛盾を孕みながらナーガデッセイ号の襲撃記録を見ていた。

 プラズマビートルやデルタビートルを始めとした戦闘機群の働きは期待以下ではなかったが、期待以上でもなかった。事前に調査した通りだったが、アルテウルの頭から消え去っていた。

 

「馬鹿な、バカな……実在したのか。いや、マハトマンは違うが、違うが、彼らに似た存在がなぜ実在してしまう! なぜ、存在する。私の魂を震わせるこれはなんだ。虚憶なのか!?」

 

 わなわなと全身を震わせて、全身から脂汗を滲ませながらモニターの映像から一瞬も目を離せずにいる。

 彼の魂が焦がれた巨人に酷似したマハトマン。架空の存在だからまだ許容できた。モニターの向こうにだけ存在するから、許せたのだ。

 だが、それがこうして実在してしまった以上、アルテウルはもうマハトマンを無視できない。許容できない。執着せずにはいられない。

 

「愚帝共はもはやどうでもよい。我が虚憶、運命、根源、因縁に貴様が絡みつくか、マハトマン!!!」

 

 かくしてクロマーの知らぬところでマハトマンの存在を許容できなくなったアルテウルが、それまでの計画と目的をかなぐり捨てて、執着するのだった。なお放送は視聴継続する。ソレはソレ、コレはコレである。

 

 

 ナーガデッセイ号での戦闘を終えた私は、現実世界でもマハトマの巨人になれるものの、三分の時間制限が存在するのを身を以て体験することとなりました。

 世間ではサークルバレープロダクションで絶賛放映中のマハトマンにそっくりな巨人が出現したと、大騒ぎです。あくまで関係があるのは私であって、製作会社の皆さんにとっては寝耳に水。

 ひっきりなしに取材の申し込みがあり、慌てふためている皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

 そしてまたマハトマンの力は絶大なのですが、三分しか戦えないとなるとこれはほぼ論外です。やはり地球人類全体の戦力を強化して、質を伴う数を揃えるのが自力で未来を勝ち取る為の最善手なのでしょう。

 頻発するバグスとアーチンの襲撃に対し、ついに地球連邦政府は異星人と接触し、彼らから一方的な全面降伏を求められ、それに対抗する方針であることを民衆に開示しました。

 同時にメテオ3を送り込んだ異星人と、交渉を行っている別の異星人が存在し、真に残念ながら戦わなければ、人類に未来がないことを民衆に知らしめたのです。

 

 これまでの連邦政府ではあり得なかった数々の対応の理由が、敵対的な異星人の存在と遠くない未来に勃発する人類全体の未来を賭けた防衛戦争を知り、人々は大きく混乱しました。

 ここ一世紀で、いえ、連邦政府樹立以来、最大の問題かつ緊急事態なのですから、それも当然です。そんな中で我がアウレウスレクス教団は多くの人々の心に寄り添い、不安を和らげて明日への希望と未来を掴む為の闘志を説き続けました。

 

 連邦軍は着々と準備を進めていました。改心したアードラー博士の提唱する、高度に発達したゲームの影響などで機動兵器の操縦に適性を持つブーステッドチルドレンの発掘とスカウト。

 イングラムさんとケンゾウ博士の要請もあり、私も協力していた念動力者の発掘も可能な限り行っておりました。

 

 そうした結果、リオ・メイロンさん、ブルックリン・ラックフィールドさん、レオナ・ガーシュタインさん、タスク・シングウジ、ユウキ・ジェグナンさんなど既に軍属であった方を始め、民間からはリョウト・ヒカワさんやリルカーラ・ボーグナインさんなどを見つけました。

 彼らには任意でとある場所に観光がてら、リオさんやレオナさん達には任務として中国のとある遺跡の発掘現場に向かっていただいています。

 

 以前、ユキコ・ダテさんをお見舞いした時に出会い、思いがけずビジョンを見せてしまったリュウセイ君はイングラムさんにスカウトされ、ユキコさんの軍病院への入院や生活の保障などと引き換えに軍に入ったようです。

 クスハさんも地球圏を襲う危機に出来ることはないかと、看護兵として軍に志願されました。リュウセイ君はイングラムさんの下で厳しい訓練を受けていますが、クスハさんの姿も発掘現場にありました。

 

 発掘現場は中国・山東地区に存在する蚩尤塚と呼ばれる、古代中国のロストテクノロジーが眠ると言われる場所です。

 既に遺失技術調査研究機構=LTR機構の安西エリ博士が発掘を行っており、そこに合流する形です。私も一度足を運びましたが、あそこには強い思念が残留していました。

 

 そしてそれ以上に強い力と意志を持った存在が眠りに就いていることも。もし彼らが人類に味方してくれる存在だとしても、相当に深い眠りです。

 簡単には目覚めないでしょう。ですが、きっと人類の戦いは長く続いてしまう。その中で彼らはクスハさんやタスクさん達と共に大きな守護の力となってくださると、私は信じたいのです。

 

