ホシノの彼氏君概念   作:サワベ

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お待たせしました。

後づけではありますが、主人公君パワーで皆の基礎能力とかが上がりまくってます。無論先生も3割増ぐらいでガンギマリーです。


結託、そして後輩なりの在り方

最初に聞いた時、私は耳を疑った。

 

救援に向かおうとしたアビドス高等学校。そこの生徒に、私と同じヘイローを持たない生徒が居る。

このキヴォトスでヘイローを持つ生徒は、銃弾が一発命中したところで死なない。

逆に言えば、ヘイロー持たない――それは即ち、常に死が身近にあるということ。かくいう私もシャーレ奪取時に、危ないからと言われたので後方での指揮に回っていた。

そんな人が、そこで生徒と共に戦っている。にわかに信じられる話ではなかった。いや、信じたくなかった、という方が正しいかもしれない。

 

だが、その話は嘘ではなかった。

 

「臼井蓮です。よろしくお願いします」

 

礼儀正しく挨拶してきた彼。小柄でやや長めの黒髪、黒い目。スポーツ用サングラスの形を模したメガネをかけている。

そして、やはりヘイローが無かった。

初めて彼を見たとき、私の体に衝撃が走った。そして、今までの自分を恥じた。

この子が、前線で戦っている。私より年下で、小柄な、これからの人生がある『人間』が、死と隣り合わせの戦場で。

だが、私はどうだろう。

私は、先生という立場上、そして私の考えとして、これからの人生がある者が人生を絶たれることは決してあってはならない、と思っている。その上で、大人は生徒を守る防壁でなければならない、とも自負している。

だがしかし、先のシャーレでの戦闘において、生徒が前を担った。私は後方で指示を飛ばしていただけである。

そう思うと、私は自分自身がひどく小さな存在だと気付かされた。

小さな私は、この子達に何をしてやれるだろう。

確固たる信念と覚悟をもって戦う、この子達に。

 

件のヘルメット団との交戦が始まった。

ぱっと見でも数十倍の戦力差が開いているにも関わらず、物量を苦にする気配もなく前進していく。

そんなときも私の視線は、蓮に釘付けだった。

ヘイローが無いのは言い訳でしかないと言わんばかりに、ヘルメット団の部隊を薙ぎ倒していく。

ホシノの肩を叩いて合図、ホシノが突っ込むタイミングを逃さず、装填して援護。数発撃って前進し、左に展開するシロコたちの援護。

強い、その一言に尽きる。シロコたちも練度がかなり高く、阿吽の呼吸で数的不利を跳ね返していく姿はさながら特殊部隊のよう。

その中でも、ホシノと蓮は別格だった。射撃の精度、装填の速さ、状況判断、どれをとっても最強格。まさに、この学校の核であった。

 

だが、そんな彼らにも限界はある。

ヘルメット団の波状攻撃に長時間曝され続けた前線が決壊しかかっている。

校門が突破されないよう抑え続けているが、素人目に見ても、突破されるのは時間の問題だった。

 

再び、自問する。

私には、何ができるだろう。

 

 

 

 

 

眼下で、蓮がランチャーを構える。

 

 

 

 

 

何をしてやれるだろう。

 

 

 

 

 

ランチャーが命中、しかしヘルメット団は健在。

 

 

 

 

 

この子達に、何が―――

 

 

 

"アヤネ"

「は、はい!どうされましたか?」

"銃、撃てる?"

「はい、一応ある程度は撃てるようにしていますが……」

 

ごめんね、みんな。

私には、これ(指揮)ぐらいしかできない。だから全身全霊で―――

 

"M2重機関銃射撃準備。射撃目標、校門正面のヘルメット団。窓にもう設置してあるから、使って"

「えっ!?…はい、了解です!」

 

そういうと、アヤネはすぐさま銃座に付く。

 

「……目標正面、距離300から400……撃ちます!」

 

通信を繋ぐ。

 

"誤射注意、射撃開始!"

