モチベーションが低下しつつある人間です。
書きたいところが先すぎる、私の悪い癖ですね。
キャラ崩壊した璃月勢書きたいんですけど
今回は完全小説パートです
「戯言ハソレダケカ?」
笛吹きメギドがラッパのような笛を構え、息を吸ったあと辺りに音色とは呼べぬ音を響き渡らせると、狼の群れが一斉に聖司1人に向かって襲いかかった。それと同じタイミングで聖司も駆け出し、
「ムッ?」
「僅かばかりの辛抱だ、狼たちよ」
跳びあがった聖司へ向かって着地地点にて待ち構える狼だったが、彼は左腕のデュアルガントのキャプチャーフックを飛ばして木に引っ掛けると、チェーンの引き戻しを利用して自身を引っ張って避けた。いとも容易く行われた曲芸じみた動きに、さしもの狼たちも戸惑いを見せる。
ピーターファンタジスタを使用したことで発現した左半身のイリュージョメイルによる能力付与を聖司は存分に使い、戸惑いを見せた狼たちの隙を突いてフックを笛吹きメギドに飛ばし引っかけると、チェーンの引き戻しによって距離を詰めると、メギドに向かってドロップキックをかました。
「ッラァ!」
「オッゴォ!?」
勢いをつけた21.4tのキック力から放たれたドロップキックは、さしものメギドとはいえ堪えられるものではなかったようで、フックから外れた身体は秒数にて1秒ほど対空して落下し地面を転がる。着地してすぐに追撃を仕掛けに行った聖司は、迫りくる狼の襲撃に合わせ跳びあがり、彼らの中の1頭を足場にして再度浮かび上がった。そして転がっていったメギドの右斜め後ろに向けてフックを飛ばし、チェーンを戻す勢いを利用してニー・スタンプを繰り出す。
だがそれより前にメギドはかろうじて着地点から逃れ、攻撃が外れる。間一髪で避けられたメギドは笛を構え、大きく息を吸い込んで笛を吹いた。楽器から奏でられる綺麗な音色とは程遠い騒音が、聖司1人に向けられる。
「い゛ッ!?」
咄嗟に耳を塞ぐも、それだけでは防ぎきれない程の騒音が聖司を襲う。一瞬にして攻め手が逆転したことで、操られている狼たちが一斉に聖司を取り囲んだ。包囲網が形成されたところで、笛吹きメギドは笛の音を止めて狼たちを襲い掛からせた。すぐに一飛び21.7mの跳躍力をフルに発動し、空中から逃れたが、それに合わせられ音が聖司の耳と頭にダメージを与えバランスを崩される。
「ぐっ、くぅ……!」
「馬鹿メ、格好ノ的ダ! ソノママ落チロ!」
「こと、わるッ!」
落下していく聖司はキャプチャーフックを飛ばし、先ほど戦っていた場所よりも上にある崖へと引っかけるとそのまま牽引されて難を逃れる。逃げていった聖司を追いかけようとした笛吹きメギドだったが、狼たちを別の場所へと向かわせてから、岩壁を登り追いかけた。
すぐに笛吹きメギドと聖司が相対し奇襲の剣閃がきらめくが、それを片腕で受け止められると笛吹きメギドは聖司の腹部にヤクザキックを放ち、僅かに退かせる。
お返しとばかりに笛吹きメギドが猛攻を仕掛けた。蹴り、殴打の連続が聖司に向かい、彼はその攻撃を聖剣を使って凌いでいく。ただ笛吹きメギドの攻撃が単調であったため、聖司は隙を突いて火炎剣烈火を振るい、右脇腹を斬りつける。
「ハアッ!」
