僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第098話・迷宮都市に、乗り込めー!

 

 ◇◇◇

 

「迷宮都市に行く? おう、良いぜ。行こうや。いつ行く? 明日か? 明後日か? ……あん? 完全クリアを目指す? おいおい。これはまた、……楽しそうなこと言うじゃんか」

 

 

 

 ◇◇◇

 

「是非是非! 私も同行させてください! そしてナナシさんのダンジョン探索記を書き記す栄誉を私にいただければ! あ、ちゃんと歌にもしますね!! 舞台の台本とかも書こうかな!!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

「迷宮都市。ゲヘナダンジョン。ふふふ、とても素敵な響きだと思う。地獄の底では、ぼくのオカリナもよく響くんじゃないかな」

 

 

 

 ◇◇◇

 

「マージで! ナナぽん今度は地獄攻めなん!? フゥー! あがるぅー! ウチも行く行くー! あ、行くとき鉄道弁当買って良き!? あれいっかい食べてみたかったんじゃーい!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

「む、ナナシじゃないか。先日は助かった。あらためて礼を言うよ。おかげさまで帝都中の店のツケを払えるぐらい稼ぐことができた。この借りはまた必ず……、うん? これから迷宮都市に行くのか? ふむ、それならワタシも同行しよう。なんとしかし、これほど早く借りを返す機会を得られるとは。ふふふ、楽しみにしていてくれ。きっと役に立ってみせる」

 

 

 

 ◇◇◇

 

「え、そうなんだ! じゃあ私もついていくね! 大丈夫! 皇帝陛下(おとうさま)には私から話を通しておくから! だからまた向こうでも、ナナシの女神様のお話、聞かせてほしいなぁ♪」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 はい。というわけで。

 

 やって来ました。

 迷宮都市です。

 

 最高学校でお爺さん教授とお話をしたのが五日前です。

 

 なんだかめちゃくちゃトントン拍子で話が進み、帝都鉄道の特等旅客車を貸し切って乗って迷宮都市に着きました。

 

 それというのも。

 

「うーん、ここに来るのも久しぶりだなぁ。いつ以来だっけ? お父様の即位十五周年記念のとき以来?」

 

 この御方がいらっしゃるからです。

 

「フェアネス様。もう少しだけお下がりください。そちらは鉄道の排煙がかかる可能性がございますゆえ」

 

「ええー、そんなことまで言っちゃう? もう、ロコッピは相変わらず心配性だなぁ」

 

 何を隠そうこの御方、現皇帝陛下の実の娘でして。

 

 要するに、皇女殿下にあらせられます。

 

 お名前はフェアネス様。

 

 まだ十代後半ですが、すでに皇帝一族として公式の場でも活動している、正真正銘のお姫様です。

 

 護衛として同行している近衛騎士の女性(ロコッピさんというみたいですね。腕が伸びたり生え替わったり、重り付きのマントを脱いだりしそうなお名前です)の言葉に頬を膨らませていますが、そこらへんのほとんどの人間よりは政治的な発言力があり、僕がこの国で最大限に気を遣わなくてはならない人のうちの一人です。

 

 ちなみに、あまりじっと見てるロコさんに睨まれてしまうので見つめないようにしていますが、お足は程よくお肉がついていて美味しそうです。

 

 後頭部で編み込んだライトブラウンの髪は母親譲りらしく、輝くような金色の目は皇帝陛下とそっくりです。

 

「ね、ナナシ。ナナシもそう思うでしょう?」

 

 と、フェアネス殿下が僕に話をふってきました。

 

「ロコッピはちょっと気にしすぎだよね? 鉄道の黒煙なんて危険はないと思うけど」

 

 うーん、しかし。

 

「いえ、殿下。僕はロコさんの言うことのほうに理があると思います。お顔やお服が煤で汚れてしまうのは良くないかと。それにあまり前に出ると、うっかり線路に落ちてしまうかもしれませんし」

 

「あー、ひどい。ナナシは私のこと運動神経の鈍い女だと思ってるの?」

 

 いえいえそんな。

 ですが、何事も不測の事態というものは起こり得るものですし。

 

「むぅ、きさまー」

 

 ぷくりと頬を膨らませる様子は、あざといぐらいに可愛らしいものです。

 

 これをたぶん、素の性格でやっているんですよね、この人。

 いや、キャラ作りしている可能性もゼロではないですが……。なんか、そういう気配が全くないんですよ。

 

 他人との距離感も基本的に近めですし、あっちに行ったりこっちに行ったり、よくふらふらするとかで、護衛の方は非常に苦労されるそうです。

 

 しかも今回、なぜか護衛の人数が極端に少ない(護衛隊長のロコさんに、その部下の女性騎士さんが三人だけです)ので、余計にたいへんなのでしょう。

 

 というか、身の回りのお世話をするのも護衛の皆さんのお仕事なんでしょうか?

 そうだとすれば、はたしてこの迷宮都市に殿下が滞在されている間、護衛の皆さんに休息は訪れるのでしょうか。

 

 僕がロコさんを見つめていると、ロコさんと目が合い、ロコさんは疲れたようにため息をつきました。

 

「しっかし、マジで速かったな。しかもこれ、一番上等な客車なんだろ。やっぱカネとコネ持ってるやつは強えーわ」

 

 そこに、ご機嫌な様子のメラミちゃんが殿下に近寄ります。

 

「急に一緒についてくるって聞いたときは驚いたけど、フェアネス様が来てくれて良かったわ。おかげで道中ぐっすり寝れたぜ」

 

 そして「あんがとよ」とか言いながら、フェアネス殿下の肩に手をかけて、肩を組みました。

 

 ちょっと、メラミちゃん。

 

「っ!」

「おいキサマ」

 

 護衛の皆さんが一瞬にして殺気立ちます。

 メラミちゃんが「お、なんだなんだ。どうした?」と不敵に笑いました。

 

 というかこれ、メラミちゃんわざと煽ってるでしょ。

 

 他の皆は、殿下が僕たちに同行するって聞いたときに驚いたりおそれ多いと言ったりしてたんですけど、メラミちゃんだけは訝しんでいましたので。

 

 たぶんなにか、思うところがあるんじゃないでしょうか。

 

 しかしこんなところで揉めるのは良くないですね。

 とめましょうか。

 

「みんな、やめて」

 

 と、僕がメラミちゃんに声をかけるより早く、フェアネス殿下が護衛の皆さんを制止します。

 

「私は、ここの皆の一員としてここにいるの。そしてこういうのは、仲間同士のコミュニケーションってやつなんでしょう?」

 

 ね、メラミ?

 と言いつつ、フェアネス殿下もメラミちゃんの肩に腕を回しました。

 

「それにしても気に入ってくれて良かった。ナナシの話を聞いてたら、色々と早いほうがいいと思ってさ。ちょっと裏から手を回したんだよね。喜んでくれたようでなによりだよ」

 

「ほーん、そうなのか。それは助かる」

 

「うん。他にも色々、皇室の予算を動かしてもらってるよ。私は君たちみたいに戦ったりできないけど、私にできることなら、色々するからね」

 

 そう言って微笑むフェアネス殿下に、メラミちゃんも「ま、それならよろしく頼まぁ」と言って離れました。

 

 うーん、メラミちゃんってば……。

 

 そしてロコッピさんたちが緊張を解いたのを見て、僕は無言で頭を下げたのでした。

 

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