僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第105話・突如脳内に存在しない記憶があふれ出す系の人

 

 ◇◇◇

 

 ロコさんたちが帰ってきた日の翌日。

 つまり、ダンジョン攻略開始から十一日目の朝。

 

 僕たちは再びダンジョンゲート前に来ました。

 

 今日も、探索頑張りましょう。

 皆さんもしっかり休んでリフレッシュできたみたいですし。

 

「ふふふ、ナナシさんの活躍を讃える歌がたくさん書けました。そしてまた今日も! たくさんの活躍を見ることができるのですね!」

 

 ロビンちゃんはすっかり疲労が取れた様子で元気にぴょんぴょん飛び跳ねて、大きなお胸をぽよぽよ揺らしています。

 

「あの甲冑、笛の音で踊らせてみたけど、なかなかダンスセンスあったよ」

 

 ユニ子ちゃんはいつものごとく無表情ですが、こころなしか表情が明るい気もします。

 フェアネス殿下から賜った黄金阿修羅甲冑DXで遊んで楽しめたようですね。

 

「うえーい! タマゾんからいっぱい料理教わっちったー! これでダンジョン内でもガンガンあったかいモン作れるぜーい! 味気ない保存食も、美味しいスープにしてやんよー!」

 

 ヘリーちゃんは、いつでも元気ですね。

 疲れててもずっと花丸印にハシャいでましたし、お休みもあって元気満点です。

 

「で、キャベ子が焼菓子みてーにポリポリ喰ってんのが、その過剰蓄魔石なのか?」

 

 と、休日の大半を寝て過ごしたメラミちゃんが、キャベ子さん(キャベンシアさんに聞いたら、ぜひそっちで呼んでくれ、とのことでしたので)の腰に括られた袋を指差しながら訝しげに言います。

 

「そうだ。その時の空腹感に合わせて好きなサイズを食べられるように、ナナシが大小色々な魔石を用意してくれた」

 

「……それってよぅ、もしかして爆発したりしねーよな?」

 

 大丈夫ですよ。

 全ての魔石は僕の結界でコーティングしていますし、その袋も結界布製のものですので。

 衝撃や火力でその魔石を誘爆させるくらいなら、僕たちを直接攻撃したほうが早いと思います。

 

「そうか、……ん? いや待て、今お前誘爆っつったな! ってことはやっぱり危険なんじゃねーか!」

 

 場合によったらエネミーに向かって投げつけて攻撃、とかもできると思います。

 でもまぁ、なかなかそういうことにはならないですって。

 

「そうだぞメラミ。それにこれは、ワタシの大切なご飯なんだ。なくしたり投げたり爆発させたりなんて、したくない」

 

 ふんす、と鼻息荒く言うキャベ子さんに、メラミちゃんは奥歯に物が挟まったときのような表情を浮かべました。

 

「まーまー、メラミっちもそんなガミガミ言うなし! キャベちんの腹ペコ問題が解決したんなら良いことっしょ!」

 

 と、ヘリーちゃんが言ってくれて、ようやくメラミちゃんも納得したようです。

 

「まぁ、これから先進むのに、キャベ子が全力出せるってのは良いことか……」

 

 そうですよ。

 これから先は、さらにガンガン行かなくちゃですから。

 

 ということで、いつものようにダンジョンゲートから五十階層のリトライクリスタル前に転移したところ。

 

「……およ?」

 

 なんとなんと、五十階層のクリスタル前に()()が。

 初めて見る男性の方です。

 

 というか、ここに来ることができる人って、阿修羅土蜘蛛を倒したことがある人ってことですよね。

 それってつまり……?

 

「……来たか」

 

 とかなんとか考えていると、男性が僕たちに気づきました。

 

 年齢は、三十歳代ぐらいでしょうか?

 背は高く、がっしりした体格をしています。

 暗めの茶髪に、整っているけど少しダウナー系の顔つきで、

 

 それでいてどこか、知り合いに似た顔つきをしています。

 

 あれ、この人ってもしかして……?