 

連続する射撃音が、真隣から聞こえてくる。

黄色の曳光弾が空を切り、今にも校門を突破しようとしていたヘルメット団を薙ぎ倒す。

グラウンドで鳴り響いていた銃声が止み、全員の視線がこちらに集まる。

 

『――アヤネちゃんに、先生?』

 

ホシノがそう問う。

 

「言ったじゃないですか。最大限支援するって」

 

アヤネが答えた後、私も答える。

 

"よく頑張ったね。そして、遅くなってごめん。あとは私に任せて"

 

先生として、大人としてふさわしくなれるよう、微力でも共に戦おう。

そこにいる皆が無事でいられるよう、最大限サポートしよう。

だって私は、先を生きるもので―――

後を生きていく者を、守るためにいるのだから。

 

 

 

 

 

 

『ヘルメット団の撤退を確認、戦闘終了です。お疲れ様でした!』

 

圧倒的だった。

アヤネの正確な援護射撃、そして何より先生が指揮に加わったことで、圧倒的に不利だった戦況が逆転。

そのまま潰走させたヘルメット団の後を付けアジトを特定、弾薬庫もろとも制圧した。

特に屋内戦の指揮が抜群だった。

アジト突入時、障害物が多いことを上手く利用し、必ず多対一の構図を作ったり、トラップの位置や待ち伏せの場所などをいち早く検知したりなど、暗い室内で見落としがちなことをしっかりとケアしてくれた。

ちなみに自分の武器についてだが、学校での戦闘でヘルメット団の武器を一時拝借し、その後アヤネから再補給を受けていたので大丈夫だった。

 

「皆お疲れ様。体調悪い人はいない?」

「こんぐらいなんともないわよ」

「ん、被弾なし。今回はすごく戦いやすかった」

「ですね☆これが先生の力、ということでしょうか〜」

"私はできることをしただけ。皆が頑張ったんだよ"

 

などと先生は謙遜しているが、実際はこの大人の存在がかなり大きい。それは隣にいるホシノも分かっているようで、疑念と期待の入り混じった視線を先生に向けている。

実際、今日は先生がいなければ壊滅コースだった。

今まで難なく追い返していたヘルメット団に、ここまで追い込まれるとは思っていなかった。

なぜここまで追い込まれることになったのか――そんなことを考えていると、ホシノが僕の肩をたたいた。

 

「どした?」

「ちょーっと二人になれるかな。話しておきたいことがあってさ」

「おっけ、じゃあちょっと外すか」

"あれ、ホシノ、蓮、どこ行くんだい?"

 

そう言って、二人で部屋の外へ出ようとすると、先生にそう訊かれる。

 

「ん、先生、それは野暮」

「お熱いお二人同士、積もる話もあるでしょうしね~☆」

"え、それってどういう―――"

「んじゃそういうことだから、おじさんたち外出てるね〜」

 

……まあいずれ知られていただろうし、ばれてもいいか。

なんて思いながら、ホシノと外へ出た。

すでに日は暮れかかっていて、東の空には月が顔を覗かせている。

 

「もう夜だね。寒くない?」

「へーき。臼井君こそ、カッターシャツだけで寒くないの?」

「いざとなりゃ、ホシノに温めてもらうよ」

「うへ、こりゃまいったねぇ」

 

いつからか、こんな話も当たり前になった。

今の僕らを昔の僕らが見たら、きっと鼻で笑うだろう。

 

「で、だよ、臼井君」

「……もしかしなくても、ヘルメット団の装備の話?」

「ご明察」

「だと思ったし、おんなじこと考えてた」

 

話は本題に入った。

 

「今日戦ってて薄々気付いてたんだけど、あいつら装備が良すぎるんだよ。いち不良集団が持ってていい武装じゃない」

「僕も思った。鹵獲した装備、やけに整備が行き届いてた。まるで新品の、どっかが正式採用してる武器みたいな感じ」

 

そう、僕らが感じていた違和感。その正体は、『相手の装備が良すぎる』ということである。

今日、弾薬庫で発見できた武器は、おおよそ住む場所のない不良たちが持つ物や数では無かった。

 

多すぎる武器、弾薬。

SIG550*1、SCAR-H*2、P90PDW*3などの最新火器。

挙げ句の果てには装甲車両なども保有していた。もはや軍隊の規模である。

 

「調べないと確証は得られないけど、これは――」

「――誰かが、もしくはどこかがヘルメット団を支援してる」

「でもってそいつらは僕らの学校が欲しいと……」

 

