僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第102話・単純作業は皆とおしゃべりしながらやってます

 

 帰ってきてうがいして手洗いして(寒くて乾燥してる時期ですので)、僕はお家で待ってくれている皆さんに今日の成果を報告します。

 

「というわけで、今日は四十階層まで行って帰ってきました」

 

 報告に合わせて、四十階層のフロアボスから出てきた(ドロップする、と表現するらしいですね)それなりの大きさと美しさの魔石を鞄から取り出し、テーブルに置きます。

 

「わぁ、これはおっきいやつ♪」

 

「え、すご……!?」

 

 魔石を見たフェアネス殿下が楽しそうに笑い、イェルン姉さんがめちゃくちゃ驚きます。

 

 実は今までの階層でも魔石が出てきてたんですが、小さいしくすんでるしであまり質が良くなかったので拾ってきませんでした。

 

 今回のはそれなりに良いものに見えたので拾ってきましたが、どうやら正解だったようです。

 

 ロコさんやフラーさんも無言で驚いているので聞いてみたところ、どうやらこのサイズでも売れば相当な値がつくのだとか。

 

 それなら。

 

「フェアネス殿下。たとえばの話なんですけど、この魔石に僕がめいっぱい魔力を注入したとしたら、それって価値は上がるんですか?」

 

「そうだね、上がるはずだよ。引き出せる魔力が多ければ、それだけ価値は高くなるから」

 

 それを聞いた僕は、燕青貝の真珠に魔力を貯めたときのように、魔石を手に持って魔力を注いでみます。

 

 ぎゅんぎゅんと魔力を入れてみると、五秒ほどで魔石がいっぱいになった感覚がありました。

 

「……え?」

 

「それではフェアネス殿下、この魔石は殿下に献上します。どうぞお納めください」

 

 僕がそう言うと、さしもの殿下も目を丸くして狼狽えました。

 

「え、ちょっと待ってナナシ。今なんか私でも分かるぐらいのすごい量の魔力を一瞬で魔石に入れなかった??」

 

 一瞬、……ではないですね。

 五秒ぐらいかかりましたし。

 

「あとこれ、献上するというなら皇室に対してにしてくれない?? この魔石を私個人に対して献上したとなると、ちょっと色々問題がでるから……」

 

「? そうなのですか? じゃあ、皇室あてにします」

 

 まぁ、この家やら何やらを用意してくれたのは皇室の予算だとも言っていましたし、それに対してのお礼みたいなことにしていただければよろしいかと。

 

「え、ええー……。これをもらっちゃうと、逆にこっちがもらいすぎになるんだけどな……」

 

 それなら、今後この家にかかる予算をこれでペイしてください。

 よろしくお願いします。

 

 

 

 その後、冒険者ギルドからミーシャさんが帰ってきたので、皆で晩ご飯にしました。

 

 今日から新しくコックさん(タマゾネキアさんという、姉御肌の女性です)とそのお弟子さんたちが来てくれたので、昨日以上の速度で大量のお料理が出てくるようになりました。

 

 ……しかし。

 

「……ん。……ごちそうさまでした」

 

 キャベンシアさん、今日も悲しそうなお顔でフォークとスプーンを置きました。

 

 たしかに今日は、キャベンシアさんでも食べ尽くせない勢いで料理が出てきたのですが……。

 

「さすがにこれ以上の時間をかけるのは……。少し、気が引ける」

 

 食べても食べても食べ終わらないので、晩ご飯の時間が終わらず、このペースでいくと朝までかかっても晩ご飯が終わらない計算になります。

 

「作ってくれた残りの分は、明日の朝ご飯として責任を持って食べることにする」

 

 と言って、キャベンシアさんは自室に戻ってしまいました。

 

 うーん、そうか。

 キャベンシアさん、スキルの効果もあってか、食べる速度より消化吸収の速度のほうが早いんですね。

 

 だから、どれだけ食べても満腹になれないのです。

 

 たしかに、食べれば食べた分だけお腹は膨れますが……。

 それでもそれは、満腹とは少し違うようで、

 

 常に満ち足りることなく、飢えている。

 

 そういう状態が、ずっと続いているのではないでしょうか。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 翌日。

 

 四十階層のリトライクリスタル前から攻略再開です。

 四十一階層に降りてみると、今までとはガラリと雰囲気が変わっていました。

 

「なんか急に狭くなったな」

 

 メラミちゃんが、通路の壁をコンコンと叩きながら言います。

 

 四十一階層は、以前にクリアしたダンジョンのように、レンガのようなブロックで床と壁と天井が作られた通路状になっていました。

 通路は曲がりくねり、いくつにも枝分かれをし、攻略しようとする僕たちを迷わせようとしてきています。

 

 一緒に来てくれているロビンちゃん曰く、普通のダンジョンはこうした迷路型になっているものが多く、それゆえに迷宮(ダンジョン)と表記されるわけなのだとか。

 

 しかも。

 

「……む。なんだか、結界への抵抗が強まりましたね」

 

 いつものように侵蝕結界を作ってダンジョン内に押し広げていきますが、昨日までと比べて結界を押し返してくる力が強くなりました。

 

 なんというか、押し合いに勝つことはできるんですが、その速度が明らかに鈍っています。

 

 侵蝕結界で安全を確保し、それからカベコプターなり徒歩なりで深部を目指して進む、というやり方でここまで来ましたが。

 

 ここから先、今までのような速度で攻略するのは難しいかもしれませんね。

 

「とりあえず、今日中にこの階層全てを結界で覆えるか試してみますね」

 

 というわけで、試してみたところ。

 

 めちゃくちゃ広くて入り組んでいるうえに侵蝕速度まで遅くされているので、午前中いっぱいかけてようやく四十一階層全ての空間を奪い取れました。

 

 四十一階層の入口部屋でお昼ご飯を食べてから駆け足で下り階段を目指し、四十二階層も同じようにゆっくりと侵蝕していって完全掌握し、夕方前に四十三階層に降りました。

 

「……うん。今日はここまでにして、引き返しましょうか」

 

 四十三階層の入口部屋を結界で囲んでから上の階に戻り、四十二階層を抜けて四十一階層へ。

 

 四十一階層の入口部屋まで戻ってきて、四十階層への階段を上がろうとしたときに、ロビンちゃんが言いました。

 

「あの、ナナシさん。明日はリターンチケットを用意しておきませんか?」

 

 なんですか、それは?

 

「ダンジョン内でエネミーを倒した際、低確率でドロップするアイテムです。ダンジョン内で使用すると、ダンジョンゲート前の空間に転移することができます」

 

 ほほう、それは便利ですね。

 

「その、どの階層でもまんべんなくドロップするので冒険者ギルドで購入することができますし、深層探索する冒険者は基本的にこれを使って帰還しています」

 

 そうなんですね。

 ちょっと調べてみましょうか。

 

 僕は、この階層の侵蝕結界を動かし、結界壁とダンジョンの壁との間に挟まれて身動きが取れなくなっているエネミーをまとめて捻り潰しました。

 

 そしてドロップしたツノやらキバやら毛皮やらの中から、魔石と、チケットっぽいものを選んで結界泡に包み、集めてみました。

 

「……え?」

 

 呆気に取られた様子のロビンちゃんに確認してもらうと、リターンチケットが二枚手に入ったことが分かりました。

 

 それと四十一階層エネミーの魔石もジャラジャラ集まったので、帰ったらこれを使って、ちょっと実験をしてみます。

 

 とりあえず今日のところは四十階層のリトライクリスタルからダンジョンゲート前に帰還し、冒険者ギルドに寄ってから帰宅しました。

 

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