【安価】お前らの考えた設定でVtuberやる   作:〆鯖(ハーメルン)

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コラボ配信(2)

 

「はい、それではコラボ配信やっていきましょう」

「やっていきましょう!」

 

:仕切り直しても開幕30分グダった事実は無くならないんだよなあ

:小学校の避難訓練かよ

:はい、皆さんが静かになるまで5分かかりました

:草

 

 それについてはマジでごめん。視聴者の皆が忙しい中付き合ってくれてるのに、盛大に遅れてしまった。金曜日とはいえ明日仕事の人もいるだろうし、ここからは巻きでいこう。

 

「おれにとっては初めてのコラボということで、頼知さんが企画を用意してくれました。ありがとうございます」

「詩蓮しゃまのハジメテを私めが!? ……んんっ。はい、今回は不肖私めが詩蓮しゃまをプロデュースさせていただきます。自画自賛になってしまいますが、視聴者の皆さん、そしてスレ民の皆さんの需要を満たす完璧な企画かと!」

 

:ほーう

:ワイらの需要を……?

:wktk

 

「おれも詳しい内容は聞いてないんですよねー。『普段言わないセリフ』を使うらしいので、それは視聴者の皆さんに協力してもらって10個用意しましたが」

「ウッ尊ッッ! こっちでも同じように『普段言わないセリフ』を用意しています。お互いで交換して、ランダムで選んだセリフを交互に読み上げます」

「え。交換する、んですか?」

 

 てっきり自分が読むもんだと思ってた……! これ女の子に言わせて平気なやつか? 大丈夫?

 

:待って♡ ワイめっちゃえぐいセリフ送ったんだが

:ノリノリで言ってくれるよ多分

:コラボのたびにアヘ顔晒す女に今さらブランディングがどうこう言ってもねえ

:それはそれで怖い(BANが)

 

「いっいや、大丈夫。コラボを念頭に置いて大人しめのやつ選んだから平気なはず」

「私めは過激なのでもドンと来いですが、主役の詩蓮しゃまが目立たなくては意味がありませんものね!」

「そういう危惧じゃなくて!!」

 

 そうだ、こっちのセリフの心配ばっかりしてたけど、彼女は一体どんなセリフを用意してきたんだ。不安すぎる。

 

「先攻後攻はじゃんけんで決めましょう。性癖じゃんけん、じゃん、けん、ぽん」

「なんですかその酷い名称……」

 

:どれがどんな性癖なんだ

:チョキは刃物=ヤンデレだろJK

:ヤンデレメスおにいさん概念ですか……なるほど……

 

 なるほど、じゃないんだよなあ。雨後の筍みたいにポコポコ属性を生やすのやめてほしい。じゃんけんに勝った頼知さんが後攻を選んだので、先攻はおれだ。

 

「どんなセリフを入れたんですか……?」

「それは引いてからのお楽しみです、うふふ」

 

:満面の笑み

:かわいい

:わるわるな顔

 

 不穏だなー。人をむやみに疑うのは良くないけど、この娘スレ民や視聴者と同じ感じがするんだよなぁ。怖い。

 

「それではセリフルーレットタイムです! ドゥルドゥルドゥルドゥル〜」

「じゃーん。えーと、4番か。えっ」

 

は〜あっつぅ(スカートパタパタ)

……ねーおじさぁん、さっきからチラチラ見てるよね〜♡

そんなに〇〇とエッチなことしたいの〜?

オトナなのにこんなのに釣られちゃって、恥っずかし〜♡

ざぁこ♡ ざぁこ♡ 自制心よわよわ〜♡

ねえねえ、〇〇フルフルしぇいく飲みたいなぁ♡

とくべつサービスして欲しかったら……分かってるよね?

(協力:くうねるはねる)

 

:うおおお!

:メ ス ガ キ 構 文

:パパラッチちゃんナイスぅ(建前)! ナイスぅ(本音)!

:>>協力:くうねるはねる<<

 

「何このやたら解像度高い夏のメスガキ構文、っていうかハネルさんなにやってんの!?」

「企画内容を勝手に察したみたいで、DMに『ボクも混ぜて!』って文言と一緒に送り付けられて来たので不本意ながら採用しました」

 

 マジでなにやってんの!?!? あんた「忙しいから今年は夏コミいけない(´;ω;`)」みたいなツイートしてなかったか!?!?

 

:くっそワロタ

:前のめりな推し活

:そういや去年メスガキわからせ本出してたな…

 

「その、ご迷惑おかけしてすみません」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。あんな前方最古参ママ面糸目野郎のことなんて気にしてませんから。しれっと美味しい立ち位置に収まりやがって羨ま恨めしいとか全然思ってないので」

 

:ほんとぉ?