二人の間に、重たい沈黙が降りる。

これだけの支援ができる者が背後にいて、自分たちの居場所を奪おうとしている。

これだけのことで、どれだけ楽観的な者でも、事態の深刻さを理解できるはずだ。

未だ憶測の域を出ないが、突如として現れた、あまりにも巨大な敵。たった六人で立ち向かえる敵ではないことなど、二人には痛いほど理解できてしまう。

 

「……このこと、皆に言う?」

「…一応ね。皆がどう反応するかが心配だけど、報告しとかないとあとが大変だろうし」

「……先生には?」

 

その問いに、ホシノは一瞬黙ってから答える。

 

「……私達の依頼はヘルメット団の排除だから、報告はしなくてもいいんじゃないかな」

「そうだね……とりあえず目下の課題としては、借金とヘルメット団のバックにいるやつの正体を暴くこと……」

「うへぇ、これからもっと忙しくなりそうだね」

 

先のことをを案じて二人して暗くなっていると、お互いの腹の虫が鳴った。どうやらこんなときでもお腹は減るらしい。

ぱっと顔を見合わせて、お互いひとしきり笑う。不思議とホシノの笑顔を見ると、少しだけ気が楽になる。

 

「うへへ、お腹空いちゃったねぇ」

「ははっ、そうだね。冷蔵庫、なんか残ってたかな」

「帰りなんか買ってく?」

「そうしよう。おーい皆、そろそろ帰ろうか!」

 

そう呼びかけると、皆が建物から出てくる。

 

「遅い!一体何の話してたのよ!」

「今日の夕飯の話。みんな何食べたい?」

「本当に何の話してんのよ!?」

"蓮、料理できるんだ、多才だね"

「先生歓迎会ってことですね!楽しみです!」

「おじさんは臼井君の料理なら何でもいいかな~」

 

そんな感じでわーわー言いながら帰路につく。やっぱり、みんなといると騒がしくて楽しい。砂色一色ではあるが、これが僕らの青春なのだ。

だから、相手がどうとか、人数がどうとか関係ない。

みんなのためにも、ホシノのためにも、この学校は必ず守らないといけない。

そう決意した時、アヤネから通信が入る。

 

『気を付けて帰ってきてくださいね。あと私はお鍋がいいです』

 

 

 

 

 

 

「おはようさーん」

「おはよ〜」

 

昨夜のどんちゃん騒ぎから一転、早朝の静かな日差しに迎えられ、ホシノと僕は対策委員会の部屋に入る。部屋にはすでに皆が揃っていて、その中には先生も居た。

 

「おはようございます。もうみんな揃ってますよ」

「うへぇ、皆早いねぇ」

「先輩たちが遅すぎるだけなんじゃない?」

「んや、それはないでしょ」

「実際遅いから言ってんのよ!」

 

そんなことを言い合いながら、予め準備されているパイプ椅子に腰掛ける。

 

「それでは、対策委員会定例会議を始めます」

 

アヤネの号令で、いつものように会議が始まる。

もはや授業がまともに行われておらず、戦術BDによる自主学習が主になっているアビドスでは、このようにして6人での会議が行われたあと、各自学校内で自由行動ということになっている。

 

「まず最初にですが、昨日のアジトへの攻撃によって、ヘルメット団はほぼ追い払えたと思われます」

 

アヤネは資料に目を落として、そう言う。

 

「ひとまず火急の事案だったヘルメット団の件がようやく片付きましたね」

「残党はいるだろうけど、もう相手は壊滅状態だし、下手に手出しは出来んだろうね」

「そうだね。これでやっと重要な問題に集中できる」

「ええ、これで心置きなく……」

 

しまった、これは不味い――

こちらの面倒事に、外部の大人を巻き込みたくない。そう思い、僕とホシノがセリカを止めようと動いたが、もう遅かった。

 

「セリカ、それは――」

「セリカちゃん、ちょっと待っ――」

「全力で借金返済に取りかかれるわ!」

 

暫時、沈黙が流れる。

調べれば一発でわかったことだろうが、自分たちの口から言うのはまた違った重みがある。

セリカ以外の4人が、言ってしまった、と表情に浮かべ、セリカはそんな面々を見て、次第に顔にやってしまったという表情を浮かべた。

そんな時、不意にホシノが口を開いた。

 

「ま、しょうがないか。説明しなかった私が悪いね……このこと、先生は知ってた?」

"うん、知ってる……けど、君たちからも詳しく説明してほしいかな。情報の齟齬があるといけないからね"

 

