ツクリのアトリエ 透き通る世界の錬金術士   作:アトリエはいいぞ

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実録!廃墟探索ツアー

「異議あり!意義あ~~~り!成果ゼロじゃないもん!ちゃんとゲーム作ってるもん!」

 

「そもそも部員数が足りないじゃない。部員数4人と一定程度の成果が必要だと前々から通知してたじゃない。なのに起こすのは問題ばっかり。真面目に活動してるって言えないのよ。これでも引き延ばしたのよ?本当ならとっくに廃部にしてたのにノアがかわいそうだからチャンスをって」

 

「それは知りませんでしたけど……でも成果物だってありますよ!『テイルズ・サガ・クロニクル』はあのコンテストだって受賞を……!」

 

「それに!だったらツクリ先輩はどうなるのさ!部員数一人じゃん!」

 

「おお、痛いところをつくねモモイちゃん」

 

「いや、それ真面目に言ってるの……?ツクリ先輩は結果で全部黙らせてるのよ。億単位稼いでる部活なんてエンジニア部くらいよ?そのエンジニア部も研究で利益の大半ぶっ飛ばしてるし……」

 

 ああ言えばこう言う、そして飛び火するツクリ。ぶっちゃけ錬金部は予算は使わない割に稼いでくる金の卵なのでミレニアムが放したがらないだけである。ツクリ本人はまあなくなっていっか~私が錬金術できなくなるわけじゃないしという軽い扱いだ。

 

 ちなみにツクリが卒業した後どうなるかは不明である。少なくとも学校という縛りがなくなればツクリは自由にいずこかへ飛んでいくことは間違いない。億単位の稼ぎが消えるミレニアムはどうなることやら。それはともかくとしてユウカとゲーム開発部の舌戦は続く。

 

”テイルズ・サガ・クロニクルって?”

 

「それ、本当に成果にしていいの?ならそうとして話すけど……レビュー評価の大部分としてはゲーム未満という稀代のクソむぐっ!?ツクリ先輩?」

 

「よくわかんないけどそれ以上は言っちゃダメだと思う。クリエイターの目の前で作品を踏みつけるようなことはするべきじゃない。私たちミレニアム生は特に」

 

「……失言でした。確かに作り上げたゲームはあります、でも……世間に認められるものではなかった。それは事実として受け止めてるのよね?」

 

”今年のクソゲーランキング1位!?すごい、気になる!”

 

「せんせい?」

 

 部室の片隅でじっとこちらの様子をうかがっていたロッカーの中の人物がそのテイルズ・サガ・クロニクルの話になったとたんに何かおびえる様子を見せていたのでユウカが決定的な一言を言う前に止めるツクリ。

 

 創り出すものとして、分野は違えど努力の成果を否定されるのは来るものがあると理解しているツクリとしてはあまり褒められるような行動ではなかった。ゲームを調べた先生のあまりにも空気の読めない言葉に底冷えするような声を出すツクリ。

 

”ごめん!作った子たちの前で言うことじゃなかったね。私はプレイもしてないんだから”

 

「……い、いえ……評価、されなかったのは……事実、なので」

 

「ユズ……と、とにかく!私たちゲーム開発部は廃部なんて絶対に認めないんだから!」

 

「じゃあ、証明しなさい。私だって別にどうしてもこの部活つぶしたいわけじゃないのよ。ただ、システム上条件を満たしてないから廃部せざるを得ないの。部員増やして、成果を出せば存続するわよ。何回も言ってるじゃない。私が苛立ってるのはまっとうな形で努力してないのに予算はよこせだの存続させろだの特別扱いを求めてくるから。ねえ、それを認めたらまっとうに努力してる立場の部活はどうなるの?」

 

「それは、そうなんですけど……」

 

 ロッカーの中からか細い、小さな声が返ってきた。ユズと呼ばれた彼女からしても現状のゲーム部が実績&部員不足だというのは理解しているようだ。勇気を振り絞ったその一言にどれだけの想いと悔しさが込められていることか。

 

 ユウカは生徒会としてルールを守ろうとしているだけで、意地悪をしているわけではない。実際に挽回の機会を何度も与えているのだ。あくまでこれは、認められないゲーム開発部の我が儘に過ぎない。無論、ゲーム開発部も守りたいものがあるだけなので生徒としては間違っているかもしれないが、心情は察せられるだろう。

 

「……ミレニアムプライス!そこで、テイルズ・サガ・クロニクル2をだして受賞する!そうすれば文句ないでしょ!?」

 

「ええ、できるならね。ただ、厳しいわよ?今年もツクリ先輩がいるしエンジニア部も」

 

「あ、私今回辞退するよ~。去年出したしいーじゃん」

 

