【安価】お前らの考えた設定でVtuberやる 作:〆鯖(ハーメルン)
気が向いたら改稿するかも
戦犯(イラストレーター)との対談配信は初っ端からハネルさんのイタズラ好きが炸裂し、どうなることかと思ったが、結果的にはなんとか成功という形で収まった。うん、収まったよね? しばらく「新境地を見せてくださってありがとうございます」「NTR地雷克服しました!」「はね×しれの母娘BL()本出してもいいですか」みたいなDMがデイリー3ケタ来てたけど。最後の人には「通販するなら教えてください。買います」と返しておいた。内容はどうあれ創作物に罪は無い。多分。
そんなガワ実装関連の色々も半月たてば徐々に落ち着いてきて、久しぶりの平和を謳歌している。
「んん"っ……今日はレモンサワーとアイスで優勝していくわよ」
:www
:モノマネのモノマネ
:声マネうまっ
:くっそワロタww
:自分をVtuberと信じてやまないアラサーコンビニバイト戦士
「止めてくれカカシ、その術はおれに効く。いやほんとマジで心が削れるからやめて。……おれVtuberだよね?」
:自信失ってて草
:ガワも実装されたからちゃんと身も心もドスケベメスお兄さんVtuberだゾ
「それはそれでどうかと思う。身はともかく心は立派なおじさんだからな!?」
:>>身はともかく<<
:語るに落ちたな
:酒とつまみの変な組み合わせは何ごと?
:甘いつまみで甘い酒を飲むのか(困惑)
「だって……ガワのほうはもう言い逃れできないし……ねえ。レモンサワーとアイスは視聴者さんからのリクエストだよ。『美味しいから騙されたと思ってやってみて下さい』ってレシピ付きでお便りが来てさぁ」
:ホントに騙されるやつでは?
:食べ物で遊ぶのは炎上するぞ
「まあ、うん。最悪のことを考えて無難なやつを選んだから。という訳で取り出しましたるはガ〇ガ〇君ソーダ味〜」
:テッテレー
:安くて美味しい小学生の味方
:ソーダ味とは分かってるな
「大きめのグラスにキンキンに冷やしたレモンサワーを注いで、その中にコイツを突っ込みます。棒を外して溶かして飲むやり方と棒を外さずにそのまま食べるやり方があるんだって。今回は半分食べて半分溶かすので、まだ棒は外しません」
:あ^〜炭酸の音〜
:シュワシュワASMR
:めっちゃ爽やかな音する
:お味のほうは?
「正直想像がつかない。まあ何事もチャレンジだよなあ。あむ。………! 意外とイケるわ。スカッと感がすごい。アルコールの味で甘さにストップがかかって大人のスイーツ感ある」
:
:てっきりワザップかと
:ほんとだ、かなり甘いけど美味しい
「教えてくれた人ありがとう。お礼にアイスの歌うたうね」
:懐かしいとかいうレベルじゃない
:幼稚園の頃歌った……かな……?
:突然のショタボありがとうございます!!!!
:ほんと音域広いな
:でも高音ちょっと無理がある
カラオケ飲み配信には完璧に慣れた。油断は事故に繋がるので酒量だけは気をつけるけど。作業に慣れたことで余裕も生まれてきて、ちょっとサムネを凝ってみたりする。皆すぐに気がついて褒めてくれるのでとても張合いがある。詳しい人が「ここはもっとこうすると良いよ」とアドバイスしてくれるので、大半のことはまず視聴者たちに相談するくせがついた。
「そういえば昨日変な長文DMが来てさぁ」
:何? 18禁台本?
:お前か字書きの花京院
:もしくは性癖ありがとうニキか
字書きの花京院はよくボイスの台本を書いてくれるうちの名物リスナー。性癖ありがとうニキは頻繁に新たな扉を開いては何故かおれに感謝するコメントを書き込む同じく名物リスナーだ。ちなみに後者は複数人いるっぽい。
「それもコンスタントに届いてるんだけど違う。なんか……コラボのお誘い?みたいな?」
:良いじゃん
:『みたいな?』って何だよ
:ファン層広げるチャンスだぞ
:迷惑系じゃないかだけキチンと確認しろ
「いやそれが、要約すると『恐れ多いし恥ずかしいしあと配信で初対面にしたいのであんまり自分の動画は見ないで欲しい』って書いてあって」
:ふうん……?
:怪しい
:そんなことある?