そういったあと、先生はこう付け足した。

 

"何か、力になれることもあるかもしれないから"

"困っている生徒がいるのに、何もしないなんて出来ないよ"

 

その言葉を聞いた時、ホシノの瞳が、少し揺れた気がした。

疑念、迷い。そして、心の何処かでずっと待っている、救いの手。

本当に信じていいのか否か、心の天秤が揺れている。

そして、その迷いを振り払うように一度瞬きをし、ホシノは答える。

 

「ありがと。じゃあ、先生にもちゃんと説明するよ」

 

そう言うと、ホシノはひとつずつ話し始めた。

 

 

 

 

 

「―――っていうのが、今のアビドスの現状だよ」

 

5分か、10分か。それぐらいの時間、周りからの補足も交えつつ全てを話した。

 

"なるほど……大体把握できたよ、ありがとう"

 

すべての話を聞き終えた先生はそう言うと、深刻な面持ちで黙り込んでしまう。

 

「まぁ、そういうつまらない話だよ。でも、先生のお陰でヘルメット団のことが片付いたから、これからは借金返済に全力投球できるようになった」

「……もし対策委員会の顧問になってくれるとしても、借金のことは気にしなくていいですよ、先生は」

 

ふと、そんな言葉が口から零れてしまう。

アビドスを救いたいと思っているならば、今ここにいる大人に助けを乞うべきなのだろう。

実際、この大人は今まで会ってきた大人とは、どこか違うような気がしていて。

本当に、アビドスのことを案じてくれていそうな気がして。

それでも、暗に『関わるな』と言ってしまったのは、ある種の諦めか、それとも、信用しないよう用心しているだけなのか。

 

"さっきも言ったと思うけど、私は困ってる生徒がいるのに何もしないなんてできないからね。対策委員会を見捨てることなんてしないよ"

 

そんな言葉にどこか驚きつつ、ほっとする。

やはり、自分の心の中には諦めがあったのだろうか。

こうして、どこかで救いを待っていたのだろうか。

―――あの日、僕は救いになれなかったのだろうか。

 

「……先生も変わり者だね~。こんな面倒事に自分から首突っ込もうなんて。でも、ありがと」

「良かった……シャーレが力になってくれるなんて。これで私たちも、希望を持っていいんですよね?」

 

すっかり活気を取り戻した教室の喧騒で、深く沈んでいた思考の海から現実に引き戻される。

シャーレが協力する。どこまで信用できるかは測れないが、それでも連邦生徒会が立ち上げた組織ならばまだましだ。

 

「じゃあ、先生全面協力ということで、僕から一つ報告があります」

 

そう言うと、ホシノがこちらを見る。

アイコンタクトで言いたいことを伝えると、納得した様子で視線を外した。

 

「まず、この資料をみてほしいんだけど……」

 

そう言いながら、一枚の紙を机の上に滑らせると、ホシノ以外の皆が身を乗り出して紙を覗く。

 

「これは…?」

 

粗方内容を理解したであろうアヤネが、こちらを驚きの表情で見つめる。

 

「……昨日、ヘルメット団の武器庫に突入した時に見つけた装備の一覧だよ」

 

そう言うと、アヤネの顔に困惑の色が混じる。

他の面子にも困惑の表情が浮かんでいた。

 

「でもこれって……」

「…全部最新の火器」

「装甲車に、戦車…本当にヘルメット団が、こんな装備を…?」

"……もしかしてだけど"

 

皆が困惑する中、先生がぼそっとつぶやく。

 

"このヘルメット団は、何処かから支援を受けている……?"

 

その言葉が聞こえていたのか、対策委員会のメンバーに動揺が走る。

当然だ。今までちょっかいを掛けてくる程度だと思っていた相手のバックに、とてつもなく大きな『何か』がいたのだから。

 

「で、でも、ただの不良たちにここまでする意味が……」

「支援したとして、理由は何?」

「そもそも、どこがこんな支援をしているのでしょうか?」

「残念だけど、そこまではわかってないんだ」

 

考えれば考えるほど疑問が生まれていく。

製造元、販売元、そして支援している相手。

そしてその相手はここを狙っていて、莫大な支援ができるほど強大であることが伺える。

早く特定しないとまずいことになる、そんな焦燥感が、この空間から感じられる。

 

