お気に入り登録が伸び悩んでるので初投稿です
話は変わるんですが、最近よく聞く楽曲があるんですよね。それを聞いてるとオリ主の人間関係絡みのあれこれを想像しやすいといいますか
今回は完全小説パートです。出来上がるまで悩みました
閉店時刻となったエンジェルズシェアに入ったジン、ガイア、リサの3人を待っていたのは、蛍とパイモン、ディルックの2人と1体に加えて、聖司とウェンティの5人であった。しかし聖司はともかくとして、3人は何故この場に
入店するや否や、ガイアはこの店のオーナーであるディルックに問いただした。
「話をしたいからと誘われたから来てみれば、随分と大所帯じゃないか。セイジや栄誉騎士はともかくとして、なんで関係のない奴まで居るんだ? ディルック」
「そうね。私としては彼が居ることについても聞きたいのだけど、説明はしてくれるかしら? ディルック」
「彼らがこの1件に深く関わっているからだ。それについても今から話すつもりだ、席に早く座ってくれ」
ディルックはそう言って席に促し、3人はそれぞれの場所に座る。リサは聖司とウェンティの座っている席の真正面にの席に座り、聖司に向けて疑念の視線を向けた。
着席したところを確認して、ディルックは今回の1件について話を開始する。
「全員集まったな。今回集まった理由は分かりきっているだろうが、ずばり今のカルヴィン枢機卿の愚行について。お互いに情報を共有しておくこともある、まずはモンド城で何があったのかを知りたい」
ひとまず城内で起こった事についてはガイアが話を進める形となった。カルヴィン枢機卿が風魔龍退治をファデュイに一任させた判断、反対意見を述べていた者を含めたほぼ全ての上役が枢機卿の判断に同意していた事実、そして枢機卿に会った際に起きた違和感を語る。
それらを聞き終えたディルックは次に聖司に視線を向けて発言するよう促し、彼は今回の1件に関わる内容を発した。
「事態が事態だった為この時まで言えなかったが、実は城内に姿を変える何者かを目撃した事がある。風魔龍が撃退された時のことだ」
「その意味は?」
「言葉通りだ。目の前でファデュイであった筈の人物が、モンド城に居るであろう人間に変わった様を目撃した。それを見ていたことがバレて、逃げられてしまったがな」
「姿を変える存在……まさかとは思うけど、今の枢機卿がそれだと?」
「あぁ、そして恐らくその姿を変える存在は、今モンドに出没している新種の魔物の可能性が高い」
それを聞いたジン、ガイア、リサの3人はどこか納得した様子でその意見に耳を傾けていた。その可能性で考えてみれば、あのことについても説明が付くためである。
「確かに、そう考えれば暗示に掛けられていた事についても説明がつくな」
「暗示? だが俺が見たのは姿を変えていた所であったが」
「不思議ではないだろう。その新種の魔物が幾つかの異能と呼ぶべき力を所有していると考えれば納得はしやすい。荒唐無稽には変わらんがな」
「だが────いや、待て。俺は勘違いをしていたのか?」
「セイジ、急にどうした?」
何かに気づいたらしい聖司は1人小さく呟き続け何かを考え始めた。時折、“暗示”や“姿を変える”などといった単語が聞こえてくるが、やがてバッと顔を上げて目を見開いて腑に落ちたような表情になり、ある単語を発した。
「
「どうした、セイジ」
「もしかすれば敵の能力は、嘘を現実にするというものではないかと」
「……ちょっと良いか?」
一言出したガイアが席を立ち、聖司のもとへと歩み寄ると彼の額に手を当て、自身の額にも手を当てる。そこで1つ頷き何も異常が無かったことを知った。
「熱は無いみたいだな」
「真面目に考えてるんだが!?」
「いや、ここまで妙なことを言われたら誰だって熱あるんじゃと疑うだろ」
「だったらこの場には来ておらんわ……!」
「どおどお、落ち着いて落ち着いて。歌でも聞く?」
「ウェンティ殿、それは後でな?」
「セイジ、そうかもしれない根拠は?」