:当たり強くて草

くうねるはねる@ママ:安価から参加してリアルデートもしたことある最古参ママですみません(*^^*)

:は?

 

「は?」

 

 頼知さんの目のハイライトがすんっと消える。最近のトラッキング技術ってすごいなぁ。めちゃくちゃ怖い。お願いだから仲良くして(懇願)。

 

「あっ、あの〜、このセリフを読んだらいいんですよね。ポーズとかつけます?」

「エッいいんですか!? お願いします!!」

 

 少しでも頼知さんの気を逸らせないかと思って言ってみたら、ものすごい食いつきだった。ハイライトも復活。むしろ目がキラキラしている。良かった。……いや、良くないな? マジでこれ読むの?

 

「手はほっぺに添えて、完全に見下してる感じで生意気っぽくにこ〜ってしてください! あ、ちょっと小首かしげて……あ〜、その角度最高です」

 

:カメラマンか汝は

:あーたまにいるよな、めっちゃ注文おおいカメラの人

:詩蓮たんprpr

:いいぞ

 

 待って。待って。改めて意識するとこれめっちゃ恥ずかしい。せめて心の準備をさせてほしい。でも頼知さんは「は〜イイ……」とやりきった顔をしてるし、コメント欄は盛り上がってるし、逃げ道がないんですが。

 

「……ぅ、は、は〜あっつぅ。ねえおじさん、さっきからチラチラ見てるよねぇ? そんなに詩蓮と、え……えっちなこと、したい、の……?」

 

:は? マジ照れじゃん

:したい

:したいに決まってるんだよなあ!

:だんだん声ちっさくなってくのかわE

 

 くっそ、恥ずい。メスガキRP(ロールプレイ)なんだから照れたらダメなのに。でもこれをシラフで言うのは無理だって……!

 

「お、オトナなのにこんなのに釣られちゃって恥ずかし〜! ざっ……ざぁこ♡ ざぁこ♡ じっ自制心よわよわぁ〜♡」

 

:ウッ

:ハイ! 自制心よわよわです!

:純粋に破壊力

:頑張って罵ってる感じがたまらん

:これ絶対わざと煽ってわからせプレイ期待してるやつじゃん

 

「し、詩蓮フルフルしぇいく飲みたいなぁ〜……とくべつサービス、してほしかったら、ぁ、わかってる……よね……」

 

:やば

:誘い受け

:エッッッ

:ふぅ……

:わかったわかった

:このまま健全なデートではぐらかして泣かせてぇ〜!!

 

 うう、頬と耳が熱い。鏡を見なくても真っ赤になってるのが分かる。

 

「うわうわうわ、詩蓮しゃまの赤面差分……! 珍しいレベルのガチ照れ……!」

「いやだって、これ両性具有以下略よりキツイって! 第一おじさんはおれですよ!? おじさんがどもりながらかわいこぶって煽ってるんですよ!? どんな需要があるって言うんですか!」

「なに言ってるんですか需要アリアリです! まさか詩蓮しゃまとメスガキを組み合わせると、わからせ待ち誘い受け清純派メスガキになるとは、このリハクの目をもってしても!」

 

:ほんそれ

:正直めっちゃ使えた

くうねるはねる@ママ:うちの息子(むすめ)が可愛い

:パパラッチちゃんよくやった

:パパラッチちゃんもっと言ってやれ

 

 嘘でしょお前ら。性癖が歪みきってる。知ってたけど。

 

「というか、どういう基準で選んだんですか、このセリフ……」

 

 もうちょい大人しめのやつにしてくれても良かったのではないだろうか。ため息をつきながら問いかけると、頼知さんはこてんと首を傾げて蠱惑的な笑みを浮かべた。

 

「『どういう』って、言った通りですよ? 詩蓮しゃまが普段言わないセリフを集めたんです」

「おれが?」

「はい。詩蓮しゃまはあんまりメスガキ構文とか、ドS口調とか、ヤンデレ系のセリフはやりませんよね。ドMのほうならリクエストがあればやってくれるのに」

「うん、まあ、それは……」

 

 そっち系はどうしても好き嫌い分かれるし、炎上が怖いからね。って、まさかそういうこと?

