書こう書こうと思いつつ、中々気力がわかず……。
ただ、久しぶりに書けるのでぜひ読んでってくれたら嬉しいです!
━━━━━いつからだろう。
私が他人を気にかけるようになったのは 。
ミーリャと旅に出て、1ヶ月、そう。商人に出会いこの街に来る1ヶ月の間に、他人を許してしまう心ができてしまったのかもしれない 。なんて。路地裏で身を隠しながら私は考える 。
先程領主の館を襲い、その領主が殺されていた。別の……暗殺者ギルドを名乗る連中に 。とりあえず顔は見られてないため路地裏で身にまとったショールを外し、少し座り込んで……この1ヶ月のことを思い出したのだ 。
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「遅い! 敵はそんなんじゃ倒れない!」
「ひぃぃぃっ!!!」
草原を少し歩いた先、ちょうど良さそうな洞窟を見つけたため、2人旅をしている私達はそこへと行った。目的はもちろんミーリャを鍛えるためだ。私と来てもらうには、足を引っ張られては困る。
「せ、セレナさん! 助けてくださいよ!」
「それで助けてくれたら私は命のやり取りなんてしてない」
息を切らしながら逃げる彼女が言う。私が助けたら解決だろう。けれどもそれだと意味が無い。それに彼女が戦ってる敵はゴブリン……つまり雑魚だ。魔核さえ安い。肉すら食べれない何にもならない粗大ゴミだが、こういう時に役立つ 。
「えぇぃ!!」
大きな声が洞窟に響き、矢がゴブリンの頭を貫く 。
一匹やるのに10分もかかってしまう。まだまだだ 。
そう思い、ナイフを構えた 。
……彼女は不思議そうな顔をする 。「もう、ゴブリンはいませ━━━━━」
なにか喋ってる時に複数の足音 。
荒い息遣い。「ギギギー!」と煩く鳴く声。
ミーリャは顔を青に染めて、私を見つめてくる。
「さっき叫んだせいだね」
淡白にそう告げ、私は物音が迫り来る方へと目を向けた。
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一体なぜ、こんなことになったんでしょう。
ついて行くなら特訓すると約束はしました……。
けど、一体倒すのが精一杯で、まだ、生物の命を奪うのになれてないのに …… 。私って、冒険者向いてないのかな 。
「ミーリャ!」
声にハッとする。先程自分が大きな声を出したせいで迫り来るゴブリン。怖い。恐い。こわい。コワイ。
心の奥底から恐怖が湧き出る 。私はまだ、冒険者になったばかりで、でも、そのギルドもなくて……強いひと頼るしか……でも、男の人はもう怖い……! だから、セレナさんに、着いてきたのにこんなことって …… 。
頭が真っ白になる。余計なことばかり考え、動けない。次に動くべきのは? 避ける? 迎撃……?
……無理だ。私にそんな技術も、度胸もない。
目前に迫り来るゴブリンの群れ 。お母さんに言われてたっけ、ゴブリンを見つけたら逃げなさい、捕まったら人として終われない、って……。ああ、そうなっちゃうのかな。
諦めた。
目を瞑り。この後の結末を迎えよう。
セレナさんは……私が死んでも気にしない人だから。
━━━━━意識がある。
いつまで経っても。……恐る恐る、目を開ける。
……セレナさんが、あの人が戦ってる 。
真っ先に私の目の前に来たゴブリンを殺していた……その死体がそれを物語っている。けれど、彼女は …… その一瞬の隙を狙われ、腕を噛まれてしまった。……私の、せいで傷つけた。
…… 胸の奥が熱くなる 。怒ってる人の気持ちが分からなかった、笑って許せば、解決するのにって。でも……でも!!!
「私は自分が許せない!!!」
大きな声でそう叫んだ、ゴブリンがこっちを見る、セレナさんも、驚いたような目で見る。貴女を傷つけた悪い奴は、私が倒すから……!!
