僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第125話・ご飯の後は歯磨きです

 

「これはウメーな! おかわり!」

 

「もぐもぐもぐもぐ……! もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……! ゴクン……、ふぅ。おかわり」

 

 カレー。メラミちゃんとキャベ子さんには死ぬほど好評みたいです。

 

 メラミちゃんがすでに三杯目。

 キャベ子さんに至ってはワンコソバみたいに流し込んで(まさしく、カレーは飲み物という感じです)います。

 

 バカデカ寸胴鍋三つ分を作っていたのですが、これは今晩中になくなりますね。

 

 二日目の熟成カレーはまた別の機会に作ろうかと思います。

 

「んー、おいしー♪」

 

 フェアちゃんもほっぺたに手を当ててご満悦のご様子。

 

 配膳してくれているフラーさんとロコさん(ほんとは一緒に食べたいんですけど、さすがに今日のキャベ子さんの勢いはヤバいので……)の分は小鍋に分けてありますので、またゆっくり味わってほしいです。

 

 さて、そんな賑やかな晩ご飯が終わり、後片付けをして歯磨きをしていたところ。

 

「そういえばナナシって、いつもそれ使ってるよね」

 

 それとは、この結界製振動歯ブラシのことですか?

 

「そうそれ。なんかすごく震えてるけど、楽しいの?」

 

 別に楽しくはないですけど。

 

 これ、高速振動に加えて僕の口の中と歯の形に合わせて自在に変形させられますので、磨き残しゼロにできるんですよ。

 口の中、すごく綺麗になりますよ。

 

「そうなんだ。それなら私も一回使ってみたいな」 

 

 そうですか?

 それなら、もう一本作りますのでこちらをどうぞ。

 

 と、手渡してみたものの。

 

「んー……。なんか思ったより使いにくい……」

 

 あぁ、そうか。

 フェアちゃんは自分で変形させられないし、高速振動も普通に磨くのと動かし方が違うので、そうなるんですね。

 

 となると、やっぱりフェアちゃんは普通の歯ブラシで磨いていただくしかないかと。

 

「むぅ……。あ、そうか。はい、ナナシ」

 

 フェアちゃんが結界製振動歯ブラシを僕に返します。

 

「かわりに磨いてよ。あーー」

 

 そして目をつぶり、大きなお口を開けました。

 

 ……え。

 

 僕は念のためフラーさんを見ますが、フラーさんはスンとしたお顔で頷きました。

 

 えー……、まぁ、やるのは良いんですけど……。

 

 僕はフェアちゃんのお口の中をのぞき込みます。

 小さめのお口を精一杯開いていて、歯並びの良い歯や、可愛らしい舌が見えます。

 

 僕は、フェアちゃんのアゴ先を軽く手で押さえながら、フェアちゃんの口内に振動歯ブラシを差し込んで、順番に歯を磨いていきます。

 

 ごしごし、ごしごしごし。

 ごしごし、ごしごしごし……。

 

「フャ、フャヤヒ(ナナシ)……?」

 

 ちらりと目を開けて「まだ終わらないの?」みたいな目でフェアちゃんが見てきますが、せっかくなのできちんと磨きましょう。

 

 一番奥の歯の側面とか後面は、特に歯ブラシが届きにくいところですし、犬歯の表裏の曲面は、少しずつ角度を変えて歯ブラシを当てないときちんと汚れが落ちません。

 

 あと、意外と磨きにくいのが上の前歯の裏側なんですよね。

 ここって横向きに擦ってもダメで、きちんと歯ブラシを縦に当てて細かく縦の動きで擦らないと。

 

 で、そんな感じで磨いていると、フェアちゃんのお口の中に白く泡立った唾液が溜まってきました。

 

 白濁した唾液の中に赤い舌が浮かんでいます。

 口の端からこぼれないようにお口がひよひよと動いていますが、今にもあふれそうです。

 

「はい、ここにどうぞ。ペッてしてください」

 

 僕は、結界桶を作って手渡しました。

 

「……っ。…………ぷぇっ、」

 

 一瞬、飲み込むか吐き出すか迷ったようでしたが、すぐに観念して溜まった唾液を吐き出しました。

 ネトベトっと白濁した唾液が桶の底に広がります。

 

「はい、もう一度あーんとしてください」

 

「……まだやるの?」

 

 はい。

 唾液がサラサラになるまでやります。

 

「……あーー……」

 

 そこから、三回ペッてするまで歯磨きを続けました。

 最後にグチュグチュペッと口をゆすぐと。

 

「……なんだか、いつになく口の中がスッキリしてる……。歯もツルツルだし……」

 

 はい。きちんと歯磨きしましたので。

 

 けどまぁ、今後はやっぱり自分で磨いてくださいね。

 振動も変形もしないけどフェアちゃんのお口のサイズに合った大きさの結界歯ブラシを今度作ってあげますので。

 

「う、うん。分かった」

 

 さぁ、それなら。

 寝る準備をしましょうか。

 

 ということで僕は、とぼけたフリをして自分の結界テントにそそくさと入り込み、中からカギ(出入り禁止状態のことです)をかけてから眠りにつきました。

 

 すやぁ……。

 

 

 

 翌朝。

 攻略開始から五十二日目。

 

 僕たちはふくれっ面のフェアちゃんとともに五十階層に降り立ちました。

 

 阿修羅土蜘蛛に対して鬱憤を晴らすかの如く真名看破術と鑑定術を使いまくるフェアちゃん。

 

 大量に湧いて出てくる子蜘蛛を無双モードで薙ぎ倒していくメラミちゃん。

 

 あ、阿修羅土蜘蛛はキャベ子さんのガオン斬でトドメを刺しましたよ。

 これで帝国史上八回目の討伐になりますね。

 

 阿修羅土蜘蛛の魔石とドロップ品を拾って地上に帰り、冒険者ギルドに報告してからお家に帰ったところで。

 

「ねぇ、ナナシ」

 

 はい。フェアちゃん。

 

「……分かってるよね?」

 

 はい。まぁ、……はい。

 

「そう。……カギしてたら、キャベンシアに頼んでドア壊すからね」

 

 ……了解しました。

 

 僕は「さすがに今晩は逃げ切れないかなぁ」とか思いました。

 

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