【安価】お前らの考えた設定でVtuberやる 作:〆鯖(ハーメルン)
波々頼知さんに頼まれたセリフについて、スレで相談してみようかと思ったものの、安価で変なやつに決まったら困る。という訳でコラボ関連ということは伏せて、マシマロでセリフを募集してみた。うちの視聴者やスレ民のことだからロクでもないセリフが大量に集まっているだろうが、マトモな物も10個くらいあるはずだ。多分。
ぐえっへっへ:
ねえ、服、ぐちょぐちょで気持ち悪い……。脱がせて?
うーん初っ端から際どい。あとおれのキャラデザだとチャイナを脱がされたら真っ裸になってしまう。自分だけの配信ならまだしも、コラボでこのセリフはちょっと。
ハ〇ヒは我が青春:
ただの人間には興味ありません。この中に総排出腔・両性具有・無性生殖がいたら私のところに来なさい。
それ性別安価のときのヤバい性癖三銃士ぃ! いやでも、ネタの認知度は高いし、世代的に視聴者にも刺さりそう。ギリギリセーフか?
花京院:
んっ、んん、はぁっ、まって、そんなとこ触ったら□□しちゃ、うぅっ。ダメだってば。も、無理だって言っーー(以下略)ーー。
どう考えてもアウト! 自称「マッサージしてるだけ」らしいけどダメなものはダメ。ところどころ規制に引っかかったのか伏せ字になってるし。何を書いたんだお前は。
ブルーベリーモンスター:
☆YA☆RA☆NA☆I☆KA☆
論外。次。
遺言ジジイ萌え:
けほっ……お前さんに、伝えねばならぬことがある。老いぼれの最期の頼みだと思って、聞いてはくれぬか……? 実はお前さんは××なのじゃ。今まで黙っていて済まなかったのお……。うっ、がっ、げほっごほっ……。0(:3 _ )~
よ、ようやくマトモ(?)なのが来た。こういうファンタジー系のを求めてるんだよ。えっちなのは良くないと思います。コラボで使うことは言ってないから仕方ないが、せめておれのアカウントがBANされないように配慮してくれ。
土下座犬:
はい、どうぞ。四つん這いでおれの足を舐めたいなんて、変態だね。うわ、口の周りが涎まみれ。そんなに嬉しいの? へー(ドン引きでお願いいたします!)。
あー、この手のセリフの要望は前からちらほら届いてたな。BANされるほど過激でもない。むしろソッチ系では穏便なほうなんだけど、ドSのセリフは扱いが難しいんだよなぁ。下手したらただの偉そうなやつになってしまう。嫌いな人も居るだろうし……。うん、炎上こわいです。せっかく書いてくれたのにゴメンね。
結局コラボで使えそうな健全なセリフは7個しかなかった。マシマロそのものは30個くらい届いてたのに。うちの視聴者のそういうところ本当どうかと思う。わざわざマシマロ送ってくれるのは嬉しいけどさ!! 何とも言えない思いを噛み締めながら残り3個を考えて、配信の設定を確認したり、コメントのNGワード設定をいつもより厳しめにしたり、準備を万全にして当日を迎えた。
「視聴者のみんな、こんばんわ。今日は予告していた通り、個人勢Vtuberの波々頼知さんとお喋りしていくよ」
:待ってた
:めちゃくちゃ楽しみ
:向こうの枠から来ました! 初見です!
「初見の方、コメントありがとうございます。波々頼知さんのファンがこっちの枠まで見に来てくれたのか。道理でいつもより同接多いーーーって700人!? 待って、多過ぎない?」
ゲリラ配信が多いのもあって、おれの普段の同接は1桁〜2桁。今までで1番多かったのはガワお披露目配信だったけど、その時もせいぜい300人くらいだ。今日の半分にも満たない。これがコラボ効果というやつか。
「はー、大御所さんすごいなぁ。こっちでコレなら向こうはどうなってるんだろ」
:大御所さんなら今同接ギリ500ぐらいだゾ
:向こうも見てやれよ 複窓ツールがあるだろ
:あっちは見なくても脳内再生余裕だからいらん
:拙者ら的にはこっちがメインでござるゆえ
「??? それってどういう……」
:まあまあまあ
:すぐに"
:それよりコラボ始めようず
「あ、そうだね。ごめん話が逸れた。それじゃさっそく波々さんにかけまーす」
いけない。ついいつものノリで雑談に入ってしまった。コラボ配信なんだからちゃんとしないと。お相手に迷惑かけてしまう。不可解なコメントを一旦棚に上げて、とりあえずディスコで通話をかける。きっちり3コール分の着信音のあと、通話の繋がる音がして、それから謎の沈黙が続いた。……いや、よくよく耳を澄ませばなんか聞こえる。回線の調子が悪いのかな? ボリュームMAXにしてみよう。
「ひっ、ひっひっふーひっひっふーっ。
:お や く そ く
:親の顔より見たラマーズ法
:もっと親のラマーズ法見ろ
:親のラマーズ法は感動的なのにコイツはさあ
「えっ……とお……」
思わず通話画面を確認するが、しっかり「波々頼知」と表示されている。ということはこのやたらテンパってる
:なぁにこれぇ
:想像のナナメ上をいくヤバさ
:配信開始から15分、まだコラボ始まってません
はっ。呆けてる場合じゃなかった。しっかりしろ、おれ。段取りが異常に良かったから勝手に慣れてるもんだと思ってたけど、もしかしたら向こうもあまりやったことないのかも。それなら年上のこっちがリードしてあげなきゃ。
「こほん。初めまして、波々頼知さん。詩蓮です。今回はお誘いしてもらってありがとうございます」
「アッアッ、ハイ! イイエ! こちらこそありがとうございましゅっ!!」
:限界化はやくない?