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噛まれた肩の痛みを何とか持ちこたえながら
わたしは短剣を振るう。
正直、この出血量ならいつ死んでもおかしくないと思う。けれど、手当させてくれるほど此奴らはお利口じゃない。どうしようか……そう悩んでる時だった。
大きな声が再び響く。
ミーリャの声だ、驚いてそっちを向く 。ゴブリンも気を取られたようで、そちらを見る。その場の全てが、彼女に注目を浴びせてる。
…… 瞼を動かす間もないまま、矢が飛来した。
わたしの目の前のゴブリンの頭を射抜く 。
2発。3発。次々に携えた弓で
怒りの籠った、恐怖の籠った、寂しさの籠った瞳で。
その瞳孔に敵を映し出し、確実に狙い撃っていた。
増援はない模様 。
死体の海でわたしたちは壁に背中をつき、座っていた。
一瞬でミーリャに何があったのか分からない。でも、こんなにも倒せるようになったのは上々だ 。
まだ痛む左肩を抑えながら、彼女の手当を待った。
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「どうしたの、急にあんなに」
「えと、それは……」
「……?」
「……私が死ぬのは、良かったんです、弱いから。
セレナさんの足でまといになるから、それで。
……でも、それのせいで、セレナさんに怪我をさせた。
だから、許せなかった。怪我をさせたゴブリンも、私自身も……」
彼女は声を震わせながらそう告げた 。
別にそんなことは気にしない。戦っていれば傷はつくもの。
でも、何故だろう。手当しているミーリャの手は震えている。今にも泣きそうな目をしている 。
わたしにはわからない。きっと、人間として感情が欠如してるのだろう、でも、そう思われるのは、悪くないのかもしれない。
「じゃあ、ミーリャ」
「は、はい……っ!」
「わたしを傷モノにした責任、とってよ」
「うぇ、そ、それって……!!」
「これからもっと鍛えるから。
わたしは、遠くにいる奴とは相性悪いから。そういうのから守って」
ミーリャは顔を驚かせながら頷いた。
若干、彼女の頬が赤かったのはどういうことだろうか。
……まぁ、いい。ともかく、わたしの弱点である遠距離も対処出来る。まだ課題は山積みだが……ひとまずは……休もう━━━━━。
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目を閉じていたのは何分だろう。
あんなに長い夢を見るなんて。空を見上げる。
既に日が昇り、街が騒がしい。それはそうだ。
領主が殺されたとなり、その領主と兵士の癒着の証拠があるのだ。とりあえず、カムイ達に会い、この間に逃がせればいい。ショールで口を覆い隠し、フードを被る。彼らと決めていた合流地点へ向かう。
辺りを見渡す。道はあっているはず。そう進み、物陰の裏から声が聞こえる。気配を殺して覗き見る。彼らだ。エリオットと、カムイ。
「……ねぇ」
声をかける。2人はビクッとして此方を振り返る。ショールやらを外し、自分と明かす。安心したような2人に事の顛末を話した。
「そうか……それで」
「あ、あの……僕たちはどうしたら」
「逃げたらいいわ。騒ぎのうちにね。
次の領主が決まったとしても、前科は前科だし」
そう伝えれば、彼らは頷き正体を隠したまま門へ向かう。市民が殺到しているんだ。1人2人の子供が抜け出しても気づかない。護衛がてら、ついて行ってるとふと気になった。
「カムイ達は、なんで冒険者になろうとしたの?」
「俺? 俺かぁ……俺は、姉を探してんだ。冒険者になるー! って飛び出したっきり、帰ってこなくて」
「ボクは……ごめんなさい、話したく、無いです」
「そう、仕方ないわ」
姉を探す少年と、事情が不明の2人。
何処で出会ったかは知らないが。前衛と後衛。いい感じのペアだ。わたしとミーリャみたい。……なんで、ミーリャを思い浮かべるんだろう。
そんなことを考えながら、距離をとる。2人は門の近くへ行き、忍び逃げた。成功したようだ。
わたしの役目もおしまい。……長い間、1人にさせてしまったミーリャを探そう。
……謝れば、いいのかな。こういう時は。
そんなことを考えながら、わたしは 『仲間』の元へと向かった。
次回。子の空白の一日で過ごしたミーリャ視点でございます。