2人のコントを見て何事もなく聖司の発言について考えていた1人であるディルックは、やり取りを無視して彼に問いかける。その質問に軽い咳払いをして場の空気を戻そうと努めたあと、聖司は自身の考えを述べた。
「あくまで仮説ではあるが、そういった能力と考えれば俺が見た現象と3人が受けた暗示についての説明がつく。姿を変える現象の場合、自身に嘘をつくことで姿を変えたと思われる。暗示の場合は確か、その枢機卿はこう言っていたのだろう? 『モンドに生きる者たちの総意である』と」
「確かにそう言っていたが……」
「────そういうこと」
リサは聖司の発言を聞いて理解をしたのか、口もとを押さえていた手を離して顔を上げると、彼の方を見て答える。
「あの枢機卿の発言は、確かによく考えれば嘘ね。だってモンドに生きる人の総意とは言うけど、実際にその話に懐疑的な人も、その話自体を知らない人も居る。にも関わらずそう発言したということは、この嘘が自身の能力を使う上で、会話した人間を信じ込ませるのに必要なトリガーであったということ」
「理解が早くて助かる。流石はリサ殿」
「褒めても何も出ないわよ」
とは言っているが、聖司に褒められたことを悪くは思っていないのか、嬉しそうにはにかんだ。隣に座っていたウェンティが聖司の腕を強めに小突く。
「いっ?! 何故小突いた?」
「ふーんだ」
「えぇ……?」
小突かれた理由が分からない聖司はウェンティに対して疑問符だけが浮かび上がるものの、痛む腕をさすりながら話を再開した。
「兎に角だ、これらの理由から敵は対象者に嘘を吹き込み、それが真実であると錯覚させる力を持っている可能性が高い。そして今や国の中枢に入り込んで権利を悪用している、真正面から戦うのは避けねばならん」
「もしそれが真実だとしたら、想像以上に厄介だな。解決策に関しても、すぐには思い浮かばない」
「うぅ……なんだか凄く複雑になってきたぞ」
「要点だけ掴めばいいのよ、おチビちゃん。私たちの目的はモンド城に居る偽物の枢機卿の化けの皮を、どうにかして剥がすこと」
「問題は、その化けの皮をどうやって剥がすのか。下手に枢機卿の前に出て実力を行使する訳にもいかない上、ファデュイまで味方に付けている。風魔龍退治もあるせいで時間も掛けられない」
「一体、どうすれば良いんだろう……」
ここまで来て何かしらの解決策が思い浮かばない状況の中、徐に聖司は所持している鞄から紙の束を取り出す。この事態に出した全く関係の無い物に対し、ガイアがそれを指摘した。
「おいおい作家さん、今は原稿を書いてる暇なんて無いぜ」
「1つ、思い付いた策がある。賭けではあるがな」
「……それは、今君が取り出した物と関係でもあるのか?」
「ある、な。実はこの原稿の中身は、あるものを対象とした俺個人の考えを記したエッセイになる」
「どんな?」
「この自由の国、モンドに対する批評だ」
蛍の問いかけに答えた聖司の発言に、その場にいた者全員が彼に視線を向ける。その視線を意に介さず、この原稿についての詳細を語った。
「この国で過ごしていた間、こうして俺が感じた事を書き綴った。たった100ページ程度の簡素なエッセイ本が出来上がったが、内容が内容なだけにお蔵入りにする事を選んだのだ。だが、今この時においては解決の糸口になるはずだ」
「それがどう解決の糸口になるんだ、セイジ」
「コイツを使って、偽の枢機卿を引き摺り出す。そうして時間を稼いでいる間、本物の枢機卿を見つけ出してくれ」
「……それは、君がモンドの敵になる事を理解してのことかい?」
聖司の提案にそう答えたのはウェンティであった。彼の発した内容に、いの一番に駆け寄ったディルックは聖司を問い詰める姿勢を取っていた。聖司もまた視線を合わせに来たディルックと目を合わせながら話していく。
「どういうつもりだ、君は」
「ウェンティ殿の言った通りだ。俺はモンドという国の敵となり、その身をもって時間を稼ぐ」
「っ!」
「ディルック先輩!?」