 

「詩蓮しゃまのそんな思慮深く慎重なところや、我々の心情および性癖を慮ってくれる優しいところが大好きですっ、がっ、そういう普段は見えない未知の表情も見てみたいと思うのがヲタクというモノっ! そう思いませんか?」

 

:おもう

:おもいます

:100点満点

:パパラッチちゃんかしこい

 

 コメント欄の同意を得て、界隈屈指の強火オタクと呼ばれる彼女はむん!と胸をはった。

 

「普段の配信ならともかく、コラボ相手のリクエストとなれば詩蓮しゃまは可能な限り応えてくれるはず。それに万が一炎上したとしても燃えるのは私めだけです。我ながら完璧な作戦……!」

「いやあなたも燃えたらダメですからね!? あと心情はともかく視聴者の性癖を気にかけた覚えはない……! え? 最初からヤバい奴らが集まってきてるんじゃなくて、加速度的にヤバくなってるの? おれのせいで?」

 

:ヒント:性癖ありがとうニキ

:節子それヒントちゃう

:冒涜的真実を知ってしまったメスおにいさんは0/1D6のSANチェック!

 

 うわあ……何それ、めちゃくちゃショックだ。ってそうじゃなくて。

 

「『皆さんの需要を満たす完璧な企画』ってそういう……」

 

 確信犯(ガチ)かつ確信犯(誤用)。絶句するおれに彼女はにこりと慈愛に満ちた笑みを浮かべる。

 

「私めはVtuber界隈の自由さを詩蓮しゃまにぜひ知って欲しいのです。確かに炎上は恐ろしいものですが、視聴者(わたしたち)に向き合ってくれる詩蓮しゃまならきっと大丈夫。お遊びだと分かりやすく示せば、このくらいのセリフは皆許してくれます。だから今日は私めにプロデュースされてくれませんか?」

「……お手柔らかに、お願いします」

 

 説き伏せられてしまった。ここまで来ると完敗だ。「いや炎上を気にしてるのもあるけど純粋に恥ずかしいのもあるんです」と言える雰囲気じゃない。腹をくくるしかないな、うん。視聴者は盛り上がるだろうし。

 

「はぁ、まだ1個目なのにどっとつかれた。次は頼知さんお願いしますね。……頼知さん?」

「スーッ」

 

:し、死んでる!?

:なんて安らかな顔だ

:仰げば尊死

:†┏┛墓┗┓†

 

「頼知さん? 頼知さん!」

「ハッ。すみません。一瞬とても綺麗なお花畑と川が見えて、その向こうでひいおばあちゃんが手を振ってました」

「渡ったらダメなやつぅ!」

「ちなみに存命です」

「ご長寿ぅ!」

 

:ひいばあちゃん友情出演

:鉄板ネタ

:ノルマ達成

 

 心臓に悪い持ちネタだぁ。彼女なら本当に尊死して気合いで生き返りそうなあたりがシャレにならない。

 

「さて、次は私めの番ですね」

「どぅるどぅるどぅるどぅる〜」

「じゃん! これは……?」

 

ただの人間には興味ありません。この中に総排出腔・両性具有・無性生殖がいたら私のところに来なさい。

(ハ〇ヒは我が青春)

 

:ワイのじゃん

:ふっっる

:名前しか知らない

 

「ああ〜ハ〇ヒの憂鬱。名前とこのセリフだけは知ってます」

「デスヨネー」

「というか詩蓮さんにとっても古いのでは」

「うちは親がオタクだったので、はい、それで」

「なるほどオタクの英才教育。じゃあ、ちょっと待ってくださいねー。今カンニングするので。……OKです! んんっ、『ただの人間には興味ありません。この中に総排出腔・両性具有・無性生殖がいたら私のところに来なさい!』」

「はーい」

 

:オイ今返事したやついたぞ

:「はーい」っておまwww

:こっちも声マネ上手

 

 コラボ配信は終始和やかな雰囲気で進み、大成功に終わらせることができた、と思う。

 

 

波々頼知:今回はありがとうございました! 画面越しでも鼻血モノなのに実物はあまりに尊くて、詩蓮しゃまの魅力を直に理解(わか)らされました……。今後も詩蓮しゃまの魅力を布教していく次第でしゅ!

波々頼知:PS・後日詩蓮しゃまの布教動画をだすつもりです。出来上がったら連絡するので、諸々の許可を頂けると助かります。

 

 

 ただ、強火でアグレッシブな彼女との付き合いは今後も続くことになりそうだ。波乱万丈な未来が目に見えるけど、悪い気はしない。それがなんとも不思議な感じだった。

 

なお、アーカイブはBANされた。どうして。

 

 

 

 

 




※誤BANです

しばらく(半月くらい)リアルがめっちゃ忙しいので更新頻度落とします
と言いつつ筆が乗ったら更新するかもですが……
気長にお待ちください(`・ω・´)ゝ
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