:後輩にフォローされる大御所
:もはや進行妨害だろコレwww
「ん、ん"ん"っ。わわわ私めは波々頼知と申しますぅ。Vtuberの皆さんが、大好きで、大好きで、その魅力を世に広く知らしめるべく微力ながら活動させていただいていますっ。ぜひ私めのことはパパラッチとお呼びください!」
「え"っ……いや、パパラッチって一般的には蔑称ですよね。*1それはちょっと」
引きこもり気味の駆け出しVtuberにコラボのお誘いをくれた彼女は、言わば恩人。本人が意識していなかったとしてもそんな言い方は少し失礼な気がする。それに推定ロリっ娘をパパラッチ呼ばわりはマズイ。
「いいえ……いいえっ! 私めは
「(絶句)」
要求がより過激になっている……どうして……。
:ちょっとオタク〜、詩蓮ちゃん絶句しちゃってるじゃーん
:これを見に来た
:美人のドン引きは健康にいい
:ガンに効きますか?
:今は無理ですが、いずれは
そうだ。困ったときは視聴者の皆に相談だ。歴戦のVtuberマニアである彼らならきっとこの状況を切り抜けられるはず……!
とっさに通話をミュートにして、大喜利に勤しんでいるコメント欄にひそひそ声で呼びかける。
「ねえコレどうすればいいの?」
:望み通りに呼んであげれば?
:多分部屋中を転げ回って使い物にならなくなるくらい喜んでくれると思うよ
「えっ困る。二重の意味で困る。『悪いようにはしないので全て委ねてください』って言われたから、おれ今日の企画の内容なにも知らないし、それ以前に世間体がピンチ」
:企画!? そんなのあるんか!
:内容はよ!! はよ!!
:通話の向こうでヒートアップしてるやつしか知らないんだよなあ
:しゃーねーな、なんか作戦考えるか
流れで企画のことをバラしてしまったけど、視聴者が協力的になってくれたので結果オーライ。
:お待たせ! 良いアイデア思いついたぞ!
「えっ早……さすが、頼りになる。アイデア聞かせて。何したらいいんだ?」
:ああ、アイツは要するに同担大歓迎強火Vtuberオタクだからーーーー
波々さんのファンらしい視聴者のアイデアを読んで、おれは思わず腰が引けた。
「ええ、マジでそれやるの……? 何コイツきもって思われない? 大丈夫? というかおっさんのぶりっ子とか誰得だよ」
:あのVオタに限ってそれはない
:大丈夫だって
:俺たちを信じろ!
:皆得だよ
そこまで言われたら仕方ない。ミュートを解除して、すぅっと息を吸う。卓上カメラを上目遣いに見上げて、小首をちょっと傾げ、できる限り可愛らしく。
「せっかくお近付きになれたので、おれは『頼知さん』とお呼びしたいです。ダメ、ですか……?」
「はぅわっ。らめ、らめじゃないれすぅ……!」
:呂律やば
:これは見事な即落ち二コマ
:さすが名誉オレらなだけある
:貴様のウィークポイントなどとうの昔に把握済みだ!
:ガチファンサありがとう……頼知ちゃんありがとう……!!
「あ"あ"あ"、神にさん付けを要求するなんて私めはなんてことを!? でもあんな神ファンサを前に理性を保つことなんて……できない……! それにおっ推しになっ名前呼びとか嬉しくないと言ったら嘘になるというかマジでめちゃくちゃ嬉しいけどそれはそれとして未来のてえてえの間に挟まったかもしれない危機感というか詩蓮しゃまのVtuber名前呼び処女を意図せず奪ってしまった背徳感と罪悪感で心臓が、ウアアアア」
「ねえこれ大丈夫? ほんとに大丈夫なの? なんかスマホの向こうから断末魔みたいなのが聞こえるんだけれども!」
:汚え悲鳴だ……
:認知されたいけどされたくないオタクのジレンマ
:大丈夫大丈夫、軽率に死んでは生き返るタイプのフレンズだから
:こうなったらもう収まるまで放置プレイしかない
そっかぁ。放置プレイしかないのかぁ。
波々頼知さん、良い子なのは今までのやり取りや話した感じから伝わってくるんだけど、思ったより変な子ではあった。まあスレ民や視聴者で慣れ親しんだノリではあるんだけどさ。そう考えると仲良くなれる気がしてきた。怪我の功名で緊張もどこかに行ってしまったし、視聴者さんと雑談しながらゆっくり待つとしよう。
そして数分後。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
目元が隠れる長さのパッツン前髪と黒基調のかわいいワンピース、黒猫ポシェットとでっかいカメラが特徴的な美幼女ーーー波々頼知さんは顔が見えないほど深々と俯いていた。多分これリアルで土下座してるやつ。なんでも自枠のコメントで『推しを困らせた挙句立ち絵も共有せず萌え転がってなにやっとんじゃい』とツッコまれ、我に返ったらしい。うーん、ちょっとフォローできないなあ……。
長くなったのでキリのいいところで分割した結果、パパラッチちゃんが困ったオタクみたいな感じになってしまいましたが、本来の彼女は著作権と肖像権と個人情報を尊重し、誹謗中傷に断固反対するマナー完璧なオタクです
本編ではアラサーの企画モノAVみたいな設定と素人AV女優みたいな性格が性癖に聖剣のごとく深々とぶっ刺さった結果壊れてしまっただけ
今後変態絵師に次ぐデウス・エクス・マキナになってもらう予定なので、生暖かい目で見守ってやってください
それはそれとして愛が無かったら許されてないなコイツ