「おいディルック、何してやがる!?」
突然、ディルックは聖司の胸倉を掴み彼を立たせた。ディルックらしからぬ感情的な行動に驚き席を立って彼らを離そうと試みたが、ジンとガイアの2人の行動を聖司は止めさせた。
「ふざけるな……!」
「巫山戯ておらん、俺は正気だ」
「自らモンド全ての敵になる事が? 失敗すれば2度とモンドの地に足を踏み入る事が出来なくなるんだぞ!? 最悪、君は!」
「そうだな」
「君はっ……なぜ何でもないように言える?!」
「お、おい! 今は喧嘩してる場合じゃないだろ!」
「案ずるなパイモン殿、喧嘩ではないさ」
「お前はその状態でよく喋ってられるな!?」
暖簾に腕押し、ともいうべき様子で努めて冷静である聖司は、ゆっくりとディルックの手を握って、諭すような声調で自身の考えを伝え始める。
「嬉しいな、こうも思ってくれているとは。初めて出会った時とは大違いだ」
「今はそんな話をしているんじゃ……!」
「だがディルック、俺はやるぞ。誰かに止められようとも、俺はこの策を実行する腹積もりだ」
「なぜ?!」
「目的は、偽の枢機卿の正体を暴いてモンドを救う事だ。────あとはお前さんでも分かるだろう?」
そう言った直後、ディルックはゆっくりと彼の胸倉から手を離していく。そして真剣な様子で聖司は力強く思いを告げた。
「目的を履き違えるな、ディルック。この事態の解決には、本物の枢機卿を見つける事が重要になってくるのだ。俺の身はどうなろうと構わない」
「馬鹿なことを言わないで頂戴」
聖司の言葉に対して反論したのは、目の前に立つディルックではなく、聖司の真正面の席に居るリサであった。
「自己犠牲の上で行われる作戦を、私たちが容認するとでも思っているの?」
「ならば別の方法があると?」
「ええ、今から探せば」
「いいや、遅すぎる。ファデュイの動きもある以上、時間は掛けていられん」
「確かにそうね。でも、あなたの作戦で使えるのはその紙の束だけ。今から何冊も作るには時間がかかる事を理解してる?」
「ああ、心配は要らんさ。そうさな、72時間以内に5〜60冊分の原稿は書ける。それぐらいあれば、城内に広めるには十二分だろう。少なくとも他の作戦よりも短時間で済む」
「…………今さらっとヤバい事を言ってなかったか? 冗談だよな?」
「冗談を言う雰囲気ではなかろう」
「本気で言ってるこの人……」
あっけらかんとした様子でその作戦に必要な文量を書けられると言ってのけた皆の反応は大小問わず一様に、その情報に対する処理に時間が掛かる事となった。それに構わず、聖司は続けて言ってのける。
「不思議でも無いだろう。既に用意されている原稿の内容を、そのまま別の紙に書き写すだけだ。時間もそこまでかからん。それに今、このモンドの状況に時間をかけている暇は無いのだ」
「いやっ、だが……それでもかなり時間はかかるだろう? 72時間以内にその量は無理があるのでは」
「無理でも何でもなく書けるが」
ジンが投げかけた疑問に対しても、そのように簡単に答えた聖司の一言は、またしてもこの店内に1つの静寂を齎した。やがてその静かな時は、リサの溜め息によって崩される。
「はぁ。確かに、あなたの執筆速度なら出来そうね。それに他に方法も無さそうだし、私は彼の作戦に賛成するわ」
「うえっ!? 嘘だろ、リサさん!?」
「これでも彼が執筆作業をしている所を見ていた事があるもの。その速度に関しては、信頼を置いても良い。何も思いつかない今、彼の提案に乗るしか解決策は無いわ」
「恩に着る、リサ殿」
「でも、あなたをモンドの敵にさせる訳にもいかない。だから皆────本物の枢機卿を必ず見つけ出すわよ」
そのようにリサは言って、聖司のもとへと歩み寄り彼の手を掴んで握りしめた。何時もであれば必要以上に自分から動くことの無い彼女であるにも関わらず、今この時は聖司の意見に賛同の意を示した。
そんな彼女の意見を聞いて、他の面々も同意するように発言し始める。