「グムッ!────ンン?」
「チッ、やはりか」
「ナンダ? 鈍デ斬ッタノカ?」
笛吹きメギドが嗤う。斬られた箇所を強調するように撫でる様子が、今の火炎剣烈火の性能を物語っていた。
現在、聖司が使用しているライドブックはブレイブドラゴンとピーターファンタジスタの2冊。この2冊はそれぞれ属性として炎と水に割り当てられており、相性補完が悪い。またスペック上はブレイブドラゴンのみよりも高いが、仮面ライダーセイバー本編では召喚した妖精を制御出来ずにいた描写もある。
そして火炎剣烈火の特性は熱を帯びるほどに斬れ味を増すというもの。聖なる炎の出力そのものが、ピーターファンタジスタに宿った水属性によって低下しているのだ。つまるところ今、聖司の持つ火炎剣烈火は斬れ味の低い鈍器を所持しているようなものである。
だが、相性補完の問題があったとしても、それを敵が見逃すことも慈悲をかけることも無い。聖剣が脅威では無いと認識した笛吹きメギドは、聖司に向けて笛の音を出す。耳を塞がなければ不味い音量のそれを、咄嗟に耳の辺りに手を当てて押さえた。
隙を見せた聖司に向かって、笛吹きメギドは構えを解いてすぐ顔を狙ってサッカーボールキックを行い、聖司の顔に足の甲が当たり、彼は空を見上げることになる。そこからはメギドの攻めが続き、聖司は防戦一方になっていた。
笛を構える動作を見て耳を塞ごうとすれば、メギドはヤクザ蹴りやパンチなどをしていたぶり、闇雲に突っ込んで来た場合は笛の音を聞かせる。このような事を続け地面にうつ伏せとなった聖司を見て、気分が舞い上がっていたメギドは嘲笑いながら言った。
「オマエ、自分ガ囮ニナッテ仲間ヲ逃ガス算段ダッタノダロウガ、無駄デアッタナ。コレホド弱ケレバ、何モ警戒スル必要ハ無カッタデハナイカ」
「……ハッ、今更気付いたのか? 随分と単純な思考をしているのだな、お前達は」
「彼我ノ力量差ヲ分カッテオラヌヨウダナ、人間」
「ぐぅッ!」
倒れ伏した聖司の背中を踏み付け、苦痛に歪んでいるであろう彼の声をBGMにして語りを続けた。
「シカシ残念ダッタナ。オマエガ命ヲ賭ケテ守ロウトシタ者達ハ、モウジキ狼ノ餌ニナッテイルダロウヨ」
「なん、だと……?!」
「クハハハハッ! モウ手遅レダ! 今向カッタトシテモ、コノ距離デハ間ニ合ワンダロウナァ!」
「くっ…………!」
笛吹きメギドは嗤う、聖司の今の無様な姿に。そして笑う、己の勝利に。体の底から湧き上がる優越感に、確信を持って答えた。そうして嘲笑っている中、笛吹きメギドが耳にしたのは────誰かの笑い声だった。
「ァン?」
誰が笑っているのか、それ自体はすぐに分かった。メギドが踏みつけている聖司から声が発せられていたのだ。しかし理由が分からない。
「ナンダ? 何ガ可笑シイ?」
「クククッ……いぃやぁ? 何、やはりお前達は単純だと思っただけだ」
「気デモ狂ッタカ? 自身ノ負ケヲ認メラレンカ?」
「負け? いや、この状況に持ち込んだ時点で、
「一体ナニヲ」
そう疑問を呈した笛吹きメギドだったが、その言葉は背後に居る何者かの気配によって消え去った。メギドは思考する、今ここに居るのは自身と聖司のみの筈と。だとすれば今後ろに居るのは誰か?