「先輩!?いや名誉とかどうでもいいのは知ってましたけど正気ですか!?」

 

「だって部員増えるかと思って去年出して受賞したけど仕事増えただけだし」

 

「強力なライバルが減ったってことでいいんですか……?」

 

「とにかく!それだけの結果を出せば廃部は撤回!でしょ!?部員も増えればそれでいいんだよね!?」

 

「え、ええ。でもこれがほんとにラストチャンスよ。ノアも私も早く廃部させろって各部活からせっつかれてるんだから。覚悟は決めておいてね」

 

 どうやらユウカはかなり頑張って時間を稼いでいたようだ。ぎゃんぎゃんと吠えるだけだったモモイもそれを知って少しトーンダウンする。ツクリはミレニアム最大のイベントにも無関心、仕事がすでにパンクしているのでこれ以上増えたら遂行できないのだ。皆のための錬金術士でも、ツクリの両手は小さな二つだけ。抱えられる量にも限度がある。

 

「はぁ……とにかく伝えたわよ。先生の前でかわいくないことさせてもう。それじゃ、ツクリ先輩、待ってますので」

 

「はいはい。まったく来年私がいなくなったらどうなることか」

 

「考えたくないです」

 

「がんばれ次期生徒会長~」

 

 てきとーなやりとりであるが、先生に一礼してユウカは去っていった。ツクリは増えたタスクをどう処理しようか考えている中でゲーム部の中で話が進んでいく。

 

”廃墟?ミレニアム近郊にそんなところがあるのかい?”

 

「あるよー。私入ったことあるけど迷路みたいだしドローンとか敵性メカたくさんいてめんどくさいところだよ~。割と質のいい金属が手に入るから今でもたまに行くけど」

 

「私たちはそこに、G.BIBLEっていう読めば最高のゲームを作れるようになるっていうゲームの聖書を探しに行きたい!だから、先生に手伝ってほしい!」

 

「というかなんでツクリ先輩は当たり前のように出入り禁止の場所に入ってるんですか……?」

 

「なはは、錬金術を極めるためならたとえ火の中水の中~ってね。実際は依頼なんだけどさ。連邦生徒会がらみの。さて先生、廃墟ツアー、どうする?」

 

”そうだね、モモイたちの気持ちは理解した。ユウカのラストチャンスが終わるまでは私も付き合うよ”

 

 だよねー、と先生はこういうだろうと思っていたツクリは目を細める。無邪気に喜びあってる双子の姉妹に水を差したくないが、廃墟の危険度はとてつもなく高い。ツクリ一人なら問題ないが、荒事になれてない姉妹と非戦闘員を抱えてどこまで行けるか、背筋に冷や汗が伝う。

 

 かといって立ち入り禁止区域に行くから手伝えと誰かに頼めるわけもなく、苦手な前衛をまたやる羽目になるのかとため息をついた。

 

 

 

 

 

 

「はい、結局こうやって追われるわけです」

 

「あわわわわっ!?」

 

「走って!お姉ちゃん先生急いで!」

 

”とんでもない量のロボットだ!?”

 

「なんでせっかく作ったかく乱の鈴を踏んづけて壊しちゃうんですか先生。一つしかないって言ったじゃないですか」

 

”申し開きもないけどあとでいい!?”

 

 入りくんだ廃墟を右へ左へ、迫る弾丸をギリギリでよけてシッテムの箱を持ちながら全力疾走する先生の後ろで後ろ手でリボルバーを連射するツクリ、手持ちの銃を発砲することもできず必死に逃げるモモイとミドリ。

 

 思いついたらすぐ行動、とあっという間に廃墟にやってきた先生とツクリ、そして双子。双子はみっしりと廃墟を埋め尽くすロボットに驚いていたが、そこは錬金術士創路ツクリ、ノーアラートを達成するためにとあるアイテムをコンテナから引っ張り出してきた。

 

 その名もかく乱の鈴。機械のカメラその他感覚器官に干渉して自分たちを認識させないというこの作戦のためにあるようなアイテムだったのだが、調子に乗ったモモイが跳ねまわり、先生にぶつかり、胸に着けてたかく乱の鈴が落ちて踏んづけられてパーというまさにゲームのイベントのようなことが起こり……大量のロボットたちに追われているのが現在だ。

 

「雷呼びの鈴!」

 

「おおっ!?魔法!?」

 

「今のうちに奥へ!」

 

 リン、と建物内のため爆弾の使用を封じられたツクリは懐から取り出した鈴を鳴らす。澄んだ音が鳴ると同時に、鈴から一直線にイナズマが奔りロボットたちを感電させ壊してしまう。その隙にさらに奥へ逃げ込み、ロボットたちの追跡を振り切った。