「そうだな。彼を敵にさせる前に本物を見つければ、彼がモンドの敵になることは無い」
ジンが席から立ち上がり、そのように言った。
「……確かに、今のところセイジの提案した事ぐらいしか思い浮かびそうに無いな。なら、賭けてみるのも一興ってヤツか」
ガイアは椅子に座りながらであるが、そのように言って賛同の言葉を告げた。
「────うん、君がそうしたいのなら、僕もそうしよう」
ウェンティは聖司の意思を汲み取る発言をして、同意を示した。
「うぅん、正直オイラも思い付かないし。ここはいっその事、コイツの意見に乗ってみようぜ」
「私も、彼の提案に乗ってみる」
パイモンと蛍の同意が告げられ、残すはあと1人。聖司の目の前に居るディルックは、どこか観念したような雰囲気を出しながら彼を見ながら言う。
「……分かった。だが君をモンドの敵にはさせない、必ず成功させるぞ」
「よし来た。では早速だが、紙とペンとインク、あと表紙が必要になってくる。今すぐ用意できる分を集めて、モンド城から離れた場所で書きたい」
「なら物を手に入れたら、すぐにワイナリーに行くぞ。そこなら妨害も無い」
「こちらもすぐに用意できるだけの物は用意しよう」
「ならついでにファデュイの動向も見ておかないとな。俺はそっちで活躍しよう」
「ありがとう、皆。必ず成功させてみせる」
聖司の言葉に同意するように皆が首肯し、それぞれが行動を開始していく。真夜中の時間帯で話し合われた作戦は、こうしてほんの僅かな猶予を伴って行われるのであった。
真夜中のモンド城。蝋燭を載せた手持ち燭台を持って1人長い廊下を歩く渦中の人物、カルヴィンが居た。他に誰も居ない静かな空間を歩いていた所であったが、カルヴィンは手持ち燭台を近くの花瓶が置かれた机に置き、花瓶を観察し始めたかと思いきや、誰かに尋ねるような物言いを口にした。
「こんな夜更けに何用だ? 用が無ければ早く持ち場に戻りたまえ」
「なら、そのまま動くな」
カルヴィンの背後から女の声がした。その服装は蝋燭の灯りでほんの僅かしか見えなかったが、病的なまでの浅黒い肌と濃い赤紫の髪色が見える。彼女はカルヴィンの背中にナイフを突き立てており、動けば命は無いと言っているようであった。
「質問に答えなさい、本物の枢機卿はどこに?」
「本物? 何を言っているのやら」
「惚けるのなら、無理矢理にでも吐かせるまでよ」
そのような彼女の発言に、面倒そうな様子を隠そうともしないカルヴィンは、ゆっくりと両手を上げながら、このような事を言った。
「お前は俺に攻撃できないぞ」
「何を言って……っ!?」
そこで彼女、ロサリアは異変を感じ取った。ナイフの刃先を突き立てているのにも関わらず、それを持つ手が全く動かないのだ。その動揺を突くように、カルヴィンは振り向きざまに彼女の顔面へと裏拳を叩き込んだ。
咄嗟にロサリアもナイフから手を離して防御したが、攻撃を受けた腕からは軋む音が鳴り、勢いのまま床に倒れ伏す。なんの技術も見受けられない裏拳であったが、重い一撃であったそれを彼女は疑問に思った。
「全く、どこの誰だか知らないが面倒な真似をしやがる。おかげで──無駄ニ手間ガ増エテシマッタデハナイカ」
そのように言ったあと、カルヴィンの姿が異形の者へと変わる。2m台の大きな人狼の姿へと変化した偽のカルヴィンは、倒れたロサリアの首根っこを掴み持ち上げて観察した。
「ぐっ……! かッ……!」
「オ前ガ何者カハ知ランガ、邪魔立テヲスルナラ容赦ハシナイ。今スグ殺シテモイイガ……ドウセダ、少シ趣向ヲ凝ラソウ」
人狼姿の異形はロサリアを気絶させ、手持ち燭台を持たぬまま暗闇の中へと消えていった。
【後書きキャラ紹介】
※今回は前話の詳しい内容についてなので、1名を除いて除外します。ご了承ください。
投稿日の午前5時近くはキツい……
『ロサリア』
・今のカルヴィンが何やら不穏な行動をしていたため、嗅ぎ回っていた。しかしバレて気絶させられ、どこかへと連れさられる。