「俺が何の策も労せず、お前の元に姿を現すと思うか? お前の持つアルターライドブック、その大元の物語を知っているというのに」
「ナニ?」
笛吹きメギドの思考は、完全に聖司の言葉に向けられていた。後ろにいる誰かの事を見る余裕を捨ててしまったのである。
「ハーメルンの笛吹き男、その逸話からしてお前の能力は人間の大人以外の動物を操れる音を出せるのだろう。攻撃手段として、あのような騒音を出すとは思っていなかったがな」
「! 何故分カッタ!?」
「知っている、と言っただろう。しかし大元の物語では人間の子どもと他動物を同時に操ったとの描写は無い、となると操るにはそれぞれに対応した音を出すしかなかった訳だ。だから狼を操っていた時、同時に子どもを操る事をしなかった。否、出来なかったのだろう?」
「フンッ、ソレヲ知ッタ所デ、既ニ手遅レデアル事ニ変ワリハナイ! 今ココデ始末」
「所で、1つ聞きたいのだが」
突然の問いかけに、笛吹きメギドが笛を構えるのを躊躇った。
「お前のその笛の音、それよりも大きな音で掻き消されたら、果たして命令は上手く伝わるのだろうか?」
「ナニ?」
「気になっているのだ、吹いてみろ。狼たちに逃亡者を殺せと、命じてみろ。出来るものならな?」
強気に出た彼の言葉に、戸惑う。本当に何か策でもあるのかと考えて、そして笛吹きメギドは自身の背後に居る気配を思い出し、振り返った。
そこに居たのは、両手を合わせ祈りを捧げている女の姿があった。しかし輪郭も姿もどこか薄く、目に瞳はなく、終いには浮かんでおり、両足が無い。その姿を見た笛吹きメギドは咄嗟に笛を構え、音を出そうとしたが時既に遅し。
「泣き叫べ、バンシー!」
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!」
「ギャアアアア?!」
瞬間、女の泣き叫ぶ声が奔狼領に響き渡る。笛の音すら掻き消されたその叫び声を間近に喰らった笛吹きメギドは、咄嗟に耳を押さえるも突き抜けて頭に響くそれに耐えることは出来なかった。
倒れていた聖司は耳を塞ぎながら笛吹きメギドの膝裏を蹴って姿勢を崩し、メギドを倒したと同時に立ち上がる。そのすぐ後に泣き叫んでいたバンシーは消え去り、聖司はメギドが手に持っていた笛を取り上げる。
「ンナッ、待テソレハ……!」
「ずっと気になっていたのだ、お前は俺に攻撃を受けていた時でさえも笛を手放すことは無かった。つまるところ、この笛が余程大事な物なんだろうとアタリをつけた訳だ」
笛吹きメギドの声が聞こえていないのか、聖司は自身の考えを述べながらメギドの持っていたラッパのような笛を見回す。しかし聖司はすぐにその笛を上へと軽く放り投げたあと、聖剣を必冊ホルダーに納刀し、レッカトリガーを押して構えた。
【烈火居合!】
「ヤ、ヤメロ! ソレハ!」
「因果応報だ、諦めろ」
そしてタイミングよく、火炎剣烈火を必冊ホルダーから抜刀する!
【読後一閃!】
「火炎閃斬!」
炎を纏った火炎剣烈火で、落ちてくる笛を居合切りの要領で下段から上段へと流れるようにして斬り上げると、笛は真っ二つではなく、バラバラに砕けて割れた。その光景を見たメギドが激怒し、まだバンシーの叫び声の影響が残るなか立ち上がろうとする。
「ギッ、ギザマ゙、ヨクモオ゙!」
「正直今、俺もバンシーの叫び声で耳が上手く働いていない。ので、これだけは言わせてもらう────お前の物語の結末は、俺が決める!」
聖司は火炎剣烈火をソードライバーに収め、レッカトリガーを押して合図を出し、火炎剣烈火を引き抜く!
【必殺読破!】
【烈火抜刀!】
【ドラゴン!
ピーターファン!二冊斬り!】
【ファ・ファ・ファイヤー!】
「最後の演奏だ、派手に行くぞ!」
そこから更に聖司は、シェルフに収められているライドブックを押してブレイブドラゴンを召喚し、必殺技の名を告げる!
【ブレイブドラゴン!】
「龍精火妖剣舞!」
召喚したブレイブドラゴンが笛吹きメギドの周りを周回し始め、仮面ライダーセイバーは身軽な動きで中へと侵入すると、ブレイブドラゴンを壁にしてメギドに向かって勢いよく突っ込み斬りつける!
「ギャアッ!」
そしてブレイブドラゴンの移動に合わせ、メギドの上から、横から、背後からと、あらゆる場所からまるでピンボールのように跳ね動き回り、何度も何度も斬りつけた! そして最後にメギドの真上から勢いよく突っ込みながら、火炎剣烈火を振るう!