「登録者数はおれより全然多いし詐欺とかではないと思うんだけど……。視聴者の皆に相談しても良いですかーって聞いたらOKらしいから、誰か何か知らない?」
:とりあえずお相手さんの名前言ってみ
:アーカイブ確認するから
:じゃあワイはSNSチェック係な
すごい、あっという間に役割分担が決まっていく……。やっぱりうちの視聴者の連携はおかしい。空恐ろしいものを感じつつ、おれはDMの画像を共有した。
「
:アイツか……
:アイツか……
:アイツか……
どうやら調べるまでもなく心当たりのある人がちらほら居るようだ。
「そんなに有名な人なのか」
:いや、有名っていうか、うん
:こっち側ではよく聞く名前ではあるというか
:業界屈指のやべーオタク
何それ。Vtuber界隈の業の深さは視聴者やスレ民で骨身に染みるほど実感している。その彼らがここまで言うって、いったいどんな人なんだ。
「ええ……なんか怖い。やっぱやめといたほうが良いかな」
:全然悪い子じゃないよ!!!!
:迷惑系とかじゃないから!!!
くうねるはねる@ママ:理由がないなら絶対コラボ受けた方がいい
「ハネルさん!?」
:ハネルまま!?
:毎回授業参観してる希ガス
:ママの言う通り
視聴者たちの打って変わった激推しにハネルさんが参戦してきてビビる。モデレーター権は渡しているし、たまーにしれっとコメントしていくけど、ここまで強く何かをおすすめされるのは初めてだ。
「えっと……どうしてか聞いても大丈夫です?」
くうねるはねる@ママ:その子ね……個人勢の優良コラボパーツとして有名なんだよ
「へ?」
:過去にコラボしたVはだいたい伸びてる
:もはやVtuberマイナー部門の登竜門といっても過言ではない
配信を始めてからおれも多少Vtuberの動画を見るようになったけど、DMが来るまで知らなかった。だから勝手におれと同じ普通の個人勢だと思っていた。まさかそんな大御所さんだったとは。
「じゃあチャンスってこと?」
:うん
:そういうことになるな(遠い目)
「何その反応」
くうねるはねる@ママ:悪い子ではないよ。悪い子では。
ハネルさんやリスナーの煮え切らない態度に言いようのない不安が募る。とはいえ皆の言うことが事実なら千載一遇のチャンスだし、おれなんかに声をかけてくれたのに大した理由もなく断るのは失礼だし、ハネルさんがおれの不利益になる嘘をつくとは思えないし……。
「分かった。前向きに検討しよう」
:お、おう
:不安5割楽しみ5割の気持ち
くうねるはねる@ママ:なんかゴメンほんとゴメン
:知らないから今から動画見てくるわ
:コラボ楽しみ
本音を言うとハネルさん以外との初めてのコラボってだけで既に不安なんだけどなぁ。やってみるしかないか。いつも見てくれてる皆が楽しみにしてると思えば気合いも入る。
「じゃーコラボの話はここまでにして、次なに歌おう」
:酒飲み音頭
:横浜市歌
:津軽海峡
「それどういうラインナップ……?」
その夜、配信が終わってから、波々頼知さんのディスコにメッセージを飛ばした。
詩蓮:コラボの話、お受けしたいと思います。返事が遅くなってすみません
波々頼知:そそそそんなすみませんなんて! 私のことはいくらでも待たせて下さって大丈夫ですから! 普段の配信やリスナーさんとのやり取りを一番に考えてる感じで、とっても良かったです!
詩蓮:あの、もしかして今日の配信見てました……?
波々頼知:ソ、ソンナコトナイヨー
詩蓮:わああ! 言いたい放題言ってごめんなさい!
波々頼知:本当のことなので
波々頼知:私みたいなのがコラボ依頼とか不審かつ不遜極まりないし、オマケに企画持ち込みなんて怪しすぎる自覚ありますから
波々頼知:むしろ受け入れて下さってありがとうございましゅ……これが、聖母……?
詩蓮:人違いです
波々頼知:あっすみません
波々頼知:聖母しゃまにお手数をおかけするのはすごい心苦しいんですがひとつお願いしたいことがあって
詩蓮:なんでしょう
詩蓮:おれにできることなら何でも言ってください
波々頼知:今何でもって言っ
波々頼知:いえなんでもないです
波々頼知:それじゃ、企画に使うために、普段あんまり言わないようなセリフを10個くらい用意してもらってもいいですか?
詩蓮:普段言わないようなセリフ……?
波々頼知:乙女ゲーム系でも、ファンタジー系でも、少年漫画系でもいいですよ!
波々頼知:『俺、帰ったら結婚するんだ……』みたいな感じで大丈夫です、聖母しゃま!
詩蓮:うん、もう突っ込みませんよ
詩蓮:セリフの件、了解しました
波々頼知:公平性を保つため、私には当日まで言わないでください
波々頼知:視聴者さんやスレで相談するのは! アリ! ですよ!
詩蓮:あっはい
う、うん……? 10個くらいなら自力で何とかなる。漫画を漁ってそれっぽいのを引っ張って来ようと思っていたんだけど、これはむしろ視聴者から募集するのを期待されてるのかな。まあおれだけだと内容も偏るし、それならスレで相談してみるか……。