 私もその場にいた方が良い気がしないでもなかったのですが、その時、私は私で外せない用事がありました。

 私は海底に沈んだ巨大な島を眼下に見ておりました。チャーターした船舶に揺られながら、左右には二メートル近い小型ロボットが付き添ってくれています。

 

 ただしプログラムで動いているのではなく、発掘した古代兵器の疑似人格を移植しております。私の強念に呼応して蘇り、新たな体に封神(ほうしん)された共工王(きょうこうおう)さんと鯀王(こんおう)さんです。

 数世紀前の戦いで破壊され、海底で残骸を晒していたお二方を叩き起こし、精神世界での激闘の果てに新たな肉体を用意し、人界守護の為の戦いを行わせると約束して、私に付き添ってくれています。

 

 私は船舶の上で精神を研ぎ澄ませて海底に眠る島のように巨大な、亀を模した大型飛行戦艦“霊皇亀(れいおうき)”さんに呼び掛けます。

 かつて闇の世界で大暴れしたバラルという組織に力を貸していたという、超古代文明の遺産、超機人。その中でも最高位の四霊に属する霊皇亀さんに、人類守護の為の助力をこい願う為に、私はここに来たのです。

 

 もし説得が上手くゆけば、霊皇亀さんには科特隊の地上本部を兼ねた飛行戦艦の任に就いていただく予定です。

 四罪の超機人であったお二方は、敵味方を問わず機人を喰らう暴虐の超機人だったそうですが、新たな肉体を得た影響か、伝え聞くほど凶悪ではありませんが、霊皇亀さんはさてどうなられるでしょうか。

 

『聞こえますか、私の声が聞こえますか? 私はクロマー・クカモネ。人類の未来と自由を憂うもの。はるかな古に人々を守る為に生み出された、気高き霊なる亀の皇帝よ。

 今一度立ち上がり、人の世を守護する為にそのお力をお貸しください。再び、息吹を取り戻してください。私も出来る限りお力になりますから』

 

 (いら)えがあるまで根気よく呼びかけ続けるつもりだった私に、応じる思念があったのは水平線の彼方に夕日が沈み始めるころでした。

 リルカーラさん風に言えば「霊皇亀、ゲットだぜ!」でしょうか。いえ、これから本格的に説得するわけですが。それにしても大きくていらっしゃること。

 

 

 クロマーが霊皇亀の説得に成功し、スペースアーク級やアルバトロス級のノウハウによって失われた機体の修復が行われ、さらに霊皇亀から得られた情報から亀型万能戦闘母艦ガメラ級の建造計画が練られた。

 更に共工王や鯀王、その他の妖機人の残骸を回収、修復して得た知見から現代の超機人──鋼機人の開発がスタートした。

 そうして地球人類が超機人関係の技術と戦力を手にする中、南極で行われた異星人との会談は、地球側が全面降伏を拒否し、より平等な条件での友好条約の締結を求めつつ、徹底抗戦も厭わずと回答し、ものの見事に決裂する。

 

 異星人の乗ってきた5,400m超の戦艦は怒り狂う異星人の使節団を乗って帰還しようとするも、そこに大量のバグスと更にソルジャー、ファットマンという新たな機動兵器が姿を見せて、大混戦となった。

 後にインスペクター、ゲストと呼ばれる異星人が一時的に地球圏を離れた結果、残る片方エアロゲイターと呼ばれる異星人の動きが活発化して、連邦軍は闘志の炎を燃やして戦うこととなる。

 

 こうして地球圏が激しい争乱の炎に包まれていたころ、次元を超えた別の世界ではマハトマンを思わせる黄金の鎧を持った巨人達が、とある惑星の地面に骸のように伏せていた。

 同じ外見をして、同じ黄金の鎧をまとっている姿から数の多い下級の兵士に相当する者達だろう。その中心に黄金に光り輝く巨人が立っていた。

 

 もし彼の同族カドゥム・ハーカームを知る者が居たなら驚いただろう。肘から伸びる三本目、四本目の腕はなく、その代わり両腕を始めとした肉体は一層逞しく筋肉の鎧をまとっている。

 衣のごとき翼は失われ、胸部の大きなクリスタル状のパーツはタイマー状に変形していた。しかし、それは決して弱くなったことを意味していない。従来のハーカームとは異なるより強く、そして温かな力を纏っている。

 

 襲い掛かって来た敵──アブソリューティアン兵士の一団を叩きのめしたハーカームの背後に、頭上から降りてくる人影があった。

 白銀の逞しい肉体に赤を纏い、胸に輝くカラータイマー。宇宙に名高いウルトラ一族、宇宙警備隊においてもひと際特別な存在、ウルトラマンその人である。

 イングラム、ギリアム、アルテウルとも縁の深いウルトラマンは、親しみの籠った声でハーカームに話しかけた。

 

「私が手を貸す必要はなかったな。流石だ、ハーカーム」

 

 ウルトラマンに対し、ハーカームは親しみよりも敬意の深い声音で返す。どうやら良好な関係であるらしい。

 