「シィァラァッ!!!」
「ギィイイヤアァァ!!?」
真っ直ぐな剣閃が笛吹きメギドを縦に二分割するような形で刻まれ、そこからメギドは爆散。立ち込める爆炎と爆風をものともせず、ゆっくりと仮面ライダーセイバーは立ち上がった。
「…………あー、頭が割れそうだ」
フラフラな様子で仮面ライダーセイバーは火炎剣烈火を収め、ライドブックを取り外し聖司へと戻る。そして今まで蓄積された耳と脳へのダメージにより、若干ながら足元が覚束無い。何度かゆっくりと深呼吸を繰り返し、多少まともになった所で、彼は歩こうとして1歩踏み出した。
「────むお?」
1歩が小さかったのか、はたまた思っていたよりダメージが大きかったのか。すんでのところで地面に手を付き事無きを得るが、彼の顔は小さな草むらへと突っ込んだ。力を入れようにも動けないらしく、このまま暫く待ち人を待つしかない状況に追い込まれる。
「はて、どうしたものか」
「お困りのようだね、セイジ」
まるで柔らかな風のような声をした人物が、倒れている聖司に声をかけた。あまり聞こえてはいないのだが、近くに居る人物が誰なのか知るために顔だけ動かす。視線の先に居たのは、ウェンティであった。
彼はしゃがんで聖司の顔を覗き込みながら、前見た時よりもどこか慈しむような視線を向けていた。
「ウェンティ殿か、また見ておられたのか?」
「うん、そうだね。君が一芝居打ってる所も、君が無茶をしてまで相手を倒していた所も、全部知ってる」
「そう、か。うぅむ……不甲斐ないな」
「いいや、君はよく頑張ったよ。だから今は、ゆっくりと休んで」
瞼の上に手をかざされた聖司は、疲れからか意識が暗闇の底へと誘われた。最後に聖司は、暖かなものを感じながら眠りへとつき、気が付けば教会のベッドの上で目覚めたのだった。
モンドにある風立ちの地、そこには七天神像と呼ばれるモニュメントと、その背後に大きな御神木がある。その御神木に寄りかかりながら座っていたウェンティは、1人ハープを弾いていた。
その音色は、暖かくもどこか寂しげで、嬉しいのに悲しいような、そんな相反する感情を思い起こさせるものであった。
やがて弾き手が止まると、ウェンティは夜空を見上げた。星々が輝き月が夜闇を照らす、そんな光景を視界が映し出している。彼はゆっくりと月に向かって手を伸ばし、届かないそれに向かって握りしめる。
手の中を彼がのぞけば、当然そこには何も無く。そんな当たり前の事実を見て、溜め息がこぼれた。膝を抱えて、顔を膝小僧に押し付けながら呟いた。
「────なんで、起きちゃったのさ。セイジ」
彼は己にしか聞こえない声でそう言った。そこにあったのは疑問と、後悔の念。
「また、君はああやって……」
声がうわずり、膝小僧が濡れる。小さくなって丸まっていき、ウェンティは腕の力を強めた。
「本当に、変わらないね。あの時から、ずうっと……!」
ウェンティの脚に、滴が流れた。声も更に上擦って、どうしようもなく溢れてくる感情に、彼は流されていた。
「いやだ、いやだ……。ボクは、ボクはまた────セイジを、殺さなきゃ、いけないの?」
その呟きに、答えなど出るはずも無かった。
【後書きキャラ紹介】
『神官 聖司(オリ主)』
・今回のメギド相手にこの戦法を思いついたバカ。音を出して支配するなら、それよりデカい音を出せる妖精ならかき消せるのでは? と思ったが、戦っている内に笛を破壊すれば良いことに気付いたので意趣返しに切り替えた。ウェンティを泣かせたアホ。
『ウェンティ』
・オリ主のせいで泣かされた。
【必殺技紹介】
『火炎閃斬(かえんせんざん)』
・火炎剣烈火を必冊ホルダーに納刀し、レッカトリガーを押して抜刀することで発動。炎を纏った居合切りを繰り出す。本編でこの手の必殺技を使ってなかったので、聖司自身が名前を考えてつけた。
『龍精火妖剣舞(りゅうせいかようけんぶ)』
・ドラゴンピーターの状態で火炎剣烈火をソードライバーに納刀し、レッカトリガーを押して抜刀。そしてブレイブドラゴンを召喚することで生み出された必殺技。相手の周囲をブレイブドラゴンが動き回り、その中をピンボールみたく跳ね回って何度も敵に突っ込んで斬る。今回は最後に真上からの唐竹割りで締めた。