 

「妹から話を聞いて、様子を見に来たが……。なるほどな……」

 

 男性は僕たちを見て、勝手に何か納得したみたいでした。

 するとロビンちゃんが、「あっ!?」と声を上げました。

 

「ま、ま、まさか……! 貴方様は……!!」

 

 知っているのですか、ロビンちゃん!

 

「はい! この御方は、ニューバランス公爵家の次期当主、シィソウ様です!!」

 

 なるほど!

 なんか偉い人ということですね!!

 

「そして今現在、このダンジョンの公式最高深度到達記録をお持ちの方でもあります!!」

 

 なんと!

 つまり、偉くて強い人ということですね!!

 

 とりあえず土下座して挨拶したほうがいいですか??

 

「いや、構わん。今の俺はお忍びだ。シィソウ・ニューバランスではなく、Aランク冒険者のソウとしてこの場にいる。かしこまった言葉や礼儀作法は不要だ」

 

 そうですか!

 わりとフレンドリーな方なのですね。

 

「……お前がナナシか」

 

 と、ソウさんとやらが僕に歩み寄ってきました。

 

 するとキャベ子さんが、僕とソウさんの間に体を割り込ませます。

 

「待て。アナタの目的が分からない。それ以上はナナシに近づかないでほしい」

 

 おお。なんか、他の人に守られるのって新鮮ですね。

 

 けど、大丈夫ですよキャベ子さん。

 ソウさんからは敵意を感じませんので。

 普通に接していれば問題はないと思います。

 

「ソウさんは、どうしてこんなところに? 僕に何かご用ですか?」

 

 僕がソウさんに話しかけると、キャベ子さんはすっと脇に寄りました。

 ソウさんは、僕のことを見ながら小さく頷きます。

 

「……と呼べ」

 

「? なんですか?」

 

「俺のことは、お兄ちゃんと呼べ」

 

 

 …………?

 

 

 ……はい?

 

「ナナシ。どうやらお前には、その資格があるようだ……。うむ、見えるぞ……。幼き日のお前が、庭で摘んだタンポポを俺に差し出してくれる姿が……!」

 

 

 …………???

 

 

 えっと……?

 

「今日は、それを確かめに来ただけだ……。輝けるお前が、俺たちの歩みの先を見られるのか。そしてそれは間違いないことだと魂で理解できた。故に、今日から俺はお前の魂のお兄ちゃん(ソウルブラザー)だ」

 

 ……なんだかよく分かりませんが、とりあえず。

 

「えっと、ソウ兄ちゃん?」

 

「っ……!! そうだ! 良いぞナナシ!! もう一度呼んでくれ! さぁ!!」

 

「ソウ兄ちゃん、僕たちはこれから五十一層の攻略に行くので、応援しててほしいです」

 

「おう!! お兄ちゃんに任せておけ!!!」

 

 そう言って、不器用ながらも精一杯の笑みを浮かべたソウ兄ちゃんは、グッと親指を立ててから、クリスタルを使って帰っていきました。

 

「…………」

 

 僕は無言でソウ兄ちゃんを見送ったあと、皆さんに振り返って首を傾げました。

 

「今のやり取り、なんだったのでしょうか??」

 

 その問いに答えられる人は、この場には誰もいませんでした。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 その日はその後、五十三階層までを攻略してからリターンチケットで帰還しました。

 

 なお、五十階代ではゴーレムがエネミーとして出現するようになり、各階層ごとで出てくるゴーレムの種類に違いがあるそうです。

 

 そして各ゴーレムを倒すとゴーレムの元となった素材のインゴットがドロップするとかで、様々な鉱物資源をゲットできる階層なのだそうです。

 

 ちなみに本日五十三階層までで出会ったゴーレムは、鉄、鉛、真鍮、青銅、銅、銀、金でした。

 銅や銀は出現率が低めで、金素材のゴールドゴーレムは一体だけ現れました。

 

 これが深い階層になるほど、貴重な金属でできたゴーレムの割合が増えるみたいですね。

 

 そういえば、お家に帰ってから気づいたんですけど。

 

「え、ナナシ、シィソウ(にぃ)に会ったの?」

 

 と、驚くフェアネス殿下を見て、ソウ兄ちゃんが誰に似ているのかを理解したのでした。

 

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