「師よ。あの日、門の導きにより光の国に降り立ち、愚かにもウルトラ一族を教化せんと目論見、性根を叩き直されて以来、研鑽を重ねて参りました。これなる者達、いずれも高度に進化した剛力の生命なれど、遅れはとりませぬ」

 

 師! ハーカームはウルトラマンを師と呼んだ。そう、このハーカームは『門』ことクロスゲートという空間と次元を超える遺物により、ウルトラの星の存在する宇宙に辿り着き、更には教化せんと挑んだ過去があった。

 しかし、突然の奇襲と言うアドバンテージはあったものの、ハーカームにとっても事前準備の無い戦闘はウルトラの星を包み込む激闘の果てに敗れていた。

 その果てにウルトラ一族の慈悲によってか、ウルトラマンを師と仰ぐ形で宇宙警備隊の見習いとなったのである。今となっては種族名でもあるカドゥム・ハーカームをウルトラ・ハーカームに改名するほど。

 

「アブソリューティアンの兵士とはいえ、簡単に倒せる相手ではない。ましてや命を奪わずに留めるとなれば、ただ強いだけでは出来ない事だ。あまり謙遜する必要はないぞ、ハーカーム」

 

「は、ありがとうございます」

 

「なにか、別の考えごとか? 心がどこか遠いところに向いている」

 

「師はなにもかもお見通しでおいでだ。先日、我がこちらの宇宙にやってきた時に通過した門が再び姿を見せた時のことを覚えておいででありましょうや」

 

 ハーカームの言う通り、ウルトラの星あるいは光の国に近い宙域にクロスゲートが突如出現し、見習いを卒業したハーカーム他、ウルトラマンも様子を見に行ったのだ。

 またハーカームのような来訪者があるのかと見守る中、ハーカームはクロスゲートの向こうで無差別テロに遭い、死にかけるクロマーの姿を見た。

 その光景を前にウルトラの星に来てから慈愛の心を学んだハーカームは、咄嗟に自身の核の一部を飛ばして救ったのだ。それがクロマーの命を救い、ハーカーム由来の能力とウルトラ一族から学んだ超能力の双方を宿す結果となる。

 

「小さき人の子の命を救ったことに悔いはありませぬが、我の核の一部を渡したことは少々失敗だったかもしれませぬ」

 

「それは、君の寿命が縮むか、あるいは人間に悪影響を与えてしまうのか?」

 

「今も我と朧気ながらリンクし、生存は確認しております。肉体も不具合はありませんが、我のもっとも根源的な存在理由、すなわち大いなる試練に備えて剛力剛念の生命の種子を見つけ育む、この思想の影響を受けているやもしれません」

 

「下手をすればかつての君のように教化を無理強いしてしまいかねないのか」

 

「はい。もしそのようなことになった暁には、我が自ら責を取らねばなりません」

 

 不幸中の幸いだったのはクロマーには確かにその思想があるものの、同時にウルトラマンとウルトラ一族に対する強烈な崇敬の念と思慕も混ざっており、教化をごく一部の限られた相手にしかしてない事、クロマーが生来、善性の人であったことだろう。

 未来は誰にも分からない事だとしても、よほどのバッドエンドにならない限り、ウルトラ・ハーカームが道を違えたクロマーこと悪いマハトマンを討つ未来はやってこまい。

 もちろん、人類の味方としてウルトラ・ハーカームやウルトラ一族が来訪する分には、クロマーは泣いて喜ぶだろうけれど。それもまたいつ来るとも分からぬ未来の話である。

 

<終>

 




マハトマの正体は、ウルトラマン宇宙に迷い込み、ウルトラの星に襲い掛かって返り討ちに遭い、ウルトラマンに弟子入りして改心したカドゥム・ハーカームでした。

最初の設定は地球に初めてやってきたカドゥム・ハーカームでしたが、ジュワッチした回の感想でウルトラマンを噛ませた方が面白いと判断し、ウルトラマンの弟子になったハーカームに落ち着きました。大胸筋バリアもウルトラマンの弟子であるハーカームから引き継ぎました。
クロマーが活躍している裏で、アインスト宇宙に殴り込んで正面から物量戦をやっている設定とどちらにしようか悩みましたが、今もウルトラマン宇宙で警備隊員として頑張っていることにしました。分身である巨人達を生み出す能力は健在で、巨人達もA級魔装機つまりサイバスターなどに匹敵する戦闘能力とウルトラ一族の基本技が使えるので、非常に強力です。

ウルトラ・ハーカームはドモン・カッシュが東方不敗マスターアジアに向けるのと同じくらい、ウルトラマンを尊敬しています。
共工王と鯀王はクロマーに対し、ザーボンさんとドドリアさんがフリーザに向けるのと同じくらい、忠誠を誓っています。
霊皇亀はクロマーの説得によりバラルからは離反しました。
アルテウルは今後、マハトマンを付け狙うようになります。
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