 

「全くなんなの……あのロボットがいるから連邦生徒会は廃墟を出入り禁止にしたのかな」

 

「連邦生徒会の秘密兵器だったりして―」

 

「いや連邦生徒会だったらあんな露骨なことしないよ。ミサイルくらいは打ち込むって」

 

『接近を確認。対象、才羽モモイ、才羽ミドリ、創路ツクリ、資格なし』

 

「先生、下がって!」

 

 機械音声、それが聞こえた瞬間聞こえた方向に向かって先生をかばうように前に出たツクリ。部屋全体に響くような声はツクリも聞いたことがないものだ。いつの間にか最深部に近いところに入ってしまったのだろうか。

 

『対象を確認、先生……資格あり。入室権限を付与します』

 

”私に、入室権限?……いったい”

 

「先生、何もご存じないみたいですね……ってうわっ!?」

 

 突如地面が開いて、落下する。ヤバイ、とツクリは先生に抱き着いて、態勢を入れ替える。状態的には逆お姫様抱っこだろうか。モモイとミドリはキヴォトス人故頑丈だからいいとしても先生は部屋一回分の高さでも頭をぶつければ死にかねない。

 

 どさっ、どちゃっ、ストっとモモイとミドリが地面にカエルのようにたたきつけられるのを横目に華麗に着地するツクリ、先生はまさかの逆お姫さま抱っこに大人として大いにプライドが傷ついたらしく悲しい顔をしていた。

 

「せ、先生!ツクリ先輩!あ、あれ!女の子!」

 

”ほんとだ。どうしてこんなところに……って裸!?”

 

「うわ、かわいそう……予備の服持ってたよねたしか……うん、うん、これでよし!」 

 

 落ちてきたことよりも、衝撃的なことがあった。4人の前には、なんとちょうど生徒たちと同年代であろう少女が機械的な椅子に裸で腰かけて目を閉じていたのだ。あわてて予備の服を着せるミドリにたいして、ツクリは声が出せずにいた。

 

 人じゃない。錬金術士としての勘がそういっている。だが、ありえない。キヴォトスにおいてロボットは一目でそれとわかる容姿をしている。だからこそ、ここまで精巧に人に似せたロボットがあること自体が未知だ。

 

 未知の事態、結構。ミレニアム生として、錬金術士としてそういうのは大好物だ。ただ、守らねばならない対象が居るのであればツクリにとって話は別。最悪の場合、破壊も考える。そこまで頭が回ってるのは現状ツクリだけであろうが。

 

AL-1Sと先ほど書かれた文字が目に入っている。型式番号のようであるが詳細は不明だ。先生たちが現在対話を試みているものの、本機、肯定、否定、エラー、情報がないなど完全に反応は機械そのものの様子。

 

”と、とりあえずおいていくわけにはいかないよね……ツクリ……ツクリ?”

 

「あっ、はいごめんなさい先生。思考が止まってました」

 

”いやいやしょうがないよ。なにせ私も動揺しているからね”

 

「とりあえず帰りましょう。帰路は一瞬ですよ」

 

 そういってツクリはデフォルメされた人形が乗った看板のようなものを掲げる。妖精の道標というアイテムだ。効果は、指定した場所へのワープ。今回の場合は事前にゲーム開発部の部室に設定してあるのでそこになるだろう。

 

 

 

 

 

「それで、この子どうしましょうか」

 

”あんな場所に置いていくわけにもいかないしね”

 

「ああ!私のWEリモコン食べないで!ぺっして!ぺっ!」

 

 帰ってきたツクリの目の前にいるのはまるで赤ちゃんのようにリモコンを口に入れる濡れ羽色の長い髪、青い瞳、そしてロボットにはあるはずのないヘイローをもつナニカ。ありえないものだらけであるがとりあえずそれはいい。問題はこのロボットをどうするべきかということだ。

 

「よしよしよーし、これで部員不足は解消だ!」

 

「え、お姉ちゃんまさか……!」

 

「そのまさかだよ!この子、ゲーム部の部員にしちゃおう!」

 

 まさかの宣言である。出自のわからないロボットを、ミレニアムの生徒に偽装して、さらには部員不足のゲーム部の部員にしようとは、なんというか無茶苦茶が過ぎる。

 

「そういう無茶苦茶は私大好きですけど果てさてどうすればいいのやら」

 

”なんかすごいことに首突っ込んじゃったなあ……”

 




錬金術のためならたとえ火の中水の中(凍り付く洞窟と溶岩の滝にもいく)ツクリさん。なぜか苦手な前衛ばっかりやらされる模様。悲しいかな。

 ではまた次回に。感想評価をくださると喜びます。
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