「これは早急に対応しないといけないクリティカルな事案なんだ。アビドスの総力を挙げてこれを洗い出し、叩き潰す必要がある。そこで―――」

 

まずは何処からこの装備が流れたのか。それを突き止める必要がある。

そして、そういった調査などの、データを活用した調査が得意な者を、僕らは一人知っている。

資料から目を離し、前を向く。

赤縁眼鏡の奥、琥珀色に輝く目がこちらを捉えていた。

私がやらず誰がやる、そう訴えるような目だった。

 

「―――アヤネ」

「はい、装備の出所の調査ですね」

「頼めるかい?」

「任せてください」

 

二つ返事、即答である。

まだ入学してひと月といった所なのに、ずいぶん頼もしくなったものだ。

 

「おお、頼もしくなったねぇアヤネちゃん。後輩がすくすく育ってくれて、おじさん嬉しいよ~」

「そんなに歳離れてないわよね……?」

「…言っちゃいましたが、できますかね……?」

「僕は出来ないと思ってたら指名しないよ。それに、これはアヤネにしか出来ないと思ってるから」

 

そう言い放つと、ぼんっ、と音がしそうなくらい、一気にアヤネの顔が赤くなる。思っきり照れてるなこれ。

あとホシノさん足踏まないで痛いから。

 

「……ホシノさん?」

「…なに」

「……あとでお出掛け、しよう」

「2人で?」

「2人で」

「………今日はこんなとこで許してあげる」

 

その後、いくつかの確認を終えたのち、その日の会議は解散となった。

 

"……蓮さ、皆にそういうこと言ってるの?"

「まあ、はい」

"……ホシノ、妬いちゃうんじゃない?"

「一応区別はしてるんですけどね、信頼と好意で」

 

先生にはこう言われはしたが、そのへんはホシノもよくわかってるでしょ、多分。

 

 

 

 

 

 

それから数日後。

午前中に個人的な用事でD.U方面へ出掛ける必要があった為、会議を欠席した日のことだった。

 

「お腹すいたな……」

 

D.Uからご飯を食べずに直帰してしまったため、空腹が限界を迎えてしまったのである。

幸い、今いる場所はアビドスでもまだ栄えているようなので、お昼には困らなさそうではあった。

 

「なんか良さげな店ないかなー……お」

 

いい感じの店を探していると、一つの看板が目に入る。

雑貨ビルの一階に入っているその店は『柴関ラーメン』という店のようだ。

ラーメンか……いいね、朝から何も食べてないし、大盛、いや特盛とかあったらいいな……

なんて思いながら、『柴関ラーメン』の暖簾をくぐる。

からからと軽快な音を鳴らして戸が開き、ふわりとスープの匂いが鼻腔をくすぐる。めっちゃおなかすいた。

 

「いらっしゃいませ!1名様、です…か……」

「はい、1人です……?」

 

えらく尻すぼみな挨拶だったなと思い、声の聞こえた方を見る。

すると、そこにいたのは―――

 

「―――セリカ?」

 

そこには、顔を真っ赤にして、とても驚いたような表情を浮かべたセリカがいた。

ただ、いつもと違うのは、それがエプロン姿であったことだ。

 

「……だ」

「だ?」

「誰から聞いたのよ!?」

「お、臼井君じゃーん。このお店知ってたの?」

 

セリカが大きな声で言ったのと同時に、奥のテーブル席からホシノがひょこっと顔を出して、僕のことを呼んだ。

 

「お、アビドスの子達の連れかい?」

 

さらに、カウンターの方から、ここの大将と思しき人が現れる。

 

「あっはい、そうです。セリカがお世話になってるようで」

「いやいや、こっちも一人じゃ回んなくてね。セリカちゃんにはものすごく助けられてるよ。さ、座ってくれ」

 

言われるがまま皆の座っている席の方へ通されたので、ホシノの隣に腰掛けた。

 

「さて、と。改めて」

「いらっしゃい、柴関ラーメンへ」

「臼井君は何食べる?」

 

そう聞いた時、もう一度、ぐう、と腹の虫が鳴った。

*1
シロコの使っている銃のモデル

*2
ヨシミの使っている銃のモデル

*3
個人防衛火器。SAOで知った人も多いハズ。




エデン条約ぐらいまでの構想はしたんですけど、直近の話は手が止まってしまうんすよね。何故なのか。日常パートが苦手なのかな?
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