僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第012話・お嬢様、驚き疲れる

 

 プテラ君肉の特製ステーキを食べたお嬢様は「め、めちゃくちゃ美味しい……!? あんなに凶暴な生き物の肉がこんなに美味しいなんて……!?」と、その美味しさに深く感動したご様子でした。

 

 その気持ち、分かります。

 

 なんだかよく分からないのですが、この森の生き物たちってみんな美味しいんですよね。

 

 どいつもこいつもデカくて凶暴なのに、そのお肉は舌が蕩けるほど味わい深く絶品ですし、木の実や果実、山菜に木の根、木の皮球根きのこ等々、食材として優秀なものがたくさんあります。

 

 なんでしょうね、極魔の森というだけあって森そのものに魔力が満ちていて、その濃い魔力を常に浴びている生き物は旨味が増すんでしょうかね。詳しくは知りませんが。

 

 まぁ、なにはともあれ。

 

 お嬢様が喜んでくれて良かったです。

 頑張って作った甲斐がありました。

 

 さて、ご飯を食べた後の僕は、さっそくお嬢様の従者としてやるべきことをやっていきます。

 

 まず、お嬢様の乗っていた木箱を青いカラスの死骸から外し、青いカラスは広場から少し離れたところの土地に穴を掘って丁重に埋めてあげることにします。

 

 お嬢様をここまで連れてきてくれた忠義者ですからね。

 敬意を持って埋葬します。

 

 結界壁の板に乗せてカラス君を持ち上げます。

 広場から出てしばらく歩くと、いい感じの広さの土地を見つけました。

 

 その土地に十メートル四方の正方形で深さ五十メートルぐらいの穴を掘り(結界壁でその部分の土を切り分けてくり抜きました)、穴の中にカラス君を置くと、くり抜いた土をそのまま上から被せて押し固めます。

 

 ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅうぎゅう。

 

 他からも土を持ってきて被せ、さらに押し固めていきます。

 

 こうしないと、この森の生き物たちが掘り起こしちゃうんですよね。

 ゴミ捨て用の穴も、最近は地下百メートルぐらいまで掘ってゴミを捨ててますし。

 

「……これほど深い穴が、一瞬で……」

 

 お嬢様が僕の後ろでカラス君の埋葬を見守ってくれていますので、僕も丁寧にやります。

 

 土を押し固めたら、次は墓石を作ります。

 

 近くにあった大きな岩を薄刃結界壁でスパスパと切り分け、ヤスリ状の結界壁で表面を磨いてツヤツヤにします。

 

 そうして作った墓石をカラス君の埋め立て地の上に置いていき、巨大なお墓を作りました。

 

「お、大岩がバラバラに……!? え、なんなの、その技……! まさか、光の刃(ライトニングエッジ)……!?」

 

 積んだ墓石は組み立てブロックのようにデコボコにした面を作ってあり、その面同士を噛み合わせてありますので、地震がきても倒れることはないでしょう。

 

 次に、立てた墓石の表面にドリル結界壁で「カラス君の墓」と文字を刻み込みます。

 

 そして刻んだ文字の部分には、特製の塗料を塗り込みます。

 

 この塗料は、粉末状にした木炭と、とある樹の樹液と、別の樹の葉っぱの煮汁を混ぜて煮詰めて作ったものです。

 

 塗って乾くととても綺麗な黒色が出る塗料で、最近作った女神様像の髪の部分はこの黒色塗料で着色をしています。

 

 本来なら女神様像に塗るために作ったのですが、お嬢様への忠義に敬意を表して、カラス君のお墓にも使ってあげましょう。

 

 ぬりぬり、ぬりぬりぬり。

 

 墓石の文字を塗った後は、近くの木を切って削って経文を書いて卒塔婆を作り、墓石の横に立てました。

 

 よし、これぐらいでいいですね。

 高さ五メートルぐらいの、立派なお墓になりました。

 

 カラス君には安らかに眠っていただいて、月命日にはお花を供えに来ましょう。

 お供え物は木の実とお肉が良いですかね?

 

「お嬢様、手を合わせましょう」

 

「え。ああ、そうね」

 

 二人で並んでカラス君の墓に黙祷を捧げます。

 

 これからは僕がお嬢様をお守りしますので、カラス君はどうか安らかにお眠りくださいませ。

 

 さあ、埋葬が終わりました。

 気持ちを切り替えて次のことをしましょう。

 

「お嬢様。この後のご予定はいかがなさいますか?」

 

 なんでもお申し付けください。

 僕が全力でお支えいたしますので!!

 

「……とりあえず、今日はなんだか疲れたから、少し休ませてもらうわ……」

 

「分かりました!」

 

 そういえば、お嬢様ってお怪我をしたばかりで体力も消耗しているのでした。

 

 それなら僕の家のベッドでぐっすりお眠りいただきましょう。

 

 その間に僕は、夕食の準備をしておきますので。

 

 お嬢様と一緒に家に戻ると、お嬢様は疲れた顔を浮かべながらベッドに腰掛けました。

 

「そうだ、貴女。せっかくだから結界術について一つ教えてあげるわ。……『結界作成』」

 

 お嬢様が手を合わせると、ベッドを囲む形で結界が現れました。

 

 おお、本当にお嬢様も結界術を使えるのですね!

 

「他人が作った結界を見るのは初めてですが、こうして見ると僕の結界と見た目は一緒なんですね」

 

「まぁ、そういうスキルだもの。それで、試しに結界に手を触れてみなさいな」

 

 言われたとおりに結界に手を伸ばすと、結界に手が触れた瞬間、けたたましい音が鳴り響きました。

 

 びー、びー! と、警報音のようです。

 

 お嬢様が結界を解除すると音も鳴り止みました。

 

「これは、警報(アラート)付きの結界よ。許可していないものが結界に触れたり結界を壊そうとすると、中にいる人間に音で知らせる機能が付いているの。これぐらいなら、貴女もすぐに覚えられるのではなくて?」

 

 確かに、これなら結界壁に警報機能を付けるだけですので、僕ならすぐにできそうです。

 

 しかし、なるほど。

 

 警報機能ですか。

 

「例えば、周囲の安全が確保できない場所で休憩するときなんかは、この結界を広めに張っておけばいち早く敵の接近に気づけるというものね。この結界を壊される前に戦闘準備をすれば、不意打ちを防げるというわけ」

 

「なるほど!」

 

「貴女、今まで一人でこの森で暮らしてきて、そういう危険を感じたことぐらいあるでしょう? こんな森の中で一人で寝るなんて、普通なら無茶苦茶なことよ?」

 

「まぁ、森に来た最初のころはそうでしたけど……。今ではずっと拠点を覆う結界を張りっぱなしにして過ごしていますし、この森の生き物に結界を破られたことがなかったので、最近は全然気にならないんですよね」

 

 お嬢様は、呆れたような表情を浮かべました。

 

「貴女の結界、どんな理屈でそんなに強度が高いのよ?」

 

「そう言われましても……」

 

 お嬢様曰く、普通は、結界術で作った結界壁は作成時点で消費魔力量に応じた耐久力が設定されていて、耐久力を超えるダメージが入ると壊れるものらしいです。

 

 よほど大量の魔力を消費して維持コストを設定すれば、魔力を追加で消費して耐久力の回復ができるらしいですが、それでも一度に大きなダメージを受ければ壊れてしまいますし、そもそもそんな大掛かりな結界を張るためには、数人がかりで結界術を使わなくてはならないのだとか。

 

「僕の結界は、攻撃されるとちょっと魔力を消費するだけで勝手に直りますし、どんな攻撃を受けてもヒビすら入ったことがないですよ?」

 

「それは……、はっきり言って異常ね。異常な出力だわ。貴女のスキルって、本当にただの結界術なの?」

 

「正確には、超・結界術(極)ですけど」

 

「……なんて?」

 

「超・結界術(極)です。女神様から直々にいただいた時に少しだけオマケしてもらったんです」

 

「……ちょっと確認してもいいかしら? はい、と言いなさい」

 

「はい!」

 

「……『スキル鑑定』」

 

 ぼそりと呟いて僕の顔を見つめてくるお嬢様のお顔が、どんどん青褪めていきます。

 

 どうしたのでしょう?

 

 やはりお怪我のせいで体力を消耗してしまっているのでしょうか。

 

 そうだとすればいけませんね。

 早くお休みになっていただかないと。

 

「お嬢様、僕に結界術を教えてくださるのはとても嬉しいのですが、お身体に障るようでしたらどうか僕のことはお気になさらず、横になってくださいませ」

 

「!? そ、そうね。そうさせてもらおうかしら! 『結界作成』!」

 

 そう言うとお嬢様は、警報の結界を解除してから、ベッドの周囲に新しい結界を張りました。

 

「これは、結界内にいる人間の回復を促進する効果を持たせた結界よ! ひとまずはこの中で怪我の回復に努めるわ! おやすみなさい!」

 

 そしてベッドの中に潜り込むと、頭までお布団を被って寝始めました。

 

 なるほど、回復機能付きの結界ですか。

 

 これは確かに便利そうです。

 

 僕は、しばらくじーっと回復結界を見つめ、少しだけ結界に手を触れてみて、魔力の流れを感じ取ります。

 

 それから、自分なりに頭の中で結界構築を何度か繰り返してみた後、手を合わせて静かに「結界作成」と唱え、お嬢様の結界のすぐ外側にもう一つの結界を張ってみました。

 

 これは、今の僕が作れる最大限に回復効果を高めた結界です。

 

 動かしたり遮断したりする機能は全て排して、ただただお嬢様の回復だけを祈って作りました。

 

 果たしてこれがどのくらい効くのかは分かりませんが、少しでも早くお嬢様には良くなってもらいたいです。

 

 その後僕は、神殿でもお嬢様の回復を祈ってから、疲労回復効果のある果物など、夕食の食材を探しに出かけたのでした。

 




ハローチェ「なにあのスキル……!? ……み、見なかったことにしようかしら……」
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